Progress Report 4:赤い冊子と白い薔薇

 チャイルス猖獗で、またまた在宅勤務ですが。
 どうも、クビが危ない。3か月単位の契約更改が、今回は1か月。次の更改交渉は9月初旬頃ですが、かなり W Arrow です。
 などという話は、サブブログ(→)にまかせて。


 盆休みには脱稿するでしょうが、そうすると前後編に分けて9,10月公開ですからぎりぎり月刊維持ですが、盆休み中に新作に着手は難しいでしょう。まあ、10月からは時間がたっぷり……あると困るのです!

Progress Report 3 は、こちら→

========================================
第三章六幕です。
濠門長恭初挑戦のマングリ返し緊縛連姦は、すでに終わっています。製品版の発売をお待ちください。

・肛姦と口姦と

 さすがに署内の全員ということもなく、紗良への凌辱は二十人ほどで終わった。
 連れて来られたときとは違って後ろ手枷を掛けられて、両側から支えられても立っていられないまでに消耗していたので、引きずられて取調室から引きずり出された。
 弓子も狸縛りの吊りから下ろされて、やはり全裸に後ろ手枷という惨めな(しかし、すっかり慣らされてしまった)姿で連れ去られた。
 恵ひとりだけが、四匹の淫虐鬼の中に取り残されていた。荒島、浜村、浅利、青谷――記録係を務める淀江が不在ということは、恵を自白に追い込むつもりがないからだろう。そうとでも考えなければ、淫虐鬼どもの打ち合わせに合点がいかない。
「こいつは、元から変態趣味があったわけですから……なまなかな責めでは心をへし折れんでしょう」
 青谷が、いずれは自分の物にするはずの女を鬼どもの前に突き飛ばすようなことを言う。
「さて、どうですかね。こいつ、まだ媾合いの味を知らんのですよ。だから、平気で破廉恥な真似ができるのです」
「そんなものかな。まあ、女にかけてはピカイチの浅利クンが言うのだから、正しいのだろうが」
「では、色責めに掛けてみますか」
 衆議一決。
 恵にも、色責めの意味は薄々察せられる。昨日と今日で、察せられるようにされてしまった。だから、余計に戦慄する。
(こんな大怪我をしているところを、この人たちはまだ虐めるつもりなのだろうか)
 目の前で見せつけられてさえも、怪我をしていない部位が残されていることに、恵は気づかない。そして――粘膜を切り裂かれての出血など、この男どもはかすり傷くらいにしか思っていないということにも。
「味を教え込むとなると、海老責めのままでは無理か」
 浜村が恵の縄を解いた。
「…………」
 滞っていた血行が甦って、全身がジインと痺れた。
「はあ、はあ、はあ……」
 思い切り貪る空気を甘くさえ感じた。
 が、安逸は一瞬。記録係用の小机が部屋の中央に引き出され、上体を直角に曲げられてうつ伏せに縛りつけられた。両手で左右の脚を握らされて手首を縛りつけられる。開脚させられて膝も縛りつけられた。小さな机なので、乗っているのは腹部だけ。乳房は机の向こう側に剥き出しに立っている。
(犬のような姿で犯される……)
 恵は、自分の理解が三分の一しか正しくなかったと、すぐに思い知ることになる。
 恵の目の前で、浜村が奇妙な作業を始めた。先革をはずして放置してあった竹刀の先端に大きなビー玉を乗せて、それをガーゼでくるむ。そのままガーゼを先端から二十センチあたりまで何重にも巻き付けた。
「よっこらせ」
 浅利が恵の目の前にバケツを置いた。恵が失禁したときの始末に使われたものよりふた回りは大きい。水がいっぱいに張られている。
 浜村がそこに竹刀を浸けて。ガーゼから水が滴って床を汚すのも気にせず、恵の後ろへまわった。
 肛門に冷たい感触を押し付けられて、今さらに恵は狼狽した。ヤスリのつぎは竹刀。異物で陵辱する拷問だと直感した。
「力を抜いていろ。力むと痛いぞ」
 力んでいるつもりはなかった。しかし、自然と括約筋だけでなく全身が硬直してしまう。
 ずぐうううっと……一気に竹刀を押し込まれた。
「いぎゃああっ……熱いっ!」
 激痛というよりも、狭い穴を無理矢理に抉じ開けられる不快きわまりない拡張感。そこに灼熱が重なっている。
「ぎひいい……」
 竹刀が回転するのが肛門に感じられた。腸の奥まで突かれて、内臓が押し上げられるような圧迫を下腹部に感じた。
 ズポッと、小さく音がして――灼熱が消えた。
 鼻先に竹刀が突きつけられた。まだらに茶色く汚れている。小さな固形物もこびりついていた。悪臭が鼻の奥まで突き抜ける。
「可愛い顔していても、内側はこんなものだ」
 浜村はバケツに竹刀を突っ込んで掻き回した。固形物が剥がれて、ガーゼの色もわずかに薄くなった。
 ぞんざいに洗われた竹刀が、ふたたび恵を貫く。
「熱い……いやあああ」
 同じ灼熱を繰り返されて、驚愕の無いぶんだけ悲鳴は抑制されていた。
「女の中には、しこたま貯めているやつも多いが、おまえは腸が綺麗だな」
 恵は便秘とは無縁だった。どころか。昨日の朝に食べてからは米の一粒も口にしていないというのに、今朝も少量だがお通じがあった。逆さ吊りにされているときは、跡始末できなかった汚れに内心で悶絶していたのだが、今は汚物を見せつけられなくて済んだ。まさしく、不幸中の幸いではあった。
「青谷警部、こちらも口開けをなさいますね」
 同じ階級の歳下を、丁寧な口調でけしかける浜村。
「口開けは、そこのやつで済んでいるでしょうに」
 青谷が尋問用の椅子を目で指した。
「いやいや。陰間などは張形でさんざんに修練を重ねておきながら、水揚げと称しますからね」
 異物挿入は数のうちにはいらないと、浅利が真面目くさって言う。
「玄人を相手にしているぶんには構わんが、善良な少年にまでは手を出すなよ」
 荒島が苦笑を交える。つまり浅利は、善良な少女には手を出しているということなのだろう。
「なるほど。では、先達のお言葉に甘えるとしましょう」
 青谷が立って、恵の後ろへ動いた。
 事ここにいたっては、恵も自分の運命を悟らざるを得ない。二十四時間前までは、そのような行為が世の中に存在することすら知らなかった――不衛生で破廉恥な醜行。
 他の男ではなく青谷だというのが、微かな救いのようにも思えたけれど。どうせなら、ヤスリで犯される前に……ぼんやり像(かたち)作られかけた言葉を、恵はあわてて打ち消した。
 この男の奴隷妻になど、絶対にならない。あたしはユリお姉様を護って責め殺されるのだ。かすかに甘い味のする絶望だった。
 ペッと唾を吐く音がして、すぼまった穴を指でこねくられた。そして……
 竹刀とは違って灼けるように熱い感触が押し当てられて。閉ざされた穴が、ぐうううっと押し込まれて。ずぶりと貫かれた。
「いやああああっ……熱いッ!」
 棒ヤスリや竹刀は、恵を一瞬で貫いた。けれど青谷は、じわじわと押し入ってくる。だからといって括約筋を拡張される熱痛感がやわらぐこともなく、苦悶の時間だけが長引く。
「きひいいい……くう……」
 青谷の下腹部が尻に突き当たって、わずかに激痛が落ち着く。
「はああ……はあ、はあ」
 口を開けて喘ぐだけの余裕を、恵は取り戻した。
 青谷が抽挿を開始した。熱痛がうねって、息が自然と押し出される。
「はっ、はっ、はっ……痛い……もう、赦して……ください」
 自分が哀願していると、恵は気づいていない。
「どうにも太平洋ですね。萎えてしまいますよ」
「腸には筋肉がありませんからね。そのかわり、括約筋の締まりは女穴の比ではないですよ。雁首を入口でしごくようにするのが、肛姦の極意です」
 浅利が指南すると、青谷が早速に実践する。
「ぎひいっ……痛い痛い痛い……やめて……」
 雁首に拡張されては、すぼまると内側から『返し』の部分で抉じ開けられる。ただ淫茎を突き挿れられるよりも、痛みは大きい。しかも、激しく律動する。
 不意に熱痛が抜去された。
(終わったんだ……)
 惨めに安堵した恵だったが。お下げを頭の後ろで束ねて引き上げられた。
(…………!?)
 頭を無理強いに引き起こされた鼻先に、まったく衰えていない剛直が突きつけられた。、牛熱い部屋の中でも湯気を立てている。はっきりと異臭をはなっていた。
「口を開けろ」
 恵は青谷の顔を見上げて、固く唇を引き結んだ。言葉に従えば、腸内の汚れにまみれた怒張を頬張らされるに決まっている。
「強情ですね」
 青谷が荒島を振り返って、わざとらしい苦笑を浮かべた。
 浜村が立ち上がって、棚から有刺鉄線の束を取り出した。淫虐鬼どもが『鉄鞭』と称している凶器。それを手にして、恵の横に立った。
「躾は最初が肝心ですよ」
 右手を上げて、鞭の根元を乳房に押しつけた。 有刺鉄線の棘が柔肌に突き刺さる。
「くっ……」
 口を開けるわけにはいかない。恵は意識して悲鳴を封じた。
「浜村さん。それは、さすがに可哀そうです。僕も大岩警部補の顰(ひそみ)に倣うとしましょう」
 青谷がズボンのベルトを抜いて浜村に渡した。
「そうですか。赤ん坊に乳をやれなくなっては拙いですね」
 昨日は乃木も華江を相手にそんなことを言っていた。一発や二発、有刺鉄線で乳房を敲いたところで、そこまで酷いことにはならないのだが――母性本能への恫喝としては大きな効果がある。
 浜村は鉄鞭のときのような威嚇はせずに、いきなり右手を撥ね上げた。
 バシイン!
「きゃああっ……!」
 乳房が爆発したような衝撃と、一瞬遅れての重たい激痛。
 悲鳴を吐き終えても半開きになっている口に、青谷が怒張を近づける。
 すでにそれを拒む気力は粉砕されていたが――自身の汚れを口に入れることへの嫌悪感が、無意識のうちに口を閉じさせていたのだろう。
 バシイン!
「きゃああっ……ごめんなさい」
 不本意な謝罪を口にして、恵は目を伏せた。醜悪な怒張が、ふたたび近づいてくる。
「口を開けろとは言ったが……ちゃんと咥えろ」
 屈辱に頭をクラクラさせながら、恵は言葉に従った。
 口を閉ざすと、臭気が鼻腔の奥を突いた。硬いけれど笛(くらいしか、口に咥えたことはなかった)なんかとは違って、柔らかさで上塗りされている――キュロンとした舌触りだった。
「聞き分けがよくなったな。しゃぶれ。舐めるんだ」
 言葉の意味は理解できても、すぐには実行できなかった。嫌悪があったし、要求を受け容れればつけ込まれて、いっそう淫らな仕種(それがなんであるか、想像は出来なかったけれど)をしいられるのではないかという駆け引きめいた気持ちもはたらいていた。
 恵の横で、浜村と浅利が入れ替わった。浅利は恵に横合いから腕をまわして、両手でバンドを握って乳房に押し当てた。バックルに先端を通してベルトを引き絞っていく。乳房がつぶれて、胸全体も圧迫されて息苦しくなってくる。
「んぶ……?」
 ベルトが横に滑って、乳房をしたたかにこすった。灼けるような痛み。乳首には激痛が奔った――のだが、ベルトで敲かれる爆発的な痛みではなく、チリチリする感覚の奥には、不快とは断じられないくすぐったさが潜んでいた。
 浅利の掌が恵の尻を撫でた。
「警部殿のおっしゃる通りにしろ」
 ペチンと叩かれた。先輩への苛酷な拷問を見せられ、自身も逆さ吊りにされたり拷問椅子に座らされたりワニグチクリップやベルト鞭の洗礼を受けている恵には、わずかな恥辱を与える以上の効き目はない。怒張を咥えさせられている少女に激痛を与えれば、加虐者の側に不測の事態を生じかねないゆえの配慮――とまでは気づかない。不服従を続けるともっと痛い目に遭わせるぞという脅しだと思ってしまう。
 その思い込みを裏付けるように――胸を巻くベルトが左右に滑った。灼けるような痛みと、鋭く繊細な感触と。
 恵は嫌悪をねじ伏せて、口中の異物に舌を這わせた。いざ、そうしてみると――感触も大きさもまるきり異なってはいるものの、ユリとの舌の戯れで覚えた要領を無意識に応用して、まったく純粋無垢な少女とは思えない淫靡な蠢かし方をしてしまう。
「おお、うまいぞ。これなら立ちん坊でじゅうぶんに稼げるな」
 立ちん坊というのは街娼の謂である。遊郭が公認されていても、籠の鳥を嫌って、多大の危険(性病、地回り、強盗など)を承知で街に立って客を引く。浮浪罪で逮捕されることもあるが、数日間慰み物にされて放逐されるくらいで済む。そういった事情までは知らない恵だが、青谷の言葉が侮辱だとは、声の調子で察せられた。
 しかし、しゃぶり始めてしまっては、いまさらにやめるには、かえって意志の力が必要になる。
「裏筋もなめろ。雁首の裏に、縦に筋があるのはわかるな――そう、そこだ」
「鈴口――小便の出る穴だ。そこを舌先で突っつけ。まわりを舐めろ」
 次々と押しつけられる要求にも素直に応じてしまう。
 胸の圧迫が減った。ベルトが緩められて――まだ左右に滑り始めた。が、痛みはなかった。乳首だけが刺激されて、チリチリする感覚が鮮明になる。くすぐったさが快感に変じた。
 青谷が、お下げをつかんだまま腰を前後に揺すり始めた。
「頑張れ、頑張れ」
 浅利が囃し立てながら、ベルトをいっそう激しく滑らせる。
 荒々しい快感がさざ波になって、だんだんと大きくうねり始めた。
「んぐ……むぶう……んくっ、んんっ……」
 喉を突かれて込み上げる吐き気をこらえる呻きに、快感の喘ぎが重なった。しかし快感は、ユリから与えられるそれの四半分にも満たない。それでも、だんだんと快感が苦しさや屈辱を上まわり始めて――
「んむっ……」
 力むようなうなり声とともに、熱い滾りが恵の喉奥にぶち撒けられた。
「げふっ……」
 咳き込みかけると、いっそう強く腰を押し付けられた。
「吐き出すな。飲み込め。命の源だ。一滴残らず飲み干せ」
 無理に吐き出せば、乳房を敲かれるか拷問椅子か、それともワイヤーを跨がされるか、もっと残虐な拷問か。恵は喉の痙攣にさからって、口中の汚濁を嚥下した。
「だいぶん素直になってきたな」
 犬の頭を撫でるようにぽんぽんと恵の頭を叩いてから、青谷が抜去した。
「ふううう……」
 今度こそ終わったと、安堵の吐息。しかし。
「初めてにしては上出来だった。褒美をやろう」
 浜村が白熱電球を恵に見せつけた。ソケットに嵌められていて、スイッチをひねると眩く点灯する。家庭用の電球に比べると頭部の膨らみが小さく、フィラメントが細いバネで浮いているのだが、そんな些細な違いに気づくゆとりなど恵にはない。
「…………?」
 昼行燈――そんな諺が頭に浮かんだ。浜村の意図がわからなかった。
 浜村の姿が背後に消えて。股間を指でこねくられた。傷口を抉られて、鋭い痛みが奔る。
「淫汁ではなく血がにじんできたか。潤滑にはなるだろう」
 指が引き抜かれて――冷たい感触を押し付けられて、ようやく恵は、これから咥えられようとしている淫虐を悟った。
「おとなしくしていろ。電球が割れると大怪我をするぞ」
 しかし電球は、張り裂けるのではないかと思った擂粉木よりも、さらに太い。とても挿入(はい)るとは思えない。
「無理です! やめてください」
 電球の頭部が、ぐりぐりと淫唇をこねくりながら――侵入してくる。血で潤滑されていても、膣口がキシキシと軋む。
「痛い……無理! やめてください……ひいいいいっ!」
 限界を超えて拡張されて――不意に、グポンと大きな塊りが下腹部を圧迫した。膣口の痛みが軽くなった。
「ぽこんと膨れているな」
 淫埠を撫でられて、それが自分にも感じられた。
「夜だったら蛍見物の風流が愉しめるところだが……」
 腰の奥が、ぽうっと温かくなった。いや、だんだんと熱くなってくる。電球を灯されたのだと、恵にもわかった。
「三十分も放置すれば、子を産めない身体になる」
「それは困ります。勘弁してやってください」
 青谷がとりなす――のは台本どおりなのだが、もちろん恵にはわからない。
「そうですか。では、使用中には電気を消すことにしますか」
「話が逆のような気もするぞ」
 荒島が恵の前に立った。ズボンを下げて越中褌を緩め、萎えた淫茎を露出した。
「勃たせてみろ」
(…………?!)
 青谷以外の男から淫らな行ないを求められるとは、まるで思っていなかった。華江は乃木、弓子は大谷――組み合わせは決まっていた。紗良だけは誰からかまわず犯されていたが、彼女は誰かの奴隷妻に目されているのではなく、肉人形として弄ばれ、いずれは責め殺される運命だと、いつか恵も思い込んでいる。自分も、そうなのだろうか。
「青谷さん……」
 処女を奪い、排泄器官も摂食器官も――すべての穴を蹂躙した男に、恵は縋るしかなかった。
「あたしを……他の男の人たちに穢されても、平気なのですか?」
 青谷は答えずに――浜村と場所を替わって、電球を引き抜いた。が、すぐに挿れ直して。二度三度と抜き差しした。
「性行為とは、ここに魔羅を突き立てることだ。他の穴は関係ないね」
 それは正論だった。この時代から八十余年が経過した現在でさえ、『性交類似行為』はすくなくとも売春防止法の規制を受けていない。
「非道い……」
 そう怨じるのが、やっとだった。
「サックを着けていれば、この穴だって同じだ。もちろん、僕の許しを得ないで勝手な真似はさせないがね」
 つまり。もしも青谷の妻になったところで、彼の命じるがままに売春婦の真似事をさせられかねない。いや、肉の賄賂、あるいは内偵捜査の生餌にされる。女だけに、そういった方向への想像は容易にはたらいた。
 しかし、そんな将来のことを考えているどころではない。ふたたび、腰の奥で灼熱が膨れあがってきた。
 いっそ、ここが使いものにならなくなれば、青谷の奴隷妻にされる悲惨だけは免れる。けれど、その咄嗟の思いつきを実行に移す蛮勇は持ち合わせていなかった。
 恵はみずからの意志で顔を上げて口を開いた。首を伸ばして、目の前の萎びた肉棒を口に咥えた。
 灼熱の膨張が止まって、わずかずつ冷え始めた。
「舐めろ。すすれ。青谷クンに仕込まれたとおりにやれ」
 荒島は頭をつかんだり腰をつかったりせず、恵の一方的な奉仕を強いる。
 恵は、おずおずと舌を絡めた。まるで麩菓子を舐めているような舌触りだった。もちろん、唾液で溶けたりはしない。逆に、次第に太く硬くなっていく。
(馴れというのは恐ろしい……)
 機械的に舌を動かしながら、ふっと思った。わずか十分前にはあんなに嫌悪していた行為を、吐き気を覚えることもなく実行している自分が、やりきれなくなってしまう。
 もちろん、好き好んでしているわけではない。電球に膣を焼かれる恐怖から逃れるための、不本意きわまりない強いられた行為ではあるのだけれど。涙がにじむ気配すらないのも事実だった。それどころか――男というものは、射精するとすぐには勃起しないのだと、わずか二日の見分と体験とで、恵はじゅうぶんに学んでいる。年齢が関係しているらしいとも。射精して一時間と経っていない五十男が、自分の口の中で自分の舌遣いで勃起している。屈辱の中に誇らしさが紛れ込んでいた。
「本官もお相伴させていただきます」
 荒島に断わってから、浅利は下半身を丸出しにしたばかりか開襟シャツまで脱いで、ランニングシャツ一枚になった。この男は紗良への輪姦には加わっていない。若い巡査が『遠距離砲撃』と形容した状態になっている。
 唾で自身を湿してから、恵の背中におおいかぶさった。
「くっ……」
 括約筋を押し広げられる、熱い激痛。しかし、悲鳴にまでは至らなかった。
 ズブズブと肛門を貫かれて、内臓を押し上げられる鈍重な不快と――下腹部が押し破られそうな圧迫と。
「ケツ穴にマンコが引っ越してきたかと思うほどの締まりですな」
 膣を電球で膨満させられて、腸も圧迫されている。
「おまえも気持ちいいんじゃないか?」
 恵が苦痛しか感じていないと承知のうえでの問いかけだった。
 恵は、答えられる状況にはない。口はふさがれているし、首を振って歯が怒張をこすったりすれば叱られる。
「では、気持ち良くしてやろう」
 体重をのし掛けられて、乳房をつかまれた。
 また虐められると身構えた恵だったが――指は食い込んでこなかった。五本の指が、軽やかに乳房を撫でる。掌のくぼみが、乳首をこする。
「んんっ……んふう」
 女の穴に電球を突っ込まれて発声器官も排泄器官も肉棒に犯されているという激痛と圧迫と恥辱の極致にあって、乳房にだけは甘いさざ波が生じて――浅利の手の動きにだんだんと波が煽られていく。相反する感覚に翻弄されて、恵は混乱していた。
「こら、ちゃんと舐めろ。しゃぶれ。啜れ」
 荒島に叱咤されても、言葉は意味を形成せずに頭を素通りしていく。
 浅利の片手が乳房からはなれた。電球のソケットを摘まんで、浅い抽挿を与える。
「きひっ……んぶうう」
 電球の膨らみに膣口を拡張させられ、浅利が力を緩めると収縮が電球を奥へと咥え込む。繰り返されるうちに、激痛が鈍痛へと麻痺していく。電球の角度が変わって、ますます腸壁への圧迫が強くなって……
「ああっ……んん!」
 にょるんと肉蕾を摘ままれて、恵は不本意な甘い悲鳴をあげたのだが。
「痛っ……噛みつきおった」
 荒島が腰を引いた。恵が悲鳴の直後に歯をくいしばったのだった。もっとも、まだまだ快感が浅いぶん、顎を閉じる力も知れていた。荒島が怒張を維持しているのが、その証拠だった。
「逆らうとどうなるか、思い知らせてやる」
 恵にしてみれば、まったくの言いがかり――荒島としては、いっそうの屈辱を与える恰好の口実だった。
 荒島が棚から竹筒を取り出して、怒張に装着した。気を失っている紗良の口を犯したときに使った道具だった。
「もっと口を開けろ」
 荒島の声に含まれている(あるいは芝居がかった)怒気に怯えて、恵は大きく口をあけて竹筒の蹂躙にまかせた。怒張とはまったく異質の無機質な硬さに歯先をこすられて、生理的な不快があった。
 俄然、荒島が腰を激しく突き動かし始めた。紗良を犯したときはみずから腰の高さを調節していたが、その手間も省いて、お下げの根元を両手でつかんで顔の向きを上下に変えさせる。そのたびに、亀頭を口蓋におしつけられたり舌を押さえ込まれたり――顔が正面を向いたときには喉の奥まで抉られる。
「んぶ……ぶふっ……んんんっ……」
 浅利は上体を起こし気味に直して、荒島の動きに合わせて腰を使いながら、両手で恵の肉蕾を刺激にかかった。剥き下げては戻し、戻しては剥き下げる。あるいは実核を摘まんで先端を強くこする。愛撫というには乱暴に過ぎるが、弄虐と呼ぶのもためらわれる動きだった。すくなくとも、昨日までは生娘だった未開発の少女には拷問にちかい扱いのはずだが――ワニグチクリップの咬虐に比べれば、じゅうぶんに受け容れられる刺激ではあったのだろう。
「んぶうう……んん……くううう」
 息苦しさを訴える呻きが、だんだんと甘く蕩けてきた。
「快感が腰全体に広がっていくのがわかるか?」
 耳元でささやかれてみると――快感はともかく、肛門の熱痛はずいぶんと薄らいでいるのに気づく。淫核に発する快感が、二穴の苦痛を押し返している。そんな感じがした。
「課長殿。こいつ、しっかり感じています。褒美を与えてやってください。噛みつかれる心配はありません」
 口中の異物が引き抜かれて、竹筒のかぶさっていない――すでに馴染みかけている弾力に富んだ温かい肉棒が押し込まれた。それが、『褒美』という言葉に重なった。
 つまりは、暗示効果と条件付けだった。恵は淫虐鬼どもの快感調教に馴致される第一歩を踏み出したのだった。
 しかし。この場の主導権を握っている浅利には、無垢な少女を単なる淫乱娘に仕立てる意図はなかったのか――あるいは、自白を引き出す駆け引きの手段に残しておこうと考えたのか。荒島が動きを早めて、そのぶん恵を苦しめながら早急に埒を明けようとするのを抑えはしなかった。そしてみずからも、荒島の放出に呼応して射精に至ったのだった。
 ただし、それで恵への凌辱が終わったのではない。
 再び、恵の中の電球が点された。じわじわと腰の奥に熱が溜まっていく。
「く……熱い……」
 呻いても、男どもは無関心を装っている。荒島など、取調官が座る革張りの椅子にふんぞり返って、のんびりと煙草をくゆらせていた。
「青谷さん、助けてください」
 屈辱は打ち捨てて、またも恵は『初めての男』に哀願した。どんなに淫虐なやり方だったにしても、処女を奪った男には嫌悪一色ではない感情が揺れる。
「僕は、もう堪能した。浜村警部あたりに頼むんだね」
 使用中には電気を消す――浜村の言葉を思い出した。ここにいる四人の中で、まだ恵を使っていないのは浜村だけだった。
「そんなはしたないこと、口にできません。お願いです……あたしが石女(うまずめ)になっても、いいのですか?」
 恵としては、屈辱に恥辱を重ねて理に訴えたつもりだったが。
「勘違いするなよ。僕は荒島課長殿の好意を無碍にしたくないから、あえておまえに救いの手を伸べてやってもいいと考えているだけだ。その気になれば、嫁の一人や二人、どうにでも見繕えるんだからな」
「孤児院とか女衒とか――良家の子女ってわけにはいきませんですがね」
 浜村に半畳を入れられて、青谷の端正な顔がわずかにゆがんだ。
「縛られて濡らしたり敲かれて気を遣るような女を娶るなんて、僕にはできませんね」
 高文組と叩き上げの反目。あるいは、権力で女を自由にすれば満足できる比較的に真っ当な男と、権力で女を甚振ることに愉悦を感じる変態との確執なのかもしれない。
 しかし、恵はそんな微妙な齟齬には気づかない。身体を内側から灼かれる痛みよりも恐怖が、口にできないはずの言葉を吐かせていた。
「浜村さん。お願いですから、電気を消してあたしを使ってください」
 浜村は、ちろっと青谷を振り返ってから。
「被疑者のくせに、サン付けとは狎れ狎れしい。それに、どこをどういうふうに使うのか、サッパリわからんぞ」
「浜村警部殿……」
 バチンと尻を叩かれた。二日前の恵だったら大仰な悲鳴をあげていただろうが、今となっては痛みも羞ずかしさもほとんど感じなかった。
「浜村様。ケツの穴にオチンポ様を嵌めてください――それくらいは言ってみろ」
 屈辱を噛み締めている暇はなかった。
「はまむらさま……け、けつの穴に、お、お……おちんぽさまを……はめてください!」
 卑猥な言葉をつっかえつっかえ、口にして、最後には叫んでいた。
「まあ、いいだろう」
 パチンとソケットのスイッチがひねられて、突き刺さるような熱痛が薄れた。
 ほうっと安堵の息を吐いた直後。尻を灼熱が貫いた。
「ぎゃわああああっ……!」
 腰をつかまれるような予告もなく、不意打ちの突貫だった。凸と凹とがきっちり合っていないのを無理矢理に押し込まれたのだから、激痛も著しかった。しかし……
 浅利が横に来て、恵の股間に片手を差し入れた。三本の指で肉蕾を剥き下げて、人差し指と中指とで実核をしごく。荒々しい、しかし愛撫だった。
 肛門は灼けるような痛みに苛まれ、膣は怒張した魔羅よりも太い電球で裂けそうなまでに押し広げられて――苦痛の渦の端で一点だけが、甘い稲妻に翻弄されている。
「くうう……いやあ……痛い……もっと……」
 痛みに比べれば、ごくささやかな快感。ユリに与えられる極上の甘美と比べれば、惨めで残酷な快感。しかし、そこにしがみついていれば、苦痛がやわらぐのも事実だった。激痛と快感に引き裂かれながら、恵は無意識に愛撫をねだっていた。
「もっと、どうして欲しいんだ。はっきり言え」
「……もっと、お豆を……虐めてください」
 なぜか、可愛がってというのをためらって、そんなふうに言ってしまった。
「なるほど。さすがは……だな。まさに慧眼というべきか。青谷警部殿では持て余すかもしれませんな」
 浅利が不得要領な言葉をつぶやく。それが聞こえたのか、青谷が眉をしかめた。
「では、気を合わせて虐めてやりましょう」
 浜村が恵の腰を両手でつかんで、荒腰を使い始めた。一往復ごとに抜去しては、激しい勢いで突き立てる。
 浅利は真横に位置して、右手で淫核に乱暴な愛撫を加えながら、左手は掌底で乳房を押し上げながら指を大きく広げて双つの乳首を同時に転がす。
 甘い稲妻に三点を翻弄されて――快感が苦痛をうわまわっていく。
「んあああ……逝く……ごめんなさい、ユリお姉様」
 ユリ以外の――それも男の乱暴な愛撫で浮揚させられる後ろめたさが、恵に禁断の名前を口走らせていた。浜村は行為に夢中だったとしても、冷徹に恵を追い上げている浅利も、黙って淫劇を鑑賞している荒島と青谷も、その名を糺そうとしなかった。
 ――浜村が恵の腹腔に精を放ったとき、恵はまだ頂点からは程遠い高さにしか浮かんでいなかった。浅利の手もあっさりと逃げ去って、恵は地面に叩きつけられた思いだった。ズルズルと電球が抜き去られて、その刺激に官能を追い求める始末だった。
 恵は机から解き放たれて、すぐに後ろ手に緊縛された。乳房を絞りあげられて、腰の奥に残っていた埋み火がじんわりと熾きた。
「あ、ああん……」
 喘いでしまって。縄に愉悦を感じた自分に戸惑いを覚える恵だった。
「さすがに日曜日は早仕舞いとするか。明日からは覚悟しておけと言いたいところだが――そうそう小娘の相手ばかりもしておれん」
 それとも――荒島が、青谷に目を向けた。
「若い連中に息抜きをさせてやるか?」
 わざわざ青谷に断わりを入れるのは、息抜き云々は自分と関わりのあることだと、恵にもわかる。ついさっきまで自分の受けていた仕打ち。その前の、いっそう無惨な紗良への輪姦。荒島の言葉の意味は、わかりたくなくてもわかってしまう。
「他人の種を孕まさない予防をしていただけるなら、僕は構いませんよ」
 浜村や浅利よりも青谷のほうがよほど残酷だと、恵は痛感した。またワイヤーを跨がされようと、紗良さんみたいに灼けた針を突き刺されようと――いいえ、殺されたって、こんな男に傅いてなるものか。その決意が運命をさらにねじ曲げるとは、知る由もない恵だった。
========================================
机うつ伏せ 
 つまり、こういう形ですね。このポーズの画像、ほとんど無いです。蟻が来りて芋虫なのかしら。

 300枚を超えたのに、逮捕されてまだ2日目。
 女穴は1回だけ、発声器官と排泄器官が、それぞれ2回ずつ。拷問椅子の凸凹極太擂粉木と棒ヤスリはカウントに入れません。
 でも、本文中にも書きましたが、ゴムを装着していれば胡瓜と変わりはないんだからノーカンになるんでしょうかね。法的には、そうなっていませんけど。


スポンサーサイト
[PR]

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:赤い冊子と白い薔薇



 いよいよ、朝三暮四の4連休です。(戦闘詳報参照→
 序盤も終わって、ストーリイ展開九策吃で、責めて犯して責めまくります。


========================================
第三章の第二幕です。

 山崎華江が早々に姦落して、デモの首謀者の名前を白状します。「嫁の貰い手もなかろうから、僕が貰ってやろう」という主任取調官に服従の証しにフェラ――の技術も無いのでイラマされて。取調室から連れ去られます。そして、ヒロイン瀬田恵への尋問が始まるのですが、「下準備」が必要です。生娘をディルド椅子に座らせるなんて、勿体無いですものね。





・尋問の下準備

 そうして、取調室には恵ひとり。浅利も退出したが、まだ四人の男が残っている。小机で手持無沙汰にしている記録係の淀江巡査を除く三人――荒島、浜村、青谷の三人が、逆さ吊りにされている恵を取り囲んだ。
 いよいよ自分の番だ――と、恵はおののく。
 しかし、吊っている縄が緩められて、恵は臍から上を厳しく縛された姿で床に横たえられた。
「瀬田恵。これまで見てきて、尋問が如何に厳しいかわかったな。お前にアカ本を渡した人物の名を吐けば――残念だが、尋問は取りやめになる。素直に吐くか?」
 恵は荒島を見上げ、それから青谷へ視線を移した。
「……この人の妻にさせるつもりなんですね」
「勘違いするなよ。野垂れ死にするしかない哀れな娘を救済してやろうという慈悲なんだぞ」
 華江が陥落するところを見せつけているのだから、気力をくじくまで意図を隠しておくという駆け引きはできない。青谷は、あっさりと認めた。
 恵は恵で――青谷は乃木よりもすこし若く見える。もしかすると、三十歳前かもしれない。年齢的には、そんなに不釣り合いではないかもしれない――チラッとそんな思いが掠める。
「どうする。一度は、あの椅子に座ってみたいか?」
 あの椅子とは――凸凹に削られた極太の擂粉木と太い丸ヤスリが植えられている、拷問椅子のことだ。
「…………」
 恵は沈黙で答えた。冊子は拾っただけ――などという言い訳が通用するとも思えない。口を開けば、上げ足を取られかねない。弓子が漏らした『アキ』という一言で、たちまち二人の容疑者(岸辺章子、守山秋江)がでっちあげられたように。
「そうか。しかし、すぐ椅子に座らせるわけにもいかんな。青谷クン、下準備を頼むぞ。このままの姿勢でいいかね」
「引導を渡してやるわけですから……思いきり羞ずかしい目に遭わせてやったほうが、覚悟もつくでしょう。座禅転がしをお願いします」
「ふふ……キミもなかなかだね」
 浜村がお下げをつかんで恵の上体を引き起こしたのは、いっそうの屈辱を与える意味もあっただろう。膝頭で背中を押さえつけ、無言で脚をつかんで胡坐を組ませる。さらに引き上げて、反対側の腿に乗せた。両足とも足の甲が腿に押し付けられて、手を使わなければ自分では簡単にほぐせない。
「いやあああ……堪忍してください」
 大きく開脚させられた股間には、昨日と違って縄が食い込んでいない。割れ目の奥までも、男たちの目に曝されてしまう。
 浜村は膝の上下に捕縄を巻いていっそう深く脚を折り曲げさせ、交差した脛も縛り合わせた。その縄を首に巻いて、上体を折り曲げる。
「くううう……」
 恵は羞恥に呻きながら、自分が昨日の花江と同じ形にされたことを思い出した。
 果たして――恵の肩が強く押されて。両膝と頭の三点で身体を支える形に倒された。尻を高く突き出して、羞恥の割れ目どころか排泄孔までも露わにされてしまった。
「生娘を相手にするのは初めてです」
 恵は、青谷が発した言葉が矛盾しているとは気づかなかった。下着も着けずにゴム紐を股間に食い込ませ輪ゴムで乳首を飾っていた娘は、オルグの男と情を通じて変態的な遊びを仕込まれている――昨日は、そんなふうに断じられていた。それなのに、今は恵を処女と信じて疑わない口ぶりだった。
「おのれの魔羅で女の道を開けてやるというのは、男冥利に尽きますね」
 ほざいて洋風の猿股をずり下げた青谷だが、その男冥利がまるきりだらしない姿のまま――というのは、恵には見えなかったのだが。
「ああっ……いやああああ」
 腰をつかまれ、生温かいデロンとした感触を尻に押し付けられて、恵はおぞましさと恥辱とに気が遠くなりそうだった。
 しかし青谷は委縮したままのそれをしつこく尻にこすりつけ、片手で支えて淫裂をしごいてさえも――せいぜい半勃起までしか変化しなかった。
「どうも……密林は苦手です」
 憮然とした表情に照れ隠しの苦笑を交えて、青谷が恵からはなれた。とりあえずズボンを引き上げる。
「おお、そういうことか」
 荒島が、同情するような小馬鹿にするような表情で小さくうなずいた。
「半玉ばかりを買っていたのは、それでだな」
「お恥ずかしい。半玉は無毛が普通ですから」
 当時は、まっとうな遊郭の娼妓なら、それぞれに工夫を凝らして下の毛を薄くしていた。下半分は無毛とか、てっぺんにひと房だけ残すとか。すべての毛を丹念に引き抜いている者もいた。ちなみに千年の昔に、恋多き女の清少納言がありがたきもののひとつに『毛のよく抜くるしろがねの毛抜き』を挙げているのも、そういう事情である。
 半玉が姉さん女房より毛深くては面目が立たないし、そんな気遣いをするまでもなく未性熟の少女も多いから――青谷が言ったとおりの仕儀となる。
 きわめて薄いか無毛の女に馴れていた男の目には、淡い萌え草といえども、手入れのされていない雑草は勃起を妨げるほど醜悪に思えたことだろう。
「お若いうちから好き嫌いは、よろしくないですよ」
 浜村が座禅転がしの縄をといて、恵をあお向けに据え直した。足首をつかんで深く折り曲げていく。
 恵の腰が浮いて、後ろ手に縛られた両手首に体重の半ばがのしかかってくる。しかし恵は、そのささやかな痛みを気にするどころではなかった。両足が肩を挟んで床に着くまで折り曲げられて、今度は羞恥の根源を開陳する様が自分の目にも映じる。
 足首を交差させて縛られ、またお下げをつかんで頭を起こされて、自分の足首を枕にする形にされてしまった――後の世にいう『マングリ返し』だった。
「これを使うのは二度目ですな」
 雑多な小道具を並べてある棚の奥から、浜村が真っ黒なテープを取り出した。円形に巻かれているテープを慎重な手つきで引き伸ばして三十センチの長さに鋏で切って――恵の股間に縦に何本も貼り付けていった。
「これは電気工事に使うブラックテープといいましてね」
 初めて目にする青谷のために、浜村が開設する。テープを強く引っ張ると、三センチほどの幅が半分以下に狭まって長く伸びた。
「きわめて粘着性が強いのですよ。ちょっと、失礼」
 伸びたテープの端を青谷の手の甲に押し付けて、素早く引き剥がした。
「痛うっ……なるほど」
 剥がした痕を透かし見て、青谷がうなずく。
「毛根から引き抜くのだな。剃るよりも長持ちしそうだ」
「二週間はツルツルですね。とはいえ、あまり短いと使えませんから……まあ、紗良は蝋燭やら有刺鉄線やらで、生えてくる暇も無いですが」
「なに。女房にしたら、毎日毛抜きで手入れさせますよ」
 弓子は肌を交わした許婚者がいる。華江は男女同権論者。その二人に比べれば恵は与し易しとあなどっているのか、すでに落としたも同然の物言いだった。
「へいへい。今からのろけられちゃたまりませんね」
 浜村が掌でテープを股間に圧着させていく。
 ユリに下半身を触られたときの感触とは比べものにならないおぞましさに、身体を深く折り曲げられている苦しさも背中に敷いた手首の痛みも意識から消えて、恵の感覚はそこに集中してしまう。
 圧迫がやんで。浜村が両手でテープの端をつかんだ。
 ベリベリベリッ……
 音を立てて、一気にテープが引き剥がされた。
「ぎびい゙い゙い゙い゙っ……!」
 ムダ毛を一本ずつ毛抜きで引き抜いても、チクッと痛い。それが何百本もまとめて、しかも斜めに引き抜かれたのだから、凄まじい痛さだった。激痛はすぐに消えても、肌がヒリヒリズキズキしている。
「やはり、淫唇の脇とかケツ穴まわりには残りますな」
 さっきよりも長いテープが、今度は尻の後ろから、淫裂の溝に埋め込むようにして貼られていく。
 青谷は恵からはなれて、机に置かれた薄い綴りを繰っている。
「継母に売られたのか……」
 恵はそのつぶやきを耳にしたが、失意と怒りとを感じただけで、疑念は抱かなかった。常に学生鞄を身辺からはなさいように心掛けてはいたが――たとえば入浴しているときに継母が部屋に忍び込んで鞄の中身を覗き見したということは、考えられなくもない。邪魔な娘の落ち度を探るにしても、なにがしかの確信も無しに鞄の底板の下までひっくり返すものだろうかという人間心理への洞察までは働かなかった。
 いずれにしても。テープを引き剥がされる激痛と、その直後に訪れた女の一大事とで、そんな幕間劇は記憶にとどまることはなかったのだが。
「ふうむ……いくら童女に還っても、グロテスクはグロテスクですね」
 パックリと開いた淫裂からはみ出ている紅鮭色の小さな肉片を、青谷はそんなふうに貶める。しかしズボンの盛り上がりが、彼の本心を露呈していた。
「この姿も、座禅転がしに勝るとも劣らない、女の屈辱でしょうね。僕としても、女の泣き顔を堪能する醍醐味があります」
 女が仰臥して脚を開き、男がそこに腰を割り入れて挿入する――そう書けば、ただの正常位と変わりはないが。女がみずからの意志で身体を伸べているのと、緊縛されて真っ二つに折り畳まれているのとでは、天と地ほども違いがある。
 青谷があらためてズボンと洋風猿股とを、いそいそとずり下げる。
(…………!!)
 間近に見上げる怒張は、椅子に植えられた極太の擂粉木よりもはるかに大きく禍々しく醜悪に、恵の目に映じた。先端に近い部分がいっそう膨らんで、段が付いている。釣り針の返しを連想して、m組の心臓が縮こまった。あの縁で中を引っ掻かれたら、擂粉木の凸凹よりも、ずっと痛いだろう。擂粉木の痛さも知らないけれど……。
 青谷が指に唾を吐いて――その指で恵をくじった。
 悪寒が背筋を駆けのぼった。
「やめて……汚い」
 訴えれば訴えるほど、相手の嗜虐を引き出す。さんざんに目撃してはいたが、しかし訴えずにはいられなかった。
 青谷が指を引いて身を起こした。
 ほうっと安堵の息を漏らしかけて――バチインと、頬を挟んでいる脹脛とひとまとめに叩かれた。
「きゃあっ……!」
 手の甲で反対側からも叩かれた。二発とも、目の前が赤く染まって白い星が飛び散ったほどの凄まじさだった。
 青谷はひと言も発せず、あらためて指に唾を吐いて、淫裂をくじりにかかった。
 灼けるような頬の痛み。再度の抗議を口にする蛮勇は、恵には無かった。痛みと共に歯を食いしばって陵辱に耐える。
「これは……なかなかに淫乱な性質(たち)ですな」
 青谷が指を抜いて――親指と人差し指をくっつけて、ゆっくりと広げた。水飴のような粘っこい糸が、二本の指に橋を掛けていた。
 ユリの指で開発された官能が、男の凌辱によって呼び覚まされたのだった。
「豆も尖ってきたじゃないか」
 包皮を摘まんで、先端からわずかに顔を覗かせている実核を、青谷が指の腹でしごいた。
「ひゃああっ……いや、いやああ」
 その悲鳴が甘くくぐもっているのに、恵自身が気づいてしまった。
(これから操を穢されるというのに……)
 男を迎え挿れるような反応を呈した自分を嫌悪した。ユリの顔が頭の隅に浮かんで、あわてて消し去った。ユリお姉様のせいではない――とするなら、ほんとうに自分は淫乱なのかもしれないと、青谷の揶揄を肯うしかない。淫らな行為を心の底から忌避しているのなら、相手が女性とはいえ、接吻や指の戯れを受け容れたりしないのではないだろうか。まして、変態的はゴム紐褌なんて……。
 それは、無駄な抵抗を試みて心身両面の痛みと屈辱を倍加させまいとする本能の、しかし女性に特有の心理だったかもしれないが。そんな考えを心に持ったとき、恵は強 姦を受容していたのだともいえるだろう。
「あまり焦らしても可哀そうだな」
 どこまで本気で、どこから揶揄(からか)っているのか。青谷が四つん這いになって恵にのしかかっていった。
 恵の視界が、男の筋肉に鎧われた胸板にくさがれる。
 青谷は膝を後ろへずらして腰を沈めながら、右手で怒張を握って淫裂へ導く。
「く……」
 ユリの繊細な指とはまるで違う、ひどく硬くて熱くて太い異物が淫唇をこじ開けるおぞましさ――よりも、太腿に男の体重をのしかけられる重みに、恵は呻いた。背骨が折れるかと思うくらい折り曲げられているところに、確実に自分の五割は重たい男の体重のほとんどで圧迫されるのだから、息もまともにできない。手首に手錠が食い込む。
 しかし呻きは、すぐ悲鳴に変わる。
 ビキビキメリメリと股間を真っ二つに引き裂かれる音まで聞こえたと、恵は錯覚した。
 激痛が股間で爆発して腰を貫き、脳天まで背筋を奔った。
「ぎい゙い゙い゙っ……痛い! 痛い痛い痛い!」
 逃げようにも逃げられない。激痛をかわそうとして緊縛された身体を揺すると、激痛がさらに爆発する。しかも、ビンタのような瞬間の痛みではない。
 ズググウッと、巨大な異物が楔のように腰の奥まで押し込んでくる。
「ふう……」
 溜め息は青谷のものだった。
 激痛の中心が入口の方へ動くのを、恵はかすかに感じて――ふっと痛みがやわらいだ。
 身体を起こして己の股間を見下ろしている青谷の顔が、目の前にあった。
「うん。たしかに生娘だったな」
 鮮血にまみれた怒張を軽くしごいて、その指を恵の唇に押し付けた。恵が唇をきつく引き結んでいると、反対の手であごをつかんで引っ張り、唇をこじ開けて突っ込んできた。逃げ惑う舌を追いかけて、二人の分泌物をなすりつける。
 口中に、塩辛い鉄の味が広がった。
「舐めろ」
 恵は、さすがに青谷をにらみつけた。しかし、拳を腹に押し付けられると、命令を拒む気力も圧し潰された。
 チロッと舐めて――そこで初めて、恵のまなじりに涙が浮かんだ。
 それを、青谷は反抗と受け取ったのか。
「おまえも、山崎華江に劣らず情が強(こわ)いな。僕も本気になるぞ」
 肘で上体を支える形になって、あらためて恵に挿入する。
「きひいいい……痛い」
 しかし、悲鳴は最初ほどには切迫していなかった。それが、この男を身体が受け容れてしまった証のように思えて、いっそうの涙がこぼれる。
 青谷が抽挿を始めた。すでに爆発的ではなくなっているが、大きな痛みの塊りが恵の中を往復する。
「くうう……くっ……くうう……う……あっ……あっ、あっ、あっ……」
 パンパンパンと、淫埠に男の腰が打ち当たって、その都度に恵の肺から息が押し出される。
「あっ、あっ、あっ……痛い、痛い痛い痛い!」
 男の動きが激しくなって、また激痛が爆発を始めた。
 ビンタが怖くて、恵は「やめて」と訴えることもできない。
(お姉様は、男にこんなことをされたことがあるんだろうか?)
 ふっと、否定の感情が色濃い疑念が浮かんだ。
(それとも……もっと細い擂粉木とか、誰かに使われたのかしら?)
 こちらの疑問には嫉妬めいた感情が絡まっていた。
 ひときわ強く腰を押し付けられて――そこで、青谷の動きが止まった。欲望が放出されたのだと、恵は悟った。三人の先輩たちへの凌辱を見せつけられていては、いやでもそれがわかるようになっていた。
 青谷が起き上がって、落とし紙で自分の始末をして、ズボンを引き上げた。恵を一瞥してから、尋問用の大きな机の角に陣取った。
 入れ替わりに浜村が恵の横に膝を突いて――鮮血と白濁にまみれた淫裂を指で穿った。その指で、肛門をくじる。
「あっ……そこは……」
 戸惑いと羞恥は、戦慄を伴なった恐怖で掻き消された。そこに棒ヤスリを突っ込むための下準備なのだと、理解してしまったのだ。
 足首を縛っている縄がほどかれて、恵の上体が起こされる。それから、二の腕を縛っている縄もすこしだけ緩められた。
 浜村と淀江の二人掛かりで、幼 児におしつこをさせるような形で恵を抱え上げる。
 それが何を意味するか、すでに恵は理解している。さらなる激痛の予感におびえながらも。
(華江さんも弓子さんも、同じ目に遭わされている。紗良さんなんて、ワイヤーだもの)
 先輩よりも取り乱しては恥ずかしい。そんな思いが、恵の狂乱を抑えている。
 椅子の真上に身体を持ってこられて――恵は目を瞑(つむ)った。顔を上げている気力はとっくに失せているし、自分を貫く凶器を眺めるなんて絶対に厭だった。
 緩められた縄いっぱいに腕を後ろへ引っ張られて、そこにできたわずかな隙間に椅子の背もたれがこじ入れられた。二の腕と胸に縄が食い込み、背もたれに肌をこすられる。昨日までの恵だったら、それだけでもじゅうぶんに痛いと感じていただろう。
 身体がすこし前に倒されて――ゴツゴツした無機質の感触が淫裂を割り広げた。穴よりも上に先端が突き当たる。
「うん? こっちか」
 腰を小刻みに揺すられて――ズグウッと割り裂かれて貫かれる激痛が奔った。
「ぎゃあああっ……!!」
 恵は絶叫した。青谷が擂粉木よりも太く見えたのは、まったくの錯覚だった。処女を破られたときの何倍も痛い。痛いというよりも、衝撃そのものだった。
 恵の身体が前後左右に揺すられながら、すこしずつ下ろされていく。擂粉木に刻まれた凹凸が、まさしく一寸刻みに恵を抉っていく。
 ビキキキキ……肉体を割り裂かれる衝撃が、恵の全身を震わせる。
 さらに……。
「があ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
 悲鳴ではなく咆哮だった。生まれて初めて異物を、木でも鉄でも削り取る無数の鱗上の刃が刻まれている鉄棒を――肛門に突き刺されて。熱湯や炎の熱さとは異質の灼熱が、恵を貫いていた。
「うあああああ……赦して……厭、厭ああああ……」
 ささやかな乳房を震わせて息を継いでは、恵は泣き喚き続ける。
「まったくこらえ性の無い小娘だな」
 浜村に揶揄われても、反発して悲鳴を抑える気力も無い。
 それでも。座面に尻が押し付けられて、ようやく恵の声が途絶えた。
「ううう……うう、ううう……」
 哀れっぽいすすり泣きが、悲鳴に取って代わった。
 それほど痛みが減ったのではない。鋭い凹凸に粘膜を抉られることはなくなっても、限界を超えて拡張される苦痛は続いている。泣き叫ぶ気力すら使い果たして、激痛に馴致されるしかなくなったというだけのことだった。そして、二穴を傷付けられるのは拷問の取っ掛かりにしか過ぎないのだと、それを恵は頭でだけは理解していた。
 浜村が恵の両膝を椅子の脚に縛りつけて、腹部と背もたれをひとまとめに縛る。
 そして、尋問が始まった。
========================================

ヨガ犯し 
 つまり。こんなポーズで処女を破られたわけです。本文中では後ろ手緊縛されていますが。
 濠門長恭十八番の座禅転がしと見せかけて――文字通りのドンデン返しですな。




Progress Report 2 は(連続ページ表示の場合)直下の記事のひとつ下です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:赤い冊子と白い薔薇

 やはり、この作品は長くなりそうです。
 『未性熟処女の強制足入れ婚』『大正弄瞞』『いじめられっ娘二重奏』みたいに数か月以上の時間経過があるわけでもなく、舞台も取調室と留置房だけで、リョナファイトとか強制売春とか全裸運動会とかの趣向もなく、ひたすら責め場が続くだけ。大トロばかり食べるようなものですかね。
 今回紹介した部分の終わりまでで、本文80枚。
 4人の少女のうち、陥落して担当取調官の嫁になる予定の2人は取調室から連れ去られました。次章(実は、すでに8割を書いています)では、いよいよヒロイン瀬田恵への拷問が始まる――のではなく、当時の言い方ではアイノコなんか嫁にしたら世間体が悪いので、壊れるまで玩具にされる予定(日独伊三国同盟で救済されます)の咬ませ牝犬である稲枝紗良への拷問ではなく拷悶シーンです。
 そして、4人そろって全裸拘束のまま同じ房へ入れられて、それぞれの背景を記述するかしないか、犬食いとか、紗良への飢餓責めとかがあって。瀬田恵の取り調べは、翌朝になって章を革めて後です。そこからが、本番です。もちろんホンバンもあります。


後編表紙案
過去画像の使い回しです。お気に入りなんだもん。

========================================
(第二章の第二幕に位置します)

・四人の贄少女

 渡り廊下の向こう側にある別棟が、留置場と取調室になっている。廊下の左右に並ぶ鉄格子は、雑居房や独房。留置されているのは男が十数人と女が三人。背広を着た男もいれば、浮浪者めいた襤褸をまとった女もいる。
 男たちは、あまり驚いた様子もなく恵の裸姿を眺め
ている。
「刑事さん。こんどの子には、やけに気合を入れてますねえ」
 見張りの巡査が牢の前に立って、声をかけた男の肩を六尺棒で強く突いた。
「へいへい。悪うございましたね」
 男はたいして痛そうなそぶりも見せず、牢の奥へ引っ込んだ。
 その場のなにもかもが、恵の頭を素通りする。一歩ごとに股間に食い込んでくる荒縄の毛羽。その刺激に耐えるだけで精いっぱいだった。
 取調室は廊下の左右に二つずつと、突き当りにひとつ。その突き当りのドアが開けられて。
「んぐ……?!」
 眼前の異様な光景に立ち竦む恵。どんっと背中を突き飛ばされて、たたらを踏んだ。
 正面の奥で、外人の娘が細い鉄棒を跨いでいた。恵と同様に素裸で、恵よりもさらに厳しく後ろ手に縛り上げられていた。乳房と尻がどす黒く腫れて、全身に赤や紫の線条が刻まれている。
「…………?」
 垂れかかる金髪に隠されてはっきりとはしないが、恵はこの娘を見知っているような気がしていた。
「わかったようだな。二月に女学院を退学した稲枝(いなえ)紗良(さら)だ」
 やはりという思いと、まさかという思いが交錯した。稲枝紗良の父親はイタリア人の神父だった。教会での説教で反戦を説いた容疑で逮捕されて、本国へ強制送還された。紗良は、その間に退学している。その後の消息は聞かなかったが、まさか特高警察に逮捕されていたとは。父親の罪と関係しているのだろうか。
 それにしても。ずいぶんとやつれている。恵の知っている紗良は、ふくよかと豊満を掛け合わせたみたいな体型だったのに、目の前の彼女は――体の線は細くなったのに乳房と尻は以前の面影を強く残して、性に無知な恵の目にさえ妖艶に映った。
「もっと近寄って、よく見ておけ」
 肌が触れ合うほど近くまで押しやられて、恵は思わず顔をそむけた。
「よく見ろと言っておるのだ。事と次第によっては、おまえもここに座らせてやるのだからな」
 ひぐっと、恵は息をのんだ。
 鉄棒に跨っているように見えたのは、鋼線を編んだ太いワイヤーだった。細い鋼線が切れたりほつれたりしてささくれている。こんな物を股間に食い込まされたら、荒縄の毛羽とは比較にならない劇痛だろう。しかも、膝を折り曲げて縛られ、そこからコンクリートブロックを吊るされていた。ワイヤーが食い込む淫裂は無毛だった。しかし、白い肌ではない。赤く細い筋が斜めに何本も交差している。刃物で切られたとしか、恵には推測できない。
 紗良は恵が近づいても、まったく関心を示さなかった。おのれを苛むワイヤーに虚ろな視線を落として、ぴくりとも動かない。身じろぎひとつしても、ワイヤーはいっそう紗良を傷つけるだろう。
「ひととおり、お仲間に挨拶しておけ」
 言われて、ようやく。ほかにも二人の娘が、同じように素裸で、しかし別々の格好で拘束されていた。そして、恵を連行した二人だけでなくさらに四人の男たちがいた。
 娘のうちの一人は、二週間前に逮捕された山崎華江。後ろ手に縛られ胡坐を組まされて、裸身を二つ折りにされていた。背中にはコンクリートブロックが四つも縛りつけられている。紗良ほどではないが尻が赤く腫れている。
 そして、もう一人は椅子に、背もたれを後ろ手に抱く形で縛りつけられて、机を挟んで二人の男と向かい合っている。ひとりは五十絡みの私服で、もうひとりも私服だがせいぜい三十半ばといったところ。すこしはなれた壁際の小机に座っている若い紺サージの制服は、記録係だろうか。
「こいつも知っているはずだぞ」
 恵には見覚えがなかった。学年が違えば、名前を知らないどころか顔を見たこともない生徒も少なくない。
「最上級生の川瀬(かわせ)弓子(ゆみこ)だ」
 名前だけは知っていた。卒業と同時に結婚する者も少なくはないが、それでも誰某が婚約したという噂は、すぐ学校中に知れ渡る。そういえば――新学期が始まって間もない頃、婚約者に赤紙が来たのだけれど。人が人を殺すなんて悲しいことだと級友に嘆いて、教頭先生に注意されたという話も聞いていた。誰かが特高に密告したのだろう。
「反戦論者に男女同権に、あげくは主義者か。おまえの学校はアカの巣窟だな」
 恵は取調官の斜め後ろに立たされた。
「おまえの尋問は明日からだ。今日のところは、強情を張るとどうなるか、よく見ておけ」
 恵の左足首に、滑車を介して天井から垂れている縄の一端が縛りつけられた。反対の端を、泊という若い私服刑事が引っ張ると――左足が吊り上げられて、恵の身体が右に傾いていく。
「あ……」
 恵はつま先立ちになって、身体が倒れないように踵の位置をずらした。それを何度か繰り返すうちに左足は頭よりも高く引き上げられて、意識して上体を左へ倒さないとひっくり返りそうになる。
「最初だから、すこし甘やかしてやろうか」
 恵を縛った男が恵のお下げを引っ張って、左の腿に巻き付けた。おかげで、腰を突っ張っていなくても立っていられるようになったのだが。
「なんじゃ。人が親切にしてやっとるのに、礼も言わんのか」
 縄で縊り出された乳房を爪が食い込むほどに握りつぶして、ぎりぎりとひねった。
「い、痛い……ありがとうございます」
「乳を虐めて礼を言われたのは初めてだな。そうか、こうされるのが好きか」
 恵の言葉をわざと取り違えて、男はいっそう乳房をひねる。
「違います……転ばないようにしてくださったことに、お礼を言ったのです」
「そうだろうな。虐められて悦ぶなど、あの女くらい……」
「浜村ッ」
 弓子に向かい合っていた男が、鋭く叱った。
「余計なことを言うな。それから、浅利クン。キミは下がってよろしい」
 浅利と呼ばれた、これも中年の男が、軽く頭を下げて部屋から出て行った。
 部屋に残った男たちも、それぞれに場所を変える。恵を逮捕した中年と若手のコンビは紗良の横に折りたたみ椅子を据えて陣取り、海老責めに掛けられている華江には別の若い男がついた。そして恵の前には、それまで部屋の隅で壁にもたれていた、これも若い男。
「そうだ。事の流れで後先になって、すまんな。おい、瀬田恵。そこにいる警部が、おまえを担当する青谷クンだ」
 青谷が、恵に向かって軽くうなづいた。
「最年少と聞いていたが、まずまずの身体つきだな」
 紗良先輩のように容赦なく拷問できるという意味なのだろうかと――恵は想像してしまった。
「課長殿。この者の尋問は明日からですね。僕はこれで失礼してよろしいでしょうか」
 弓子と向かい合って座っている男が、ふっと小さく息を吐いた。
「まったく、キミは淡泊だな。よろしい。他の仕事を片付けておきたまえ」
「では、失礼します」
 青谷も退出して。部屋に残っている男は、私服刑事が五人と制服の巡査が一人。弓子たち被疑者を数えると十人にもなるのだが、狭苦しい感じはない。この部屋は教室ほどの広さがあるのだと、恵は気づいた。様々な拷問を同時に行なうための広さだとまでは、知る由もなかったが。
 実際、今現在でも――紗良への性器拷問、華江への海老責め、恵への吊り責めが、弓子への尋問と並行して進められているのだ。その、弓子への尋問も(全裸で椅子に縛りつけられているというだけでも)拷問であることに変わりはない。
「さて……どこまでだったかな。慰問の手紙は書いたが、反戦的な文言は一切含んでいない。そう言ったのだな?」
「もう何度も言いました。変なことを書いて、それが上官の目に触れでもしたら、島本が目をつけられて……非道い目に遭います」
「しかし、昨日は『何があっても、必ず生きて帰ってください』と書いたと供述しておるな。自決することなく俘虜の辱めを受けてもかまわんというのは、反戦ではないか」
「そういう意味で書いたのではありません」
「では、どういう意味だッ!」
「…………」
 課長が椅子から立ち上がった。机の端に置いてあった細い竹を手にして、弓子の横にまわる。竹の先でチョンチョンと乳首をつついてから、大きく振りかぶる。
 ビシイッ!
 肉を打つくぐもった音が響いた。
「くうう……」
 竹の笞は、膝を椅子の脚に縛りつけられて無防備になっている内腿に敲きつけられていた。
「どういう意味なのだ?」
 ビシイッ!
 二発目は反対側の内腿を襲った。
(あんなにひどく敲かれて、叫びも泣きもしないなんて……)
 恵を吊るした男の言っていた『強情』という言葉を、恵は思い出していた。竹笞など小手調べですらないとは、思い至るはずもない。
「強情な娘だな。いいだろう。他のことを尋ねてやる」
 課長は竹笞を机に戻して弓子に正対すると、両手で双つの乳房を鷲掴みにした。
「学校で反戦的な言辞を弄したとき、それに賛同した生徒はいなかったと言うが、ほんとうか?」
 第一関節がめり込むまで指を食い込ませて、ぎりぎりと内側へねじっていく。
「ぐうう……弓子は、ほんとうのことしか言っていません」
 同じようなことをされたばかりの恵は、弓子が耐えているのを見ても今度は不思議に思わなかったのだが。
 課長は手首が返るまで乳房をねじっていった。ほとんど百八十度。見る見るうちに、乳房が赤黒く変色していく。
「つまり、おまえの言葉をたしなめることなく聞いていたわけだ。そいつらも同罪だな」
 いったん手を放して掴みなおすと、今度は外側へねじっていった。
「い、痛い……アキ……呆れていただけです」
 課長は右手で竹笞を握り、左手に握った乳房をピタピタと叩く。
「うん? アキと言ったな。同級生の岸辺章子のことか? それとも……浦安クン、名簿を持ってこい」
 制服姿の巡査が、小机の上に積んである書類から薄っぺらい冊子を抜き出して、課長の前に広げた。
「アキ、アキ、アキ……森山秋江。こいつか?」
「違います。二人とも、いませんでした」
 課長が竹笞を振りかざして、掌の上の乳房に敲きつけた。
 ビッシイン!
「きひいっ……! 弓子は『呆れた』といっただけです。秋江さんも章子さんも無関係です」
「強情だな」
 課長は乳房から手を放して、一歩下がった。そして。
 ビシッ!
 ビシッ!
 ビシッ!
 立て続けに乳房を打った。
「しかたがない。この二人を呼んで、当人から話を聞くか」
「やめてください! ほんとうに、二人とも無関係なんです」
「では、だれがお前の話を聞いていたんだ?」
「…………」
 不意に弓子の目に涙が湧いた。まぶたにあふれて、開脚させられた股間に滴る。
 痛くて泣いているのではないと、恵にもわかる。黙ってきいていただけで同罪だと、課長さんは決めつけた。話を聞いていたクラスメイトを名を明かせば、その人たちも同じように逮捕されて、こんな辱めを受けることになるのだろう。けれど黙っていたら――二人のアキさんが濡れ衣を着せられる。弓子先輩の涙は悔し涙なのだ。
「言え。さっさと白状しろ」
 課長は十文字に竹笞をふるって、乳房も内腿も立て続けに打ち据え始めた。
「きひいいっ……やめて……悪いのは弓子なんです。級友は誰も悪くないんです」
 一度でも涙をこぼしたら、悲鳴をあげたら、それで気持ちの張りが失われて、それまでは耐えていた痛みにも耐えられなくなる。そのことを、恵はまざまざと見せつけられたのだ。
(明日は、あたしも同じ目に遭わされる……同じ目?)
 弓子先輩と同じように敲かれるのだろうか。それとも、紗良先輩みたいな残虐なことまでされるんだろうか。ただ眺めているだけで、想いは千々に乱れる。
「課長殿……」
 最初の位置から動かずに、机を挟んで弓子の前に座り続けていた男が、遠慮がちに声をかけた。
「そんなに畳みかけても、答えようがないのではありませんか。しばらく考えさせてやっては如何かと思料いたします」
 課長が手を止めた。
「大岩クン。キミは甘いね。しかし、担当官の意見は尊重すべきか。いいだろう。椅子から解放してやたまえ」
「ありがとうございます」
 なぜ、大岩という男が礼を言うのか恵にはわからなかったが。とにかく、弓子先輩への拷問は終わったのだと、恵は安堵の息を吐いた。
 大岩が弓子の拘束をほどいて、腰を抱きかかえて椅子から立ち上がらせた。
「えええっ……?!」
 恵は驚愕した。自分が裸に剥かれたときよりも、よっぽど大きな悲鳴だった。
 恵は、生まれて初めて目にする異様な物体と、弓子の股間とを交互に見比べていた。
 弓子が座らされていた木の椅子は、座面から禍々しい二本物体が屹立している。座面の縁に近い側には、直径が二寸はあろうかという擂粉木。しかも、擂粉木の表面には不規則な凹凸が刻まれている。擂粉木から一寸ほど奥には、直径が一寸ほどの金属の棒。表面が鮫肌のようにざらついている。木工用のヤスリかもしれない。
 そんな椅子に座らされたらどうなるか、どことどこを貫かれるかは、処女の恵でも容易に理解できた。椅子に座らされること自体が、乳房を握りつぶされるよりも竹笞で打ち据えられるよりも、はるかに残虐な拷問だったのだ。
 恵の驚愕は、その拷問道具だけではなかった。弓子の内腿に血が伝っているのは、肛門をヤスリで抉られたせいだろう。でも、ぬらぬらと絖っているのは……ユリの愛撫に馴らされた恵には見紛いようもなかった。
「なんだ。物欲しそうに涎を垂らしおって。特製の擂粉木でも食い足りんのか」
 弓子の異変に気づいていたのは恵だけではなかった。課長が、それまでの強面顔を崩して下卑た嗤いを浮かべた。
「大岩クン。遠慮はいらん。キミの抜き身で満足させてやれ」
「はいッ、本官の抜き身で容疑者を満足させてやります」
 恵には意味不明な復唱をすると、大岩は弓子を床に横たえた。そして、ベルトを緩めてズボンをずり下げた。
(…………!!)
 課長と大岩の言葉の意味を理解して、恵は三度(みたび)驚愕した。いや、四度になるだろうか。弓子は大岩の仕種を見上げて――諦めたように目を閉じたのだった。紗良とは違って、まだじゅうぶんに抗うこともできそうなのにもかかわらず。それとも、連日の拷問で気力を奪い尽くされているのだろうか。それにしては、最後まで尋問の言葉を否定していた。
 越中褌までかなぐり捨てた大岩の股間には、椅子に突っ立っている擂粉木に似た肉の棒が聳え立っていた。男女の営みとは具体的にどういうことをするのか、恵はたった今まで知らなかった。けれど、擂粉木がどんなふうに弓子を貫いていたかを目の当たりにして、それとそっくりな物が男の股間に生えていれば、おのずと理解してしまう。生まれて初めて見る、男の禍々しい怒張に恵は恐怖さえ感じて――それでいて目をそらせなかった。
「どうした、瀬田恵。さんざっぱら男を咥え込んでおいて、なにを驚いた顔をしている」
 恵を縛った刑事が、からかいの言葉を浴びせた。彼は、さらに跨がらせたワイヤーの端に手拭いを巻いて、そこに肘を突いている。
 課長が訝しそうに彼を見た。
「浜村クン、それはどういう意味だね?」
「ああ、そうそう。逮捕時の様子を、まだ御報告しておりませんでした」
 よいしょっと、ワイヤーをつかんで浜村が立ち上がった。手を放すと、浜村の体重で余計にたわんでいたワイヤーがピンと張って、紗良をかすかに呻かせた。
「実はですね……」
 浜村が課長に長々と耳打ちを始める。
 その間にも、大岩が弓子の脚を広げさせてその間に腰を落として――左肘で体重を支えておおいかぶさりながら、右手は怒張を握って弓子の濡れそぼった淫裂に導く。
「うんっ……」
 ぐいっと、岩村が腰を進めた。
「あああっ……浩二さん、ごめんなさいいい」
 弓子が小さく叫ぶ。
「なにが、ごめんさいだ。いとも簡単に咥え込みやがってからに」
 ずんっ、ずんっと、大岩が腰を突き出しては引き戻す。
「ひっ、ひっ……」
 そのたびに、弓子が小さく喘ぐ。痛みを訴える声――と、恵には聞こえた。大岩の肉棒は、擂粉木よりも細く見えた。けれど、中を掻き回されたら痛いに決まっている。
「なるほど……面白いな。しかし、なんだって、そんなことを?」
「小生にも見当がつきかねております。本人に問い質したほうがよろしいかと」
「うむ……ところで、乃木クン」
 課長が思い出したように、華江の横に立っている若い男に声をかけた。
「山崎華江も、そろそろ限界じゃろう。唇が紫色に変じておる。いい加減に赦してやれ」
「そのお言葉を待っておりました」
 乃木と呼ばれた男が、華江の背中からコンクリートブロックを降ろした。華江の尻の後ろに靴をあてがって、両肩をつかんでゆっくりと引き起こした。そのまま、壁にもたせ掛ける。
「ほどいてやるが、その前にひと働きしてくれよ」
 大岩より年下の、まだ青年の面影を引きずっているこの男も、中年男の厚かましさを見倣うのか平然とズボンをずり下げた。越中褌の中から現われたそれは、大岩よりも細いが天を衝く角度では勝っている――というところまでは、恵には見えない。それでも、腿に縛りつけられたお下げを引っ張りながら振り返る視界の端で、乃木が怒張を華江の口に(!)押し当てているのは見えた。
 華江は固く唇を引き結んで、しかし顔をそむけようとはせず、上目遣いに乃木を睨みつけている
「やれやれ、相変わらず情の強(こわ)いお嬢さんだ。男に負けまいと突っ張ったところで、力でねじ伏せられるのはわかっているだろうに」
 乃木はわざとらしく嘆息してから、華江をまたうつ伏せに戻した。首と足とをつないでいる縄を、上体が半分ほど起こせるまで緩めた。そうしておいて、今度は膝がしらに靴をあてがって前へ倒す。華江は左右の膝と頭の三点で身体を支えて、尻をうんと突き上げた形にされた。
 乃木が華江の後ろへ回り込んで、膝を突いた。
(まっ……!?)
 いったい何度驚いたか、もう恵にはわからなくなっていた。ただ――二人の形を見た瞬間、二匹の犬がそんな形になっていて、オトナに水を掛けられていた遠い記憶が甦った。つまり、あれもこういうことだったのだ、と。
 乃木が腰を華江の尻に打ち当てて、びくんと華江が前につんのめった。
「くそう……負けるものか」
 食いしばった歯の間から、そんな言葉が漏れたのを恵はたしかに聞いた。

 大岩と乃木は、それぞれに米搗きバッタさながらに腰を激しく衝き動かしていたが。まず大岩が、憑き物が落ちたようなさっぱりした顔で立ち上がった。壁の棚から落とし紙を取って自分の肉棒を拭い、それから弓子にも落とし紙を放ってやった。弓子はのろのろと身を起こして落とし紙を拾い、それで股間を丹念に拭った。小水の後よりは、ずっと入念な拭い方だった。
 大岩が後ろに立つと、言われる前に立ち上がって、自分から手を後ろにまわす。肌にうっすらと赤みが差して頬も上気しているが、目だけは悲しそうに伏せられていた。8の字を縦二つに割ったような金具が、弓子の手首に嵌められた。蝶番で留められている金具を閉じて、そこに小さな南京錠が掛けられた。縄で縛られるよりは楽そうに見える。
 腰縄を打たれて、弓子は大岩に取調室から連れ出された。
 やがて乃木も華江から離れた。自分の跡始末はしたが、華江の股間は汚れたままに放置して、弓子と同じ8の字形の手枷を嵌めてから縄をほどいてやった。華江も、乃木に腰縄を引かれて取調室から姿を消した。
 二人への扱いの差が、つまり従順と不服従の応報なのだろう。
 あたしは華江さんよりも無下に扱われるだろうと、恵は覚悟せざるを得ない。まだ未通女なのだ。犯されそうになったら、死に物狂いで抵抗しなければならない。いよいよとなったとき、舌を噛み切って自害まではできないだろうけど――と、そこまで考えて虚しくなった。純潔を守るのは、将来の夫の為だ。でも、変態じみたゴム紐褌を他人の目に曝して、あげくに縄付で街中を引き回された。とっくに、お嫁に行けなくなっている。純潔を守って、それでどうなるというのだろう。
「ずいぶんと休ませてやったな。取り調べを再開するか」
 課長の言葉で、恵は絶望の深みから現実という悪夢に引き戻された。
 紗良が頭を垂れたまま課長に顔を向けていた。そこには、人形ほどにも表情が浮かんでいなかった。
「こいつも、最近はふてぶてしくなりおってな。どうだね、浜村クン。新入りのお嬢さんに覚悟を決めさせるためにも、ちと張り切ってみるか?」
 紗良の顔に怯えの色が奔ったのに、恵が気づいた。この浜村という人は、課長さんよりもずっと残酷な拷問をするのだろう。
「針を使いますよ。かまいませんか?」
「もちろん、もちろん。なんだったら、焼き鏝でもかまわんぞ」
「いやあ、あれは準備が大変ですし」
 浜村が、ちろっと恵に目を向けた。
「こっちは、意外とあっさり落ちるかもしれませんしね。病院送りにするのは、もっと先でもよいでしょう」
「それもそうだな」
 何事か恐ろしい相談がされたらしいとはわかるが、それが何なのかは、そのときの恵にはわからなかった。
========================================

 じつにネチネチとした描写が続いています。
 ヒロインの心理も書き込まねばという強迫観念もあります。
 このペースが、おそらく最後まで続くでしょう。









テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:赤い冊子と白い薔薇



 タイトルをマイナーチェンジ。赤い本では「赤本」「青本」と紛らわしい。それに、こっちのほうが「赤い本と白い花」よりも音の転がり具合がよろしいです。
 さて。金曜日半日はマイナンバーカードの申請で、今は日曜の午前が終わろうとしているところです。
 実質3日間で50枚。休日だから1日に25枚は進めなくちゃね。
 今回は、オープニングの御紹介。いきなり半裸(ズロースのみ)緊縛往来引き回しです。
 ドジャーン!と、アップで初めておいてから、おもむろにカメラを引いてそもそもの発端から語り直すという手法です。読者サービスというよりも、筆者のモチUPのためです。


========================================
1.序章

・眼前の逮捕劇
 午前の教科の終業を告げる鐘の音が鳴り終わって五分もすると、白薔薇聖女学院の校門から白いセーラー服姿の乙女たちが続々と吐き出され始める。三人四人、十人ちかい集団もあった。初夏の明るい日差しの中で、乙女たちは清らかに輝いている。
 不意に物陰から二人の男が姿を現わして、ひとりの女学生の行く手を遮った。それだけでもじゅうぶんに不審な行動なのに、男たちは開襟シャツに鳥打帽というヤクザな服装をしていた。
 女学生は立ち止まって、気丈にも相手を睨み据えた。その目の前に黒い手帳がかざされた。
「特別高等警察の者だ。山崎華江だな。非合法のメーデー集会に参加して庶民に暴力をふるった容疑で逮捕する」
 その言葉を聞いたとたん、まわりにいた女学生たちのほとんどは蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。気骨のある何人かは、遠巻きにして無言の抗議を眼差しにこめている。
「あれは、そんな集会ではありません。男の人たちが絡んできたから……」
「申し開きは署でしてもらおうか」
 二人のうち若いほうの男が華江の背後にまわって、腕をねじ上げた。
「痛い! やめてください。来いと言うなら行きます。そんな……いやあ、縛らないでください」
 肩の高さまでねじ上げられた手首に捕縄が巻かれて、首にまわされる。
 校長と数人の教師が、大慌てで駆けつけた。その中に紅一点、今学期から英語の臨時教師を務めている石山ユリが混じっていた。
「校門の前で、狼藉にもほどがありますぞ」
 男たちを叱りつけた校長だったが、黒革に金文字の警察手帳を見せつけられては沈黙せざるを得なかった。
「この生徒が、いったい何をしたというのです」
 花江の前に立ちふさがっている年配の男が、説明を繰り返す。
「違います。自分たちは婦人参政権を要求して、公演で小さな集会を開いていただけです」
「なんと、デモに参加したとは。そうとなれば、逮捕も致し方のないことでしょうな」
 校長は華江の訴えをわざと曲解したような言い方をした。
「しかし、制服姿で縛るのだけは勘弁してやってください。我が校の評判が地に落ちます」
 校長の頭には、学院の名誉を護ることしかない。二人の男性教師はもとより、ユリさえも女生徒をかばおうとはしなかった。かばったところで、あらぬ嫌疑を掛けられて一緒にしょっ引かれるだけなのはわかりきっているとしても。
「ふむ。先生のおっしゃることも、もっともだ。泊クン、いったん縄をほどいてやりなさい」
 ほとんど一瞬で、縄がパラリとほどけた。
「制服を着ていてはいかんそうだ」
 年輩の男がセーラー服の襟を両手でつかんで、左右に引き裂いた。
「いやああああっ……」
 華江が胸元を両手でかばってしゃがみ込んだ。
「抵抗するなッ」
 男が華江を組み敷いて、セーラー服を引き千切ってしまった。さらに、スカートも脱がせる。華江は足をばたつかせて逆らったが、かえって男の手を助けたようなものだった。
 公衆――というよりも、見知った顔の面前で半裸にされて、華江は羞恥に打ちのめされ、身体を丸めている。しかし男は、激しく華江を揺すぶった。
「この期に及んで抵抗するかッ」
 取り押さえると見せかけてシュミーズを破り、乳バンドも肩紐を千切り背中のホックまではずした。そうしておいて、背後にねじ上げた手首を扼し、首に縄をまわしてから二の腕までも縛った。
「立て」
 男みたいに裾を刈り上げたお河童を鷲掴みにして、男は華江を引きずり起こした。
 華江の裸身は土にまみれて、一人前の女に性熟する寸前の乳房は擦り傷から血がにじんでいる。
「ひどい……なぜに、こんな辱めを受けねばならないのです。男女同権は、そんなにいけないことなのですか」
 華江は涙の滲む目で男を睨んだが、男は薄く嘲笑うだけ。若いほうの男が、華江に腰縄を打った。
「これなら女学生とさえもわからんから、文句はないでしょうな」
「う、うむう……お役目、ご苦労様です」
 年輩の男に気圧されて、校長はへつらうことしかできない。
「そら、歩け」
 若い男に腰縄を引かれて、華江がよろよろと足を踏み出す。
「とっとと歩かんか。まだ物足りんなら、こいつも脱がせるぞ」
 後ろからズロースの腰回りを引っ張られて、華江が「ひぐっ」と息を呑む。パチンとゴムに腰を叩かれると、背後の男から逃れようとして足を速めた。
 目をそむけながらも遠巻きにしている女学生からさらに離れて、脇道への曲がり角に身を隠すようにして、瀬田恵は事件の一部始終を目撃していた。特高警察への反発ではなく、華江と面識があるわけでもない。恐ろしさに足がすくんでいただけだった。華江がこちらへ追い立てられるのを見て、ますます足がすくむ。間近に眺めたりしたら怒られるのではないかと思っても、膝頭が笑って、立っているのがやっとだった。
 不意に肩を叩かれて、恵は悲鳴をあげた。
「ひゃあっ……」
 そのまま脇道へ引きずり込まれた。
「ここにいたら、面倒に巻き込まれかねないわ。行きましょう」
 ユリの声だった。曲がり角から顔をのぞかせている恵に気づいて、様子を見に来てくれたのだろう。
「あああ……ユリお姉様あ」
 ほかの生徒の目も忘れて、恵は女教師に抱きついた。ユリは路地裏の塀と塀との間に教え子を引き込んで、きつく抱きしめた。そうして、顔をかぶせて唇を奪った。
 尊敬し憧れて深く愛している女性にきつく抱擁されて、恵はようやくに人心地を取り戻した。口の中で蠢く軟らかな肉塊に自分の舌をぎこちなく絡めた。たった今目撃した光景を悪夢とするなら、これは幸せに満ちた夢だった。二週間前に呼び出されて、唐突に告白されて始まった甘美な夢は、だんだんと激しく濃密になりながら、今も続いている。
「今日は時間があるのでしょう。おうちへいらっしゃい」
 恵はユリの腕の中でコクンとうなづいた。
 路地裏伝いに別の道に出ると、生徒の中では恵だけが見慣れている乗用車が停まっていた。遠縁の資産家の邸宅に下宿しているユリは、運転手付きの自家用車で送迎してもらっているのだった。さすがに校門まで乗り付けるような愚は犯さず、筋の違う道で降りて百メートルほどは歩いている。
「ほんとうに、恐かったわね」
 書生めいた雰囲気の若い運転手の目をはばかって、ユリと恵は後部座席におとなしく座っているが、ユリの手は恵の太腿をスカートの上から撫でている。そうされていると、白昼夢のような逮捕劇の衝撃が次第に薄れて――腰の奥がじんわりと熱く潤ってくる。
========================================
全裸連行上下
 さり気に「一番煎じ」を貼ってみたりします。

 この後は女教師とヒロイン瀬田恵のレズシーンです。
 逢瀬を重ねるごとに、女教師は正体(のうちのひとつ、変態)をあからさまにしていって。ヒロインはゴム紐で褌と乳バンドをさせられて、その姿で下校――しかけたところを捕らえられるという筋運びです。
 初っ端から変態淫乱娘の汚名を着せられて……どこまでハチャメチャな話になるか、我ながら不安です。ここ数話、つまらん予定調和なんかブチ壊せ、濠門長恭限界突破新境地開拓じゃと、暴走気味ですが。
 前作の『誘拐と陵辱の全裸サンバ』でも目玉の「猫踊り」で焼けた鉄板に放水して致命傷を回避したヘタレです。
 今回は、大量浣腸後に口肛3人相互連結という限りなく黄金に近い責めを予定していますが……さて、どうなりますことやら。




追伸というか
午後にスパートして、67枚までいきました。67/3.5=19枚/日
女学生4人揃い踏み。小手調べは終わって、いよいよ紗良(咬ませ牝犬)への残虐非道な拷問ではなく、自白を封じての拷悶の開幕です。プリマゾンナ瀬田恵の開膜は(ストーリイ中で)明日になってからです。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:赤い本と白い花



  コロナ対策で派遣先に出勤せず、しかし在宅は制限解除なので、派遣元の本社に密寸前まで集まって派遣先の仕事をするという体制でしたが。7月上旬一杯の仕事が不意にキャンセルで空きができちゃいました。『戦闘詳報』既述。
 で、半分シメシメ半分(来週からの仕事あるよね?)で、有給取って4連休にしちゃいました。しかし、遊休とは参らせませぬ。ラストのマゾ堕ちシーケンスが未確定ですが、人物設定と合わせて9千文字に達するPLOTが出来ている大河長編特別高等警察残虐非道複数女学生拷悶拷姦嫁取物語の本編執筆に着手します。
 今回は章立のみの御紹介。文字の薄い部分が未確定シーケンスです。


一.序章
  眼前の逮捕劇/桃色の白薔薇

二.逮捕
  赤い本の摘発/四人の贄少女/残虐非道の責/勾留初日の夜

三.拷問
  下心ある尋問/拷問の始まり/非国民の教導/緊縛の屈曲位
  口姦と肛姦と/飢餓拷問の酷/口肛連結の惨/勘当と義絶と

四.入替
  女教師の尋問/被虐に酔う女/木馬の相乗り/庇い合う二人

五.転向
  悦虐への入口/匙を投げた男/生餌の女学生

 序章では、いきなり校門前の準ヒロイン逮捕劇と半裸緊縛連行です。
 当時は手錠ではなく捕縛がふつうでした。早縄を掛けているところに校長がすっ飛んできて、制服姿での連行はやめてほしいと懇願。学校の悪い評判が立ちますからね。特高も、もっともだと同意して――セーラー服とスカートを脱がすのです。ブラウスも襟に校章が刺繍されているので、同じく。

「こら、暴れるな」とてこずる振りを装って、シュミーズも破り、乳バンドもずれて。ズロース一枚。
 それを見ていたヒロイン(瀬田恵)が震えあがって。臨時の英語教師である石山ユリに抱きかかえられて。この時点で、すでに二人は濃厚レズの関係です。ユリの下宿先(資産家の屋敷の一室)で読者サービスが始まります。
 本編で語られるとしても(ヒロイン視点ですので、ヒロイン不在のシーンは描きにくい)暗示程度にとどまる予定ですが、この臨時女教師は肉体で下宿代を払っています。

 本編では最終章手前当たりのネタバラシになりますが、この女教師は特高の手先です。親にうとまれているとか、素行が芳しくない生徒とかをみつくろって、特高に密告する任務を帯びて送り込まれています。首尾よくいったときの御褒美は、極上の拷悶です。ドMなのです。
 ヒロインの恵は両親に疎まれているという点で適格者なのですが、針小棒大の難癖もつけにくい品行方正なお嬢様です。なので、レズに引き込んで、敬愛するお姉様から禁断の赤本(受験対策のアレじゃありませんよ?)をプレゼントするのです。

_5c21b006b7c62.jpg

 しかし。たいていの残虐非道な拷問は『非国民の烙淫』で書き尽くしました。二番煎じも辞さずですが、目玉も欲しい。
 ので、「緊縛の屈曲位」の章では上のような形に据え膳する予定です。もちろん、邪魔な布切れはありません。3穴有効活用ですから、ギャグも無しです。


 さて、ぼつぼつ書き始めるとしましょう。




テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:誘拐と陵辱の全裸サンバ

邪淫のいけにえ2 ~女勇者と修道女・果てしなき絶頂&触手地獄に堕ちたダークエルフと聖女~ [CHAOS-R]

 だだだっと、脱兎のごとく脱稿しました韻を踏んでいます。
 今回は趣向を変えて、後書とかを。


========================================
 冒頭のパンフレットを含めても、わずかに127枚。『寒中座禅(転がし)修行』を例外として、SMツアーシリーズは短くなる傾向があります。
 作品中で経過する日数が短い=エピソードが少ないというのは、副次的な理由に思えます。書いていても、描写が淡泊に過ぎるという実感があります。なぜか、責め場をネチネチと書き込む雰囲気にならないのです。理由は、自分にもよくわかりません。
 作風の変化ではなく、その作品の持つ必然性のような気がしています。

 ということで(接ぎ穂がおかしい?)。次はいよいよ複数ヒロイン寄せ集め大河長編特高警察嫁取物語『赤い本と白い花』に挑みましょうか。
 実は、これを書いてしまうと――戦前特高警察傍若無人残虐拷問性的虐待物語のネタが尽きてしまうという、出し惜しみもありましたが。底まで掘り尽くさないと次の鉱脈に行き当たらないというのも一面の真実です。
 なに、掘れば湧いてきますとも。ちょっと古いところで『大正弄瞞』と『1/16の牝奴隷』は、着想から脱稿まで1年とかかっていません。最近では未発表(フランス惜敗待ち←をい!)『未通海女哭虐』が、そうですね。
 400枚以上の大長編はともかく、中編レベルなら半熟成したネタはゴロゴロです。「昭和集団史羞辱史」が数本と「ヒロイン戦記:日本海軍編」「同:アメリカ陸軍編」。「昭和懐古:幼な妻甘々調教」は300枚以上確実ですし。さらには「DC男の娘もの」と「スケ番リンチ」ネタも、じんわりむくむくと成長中。
 出し惜しみしても意味がありません。精通を迎えた遠い昔のごとく、出せば出すほど日に日に放出量が増えるという状況が、まだまだ小説では続くと信じましょう。

========================================

構図

 なんだかねえ。ここ半年ばかりテンションが下がっています。
 雀の涙が目的じゃない。内的必然性であり自己表現であり形而上的不死の追及であるのだ。なんて、そっくり返っても、月イチ中級ソープと年イチ高級ソープとの落差は、やはりなのです。創作活動が自己満足に終わらず外界と接点を持つならば、その評価基準はつまり売上でしょう。
 現在は上の表紙画像を「実写でない」形に加工中です。
 それから大河長編残虐非道のPLOTを作り込みましょう。




2020/06/21/20:15 作っちゃいました。
表紙D

 ひでえなあ……

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:誘拐と陵辱の全裸サンバ

 いよいよ、本編執筆開始。
 Prgress Report 0:のPLOTに従って進めていきます。
 1章は割愛。


========================================
2.誘拐

(前略)

 夕方、いったんホテルに戻って。紗耶香と茉莉はボディペイントの下準備をしなければならなかった。蕾は、その必要がない。昨年の暮れに寒中座禅修業をしたときに得度されて、それからずっと無毛を保っている。すこし伸びてくるとチクチクしてショーツをぐしょ濡れにしてしまうという事情もあったが、社長命令でもあった。どうせ今度のツアーでパイパンにするのだから――というのは口実で。淫毛を巻き込まないだけ、色々と(社長が)愉しめるからだった。
 輪ゴムをつないだ褌にしても、針を植えたパンティにしても、無毛のほうが見栄えが良いという社長の意見には、蕾も同感だった。
 それはともかくとして。
 約束の時刻に十五分遅れて、エウリコ・メレンデスが迎えに来た。サンバ・チームの紹介で雇った通訳というか世話係だった。三人ともスペイン語ができないし、翻訳機だけに頼るのも心許無い。それに、翻訳機は運転免許を持っていない。
「みなさん、パスポートとスマートフォンは持っていますね」
 貴重品を持ち歩くかホテルを信用して預けるか。判断が分かれるところだが、裸で踊るのだから選択の余地はないはずだが。しかし、この三人にとっては別の問題があった。
 二週間のうちに六回も、三人は警官に呼び止められている。パスポートを見せると、たいていは驚かれる。一分以上も顔写真と見比べられたこともあった。二十歳の日本女性は、こちらの人間にはせいぜいミドルティーンくらいにしか見えないのだ。
 会場の周辺は交通規制が敷かれているが、通行許可証をウインドウに貼り付けたワゴンは会場のすぐ近くまで乗り入れた。
 降りたところは、パレード参加者の集合場所の真ん前。広場の出口が、そのままパレードのスタート地点になっている。
 集合場所が、そのまま支度の場所にもなっている。
 支度とはいうが。一時間おきに三千人から五千人がスタートするのだから、更衣室なんか無い。みんな、堂々と露天で着替えている。
 エウリコに案内されて、これだけはプレハブ小屋になっているボディペイントの場所へ行った。狭い小屋の中は、十人ほどの特別参加者とその倍の数の男たちでごった返していた。女性たちはくすぐったそうに身をよじったりしているが、羞ずかしそうにしている者はいなかった。
「ツボミさん、みなさん。ハダカになってください」
 たちまち前後に男が一人ずつ取りついて、筆でタンガを着せていく。乳房と股間を緑色の唐草模様に似たデザインに仕上げて、乳首には銀のラメを散らす。割れ目には内側にまで塗料を塗って、はみ出ている小淫唇は巻き込むようにして隠す。三人はすんなり終わったが、接着剤まで使われている女性もいた。
 それから、メイク係と入れ替わる。頬を肌に近い色で塗ってから銀ラメを散らし、唇はナチュラルに。そして着け睫毛はまばたきで風が起きるくらい派手に。三人とも見分けがつかないほど同じ顔になった。
 脱いだ服と貴重品はエウリコに預けて。小屋から出てコステイロを背負えば、一夜漬けのソロダンサーの出来上がり。といってしまうと、三人がかわいそうだ。紗耶香と茉莉はそれなりの経験があるし、蕾でさえ二週間の特訓で、ちゃんとテーマソングを歌いながらそこそこにステップを踏める程度にはなっている。歌いながら踊るというのが、カーニバルの必須条件だ。
 スタート地点にグループごとに集まって。一見して無秩序な集まりも、スタートの時刻が近づくにつれて隊形も整ってくる。
「はああ……なんだかねえ」
 紗耶香が溜め息を吐いた。
「五十人みんな、同じボディペイント。拍子抜けしちゃうかな」
 露出願望とはつまり、自分の羞ずかしい姿を不特定多数の人たち(主として男性)に見られたいということだ。自分の美しい裸を――となれば、単なるナルシズムでしかない。羞ずかしい姿を見られて(それはもちろん、賛美されたいという思いもすこしはあるが)軽蔑されたいという被虐願望でもある。それには自分ひとりか、せいぜい仲間の数人だけが羞ずかしい姿をしているのでなければならない。ヌーディストビーチでは(性的興奮を伴なう)露出願望は叶えられないのだ。五十人の中の一人という今の状況も、それに近いものがある。
 やがて、長蛇の隊列が前のほうから動き始めた。スタートの合図はあったのだろうが、五百人を超える打楽器隊のリズムとビートに掻き消されて、三人のところまでは聞こえてこなかった。
 三人――いや、ボデイペイントにコステーロを背負った五十人も、ぴったり合わせたステップを踏みながら前に進む。
 スタートからゴールまで七百メートルのコースの両側は、見上げると首が痛くなる高さの観客席で囲まれている。スタンドの歓声は広場までも伝わっていたが。スタートラインを越えた瞬間に、雪崩のような激しさで蕾に押し寄せてきた。
 一瞬で、テンションが跳ね上がった。背負っているコステーロの重さが感じられなくなって、リハーサルのときよりもずっと大きな動作でステップを踏む。まったく意識しないでも、手が動く。
 ランナーズ・ハイとSEXのアクメとがひとつになったような、忘我の境地。
 蕾は五十人の中の一人ではなかった。十三メートルのコース幅いっぱいに七人ずつが広がって、二メートル四方の空間で蕾はまさしくソロを舞っていた。数千の視線が裸身に注がれている。乳首もクリトリスも硬くしこり、腰とはいわず全身が熱くたぎった。
 これは、淫微な露出願望の充足ではなかった。サンバの坩堝に裸身を投じて、十万人の熱狂と一体化する――稀有の体験だった。
 ――忘我の六十分が過ぎて。ふと我に還ると、三人で抱き合って地面にへたり込んでいた。まわりでは、大勢の人間がエネルギッシュに動きまわっている。パレードに参加した者だけでなく、家族や友人も入り乱れて、まだ熱狂に酔い痴れているのか撤収に取り掛かっているのかも判然としない。
「ああああああ……もう、死んでもいい」
「あたしは来年もきっと来る――のは無理かあ」
「満足していただけて、わたしも嬉しいです」
 いっそう固く抱き合って、幸せを抱き締める。
========================================

 ええと。これで、カーニバルの場面はおしまいです。
 ここからが本編(?)です。
 誘拐されかけて、問答無用と拳銃を突きつけられて。リョナファイトのヒロイン村上詩織ちゃん(という歳でもない)の登場です。
 拳銃を持った男の腕をへし折って。その拳銃を拾おうとしたけれど敵に奪われて。太腿を撃ち抜かれてしまいます。
 荒野に連れ出されて。詩織ちゃんは岩陰に連れて行かれて――つぎに登場するときは、乳房も股間もナイフ傷だらけ。残虐シーンは自主規制。ではなくて、後半のお楽しみ。
 若い3人(蕾21、紗耶香20、茉莉20)は、女性らしい扱いを受けかけますが。ツアーガイドとしてクライアントを護るべく、蕾が3人まとめて相手をします。誘拐犯は4人です。1本余ります。詩織も義侠心を発揮して、比較的無傷のオーラルを犯してくださいと申し出ますが。片足立ちの首吊りにされて、腕をへし折った男に傷だらけのヴァギナを犯されます。
 そして、誘拐犯のアジトに連れ込まれて――以降は、次のレポートです。


ボディペカーニバル

 しかし。カーニバル期間中は、法律も一時お休みですかね。
 実写です。よく見ると、縦筋も写っている?
 これでU15だったら言うことないんですけど。
 まあ、貯金してそのうち行ってみようとは思いません。
 現地取材なんかしなくても、SFもSMも書けるのです。
 それに。数年後に行って、どうなっているか。画像も2012年頃のものだそうです。現在では、少なくとも縦筋禁止だとか。
 ついに、山笠も行かなかったしなあ……

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:誘拐と陵辱の全裸サンバ



 『昭和集団羞辱史:浴場編』は、登録完了。7月1日発売です。


 「トルコ嬢」ではハードな責め場もありましたが、ストーリイの一部だけです。「湯女」にいたっては淫乱一直線娘で、桃色一色、血の赤も痣の紫も足りません。
 次作がフラストレーションのはけ口になります。


 元々は。国内のあちこちのイベントに参加していた二人組。物足りないし、まともに露出出来ない不満が高じて、短大卒業記念に本場ではじけようと。ボディペで参加して、誘拐されて。人質は生きていればよろしいわけですので、さんざんに陵辱されて。
 当初の目玉は猫踊りだったのです。
 猫踊りというのは――逃げ出せないようにまわりを囲んだ鉄板を熱して、そこに猫を放り込むんですね。猫は後足で立って跳びはねることで熱さから逃れようとします。そのあいだ、三味線で特定の曲を奏していると。条件反射で、鉄板の上でなくても三味線を聞いただけで跳びはねるようになる。江戸時代の見せ物だそうです。
 猫を使うと動物虐待ですので、洋画などでは人間を使ったシーンがあるとかないとか。
 素っ裸の女の子に、カーニバルですから羽根飾りとかをつけさせて、乳首とクリトリスと手首とを適宜紐でつないで。サンバを踊らせるわけです。
 さて。どうやって救出するか。大使館なんか通してたら時間ばかりかかるし表沙汰になるので、論外です。
 数日前までは、無難なシノプシスでした。第4話でミイラ取りがミイラになった、元・裏添乗員で現・リョナファイターのやや年増ヒロインが現地ガイドをして一緒に誘拐されて、その縁でSMツアー社の社長がリョナファイト主催者のドン・ガストーニに救出を依頼するという。
 やめました。予定調和は面白くありません。
 第4話には、最後のほうでとんでもない大富豪が出てきます。息子の忘れ形見でもあり、息子を奪った憎い女の娘でもある孫を愛情たっぷり憎悪たっぷりに調教したブレイカー老人です。


 初手からどんどん脱線しますが。このブレイカー老と孫娘にはモデルがあります。
 『修羅の門』で、ボクシングヘビー級世界チャンプに挑戦するときの御膳立て役の老人と、我儘孫娘です。パロディではなくモデルでありオマージュです。
 ついでに。車椅子の老人が、孫娘がぶちのめされアクメに追い込まれて、おもわずコーナーポストまで歩くシーン。
「歩ける……わしは歩いた」と、おとなしいセリフですが。ほんとうは、「マイン・フューラー!」と叫ばせたかったのです。これはパロディになるので自粛しましたが。わかりますかね、元ネタ?


 こほん。
 このブレイカー老。私設リョナファイトのためにジムを即金で買い取るような御仁です。そして、孫娘の為にも年増ヒロインを断固救出すると決めます。たとえ身代金はSMツアー社(がリスクヘッジしている保険会社)が出すとしても、おとなしく使い走りなんかするわけがありません。
 では、どうするかというと……



誘拐と陵辱の全裸サンバ

村上詩織 (29)  踊らない。3人は知らない。影のお守り役。

真園蕾  (23) 現地ガイド。今回は危険が少ないということで初仕事。
篠田紗耶香(20)
春日茉莉 (20)
 国内のカーニバルもどきで満足できない。
 短大卒業記念。

エウリコ・メレンデス 30代 専属通訳兼世話人
           実は一味だが、都会エージェントなので誘拐の表には立たない。
ホセ・カランサ    40代 サンバチーム代表

ミゲル 30前後 誘拐した女の世話係 日本語がかなりできる。




1:前夜
金曜夜
最後の練習を終えてホテル。3人1部屋。
日本での「本番」より、ずっと熱気。
2週間前から滞在して練習。
ブロッコでなく、サンボードロモのパレード。2部。
エスコーラ・デ・サンバ
ボディペセクションがあるチーム。

2:誘拐
(詩織はゴールで待っている)
荷物はホテルに置いておく。
集合場所でワサワサ着替え。ボディペグループは隔離ブースで。
山車の前に上級者。3人は山車の後。でも目立つ。
無我夢中で踊る。
ゴールの後、警備員らしき2人に誘導されて……
詩織が割り込む。押し問答。拳銃。叩き落とす。骨折。
車から2人加わって。詩織もまとめて車に。
すでに夜明け。

3:輪姦
道路からそれた荒れ地。とりあえず3人まとめてGangBang。詩織は尋問。ドン・ガストーニの名は出さない。敵対勢力かも。
尋問は、音声翻訳機。
SMT現地駐在員。「そうなのか?」「もしも彼女がシオリ・ムラカミなら」
村へ。入口に機関銃座。
男が9割。若い女がチラホラ。老人や子供はいない。村ではなく基地?
詩織は別室に監禁。3人にミゲルが事情説明。
3人で300万ドルの予定だったが、4人なら400万ドル。
「大使館を脅迫しても長引くだけ。SMT高山社長に」
リスクヘッジの保険があると知っている。
「あのクノイチもそんなことを言っていたな」
3人への見せしめ。詩織へのリンチ。腕を折られたことへの報復。ズタボロ。
3人は、詩織の見ている前で、村人こぞりて。約50人。見物している中に半裸の女も。
SMTのSOSを白状。

4:幕間
SMT社/ドン・ガストーニ
あの一帯は敵対勢力。組織がでしゃばると全面戦争。
ブレイカー老には、わしから伝えておく。

5:狂舞
誘拐2日目の午後。
3日後に身代金を持参すると連絡があった。銀行を通すと足がつく。
異例の早さ。パーティー。
他にも2組5人が人質。3人組が1か月目、2人組はもう4か月。性奴隷の境遇。
猫踊り。ずっと屋外で磔にされていた詩織も。すでに瀕死。
手首に紐。乳首とクリ。上げればクリ、下げれば乳首。
仕掛の悪意を見抜いて、蕾がかばう。2人は脇にまわした鎖。いざとなれば引き上げる。蕾は無し。
蕾は途中で転んで……端まで転がって大ダメージは回避。尻と足の裏はひどい火傷。おざなりな治療。

6:救出
未明。地上攻撃機が機関銃座を破壊。ヘリボーン2機=20人2コ分隊。
死者は村人5人。
詩織は即刻入院。
3人は基地司令の元へ。
「俺たちの受けた命令はシオリの救出。おまえたちの救出は請け負っていない」
救出費用は身体で支払ってもらおう。
平和的解決なら3日後に解放のはず。それまでボランティア活動。
陸軍はすぐ帰隊するから、さっそくに。


 自分用のメモですので、主語を省いている部分が多くてわかりにくいかもしれません。
 6章。映像化するなら、BGMは「ワルキューレの騎行」一択です。


 しかし、困りました。このブログのアイキャッチ画像もそうですが、表紙絵です。
 裸女踊り(クレーン吊るし)にしたいのですが、元ネタがありません。両手を吊られて片脚を跳ね上げている画像に、バーベキューの絵を合成するのもあれですしねえ。
 かといって、ヘリボーン襲撃のシーンに裸女配置するのも……『ヒロイン戦記』じゃあるまいし。
 それに。誘拐直後の年増ヒロイン尋問シーンが、いちばんの残虐になりそうです。これは、まあ……

SM(Vartual)女ゲリラ野外拷問
 なんとでもなります。といって、ここで使ったらProgress Reportで弾切れになるかも。使いましたけど。
 本来のヒロイン3人とは別に監禁される場面も――視点の都合で書かないかもしれませんが。誘拐組織からは、女コマンドーかクノイチかと警戒されて、腕を折られた男の報復もあって、死んでもまだ人質は3人もいるんだとばかりに残酷な拘束をされます。このネタも載せてしまいましょう。

縄吉_skn58


 表紙のほうは、おとなしく全裸サンバにするかもしれません。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:昭和集団羞辱史『湯女』

  一揆加勢で脱稿しました。
 今回の御紹介は、ここでENDにしてもおかしくないという、そして、本編で最も過激な責め場……が、これですもの。甘っちょろくて、どうにも興が乗りませんでした。


onnsennero9.jpg

========================================

 秋になって客足が戻り、湯女も大車輪。といっても、ひとり一時間の接客だから、一日でせいぜい八人くらいだが。それでも、一時間に四人から五人の湯女が帳場に出入りしてバンドの清算をするのだから、にぎやかで艶やかな光景ではあった。
 そんな忙しい一日が終わったある日。
 火を落として静まり返った厨房に、亭主と女将が五人の湯女を呼び集めた。
「大変に困った問題が起きました」
 五人を壁際にならんで座らせて、亭主がその前に立って腕を組む。
「ゴムバンドの帳尻が合わないのですよ」
 客は旅館に金を預けて、預かり証の代わりにゴムバンドを受け取る。客が後でゴムバンドを戻せば、旅館は預り金を返す。旅館側のあずかり知らぬ事情で湯女がゴムバンドを持ち込めば、半額で引き取る。客と湯女との間で現金授受は行なわれていないという、法の網を潜り抜けるための方便であると同時に、湯女に勝手な値段交渉をさせない意味もあるのだが。結果として旅館側には、湯女に払ったのと同じ金額が残る。
 それが四百五十円足りないというのだった。
「お客がよそからゴムバンドを持ち込んだんじゃないですか」
 京子の当てずっぽうには無理があると、梢枝にもわかっている。ゴムバンドには、旅館ごとの刻印を捺した一センチ角のゴムが接着されている。もっとありそうなのは――帳場からゴムバンドを盗み出して、知らん顔で換金するという手口だ。
「本来なら、ちょろまかした人だけを呼びつけて、内々に済ませるところですがね。それでは、ますます当人を付け上がらせるだけだと思って、集まってもらったのです」
 亭主の視線が自分に向けられていると、梢枝は気づいた。
「今日のお客様は三十八人で、帳面に付けている赤バンドの出入りも三十八本。皆さん、お盛んなことですね。問題は白バンドと青バンドです。これは、ほとんどが梢枝の持ち込みだね」
 疑われている――いや、決めつけられていると梢枝は気づいた。亭主にしろ女将にしろ、湯女を呼び捨てにすることは、ほとんどない。
「あたし、ちゃんとお客からもらっています」
「梢枝は今日、青バンドを六本換金しているが、お客様から返還が無かったのは三本だけ。一本百五十円だから、辻褄の合わない三本分でちょうど四百五十円だね」
 濡れ衣、それとも言いがかり。今日は九人の洗体で、六人を岩山の裏へ誘い込んでいる。
「あたし、ちゃんと六人のお客から青バンドをもらいました」
「しかし、青バンドを持ち込んだのは梢枝だけだからね。言い逃れはできないよ」
「そんな……」
 なんだって、急にこんなことを――そこで、ふと気づいた。さっきの京子の言葉。なんだか、狂言回しみたいだった。
 ここ一か月ほど、梢枝とほかの湯女との間には、ぎくしゃくした反目が続いている。接客はもちろん、旅館にも迷惑を掛けていないと思っていたけれど。小さな世界の中では、どんな小さな不協和音でも耳障りなのかもしれない。
 もちろん。亭主さんはともかく、女将さんに注意されたら素直に聞き入れていただろうけれど――そうは思われていなかったのだろうか。もしかしたら。梢枝の過剰なお色気サービスが客を呼んでいた一面はある。あまりおとなしくされても、旅館としては痛し痒しなのだ。といって、反目を放置もできない。
 だから、まったく別の口実でお灸を据えておこう――とでも、考えたのだろうか。
「素直に罪を認めるなら、事を荒立てたりせずに内々で済ませてあげる」
「あんたのしたことは、立派な犯罪なんだよ」
 京子の口出しで、梢枝は推測が間違っていないと確信した。
 してもいないことを認めるのは厭だ。事を荒立てるのなら、そうしてください。警察に届ければ、実際には旅館が湯女に売春をさせていたことが公になって、困るのはそちらじゃないんですか。そういうふうに反論も出来たけれど。同輩はともかく、雇い主を敵にまわしたら困るのは梢枝だ。梢枝のおかげで繁昌しているのは事実だが、梢枝が来る前から温泉郷はそれなりにまわっていたのだ。
 あっさりと首にされるかもしれないと、初めて梢枝は思い至った。そのときには、支度金の五万円を返せと言われるだろう。店の都合で首を切るんだから返さなくてもいいように思うけれど。貯金通帳を取り上げられて、身ひとつで追い出されたら――そこまで先走って考えてしまった。
 旅館や先輩の理不尽な仕打ちに屈するのは厭だけど、尻尾を巻いて実家に逃げ戻るのは、もっと厭だ。
「あたし……してもいない罪を認めるなんて、絶対にしません」
 それは反発ではなかった。
「だから、好きなようにしてください」
 首を切られるというのは考えすぎだろうと、思い直した。四百五十円を弁償させられたって蚊に刺されたほどの痛みにもならない。謹慎なんか、一週間でも一か月でも骨休めみたいなもの。どうせ旅館だって、出るところには出られない事情を抱えている。
 まさか、寄ってたかってのリンチもできないだろうと――これまでと同じに高を括ったのだが。
「まったく、ふてぶてしい子だね。しばらくは、おいたも出来ないくらいには懲らしめてやらなくちゃ」
 それまでは亭主に仕切らせていた女将が、梢枝の前に立った。
「それじゃ、好きにさせてもらうよ。着物を脱ぎなさい」
 梢枝は女将の顔をまっすぐに見上げて――立ち上がった。お仕着せの浴衣を黙って脱ぐ。みんな、女将さんにつくに決まっている。五対一では、逆らうだけ無駄だ。
「そこへあお向けに押さえ付けておきなさい」
 梢枝は、それにも逆らわなかった。けれど、内心では意外な成り行きに怯えている。毛を剃られたり擂粉木を突っ込まれるだけでは済まない。そう覚悟させられるほど、女将の顔は冷たかった。
 女将は黙って場をはなれて、すぐに戻って来た。小道具を幾つか抱えている。
「一か月でだいぶに生えてきたね。あんた、剃ってやって」
 梢枝は脚を大きく開かせられた。その中に、亭主が剃刀を持って座る。
「これくらいじゃ懲りないとわかってるだろうに」
 女将に向けて言った言葉だが、顔は梢枝の股間に向けたままだった。
 この人の顔、助平になってる――梢枝は、男の心裡を見抜いた。憎しみや嫉妬で剃られるよりは、女として救われる思いが湧いた。身体が目当てなんて台詞はよく聞くけれど、末永く添い遂げるわけでもない仮初めの男女の間に、ほかの何があるんだろう。
 六人の女の視線から逃れたくて、梢枝は目をつむって亭主の仕打ちを受け容れた。
 じきに剃り終わって――亭主に変わって女将が、梢枝の股座近くに座った。
「おまえはね、ここが気持ち良すぎてアレコレしてるんだろうね。しばらくは、自分で触ることもできなくしてあげるよ」
 襞の間に埋もれている肉蕾をほじくり出された。
 女将は包皮をつまんでしごき、淫核を硬くしこらせる。言っていることとしていることが反対――とは、梢枝の思い違いだった。女将は包皮を剥いて、実核を露出させた。それを左手で押さえておいて、右手は小箱を開けて茶色い綿のような物を指につまんだ。
「あ……?!」
 戦後になって廃れてきたとはいえ、まだまだお灸は庶民の中に根付いている。肩凝りや腰痛の民間療法でもあるし、寝小便の特効薬という迷信も生きている。そして、子供への折檻にも使われている。
 まさしくお灸を据えられるわけだが――どこに据えられるかは、こうなってみると明白だった。そっと触ればすごく気持ちいいけれど、それだけ敏感なのだから、お灸を据えられたらどうなるか。
「ごめんなさい。もう、二度としません。だから、赦してください」
 それまでとは打って変わって、梢枝は半泣きの声で訴えた。
「二度としませんって、何をだね?」
 返しながら、女将は艾(もぐさ)を練る指を休めない。
「…………」
 梢枝は言葉に詰まった。四百五十円は口実だと、すでに梢枝は悟っている。濡れ衣なのだから、二度でも三度でも着せることができるだろう。マッサージ室での自由恋愛は、これをやめろとは女将も言っていない。そんなことをすれば、『湯乃華』に閑古鳥が鳴く。
「もう……お客さんを裏に誘い込んだりはしません。マッサージ室でも、おとなしくします」
「うごかないように、もっと強く押さえて。フミさんも手伝いなさい」
 両手を頭上に伸ばした形にされてフミに手首をつかまれ、京子と朋美は片手で腰を押さえて片手は膝をつかんで閉じないようにした。
「珠代ちゃんも。あなたは馬乗りになりなさい。この期に及んで同情なんか駄目よ」
 ごめんねと囁いてから、珠代も梢枝を虐める側に加わった。
 実核がさらに引き伸ばされて、根元を女将の指が押さえつける。梢枝には珠代の身体に遮られて見えていないが、そこに据えられた艾は、実核と同じくらいの大きさがあった。
 亭主が線香に火を点けて女将に手渡した。そして、脇に控えて――梢枝の股間を見詰めている。
 剃られたときと同じで、梢枝には亭主の存在が、せめてもの心のよりどころに思えた。こんな酷いことをされても、それを見て興奮してくれる男がいるのなら、同性にどんなに憎まれてもすこしは救いがある。
 いよいよ火が点じられたらしい。珠代の肩越しに薄い煙が立ちのぼった。
「くううう……」
 最初に灸を据えられる熱痛を『皮切り』というが、それどころではない。熱の錐が実核を貫き通している。しかも、錐はだんだん太く鋭くなって……
「うああ……熱い! 痛い! 赦して……赦してください」
「うるさいね」
 不意に女将が立ち上がった。着物の裾を端折り腰巻もたくしあげて、珠代と背中合わせになって梢枝の顔に尻を落とした。
「んぶうう……」
 口をふさがれて、梢枝は悲鳴を封じられた。淫毛がじゃりじゃりと鼻腔をくすぐるが、それを不快に思うどころではない。このままではクリトリスが焼け落ちてしまうのではないか――そう思ったとき、この折檻の残酷さを梢枝は知った。
 クリトリスが無くなったところで、男の側にはたいして不都合はないのだ。湯女として働くことはできる。擂粉木で傷つけるよりも、旅館としてはよほど都合がよい。
 そして、梢枝は快楽を取り上げられてしまう。そうなってまで、客に過剰なサービスをする気にはなれないだろう。洗体とマッサージで三百五十円。青バンド百五十円のためだけに、傷ついたクリトリス(それとも、クリトリスのあったところ?)を弄ばれる苦痛には耐えられない。
「むぶうううううっ……ゔゔゔゔ!!」
 三人がかりで押さえ付けられている腰が、ビクンビクンと跳ねる。
「おっとっと……」
 京子が腰を押さえていた手をずらして、転げ落ちかけた艾を据え直した。
「おお、熱かった」
 声が楽しそうに弾んでいる。
 ――艾は最後までクリトリスの上で燃え尽くした。
「わたくしだって、いよいよとなれば鬼にでも夜叉にでもなりますからね」
 そう言って女将は梢枝の顔から立ち上がって、着物を整えた。梢枝にだけでなく、他の湯女にも向けられた言葉だった。
 翌日も、梢枝は仕事をした。火傷が治るまで休んで痛かったけれど、女将が許してくれなかった。もっと辛いことを命じられたとしても、梢枝は女将の言葉に従っていただろう。それほどに、灸折檻の効き目は著しかった。
 さいわいに焼けて無くなりはしなかったが。火傷で親指の先ほどにも膨れて包皮では蔽いきれなくなり、常に先端が露出するようになった。いっそ剥きっ放しにしておこうかと思ったが、それでは湯が沁みて立っていられないほどに痛む。
 梢枝は手拭いで厳重に股間を隠して、客から身を引くようにして身体を洗った。マッサージ室では、官能を追求するどころではない。腰を打ちつけられるたびにクリトリスが悲鳴をあげて――快感の無い商売の辛さを思い知らされたのだった。
 敏感な部位だけに、治りも早いのだろう。一週間もすると薄皮が張って、痛みも少なくなった。しかし、元の形には戻りそうもなかった。火傷の部分が盛り上がってきて、クリトリス全体が以前の倍ほどにも大きくなり、常に半分は露出する形になった。そして盛り上がった部分はあまり感じなくなったのに、その周辺はずっと鋭敏になってしまった。だからというべきか、しかしというべきか――梢枝はマッサージ室でもそこを刺激しないように努めるしかなかった。外にまで聞こえる嬌声を張り上げたら、今度はもっとひどい折檻をさせるかもしれない。かといって、みずから猿轡を噛んでまで快楽を追求する気にもなれない。やはり、もしも露見したらという怯えが、梢枝を縛っていた。
 梢枝がおとなしくなって、湯女のあいだの力関係は変わった。うんと歳の離れた味噌っかすという扱いに、梢枝は甘んじるしかなくなった。ある意味、それが本来の形であったかもしれない。
 梢枝の過剰サービスがなくなると、日帰りの入浴客も以前の数にまで漸減して、温泉郷全体も落ち着いてきたのだが。活況を知った後になってみると、寂れてきた感じは否めなかった。
 そのまま二年三年と過ぎていけば、梢枝への扱いもだんだんと変わって、梢枝も他の四人と変わらない娼売女へと落ち着いて行ったのだろうが。
========================================

 画像もご覧の通り、キーワードに『湯女』を含めると、ハードなものは引っ掛かりません。
 ので、いわば商売敵のアフィリンクを張ってみたりします。こういうタイトルだと、今回の筆者作品とはまるきり趣が異なります。いえ、わざわざ購入して読んだりはしませんよ。TOYOTAの社員がニッサンの車に試乗するようなものですから。




 このサークル(というか、作者)実は、今回『湯女』で検索して初めて知りましたが、16年前にDLsiteデビューしていて、89本もUPしています。コンセプトは、筆者に言わせればだいぶん違っていますが、他人の目には似て見えるかもしれません。


 さて。次は妄想全開ハード作品にシフトしましょう。
 PLOT半完成の作品も幾つかありますが。
「何を書きたいのか」をじっくり(3日ほど)考えて、次作ではきちんとPLOTを練ってから、6月中旬あたりから書き始めましょうか。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:昭和集団羞辱史(湯女)

 どうにも……5月中には脱稿できそうになくなってきました。
 在宅勤務のせいです。
 通勤してるときは、平日は朝に1時間半ほど集中して、休日は5時間くらいスパート。なのですが。
 朝起きる時間は同じでも、家を7時過ぎに出るのと、在宅で9時前に勤務開始とでは……在宅のほうが、ノンベンダラリとしてしまいます。しかも、仕事を土日まで持ち越して――どうにもこうにもです。
 まあ、考えようによっては。フルタイム勤務しながら年間3千枚というのが異常だったのかもしれません。SFを書いていた昔に比べると5倍くらいですものねえ。
 ともかく、出来高を御紹介。


========================================

   先輩の虐め

 そんな牧歌的な桃色郷を大きく揺るがす事件が起きた。梅雨で客足が細るさ中、風俗ルポライターを名乗る若い男が『湯の華』に泊まったのである。一人だけで泊まりに来る客は珍しいが、濃厚お色気サービスをする飛び切り若い遊女の評判を聞きつけて、電話予約のときから梢枝を指名してきた。
 当時(令和の現代でもそうだが)、男性向けの通俗週刊誌には『マル秘スポット』とか『知られざる穴場』の紹介記事があふれていた。取材される側も、いい宣伝になるくらいにしか思っていない。
 露天風呂とはいうが、雨除けの屋根は設けられている。洗い場では京子と朋美が、それぞれの客を相手に洗体の最中だった。求められれば客に好きなだけ身体をさわらせる朋美も、今日はまだ足首にバンドを巻いていない。
「ずいぶんと若いね。歳は幾つ?」
 この質問に、梢枝は慣れっこになっている。
「この春に卒業して、すぐここに就職したんです」
「卒業って、高校かな。まさか小学校じゃないよね?」
 狡い質問だなと、梢枝は思った。短大卒の才女がこんな職業に就くはずもないから、両方を否定したら自動的に答えが出てしまう。いつものように
「さあ……ご想像におかませします」では、まずいんじゃないだろうか。相手はルポライターなんだから、十三歳の少女が湯女をしているなんて、わざと嘘を書かないとも限らない。警察か労働基準監督署か保健所か知らないけれど、調べがはいって旅館に迷惑をかけるかもしれない。
「女性に歳を聞くなんて、野暮ですよ」
 最年長のフミの答えを真似してみた。
「そんなことより。お客さんて、取材に来られたんでしょ。だったら、ここで青のバンドを使わなくちゃ」
 お色気サービスのほうへ関心を向けさせようとした。江戸時代の湯女と同じように最後まで出来るというのが、この温泉地の謳い文句なのだから、女将さんにも文句は言われないだろう。事実――洗い場での過剰サービスを叱られたのは最初だけで、今では黙認してくれている。
「へえ。なにをしてくれるのかな?」
 ルポライターは気前よく青バンドを渡してくれた。それを足首に通して。
 いつものように、梢枝は岩山の裏手に男を案内した。洗い椅子代わりの小岩に座らせ、スポンジに石鹸を泡立たせて男に持たせる。自分は後ろ向きになって男の腿に乗る。
「あたしを洗ってください。もちろん、ここもたっぷりお願いします」
 股間から聳え立っている巨木を握って言うのだから、ここがどこか明白だ。
 男はスポンジをさっさと床に置いて、左手で乳房を揉みながら右手は股間をまさぐる。
「柔肌は手洗いが一番だよ」
 風俗ルポライターを名乗るだけあって、遊び慣れているのだろう。強すぎも弱すぎもしないねちっこい愛撫で、たちまち梢枝の官能に火を点じた。
「んああ……お客さん、いいですうう」
 早々と猿轡を咥えようかと思ったほどだ。腰の奥の疼きに焦れて、男の上で尻をくねらせた。剛毛が尻肉をくすぐって、それも官能を刺激する。
「梢枝ちゃんこそ、この歳でずいぶんと開発されてるじゃないか」
「だって……これがお仕事ですから」
 梢枝は、サービスではなく自分の欲求を満たすために――向きを変えて客に抱きついた。腰を突き出して、すでに硬くしこっている蕾を剛毛に押しつけた。
「あああっ……いい。浮かんじゃう……浮かんでる」
 水栓(クリトリス)がひねられて、腰の奥に熱湯がたまっていく。ここからは掛け時計は見えないが、洗体を始めてから二十分と経っていないだろう。けれど、あと十分もこんなサービスを続けるのは我慢できなかった。
「あの……すこし早いけど、マッサージをさせてください」
 ルポライターは梢枝の尻から手を差し入れて、淫唇の中をえぐった。
「逆だろ。僕が梢枝ちゃんをマッサージするんじゃないか?」
「どっちも……です。あ、赤のゴムバンドをくださいね」
 さすがに、娼売までは忘れていない。
 腰の手拭いは『使用中』の目印にドアの前に掛けて。すっぽんぽんでマッサージ室にはいると、ドアを閉めるのももどかしく、梢枝は客の前にひざまずいた。
 若いだけあって、一分や二分の中断くらいではまったく萎れていない。梢枝は上からおおいかぶさるようにして、巨木を口に咥えた。じゅうぶんに洗ってあるから、汚いなんて思わない。至高の快楽を与えてくださる御神木だ。
「おおお。尺八を吹いてくれるというのは、ほんとうだったんだ」
 男が興奮の極致に達しているのが、それを咥えている梢枝には感じ取れた。
「このまま出しちゃ、もったいないでしょ」
 口淫奉仕はあっさりと切り上げて、奥からコンドームを持って来て、男にかぶせた。最初の客から仕込まれたので自然とそうしているのだが、湯女の中ではほかの店も含めて梢枝だけらしい。というか、この時代にコンドームを必須としているところは少ない。最下級の女たちはコンドーム代さえけちるし、湯女の何倍もふんだくる高級トルコ嬢は生本番があたりまえだった。大衆向けのトルコやチョンの間だと、女はそんなに親切ではない。
「お客さんが下になってくれますか。あ、これはあたしだけのスタイルなんですけど」
 団体客でも来ようものなら一日に五人以上の相手をしなければならないのだから、自分で動いていては疲れ果ててしまう――というのが、先輩たちの忠告だった。梢枝自身は、まったく平気どころか、騎乗位が気に入っているのだが、女を組み敷いてこそ男だという考えの持ち主も多い。客の意向に逆らってまで、自分の快楽を追求するわけにもいかない。梢枝が昇り詰めると喜んでくれる客は多いが。
「自分だけ善がって、娼売をちゃんとしろよ」などと怒る客も十人に一人くらいはいる。
 ――洗体を早めに切り上げたこともあったし、クリトリスをほじくってほしいというおねだりを男が喜んでかなえてくれたせいもあって。梢枝は熱泉の大奔流に吹き上げられ、シャボン玉ではなく花火のように破裂して果てた。
 どちらもじゅうぶんに満足してマッサージ室を出て。それで遊女の仕事は終わったのだが、ルポライターの求めに応じてインタビューを受けた。これには亭主も女将も乗り気で、空いている客室を提供もしてくれた。
 ルポライターはさすがに聞き上手で、三十分間のインタビューのうちに梢枝は、実年齢はもちろん、母に売られた形での就職の経緯や、その理由まで打ち明けていた。最後には露天風呂に戻って、腰に手拭いを巻いただけの湯女姿を写真に――梢枝の感覚としては『撮られた』のではなく撮ってもらった。

 日帰りで行ける秘湯の桃色本番遊女
 そんなタイトルの記事が週刊誌に載ったのは、取材から二週間後だった。巻頭のカラーページに梢枝の半裸写真が掲載されて、本文は『体験記』とインタビューを主体に構成されていた。『湯の華』だけでなく『仙寿庵』と『美人湯』も紹介されていて、それぞれに所属する遊女の源氏名と公称年齢(三十七歳のフミは三十二歳になっている)も掲載されていたが、梢枝の特集記事の感が強い。
 日本全国に生き恥を曝すこともないだろうにねえ――というのが、他の湯女にかぎらず、当時の女性一般の感想だったろう。男の性欲を満たす仕事の女性が広く認知され、さらにはアイドルになったり、小 学 生の「将来なりたい職業」にランク入りするには、二十年三十年の時を待たなければならない。
 話を昭和三十六年の当時に戻して。
 週刊誌が発売されたその日から、三軒の旅館に掛かってくる電話は十倍に増えた。といっても、一日に数本だったのが五十本くらいになっただけだから、てんてこ舞いというほどでもない。日帰りの入浴を希望する客の大半は、湯女を待っているうちに日が暮れると聞かされて諦めるし、だからといって泊りがけで遊ぼうという好き者も数は知れていた。つまりは、程よい繁昌に落ち着いたのだが――梅雨時から初秋までは客足が遠のく温泉地としては、週刊誌様々といったところか。
 梢枝は朝から晩まで予約がいっぱい。他の湯女も繁忙期さながらの忙しさだったが。
 珠代はともかく、当時の感覚では大年増のフミや京子をあてがわれた客が文句を言ったり、今でいうチェンジを求めたり。他の旅館が駅で捕まえた振りの客が、梢枝のいる湯ではないと知って鞍替えして来たり。
 湯女全員から、梢枝は嫉妬されるようになっていった。
 男に対しては奔放な梢枝だが、日常ではみずから進んで人と交わる性質(たち)ではない。仲居と湯女とでは棲む世界が違うと、どちらも思っている。そして湯女同士も――同病相憐れむといった雰囲気ではなかった。京子が梢枝の母と同年齢で、フミは五つも歳上。珠代と朋美は二十五と二十八で仲が良いが、梢枝はその二人とも年齢が懸け離れている。つまり、梢枝は孤立していた。
 客の世話は輪番でも、赤バンドだけでなく青もせしめる梢枝は稼ぎが太い。しかも、客の人気が集中する。四人に、歳下の後輩を可愛がるという感情も生まれにくい。
 週刊誌は、そういった下地を大きく膨らませる酵母の役目を果たしたといえなくもなかった。
 ――三畳の個室を荒らされたのが、嫌がらせの始まりだった。壁に掛けて置いたよそ行きの服が、修繕のし様もないほどに切り裂かれ、化粧セットも持ち去られていた。さいわいに貯金通帳や判子までは盗まれていなかったし、棚に置いていた宝石箱の装飾品も手付かずだったけれど。だから、泥棒ではなく旅館の誰かの仕業だということは明白だった。
 とうぜんだが、梢枝は被害を亭主と女将に訴えた。
「うちは小さいから、お客様が奥まで来られることもよくあるからねえ。一見のお客様も増えたことだし。部屋に錠前を付けてあげようか」
 宿泊客の仕業ということにして丸く収めたい。しかも一見の客が増えたのは週刊誌のせいだから――梢枝にも非があるとほのめかしている。
 梢枝は考えてみた。錠前をつけてもらっても、裸商売だから鍵を肌身離さず持っているわけにもいかない。かといって、数字合わせの錠前は簡単に破られる。001から999までを試さなくても、回すときのかすかな手応えの違いでわかってしまう。同級生の男子が得意そうに実演しているのを見て、それを知っていた。
「人を見たら泥棒と思えなんていいますけど。お客様や旅館の皆さんを疑うなんて、心苦しいです」
 断わった。貴重品だけでも預かってもらうということも考えたけれど。たとえば貯金通帳は月に何回も必要になる。そのたびに女将さんの手をわずらわせるのも申し訳ない。
 梢枝は、意表を突いた『対策』をとった。部屋にいるときはもちろん戸を閉めておくが、不在のときは開けっ放しにしたのだった。部屋の前の廊下は、従業員が行き来する。他人が梢枝の部屋にいれば、必ず誰かに目撃されるだろう。もちろん、通帳は天井裏に隠したし、たたんで部屋の隅に積み重ねた布団の下に宝石箱は押し込んでおいた。
 外出用の服は、新調しなかった。また切り裂かれたら大損だし、温泉街の中なら遊女のお仕着せでもそんなに不都合はない。『美人湯』の湯女は三人とも積極的にそうしているし、『仙寿庵』に二人だけいる湯女も、それとわかる格好で見知ったくらいだ。
 奇策が功を奏したのか、二度と部屋を荒らされることはなかった。梢枝はますます――職場だけでなく街中でも奔放に振る舞い、客に注目されて大車輪で稼ぎ、性の愉悦も満喫していたのだが。

 月が替わって学校が夏休みになると、例年ならどの旅館も閑古鳥がいっそうかまびすしくなる。暑いさ中に温泉でもないだろうし、家族持ちは家庭サービスを余儀なくされる。独身男性は――確実にやれる風俗よりも、素人女性をナンパするという困難に挑んで海へ繰り出す者も少なくない。
 週刊誌の宣伝効果は薄れてきたが、梢枝を名指しで来る日帰り客は後を絶たなかった。そんな客でも、三時間も四時間も待たされるよりは、少々歳を食っていてもすぐに相手をしてくれる湯女で我慢する者が多いから――梢枝ひとりがてんてこ舞いであとの四人はお茶を引くという事態には至らなかったが。しかし、梢枝の荒稼ぎがいっそう目に付くようになったのも間違いなかった。
 泊り客が少なくて、梢枝も含めて暇を持て余していた夜。
「ちょっと話がある。付き合ってもらうよ」
 京子に呼び出されとき、これまでになかったことだから不安にはなったけれど、、ネチネチと厭味を言われるくらいだろうと、まだ梢枝は高を括っていた。
 入浴客がひとりもいない露天風呂へ連れ出されて、そこには他の三人の湯女が待っていた。腰に手拭いを巻いただけの、仕事姿だった。
「おまえも着物を脱げよ」
 お仕着せの浴衣を引き剥がされると、下にはなにも着けていない。浴衣の下にごちゃごちゃ着込む不自然な装いが、むしろマナーとして定着するのは昭和五十年代以降のことだ。
「客が来るとまずいから、おまえの好きな場所へ行こうか」
 マッサージ小屋の端の部屋へ押し込まれた。いちばん若い珠代が外で見張りに残ったが、それでも二畳間ほどの部屋に四人。梢枝を壁に押しつけて三人が取り囲む形になった。
「おまえ、わしらの忠告を鼻であしらうとは、いい度胸だね」
 正面に立った京子が顔を近づけてくる。
「あの……意味がわかりません」
 不意に京子が身を引いた。と同時に――バシン。
「きゃっ……!」
 爆発するような頬の痛みに、梢枝がよろめいた。
「ざけんなよ。洗体のイチャツキもたいがいにしろと、何度も言ったよな。ここでのサービスも余計なことまでするなって、これも言ってるぜ」
 心当たりが、まったく無いわけでもなかった。
「岩陰だって、気配は伝わってくるよ」
「赤二本だって願い下げって客もいるのに。梢枝ちゃんは、好き嫌いがないの?」
「逆洗体は、まあうちの専売特許てわけじゃあないけど」
「たんびに本気になったら身がもたないわよ」
 懸け離れて若いのでからかわれているのだろうくらいにしか思わず、「はあい」とおざなりな返事で聞き流してきたのだが。
 かなり険悪な雰囲気だから――土下座くらいはして「これからは気をつけます、ごめんなさい」と卑屈になれば、平穏に治まっていたかもしれないが。自分はなにも悪いことはしていない。青臭い正義感、あるいは自己主張が、梢枝の対応を誤らせた。いくら最年少とはいえ自分が一番の稼ぎ頭だし、週刊誌の記事が評判になって温泉郷全体が潤ったのも、自分の功績だという気持ちもあった。取材を受けたのがフミさんだったりしたら、この二か月間の盛況はなかっただろう。
「あたし、誰にも迷惑を掛けてません。女将さんだって、何も言わないじゃないですか」
 京子が、またビンタを張ろうとした。それを予期していた梢枝は、ただかわすのではなく左の腕で弾き返した。
「てめえ……生意気にも程があるよ」
 梢枝をにらみつけて、ふいっと部屋を出て行った。
「梢枝ちゃん。今のは、あなたが悪いわよ」
 フミの声は柔らかかったが、それを聞き分けられるほど梢枝も冷静ではない。黙って立ち尽くしている。
 京子はすぐに戻って来た。手桶に湯女の洗い道具を入れているように見えたのだが。
「言葉で駄目なら、身体に言い聞かせてやるよ」
 ヤクザまがいの言葉を吐いて、梢枝を押し倒した。朋美も加勢する。
 梢枝は逆らわなかった。抵抗しても、体格で勝る相手と二対一、フミも加われば三対一。そんなに酷いことはされないだろうとも思っている。女将さんに知られたら、叱られるのは四人だ。
「ふてぶてしいねえ。この期に及んでも知らん顔の半兵衛かい」
 京子が手桶から剃刀を取り出した。浴場に備え付けのT字形安全剃刀だった。
「いやでも腰を隠すようにしてやるよ」
 水で湿しもせずに、剃刀を股間にあてがった。
 ザリッ、ザリッ……乱暴な手つきで淡い淫毛を刈り取っていく。
 ときおり鋭い痛みが肌を奔って、そのときだけは顔をしかめる梢枝。しかし、これだけで済みそうだと見当をつけて――怯えは薄れていた。
 こんなことくらいで負けるもんか。内心では、そんなことを考えている。
========================================

洗体

 200枚ちかく書いてきて、やっとSMぽくなってきたら、剃毛だけでチョン。
 そりゃまあ、この後に「ササクレ擂粉木」で傷つけられて、でも「負けないもん!」とアナルデビューしたり、濡れ衣着せられて旅館の亭主から針折檻されたりは予定していますが……生ぬるいですねえ。
 『大正弄瞞』とか『非国民の烙淫』を書いたのと同じ作者かい――と、自分でも思ってしまいます。
 別に、意図的にソフト路線に転向してメジャー・デビューを狙ってるわけじゃないですよ。
 こういう設定でこういうSTORYだと、こうなってしまうという必然性なのです。


 たぶん。これを書き終えたら反動で、超ハード作品に走ると思います。
 いよいよ超ハード超長編の『赤い本と白い百合』をおっぱじめるか、鬱勃たるパトスの噴出でショタマゾに寄り道するか、SMツアーの『誘拐と陵辱の全裸サンバ』を一揆加勢か。なんてことは、今の作品を書き終えてから考えます。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:昭和集団羞辱史(湯女)

 2週間以上ブログを更新しないとベッタリと広告が貼りつけられるから。まあ週イチくらいで更新すればいいかな。なんてスタンスで考えていましたが。なにがしか書き進めていない状態は1か月も続かないし(Progress Reportだけでも間に合う)、ストック原稿はあるし。『お気に入りの写真』なんて始めたから、これだけで50本は記事にできるす。
 といった背景はありますが。ここ数日、UUがチャイルス新規感染数グラフみたいに急降下中。
 なので、ZAITACK中でもあり、平日の朝っぱらから新規リリース。
 今回は、ヒロインの初仕事ぶりを御紹介。


========================================
 仕事は明日からということになっていたが。
「すまないね。さっきの団体客が、宴会の前にスッキリしておきたいと言うんでね」
 ライトバスで来た団体客は十四人。この旅館としては滅多にない盛況だという。それはいいのだが――四人の湯女のうち一人が生理休暇なので、三人だと五回転になる。まともにサービスしていては、宴会の開始が午後九時になってしまう。といって、サービス時間をあまり切り詰めては評判が落ちる。梢枝が応援に加わって、サービス時間を十分だけ切り詰めて、最後の組がマッサージを始める頃に宴会を始めれば、どうにか七時半に間に合う。
「長旅で疲れているだろうけど、頑張ってもらえますか」
「はいっ!」
 元気の良すぎる返事に、亭主が苦笑した。
 素肌をお仕着せの浴衣で包んで控室へ行くと、フミよりも若い女性が洗い場から戻ってきたところだった。
「ここは立入禁止……あら、その浴衣。それじゃ、あんたが新人さん」
 この温泉地にふつうの湯治客は滅多に来ない。とはいえ、広告を出すのは男性向けの通俗週刊誌に限られているから、知らずに訪れる家族連れがいないでもない。それと見分けるためではなくて、宿泊客の助平根性を煽るのが目的だが、湯女のお仕着せは極端に丈が短くて、お端折り無しの対丈(ついたけ)で着ても膝小僧が見えている。だから、梢枝がかけ離れて若くても家族連れ客と見間違えられたりはしない。
「来る早々連チャンさせられて大変やね。うち、朋美。あんたと倍半分までは違わんわ」
「あ、はい。あたし、林梢枝です。よろしく……」
「名字は、仲間内でもあまり言わんほうがええよ。あ、備品はそこの棚に並んでるから」
 朋美は棚から乾いた手拭いを取って、腰に巻き替えた。石鹸や軽石のはいった湯桶も、新しい物に取り換えて、あたふたと出て行った。
「梢枝ちゃんも急いでくれよ」
 三十歳だか四十過ぎだか梢枝には見当のつかない冴えない男が控室にはいってきた。友美が使っていた手桶を棚からおろして、新しいものに取り換えた。
 亭主の前でも平然と全裸になった梢枝だ。それに、朋美の慌ただしさに巻き込まれてもいる。梢枝は浴衣を脱いで、大きめの手拭いで腰を包んだ。
「行ってきます」
 なんとなく挨拶をして、控室を出た。出口にさっきの老人が控えていて、手に帳面を持っている。
「梢枝ちゃんの初仕事は、あの方です。よろしくお願いします」
 洗い場の右端で朋美が洗体を始めている。梢枝の姿を見て、湯船に浸かっている客の中から一人が立ち上がった。継父と同い歳くらいで、父よりもかなり肥っている。
 左端の岩に座った男の前に、梢枝が正座した。
「梢枝と申します。お身体をあわわせていただきます」
 頭を下げながら、言い間違いに気づいた。そして、クスッと笑った。
「なにがおかしいんだ?」
 客の声は尖っていた。
「あ、ごめんなさい。あたし、初めてで緊張してるみたいです。洗わせてって言うところを泡わせてなんて言って――でも、泡だらけになるんだから間違ってないかなって、おかしくなったんです」
「なるほど。泡だらけになるまでサービスしてくれるんだ」
 客のトーンは丸くなっただけでなく、ねちっこくなった。風呂場で継父が梢枝に掛ける声の質と似ていた。
 梢枝は習い覚えたばかりの手順で、客の身体を洗っていった。そして最後に股間に手を伸ばしたとき。
「きみはちっとも泡だらけになってないな。あっちを見ろよ」
 洗い場に片膝を立てて座った朋美を客が背後から抱きついて、スポンジで朋美を洗っている。立てたほうの足首に白いゴムバンドが二本巻かれているを見て、梢枝は最初に見た光景を思い出した。あれも朋美だったのだろう。
「初仕事って言ってたね。それじゃ、ご祝儀を兼ねてこれでどうかな」
 青いゴムバンドを差し出されて、梢枝は戸惑った。
「マッサージのときは、赤で頼むからね」
 青は白の三本分。
「ありがとうございます」
 梢枝は受け取って、右の足首に巻いた。朋美より若くてピチピチしてるんだから五割増しで当然と思う一方で、お金に見合うだけのサービスをしてあげないと申し訳ないとも思った。評判になれば、後に控えているお客も青バンドをくれるかもしれない。もしも、受け持ちの三人全員から赤青両方をもらったら、基本料金と合わせて――千五百円の手取。一人前の大工さんだって、この半分くらい。日雇の賃金だったら三日分。
 お金への執着がとくにあるわけではないけれど、貰えるものはもらっておきたい。
 そんな思いが、継父との悪戯の記憶と結びついた。梢枝は客に背中を向けて、膝に乗った。父よりも太っているので背中に客の腹が当たるのがくすぐったかった。
「おっ……大胆だね」
「お客様は、スポンジであたしを洗ってください」
 梢枝は尻をずらして、股間から男の肉体を突き出させた。手桶から泡を掬って両手で男を握り、しごき洗いを始めた。
「おっ……やるねえ」
 スポンジが乳房をこすり始めた。
「くはああ……」
 演技ではなく、梢枝は喘いだ。すこし乱暴で痛かったが、エッチなことをしているされているという意識が、頭を痺れさせ腰を疼かせた。ここでは、母の耳を恐れる必要はない。
「気持ちいいのか?」
「父さんは……」もっと優しく揉んでくれたと言いかけて、そこで口をつぐんだ。血のつながっていない継父とはいえ、こういうことをしていたと世間に知られたら後ろ指をさされるという常識はそなえている。知っているから、禁断の果実は美味なのだけれど。
 客は梢枝の言葉を聞き漏らしたのでもないだろうが、深く追求しなかった。自分の不埒な計画に頭がいっぱいだったのかもしれない。
「よーし。こっちも、手洗いをしてあげよう」
 客は梢枝をすこし前に押し出した。スポンジを左手に持ち替えて乳房への悪戯を続けながら、泡まみれの右手を梢枝の股間に差し入れる。
「ここをなんて言うか、知ってるかな?」
 割れ目を穿ち、頂点の肉蕾をほじくり出して摘まんだ。
「クリトリスです。それくらい、知ってます」
 にょるんと指でしごかれた。
「ひゃうんっ……それ、今はやめてください。立てなくなっちゃう」
「腰を抜かされちゃ困る」
 言いながら、二度三度としごく。しごくというよりは――枝豆の鞘をしごいて中身を絞り出す、その反対の指の動かし方だった。
 梢枝の身体が宙に浮いて、背筋を何度も波が突っ奔った。
「梢枝ちゃん」
 険しい声が、洗い場の反対側から聞こえた。
「つぎのお客様も居てんから、ええ加減でマッサージを始めとき」
 脱衣場のドアの上には丸時計が掛けてある。洗体を始めて二十分が過ぎていた。
「はあい。お客さんも、それでいいですね」
「いいも悪いも……」
 客は自分の足首に巻いていた赤バンドを渡しただけでなく、白バンドを五本もくれた。基本料金が二百円で、その場でどりらにするか決められるように赤も青も購入すれば、ちょうど千円。心付にしろ変態的な要求の見返りにしろ、白バンドは五本(五百円)が切りが良い。
 客の気前の良さへの梢枝の感想を言葉にすれば――「うわあ、うわあ、うわあ!」といったところか。
「トルコよりも凄かったよ。マッサージも凄いんだろうね」
 まだ身体が宙に浮いたまま、梢枝がふらりと立ち上がった。
「こちらへどうぞ」
 腰に巻いた手拭いはたくれ上がって尻も股間も剥き出しになっていたが、気がつかない。朋美と、後からはいってきたもうひとりの湯女は呆れた顔。湯に浸かっている三人の客は――欲情を隠そうともせず、梢枝の裸身を眺めている。
 継父からの性的な悪戯を別にすれば、恋愛経験も恋の駆け引きも知らない梢枝だった。客の期待に応える方法は、ひとつしかなかった。
 客はベッドも無い殺風景な部屋の様子に戸惑っているのか、それとも梢枝の出方をうかがっているのか、ぽかんと突っ立っている。
 梢枝はドアを閉めるなり、客の正面にひざまずいた。顔を見上げるのはさすがに羞ずかしかったので――半勃ちになっている肉体を、パックンと咥えた。
「ん……」
 梢枝の知らないことだが、客の反応は実は尋常ではない。
 この時代の娼売女にとって、売春とは膣性交のことであり、肛淫も口淫も変態の極みだった。キスを許すのもフェラチオをするのも、恋人(あるいは情人)だけという昔からの気風が色濃く残っている。しかし、ここの湯女は交渉次第では口淫奉仕をする者もいるという噂を知っていたからこそ、要求もしないのに女のほうから仕掛けてきても、驚かずに済んでいる。
「んん、んん、んん……」
 梢枝は両手で男の尻を抱いて、口の中で男に舌をからめながら、ゆっくり上体を動かしている。肉茎に手を添えて喉の奥を疲れないようにするとか、文字通りに手抜きして手でもしごくといったズルは仕込まれていない。
 男の反応については、経験は継父ひとりだがそれなりにわきまえている。身体全体が強張って亀頭が表面まで硬くなると感じた瞬間、梢枝は身を引いた。立ち上がって、奥の棚からコンドームを取った。
「使ってください」
 ただ手渡すのは失礼かなと、また膝立ちになってコンドームを両手で奉げた。
「せっかくだから、着けてくれよ」
 なにがせっかくなのかわからないけれど。「負おうと言えば抱かれよう」おんぶしてあげようと言うと、抱っこしてくれとつけ込んでくる。そんな諺がある。
「あたし、こういうの初めてだから、間違ってたら言ってくださいね」
 小袋をミシン目で千切ってゴムの円盤を取り出した。円盤というか、ゴムの皮膜は信じられないほどに薄い。それが何回も巻かれて外周のリングになっている。巻き下げる向きを考えて、梢枝はコンドームを亀頭の先端にあてがった。
「それじゃ駄目だ。まん中が小さな袋になってるだろ。それをつぶしておかないと、射精のときに破れてしまう」
 なるほどと、素直に納得して客の指示に従った。ゴムが薄いし、表面がぬらぬらしているので何度も指を滑らしたが、どうにか装着できた。女性の手でいじられているとはいえ、気恥ずかしさもあるのだろう。装着しているあいだに、肉体の意欲が幾分か失われていた。
 そのまま、客はゴロンとあお向けに寝転がった。
(え……?)
「女の子が上に乗るやり方は知ってるかな?」
 梢枝は、どう答えようかと迷った。知識としては知っている。しかし経験は無い。
「とにかく乗ってごらん。教えてあげるから」
 手持ちのバンドすべてをくれた気前良さに報いようと、梢枝は男の言葉に従った。女から仕掛ける羞ずかしさに、顔を合わさないよう後ろ向きになった。膝立ちになって右手で怒張の付け根を握り、そろそろと腰を沈めていく。亀頭が淫裂を割って――そこで、梢枝の動きが止まった。浅いところでつっかえている。
「○ンコの中は、けっこう広いんだよ。○ンポを穴に合わせるんだ。腰を前後にずらしてごらん」
 膣前庭。家庭向けの医学書に書いてあった単語を思い出した。膣口は、その真ん中あたりに開いている。じわあっと腰を動かしていくと、ぬぷっと嵌り込む感触があった。けれど、すぐにつっかえる。
「角度が合ってないんじゃないかな。向きを変えてごらん」
 ちゃんと挿入できないと仕事にならない。梢枝はいったん立ち上がって客に正面を向けた。目を合わせないようにして、腰を沈めていく。さっきよりは深くまで嵌ったような気もするが、やはりつっかえる。
「もっと身体を起こしてごらん」
 針に糸を通すときは、もちろん針の穴を見詰めている。それと同じで、梢枝は左手を突いて上体を倒し、結合部を覗き込んでいた。
 具合の良い角度を探りながら徐々に身体を起こしていくと――ずぐうっと怒張が押し入ってきた。
「痛いっ……」
 まったく予期していなかった尖烈な痛みだった。破瓜の痛みは、たいしたことがなかったのに。
「ん……? まさか、実は初めてだったなんて言うんじゃなかろうね」
 からかっている声の中に、一沫の戸惑いがあった。
「これまで一回しか経験がないんです。それもひと月半前でした」
 動いていないのに痛みが強くなった――のは、梢枝の中で、さらに怒張したのだろう。
「もしかしたら、処女膜が再生しちゃったかな」
 まさか――と、客が笑った。痛みが薄れた。
「馬鹿言ってないで、動いてくれよ」
「はあい」
 こんなときにお行儀の良い返事をするかなあ。梢枝は内心で苦笑しながら、客の求めに素直に応じた。
 曲げていた膝をすこし伸ばして腰を浮かすと、にゅるんと怒張が滑るのがはっきりとわかった。加減がわからずに、抜けてしまった。が、すぐに挿入し直せた。
 継父との時には、傷口をくすぐられるような微妙な快感があったのだが、今は――ただ、体の中でなにかが蠢いているとしか感じなかった。そのかわり、自分が上になっているせいか、内臓への圧迫も感じなかった。
「うん、うん、うん、うん……」
 梢枝は上下運動を始めた。呻きとか喘ぎではなく、掛け声だった。
「ちっとも感じてないね。角度を変えるとか、上下だけじゃなくて腰で『の』の字を描くようにくねらせるとか、工夫してみろよ」
 これはお仕事なんだから、あたしが感じようと痛がろうと、さっさと埒を明けてほしいな。それが、梢枝の本音だった。
 それなりに女と遊んできた男にとって、新米娼婦の心底なんてお見通しなのだろう。
「女がシラケてたんじゃ、男はちっとも楽しくないんだよ。女を俺の○ンポで善がり狂わせてこそ、女を抱いた甲斐があるってものだ」
 客は両腕を伸ばして、他の湯女に比べたらささやかな梢枝の乳房を握った。そして、力をこめて握りつぶす。
「い、痛い……やめてください」
「こうやって別の意味で女を泣かせて喜ぶやつだっている。痛いのと気持ちいいのと、どっちがいい?」
「痛いのは厭です」
「それじゃ、気持ち良くなるよう、努力しろよ。手伝ってやるから」
 男の手から力が抜けて、もぎゅもぎゅふにふにと乳房を揉み始めた。
「あ……」
 痛みの反動なのか。継父に揉まれるよりも気持ち良かった。
「腰が止まってるぞ。ほら、イチニ、イチニ……」
 掛け声に合わせて乳房を揉まれて。それに合わせて梢枝は腰を振り始めた。
「感じてないね。もっと身体を倒して」
 乳房を引っ張られて、上体を傾ける。挿入できなかったところまで身体を倒していくと、ごりごりと怒張が中をこすった。けれど、違和感でしかない。不自然な姿勢で、膝と腰が疲れてくる。それは、腕を宙に浮かして乳房を揉んでいる客のほうも同じなのだろう。
 乳房から手がはなれたとき梢枝は上体を起こしたが、身体の支えがないと動きにくい。
「押して駄目なら引いてみろっていうな。逆に背中を反らしてみちゃどうだい?」
 素直に従って。倒れそうになったので後ろに手を突いた。
「あ……?」
 一瞬、それまでとは違う感覚が浅い部分に生じた。気持ちいいとは言い切れないが、けっして不快ではなかった。
「横への動きも忘れないように」
 客は腰を両手で持って揺すった。
「あ……?」
 一瞬だが、はっきりと快感があった。熱い波が奔り抜けるようなそれとは違って、腰の奥から熱泉が湧き出るような快感だった。
「お、感じたかな。自由に動いてごらん」
 客の求めに応じて、梢枝はのけぞった姿勢で身体の角度をいろいろ変えながら膝の屈伸運動を続けた。水平に円を描いたりジグザグに動かしたりもしてみた。
 そのうちに――一瞬の快感を引き出すやり方がわかってきた。それを続けると、途切れ途切れの快感ではなく、腰の奥からこんこんと熱泉があふれ始めた。腰をくねらせるほど、湯量が増えてくる。上下運動を激しくすると湯が熱くなってくる。
「あっ、あっ、あっ……あああっ……吹き上げられるウ」
 空中に浮かぶ感覚よりも、ずっと激しい。
「いいぞ、その調子、その調子」
 客は軽く膝を曲げて手足で踏ん張りながら、梢枝の動きに合わせて腰を突き上げ始めた。
「出すぞ。一緒に逝けよ」
 右手を結合部に伸ばして、新芽のように淫裂から突き出ているクリトリスを摘まんだ。
「そら、逝け!」
 腰の動きよりも早くクリトリスをしごかれて。熱泉のなかから大きな波が立ち上がって背筋を突き抜けた。
「うああああああっ……!!」
 梢枝の背中がいっそうそり返って、ビクンビクンと痙攣した。そのまま動きが止まって。三十秒もしてから、客の胸に崩折れた。
「ふう……凄かったな。若いから未熟という娘も多いが、きみは若いから神経が鋭いんだな」
 ついに真の絶頂を知らないままに終わる女性も少なくはない。わずか二度目の性交でそこに達した梢枝は――客の言葉が正鵠を射ているのだろうが。継父との性的な戯れで開発されてきたからでもあっただろう。当時の少女といわず女性としては、性交への禁忌を育んでいなかったことも大きい。そして。理想的な客に巡り合えたからでもあったが。梢枝の奔放が客をその気にさせたと考えられなくもない。
 ともかく。性交によってのみ得られる快楽を知ってしまったこと。湯女(売春)とは、気持ちのいいことをしてたくさんのお金をもらえる素敵な職業だと信じ込んでしまったことが、梢枝の人生を大きく変えていくことになるとは、当人の知ることろではなかった。
「いつまでも惚けてないで、仕事をしろよ」
 ぺちんと尻を叩かれて、梢枝は半分くらい正気に還った。
「はあい」
 宙を漂ったまま客の腰から降りて、客が自分でコンドームをはずすのを眺めていたが。ふと思いついて――まだ鎌首をもたげて湯気を立てているそこに、顔を埋ずめた。
「おいおい……」
 咥えて、唇でしごき下で舐め、残り汁を吸い出して飲み下した。それは婦人雑誌で覚えた作法ではない。そんな破廉恥な仕種まで記事にすれば発禁ものだ。梢枝の本能、こんな目くるめく快感を与えてくれた御本尊様への感謝であり執着だった。
 さすがに、清掃奉仕を終えた頃には理性も目を覚ましかけていた。急に羞ずかしくなって――照れ隠しに、またしても男を感激させた。きちんと正座して三つ指を突いたのだった。
「お粗末さまでした」
「あ、いえ……こちらこそ」
 二人が同時に頭を上げて、目が合って。ぷっと吹き出した。
========================================

構図1リアル&目線

 PLOTと異なる展開です。
 予定では、最初はおっかなびっくりモジモジおずおず――だったのが。ある日、年配の客から
「どうも、孫娘を相手にしているようで後ろめたい」
 当然ながら老木(この話では樹木をメタファにしています)はショボーン。
 よーし、それなら。これでどうだ?
 と、抱きついたり、アレコレする予定だったんですけどね。

 しかし、なんといいますか。わずか2回目の挿入でアクメるなんて、蟻来たりのエロ小説に堕してしまいましたね。濠門長恭SM小説としては最短記録じゃないでしょうか。

 話は変わりますが。ここんとこ、サブキャラは名前だけ決めておいて。作品中に登場してから、成り行きで言動など性格設定して、それを(後で齟齬らないように)メモしていくという、ぶっつけ本番方式を採っています。執筆歴5年未満の良い子悪い子普通の子は、真似しちゃだめですよ。

テーマ : 今夜のおかず
ジャンル : アダルト

progress Report 1:昭和集団羞辱史(湯女)



 チャイルスのせいで、在宅勤務中です。
 通勤往復3時間が無くなって、そのぶん執筆時間が増えるかというと……むしろ、逆?
 CAD環境がグレードダウンして、開けないファイルをコンバートしたり、印刷して赤ペンチェックした紙を提出できないのでスキャンしたり、業務メールチェックのついでにニュースサイトを覗いたり(こらあ!)。土日も4時間くらいはCADってます。6AMからWORDで、1PMからAutoCAD。
 まだ原稿用紙換算100枚の体たらく。5月中に脱稿はするでしょうが、校訂とかしてると、公開は7月ですね。ついに月刊濠門長恭が途切れます。
 愚痴はさておき。GUCCIは無縁。


========================================

   継父と混浴


「お父さん、お風呂わいたよ」
 梢枝が告げると、父が夕刊をたたんで立ち上がった。
「先にはいってるぞ」
「はあい」
 梢枝は整理箪笥から父の下着と自分の下着とを取り出した。三年前に弟が生まれてからは、父の身の回りの世話は主に彼女がするようになっていた。
 父が湯船に浸かる頃合いを見計らって、梢枝も風呂場に向かった。洋一を寝かしつけながら娘を見送る母の目に微妙なかぎろいが浮かんだのに、梢枝は今夜も気づかなかった。
 脱衣籠の中の父の下着を洗濯籠に入れて、新しい下着と交換する。棚から二つ目の脱衣籠を取り出して――梢枝も服を脱ぎ始めた。
 以前は週三回の入浴日ごとに組み合わせが違っていたが、今では父と梢枝、母と洋一の順番に定まっている。三番風呂まで使っては薪代がかさむ。
 裸になって。梢枝は自分の乳房を見下ろした。去年までは上半分がわずかにえぐれていたけれど、今ではふっくらと丸みを帯びている。ぼつぼつブラジャーをしてみようかなと思ったりする。梢枝はちょっと気取って、髪を手拭いで包んだ。長めのお河童で、先生に叱られない範囲で段を着けている。
「お父さん、はいるよ」
 声を掛けてから、曇りガラスの引き戸を開けた。あえて、前は隠さない。隠すのは、そこを意識しているからだ。父親を相手に娘が羞ずかしがるのはおかしい。たとえ、相手が血のつながっていない継父だって同じだ。それに――カマトトぶって羞ずかしがったりしたら、父も遠慮するかもしれない。
 湯船からすこし離れてしゃがんで掛け湯をして、この一年で淡く生えそろった毛を掻き分けるようにして、割れ目の中まで指で洗った。襞の奥に垢を貯めておくと不潔だし、お湯を汚すことにもなると――父に仕込まれている。もちろん、お尻の穴も丹念に洗った。
 梢枝が立ち上がると、父は湯船の中で腰を前に滑らせた。
「乗っかるね」
 断わってから、梢枝は父に背中をあずけて腰の上に座った。梢枝よりずっと剛い毛が尻にくすぐったい。くすぐったいといえば――梢枝の股間を割ってそそり勃ってくる肉体が割れ目に食い込んできて、これは梢枝を妖しい気分にさせる。勃起は物理的な刺激で起きる生理現象だと、二年前に父から教わった。
「それだけ、梢枝が重くなってきたんだよ」
「やだ。コズエ、太ってなんかないよお」
 わざと舌足らずな言い方をしたけれど、そのときから梢枝は、父の中に男性を意識している。肉体の急激な変化は物理的な刺激が無くても起きるのだとも、とっくに気づいている。それでも一緒にお風呂にはいるのは、薪代の節約だけではない。
「お尻もずいぶんと丸くなってきたね」
 父の両手が尻をなぞる。
「…………」
 くすぐったいのをこらえて、梢枝は口を閉ざしている。子供っぽく笑ったりすると、父が悪戯を中断してしまうからだ。居間にいる母に声を聞かれるのも心配だった。黙ったまま、わずかに尻をくねらせた。父の行為を受け容れて快感を感じているという意思表示だった。
 父の指が鼠蹊部をなぞって淫埠を掌で包み込んだ。親指で丸みをなぞりながら、中指が淫裂の頂点から包皮に埋もれた蕾を掘り起こして――裏側からくすぐる。そこに疼きが生じて固くしこっていくのが、自分でわかる。
「く……んんん」
 鼻に抜ける吐息が甘く震えるのまではおさえられない。そして、こういう反応が父を興奮させることも、梢枝は知っている。
 父の左手が腹をなぞって乳房に達した。乳房を撫で、下から持ち上げるようにしてやさしく揉んでくれる。すでに充血している乳首が、ますますとんがっていく。そこをチョンッと摘ままれて。
「んんんん、んん……」
 大きな声にならないよう、梢枝は歯を食いしばった。
 父の腰で尻を突き上げられて――まるで自分の股間からそそり勃っているような父の肉体を両手で握った。自分への刺激に合わせて、柔らかくしごく。
 頭も腰も痺れてきて、梢枝は自分が宙に漂っているように感じている。
「くううんんん……」
 もうちょっとで背筋を稲妻が走り抜ける。そこまで達したとき、ふいに父が身体の位置を入れ替えて中腰になった。目の前に突きつけられた怒張を、梢枝は口にふくんだ。と同時に、喉の奥に熱い衝撃を感じた。
「んぶっ……!」
 葉子は頭を引いて父からのがれて。口中に放出された汁を飲み込んだ。二年前にフェラチオを教えられてからずっと、そういうふうに躾けられている。
「ちぇええ……負けちゃった」
 絶頂の寸前で放り出された不満と、秘密の悪戯の後の羞ずかしさとを、照れ隠しの笑いに紛らわせた。
 湯船から出て身体を洗い始めた父の背中を眺めながら。今日はもう身体を洗ってくれないだろうなと、ますます欲求不満を募らせる梢枝だった。
========================================

20170911315820.gif

 今回のヒロインは、ロリマゾ以上に奔放です。
 湯女になってからも、マッサージ室での自由恋愛にとどまらず、露天風呂の洗い場でも抱きつき洗いとか客に洗ってもらうとか、イチャイチャエロエロ。とうぜん人気が出て。ヒロインばかりが指名されて、先輩遊女はお茶を引いたりするようになって。
 リンチですね。淫毛を剃ってやれば羞ずかしくて娼売いないだろうという目論見は、ロリ人気で裏目に出ます。
 ならばと、イガイガ擂粉木でズボズボゴリゴリ。ところが、前門の虎後門の狼です。
 肌を傷つけられても。
「お姐さんたちに折檻されたんです」なんて、客の同情を引いてみたり。
 どうにも、淫惨な展開になりそうもありません。
 今回は、これまで以上に「出たとこ勝負」で書き進めています。田川水泡流です。1コマ目でノラクロ三等兵が歩いてて、4コマ目でスッ転んでいる。2コマ目と3コマ目は即興で埋めるという。巨匠の真似をしたら自滅するのはわかってますが。
 今回の仏蘭西大量爆撃が失敗したら。熱帯雨林を怨恨骨髄冥府魔道厭離穢土、祇園精舎の鐘がゴ~~~ンです。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:昭和集団羞辱史(トルコ嬢)



 一気に脱稿しました。

 前借は返済する端から監視役の亭主が勝手に追い借りして、しかも当時の利息制限法スレスレの年利109%で、増えこそすれ一向に減らない。ので、トルコ嬢としてうんと頑張って愛想を振りまいて演技もして、四か月で30万円ヘソクッて。一気に返済してトンズラする計画です。
 そこで、警察の手入れです。その経緯は本文を読んでいただくとして。
 元々のPLOTでは、口封じというか生身の賄賂というか、ヤクザ組織から生贄にされて、取調室や独房で犯されて(筆者の)気分が乗れば「告発を取り消せ」と拷問されたり男子留置房へ手錠付きで放り込まれたり――の予定でしたが。戦前の特高じゃあるまいし。MOBというかペニス装備キャラ(をい)の動機づけに無理が生じて。連休も終わりにさしかかってきたし(これが一番の理由?)急転直下で端折りました。


========================================


   逮捕寸劇

 苛酷な虐待の影響なのか、帰宅してすぐ葉子は予定より一週間早い生理を迎えた。
「静養と生理休みとをひとまとめに出来て、かえって良かったじゃないか」
 勝雄の無神経な言葉に、ますます葉子の気持ちは離れていった。その反面、トルコ嬢としてこれまで以上に頑張って前借を早く清算しようという決心は、ますます強固になった。
 アルバイトの三日を含めて一週間ぶりに職場へ復帰した葉子を待っていたのは、店長の思いもかけない言葉だった。
「休むのは四日間だけと聞いていたから、昨日と一昨日には予約を入れてあったんだよ。すっぽかした客への詫び料を含めて、追加の罰金が二万円になる。これで、葉子ちゃんの前借は百二十万を超えたね」
 葉子は耳を疑った。最初の前借は百万円だった。それから二か月間働いてきて、借金が増えているはずがない。それを言うと。
「こないだは断わったが、それまでにキミのヒモ亭主には五万円ずつ二回貸している。それから、自腹での接客が十一回あるね。葉子ちゃんの持ち出し分が六万円だ。客が一本しか付かなかった日には、前借分の天引きをしていないしね」
 とっさのことで、暗算が追いつかない。けれど、二か月で少なくとも百本は接客している。二十万円は返済しているはずだ。逆に二十万円も増えているというのは、納得できない。
「借金には利息が付くというのは知っているね。日歩二十銭だから、二か月の利息が十二万円ほどになる」
「…………!?」
 日歩というのは百円に対する一日分の利息だ。百万円なら一日に二千円。二か月分だと十二万円にもなる。
「もう、あいつには勝手に前借させないでください」
 そう訴えるくらいしか、葉子には思いつかなかった。そのせめてもの訴えを、店長は無下に退ける。
「チンピラといっても、菱口組だからね。今は兄貴分とやらだが、本部長なんかが乗り込んできたら、キミも無事じゃ済まないよ」
 そうか。こいつは、ヤクザがわたしたち一家を地獄に突き落としたことを知っているんだ。同じ穴のムジナなんだ――葉子は、暗澹と気づいた。前借の百万円だけじゃない。何年もトルコで働かせて、骨の髄までしゃぶり尽くすつもりなんだ。それを拒んだら――また芸能事務所に連れ込まれるか、残酷なアルバイトを強制されるか。
 一週間前の葉子だったら、絶望していただろう。けれど――トルコ嬢としてうんと頑張って一日でも早く借金を返そうと、一度は決心している。その決心まで翻しはしなかった。
「でも……前借が増えるのは、店長も困るのでしょう?」
 店長が苦い顔をした。
「そりゃあ、限度ってものがあるからねえ」
 その限度というのは、たぶん百二十万円かそこらだろう。
「わかりました。少しでもたくさん返せるよう、これからは頑張ります」
 店長が訝しげに顔を見詰めたほど明るい声で答えて、葉子はベニヤ板で仕切られた待機部屋へはいった。セーラー服に着替えながら、決心を新たにする。
 接客時間は二時間が基本だから、ふつうに頑張っても一日に三本だけど。必死に頑張れば四本はいける。緊縛研究会だか残虐研究会だかでされたことを思えば、この店で客が『詫び料』を払ってする行為くらい、へっちゃらだ。うんと稼げば、千円や二千円をヘソクッても勝雄は気づかないだろう。そうやって百万円を貯めて、店長にたたきつけてやる。それでもヤクザは諦めないかもしれないけれど――どれだけ輪姦されようと焼きを入れられようと、あの土蔵の中よりも非道いことなんて、出来はしない。だって、私を壊したら元も子もないんだから。
 まさか母や弟まで脅しのタネに使われるとは――それ以前に、残虐な拷問でなくても心をへし折る手段は幾らでもあるとは、そこまで思い至るには葉子の人生経験は浅すぎた。
 葉子は娼売妓として生まれ変わった。先輩に手練手管を教わって、自分でも客の反応を観察しながら工夫して。じきに、待機室に戻る暇もないくらいの売れっ妓になった。群を抜いて若い少女が、店の名に恥じないくらいに献身して、甘えたり拗ねたり、しかも結局は客の要求をたいていは(詫び料をもらったうえで)受け容れるのだから、人気が出ないはずがない。
「うわあ、ものすごく太い(長くはないけれど)。収まるかしら」
「(細くて短いけれど)カチカチだあ。こんなの、恐いです」
「やだ……気持ち良すぎる。やめてください。いやああ……やめちゃ、いやだあ」
「手押し車? 体育でするみたいのを……やだあ、エッチイ。ここじゃ狭いから、廊下に出ましょうよ。受付までそのまま行って、追加料金を払ってくださいね」
「三千円もいただいて――飲むんですか。それはサービス料に……別のやつってオシツコですかあ? そんなこと(今日は)したことないけど、献身的で淫乱な女子生徒ですもの、仕方ないですわね」
 逆に乙女(ではないが)の小水を所望する客もいた。股間にむしゃぶりつく変態もいれば、しゃがませて(あるいは立たせて)放水させる物好きもいた。飲まされるよりも、こちらのほうがずっと羞ずかしかった。
 それ以上の行為は、個室に臭いがこもるからと店側で禁止していた。大小にかかわらず、動物の持ち込みも禁止だった。もしも許されていれば――葉子は、それさえも拒まなかったかもしれない。
 葉子がずっと無毛を続けているのも、人気の理由だった。年齢よりもさらに幼く見えて、それを好む客が多かった。年齢にこだわらない客も、無毛の淫埠を押し付けられて喜んだ。銭湯では羞ずかしい思いをしなければならなかったけれど。
「伸びてきたら、チクチクして痛いって夫が言うんです」
 不都合は勝雄に押しつけた。パイパンのせいもあって、葉子がトルコで働いていることも近所に知られてしまったが、「売女」「恥知らず」という自分への陰口よりは、「女に貢がせているグウタラヤクザ」という勝雄への悪口のほうが心地よかった。
 短い期間だったが、女子校で女同士のややこしい付き合いも経験している葉子は、先輩に憎まれたり疎まれたりしないよう気をつかってはいたが。必死にヘソクリを貯めようとしているのだから散財はできない。高価な贈り物を配ったところで、「小生意気なガキ娘が」と逆効果にもなりかねない。
 葉子が考え付いたのは、セーラー服を待機室に残しておくことだった。憎まれていたら、次の日には汚されているか切り裂かれているか。そして、毎日同じ服で出勤する。仕事用の下着は清潔で質素でも色っぽいものを毎日取り換えるけれど、通勤にはブラジャーを着けずパンティではなくくたびれたズロースを穿いた。
「いくら稼いでも、全部取り上げられるんです。一度ハンドバッグの底に千円札を隠したことがあったんですけど、ひっくり返して調べられて……」
 乳房に食い込んだ指の痕を見せたら、同情してもらえた。葉子の話は事実ではあったが、勝雄が不審に思うほど少ない金額を渡して、持ち物検査をするように仕向けたというのが真実だった。日払いの中からくすねた金はスカートの裏に縫い付けた隠しポケットで持ち運んで、日中に店の近所の郵便局で貯金している。印鑑は部屋の隅に隠して、通帳は郵便局で預かってもらっている。紙きれ一枚の預かり証くらいは、どうにでも隠せる。
 同じ部屋で暮らす以上、勝雄の夫として当然の要求は拒めなかった。むしろ積極的に応えて、仕事で覚えたテクニックも駆使した。
「なんだかんだ言っても、女ってやつは嵌めて満足させてやりゃあ従順なものですね」
 葉子の前で兄貴分にそんなことを吹くまでに、勝雄は油断していた。もっとも、「嵌めて満足させる」だけでもなかった。料理も洗濯は葉子のほうから禁令を出していたが、部屋の掃除くらいは(ヤクザとしての務めや仲間を引き連れての遊びの合間に)していた。どれだけ女房が身を粉にして稼いでいても家事全般は女の務めだとふんぞり返っている男に比べれば、爪の先くらいにはましだったかもしれない。
 勝雄にしてみればご機嫌取りのつもりだったろうし、葉子もわかりきったうえで本心を見透かされまいと迎合していたのだが。
 そんな見せかけの平和が四か月ばかり続いてヘソクリも三十万円に近づいていたとき。葉子の未来を完膚なきまでに破壊する事件が起きた。
 そのイチゲン客は、別の組織のヤクザかと思うくらいに強面(こわもて)でごつい体格だった。
「自分で脱ぐから。キミも早く支度しなさい」
 客はとっととパンツきりの半裸になって、洋服は自分でハンガーに吊るした。
「ずいぶんと若いね。まさか、未成年じゃないだろうね」
 羞じらいを装いながらセーラー服を脱ぐ葉子に、ベッドに腰掛けた客が尋ねた。
 おや――と思った。ほとんどのイチゲン客は年齢を聞き出そうとするが、未成年という言い方をした客はいなかった。が、それを葉子は深く考えなかった。
「私、結婚してるんですよ。だから、在学中でも成年ですよ」
 実年齢を明かしたも同然だが、それで勃起させる客はいても逆はなかった。しかしこの客のパンツは、ちっとも盛り上がらない。
 葉子は洗面器に湯を掬って、性病判定用のシャンプーを垂らして、カイグリカイグリで泡立てた。
「それじゃ、こちらへどうぞ」
 股間をでろんと垂らしたまま、脚が洗い椅子に座る。
(こん畜生)という内心は隠して、それでもきつめにしごいてやった。さすがに、鎌首をもたげてくる。これなら病気は持ってなさそうだと安心する。
 シャンプーを替えて、最初にスポンジを自分の身体に使って。客に背後から抱きついて乳房を押し付けて(くねらせながら)客の胸から腰までを洗った。泡を塗り直して、体重の半分は自分の脚で支えながら客の腿に尻を乗せて、乳房だけでなく無毛の下腹部まで押しつけながら、スポンジで背中を洗った。
 見た感じでは、客は三十台後半。そのせいか、怒張は葉子の股間を突き抜けるほどには凶棒化しなかった。
 シャワーで泡を洗い流して、二人で浴槽に浸かる。ここまで、客は葉子にされるがままになっていて、助平な要求を持ち出すどころか自分から積極的に動こうともしていない。
 この店に来る客はもちろん富裕層ばかりだが、金はあっても遊び慣れていない客もいることはいる。この男も、そのひとりなのだろう。葉子はシラケるどころか――他の嬢には目もくれないくらいに夢中にさせてやろうと張り切った。当時は、まだエアマットが導入されていない。ベッドの上では、どうしても本番行為が主体になる。浴槽でのイチャツキが、サービスの決め手だった。
 葉子は客と向井合わせになって、膝とか腿ではなく腰にまたがった。そうして、淫毛に女性器をこすりつけた。土蔵で鍛えられて(?)からこっち、この程度の刺激はまったくの快感でしかない。
「ああん……ふううんん……」
 客の耳元で嫋々と喘いだ。七割りは演技だが、三割は実感を強調している。
 それでも、客は葉子の肌に(やむなく触れるだけで)手を伸ばさない。どころか。
「こんなサービスで五千円とは、ずいぶんボッタくるもんだな。もう帰る」
 葉子を押しのけて立ち上がった。浴槽から出て、バスタオルで身体を拭いている。
 ほんとうに、このお客様はトルコ風呂のことを知らないんだろうか。
 葉子もあわてて浴槽から出て、大急ぎで身体を拭いた。
「今までのは、入浴料金分のご奉仕です。サービス料金分は、これからなんです」
 ベッドに身を投げ出して、膝を立てて脚を開いた。
「私を淫らな恋人だと思って扱ってください。息子さんが言うことを聞いてくれないなら、お口で奮い勃たせてあげます」
 軽く腰を浮かして、両手を広げて誘う。
 そこまでされて言われて、葉子の誘いを理解しない朴念仁はいない。客の股間が上段の構えに変じた。
「い、いいんだな。つまり、その……サービス料ってのは、売春のことなんだね」
 じれったくて地団太踏みたくなる気持ちをこらえて、葉子は含羞(はにか)んでみせた。
「そんな野暮は言わないでください。私、お客さんが大好きになったし、お客さんだってそうでしょ。相思相愛の恋人同士が結ばれるのは当然でしょ?」
「というのが建前かね」
 薄く嘲笑を浮かべながら、それでも葉子におおいかぶさってくる。
「ややこしいこと、言わないでください。息子さんは正直ですよ」
 葉子が手を伸ばして怒張を握り、股間へ誘った。そして、先端が淫唇を掻き分けた瞬間。男が、ぱっと身を引いた。ハンガーに掛けてある背広から、金属の環のような物を取り出した。
「売春行為の現行犯で逮捕する」
 直立して宣言したと同時に、葉子をベッドから引き起こして――手錠を掛けた。
「え……?!」
 ピリピリピリ……
 客がドアを開けてホイッスルを短く鳴らした。
 待合室から一人の男が飛び出して、葉子の個室に押し入ってきた。大きな鞄からカメラを取り出して、葉子に向ける。
「いやっ……」
 後ろ向きになって顔を隠そうとしたが、手錠で引き戻された。
 バシャ。バシャ。フラッシュを焚かれた。
 外は大騒ぎになっている。さらに二人の私服刑事と三人の制服警官が店に飛び込んできて。
「警察だ。そのまま、動かないように」
 悲鳴と怒号が交錯し、フロントでは従業員と刑事との揉み合いが始まったている。
「キミは現行犯だからね。何日か泊まってもらうことになるよ」
 裸身に腰縄を打ってから手錠をはずし、セーラー服の上下だけを葉子に投げてよこした。役得のつもりか、パンティはズボンのポケットに突っ込んだ。
「早く着なさい。素っ裸で連行されたいのか」
 動転したまま、葉子はスカートを穿いてセーラー服を頭からかぶった。襟を整える前に、また手錠を掛けられた。そして、店の外へ引きずり出された。
 入口をふさぐ形で黒塗りの大型乗用車が停まっていた。すでに集まり始めている野次馬の視線を遮っている。素裸で引き出すという刑事の言葉は、実行不可能な脅しではなかったのだ。葉子は後部座席に押し込まれた。すぐに、これも着崩れたセーラー服姿の先輩が二人、押し込まれてきた。制服警官がハンドルを握って、葉子の客を装っていた刑事が助手席に乗ると、すぐに自動車は動きだした。その後に、小型バスのような灰色の車が横付けする。一網打尽という言葉が、葉子の頭に浮かんだ。
「へええ。右ハンドルかあ。国産車にも、こんなごついのがあったんだ」
 初日に葉子の部屋に顔を出した恵美子が、お嬢様言葉は捨てて呟いた。
 刑事が振り返って、恵美子の顔を眺める。
「おまえなあ。逮捕されたんだぞ。ドライブに行くわけじゃないんだからな」
「事情聴取のための任意同行でしょ。売春の容疑だけでは逮捕できないはずじゃん」
 刑事が苦笑した。
「おまえ自身への管理売春という形にもできるんだぞ」
 チッと恵美子が舌打ちして黙り込んだ。
 三人が連行されたのは、繁華街一帯を所轄している分署ではなく、本部警察署だった。セーラー服姿の若い女性がぞろぞろとしょっぴかれているのに、誰もが無関心だった。
 顔写真を撮られて指紋を採取されて、それからすぐに取り調べが始まった。取り調べは葉子を逮捕した刑事が、そのまま担当した。制服警官が部屋の隅の小机に座ってノートを広げている。
「さっきの姉ちゃんが小難しいことを言っていたが、キミは管理売春容疑で逮捕されている。自分に不利になるようなことは、話さないでよろしい」
 そこで記録係を振り返って。
「しばらくノートを閉じていろ。ここからはひとり言だ」
 指を櫛にして、わさわしゃと髪を掻き上げた。
「この春の異動で赴任してきた本部長殿は、世間知らずのボンボンでな。この街にはびこるヤクザを本気で取り締まるつもりらしい。その手始めが資金源のトルコとノミ屋だ。まあ、トルコ嬢が自分で管理売春をしていて、店はまさか売春行為が行なわれていたなんて知らなかった――そういう話なら、七面倒は起こらない。お嬢ちゃんたちも、執行猶予付きの懲役だから一年もおとなしくしていれば職場復帰もできるだろうさ」
 一年も稼ぎがなければ――金食い虫の勝雄は、アルバイトを何度もさせるだろう。それよりも気がかりなことがあった。
「私、お店に百万円の前借があるんです」
「むぐっ」あるいは「ぶふっ」というような音が部屋の隅から聞こえた。巡査の初任給の百倍ちかいから、当然の反応だろう。
「これを返せなくなります」
 ふうむ――と、刑事が腕を組んで天井をにらんだ。大衆相手の水商売では、前借の相場はその十分の一くらいだ。
「そいつは民事だからなあ。警察ではなんとも出来ない」
 うなだれた葉子に同情したのか。若さゆえの正義感からか。記録係の警官が口をはさんだ。
「島田警部殿。店側が前借でこの子を縛っていたのだとしたら、公序良俗に反する契約ですから無効になるんじゃないですか」
「おまえは黙っとれ」
 叱りつけてから。煙草を抜き出して口に咥えた。
「ふうむ……」
 煙を輪にして吹き上げた。
「ボンボンに花を持たせてやるか」
 すぐに煙草を揉み消して、身を乗り出して葉子に向かい合う。
「若いのが言ったことは、間違いじゃない。途方もない前借を押し付けられて、不本意にも売春行為をさせられていたとなると、キミは被害者だ。罪に問われることもない。前借も法律が無効にしてくれる。そう証言するかな?」
 警官がノートを広げるのを目の隅に捕らえて。
「まだ早い。閉じておれ」
 刑事が灰皿から吸殻を取り上げて、また火を点けた。
「いや、別の攻め口もあるな。結婚してると言ったな。だから成年だと。それは民事の話で、だからトルコで働いていいことにはならない。おまえが現役の女子校生と知りながら働かせていたのだとすれば、店長は有罪だ」
「私は中退ですけど……店長は知っています。わざわざ学生証をお客さんに見せろって言ったくらいですから」
「売春防止法と労働基準法。ふたつ揃えば、店長の首をすげ替えるだけじゃすまんな。営業許可を取り消して、店舗そのものを潰せるかもな。本部長殿も、さぞお喜びになるだろうて」
 島田警部は短くなった煙草を灰皿に突っ込んで。思い出したように接ぎ穂の無い話を始めた。
「上の命令で敵方にカチコミ……つまり、敵と大喧嘩をした組員の行く末を教えてやろうか。これは雑談だぞ」
 葉子にも警官にも念を押してから、言葉を続ける。
「自分一人でやりました。親分の命令でもないし、弟分は自分の言いつけに従っただけです。そんなふうにひとりで罪をかぶったやつは、出所してからそれなりの待遇を与えられる。懲役のあいだは、家族の生活費も組が面倒を見る。しかし、組織を売ったやつはドラム缶に詰められて海の底だ。刑務所の中にまで殺し屋が送り込まれることだってある」
 店側の違反を告発したら、葉子も同じ目に遭うと脅している。
「まあ、女は幾らでも使い潰しが効くから、タマまでは取られない――おっと、ハナからタマは無かったな」
 警官が苦い顔をした。
 部分的にわからない言葉もあったが、葉子にも意味はわかる。また芸能事務所で引導を渡されるか、前よりも残酷なアルバイトをさせられるか――そして、新たな前借を押し付けられるのだろう。菱田組配下のトルコ店は『献身女学淫』だけではないだろう。それとも、噂でしか知らないけれど、報復の意味で『チョンの間』とかいう最下級の淫売屋へ売られるかもしれない。
「怖くなって、やはり泣き寝入りするか?」
 ふてぶてしい犯罪者を自白に追い込むベテラン捜査官は、すでに葉子の性格を見抜いていて、脅しているようで、その実けしかけている――と、葉子が思い至るはずもなかった。
 どれだけ従順に猫をかぶっていても、必死に稼いでも、またアルバイトをさせられないという保証はない。葉子にしてみれば、超高級トルコ店でも最下級の淫売屋でも、女を踏みにじられる屈辱に変わりはない(性病の危険性までは念頭になかった)。
 自分のことではなく、母と弟の身の上が心配だった。自分が反逆したことで、二人にまで報復が及ぶのではないか。
 同じことなのかもしれない――とも考えた。勝雄は(というよりも背後の花田組は)前借の百万円だけでは勘弁してくれず、さらに三十万円以上(四か月のあいだに十万円も増えていた)を葉子から毟り取っている。母も弟も、それこそ使い潰されるに決まっている。
 もしも勝雄に飼い馴らされていたら、彼の為にも頑張ろうという気になっていたかもしれない。しかし、実際には真逆だった。
「私に前借をさせたのは、夫です。もっと上の人からの指図で、そうしたんです。それは罪にならないんですか」
「既婚者は成人と見做すわけだから、ちょっと難しいかな。脅されてとかなら、話は別だが」
 その言葉が、最後の一押しになった。
「脅されたなんてものじゃありません。いきなり、何人もの男たちに強貫されたんです。引導を渡されたんです……処女だったのに!」
 話しているうちに激情がつのってきた。
「母も同じ部屋で強貫されたんです。売春婦になることを承知するまで、十人でも二十人でも犯してやるって」
 そんなふうにはっきりと覚えているわけではない。わけのわからないうちに、殴られ犯され縛られて監禁された。葉子の記憶では、そうなっている。
「おいおい。そりゃまた別口で立件することになるぜ。もっと上の人間と言っていたな。ヤクザの幹部が婦女暴行となると……菱口組も空中分解だな」
 屈強な男を殺すのは勲章だが、か弱い女を力づくで、まして数を頼んで犯すようなやつは最低のクズだ。建前の部分は多いにしても、そういった筋が通されていた時代だった。幹部が婦女暴行で有罪になったら、組全体が他から相手にされなくなる。
 ――葉子の気持ちが落ち着くまでひと休みとなった。葉子は取調室に留め置かれたまま、島田警部と若い警察官とが席を外して、三十歳前くらいの婦人警察官がケーキとお茶を運んできて、そのまま葉子の前に座った。ケーキは二人分あった。
「悲しいときや辛いときは、甘い物を食べると気がまぎれるわよ」
 いかにも女性らしい勧め方だった。
「……いただきます」
 三角形の生地をバタークリームで包んで苺を乗せたショートケーキ。一家離散して以来、初めて口にする贅沢だった。ケーキのひとつやふたつ、ヘソクリの妨げにはならないけれど、勝雄は辛党だし、ひとりで食べるのはなんだか盗み食いしてるみたいで――自然と遠ざかっていた。濃厚な甘みが口いっぱいに広がっていくうちに、胸の中にあふれていた悲哀が、すこしだけ溶けていくような気がした。
 ――再開された取調で、事の発端が父の使い込みだったことも含めて、葉子は洗いざらいを打ち明けた。もしそのことで父が罪に問われても、仕方のないことだと突き放していた。葉子の供述は、婦女暴行と売春と若年労働と三枚の供述書に分けてまとめられた。終わったときには日が暮れかけていた。
「管理売春についてはキミの嫌疑が晴れたわけではないから、ひと晩はここに泊まってもらうよ」
 独居房に入れられた。夕食はアルマイトの弁当箱で差し入れられた。公費負担で老若男女一律の内容だという。白米のご飯は持て余すくらい多くて、切り身の焼き魚とホウレンソウのお浸しは、付け足しくらいしかなかった。最後は沢庵でご飯を食べて――満腹を通り越してしまった。
 なにもかも一気に決着がついてしまった。そんな思いで、先々への不安は抱えながらも――葉子は半年ぶりに、安らかな眠りに就いたのだった。


   私刑宣告
 翌朝。早々と目が覚めて、することがないので、ぼんやりと正座していた。騒ぎさえしなければ、胡坐をかこうが逆立ちをいようが自由なのだが、見回りに来た警官も教えてくれなかった。もっとも。姿勢を崩してもいいと言われても、そんな気にはなれなかっただろうが。
 昼前に葉子は取調室に呼ばれた。手錠も腰縄も掛けられなかった。昨日の島田警部ひとりが待っていた。
「すまんが――昨日の調書は、無かったことにする」
「…………?」
「ボンボンは性根が座っとらん」
 吐き捨てるように言う。
「本部長殿の奥様が、習い事の帰りにチンピラどもに囲まれて――何事も起きずに帰宅あそばされたそうだ。そして今朝になって、菱口組関連の捜査は中止というお達しがあった」
 つまり、無罪釈放。と同時に、葉子が告発した事件も、すべて無かったことにされたのだ。
「亭主が迎えに来てるぞ。帰って、たっぷり可愛がってもらえ」
 明日から――いや、今日の午後からでも、男どもに身体を切り売りする日々が再開されるのだ。落胆はしたが。この四か月は、地獄の日々とまではいえなかった。女としては惨めでも、金銭的には――進学しないで就職した同窓生よりも、ずっと恵まれていた。
 四か月で三十万円のヘソクリ。返済した分だけ前借させられても、あと一年で百二十万円(前借の限度だと、葉子は推測している)貯まる。それまでの辛抱だ。そんなふうに自分を慰めながら、警察を出た。
 待っていたのは勝雄だけでなく、兄貴分も本部長もいた。厭な予感がした。
「すまないな」
 付き添ってきた島田警部が耳元でささやいた。
「全員の調書を要求されてな。余計なことまでしゃべってないか、調べるんだろう」
 葉子の三通の調書も渡したと告げられた。本部長が首謀者になって葉子と母を輪姦させたという告発も、強制的に前借をさせられて無理強いに売春をさせられていたという証言も――なにもかも。
「組織を売ったやつはドラム缶に詰められて海の底」
 島田の言葉を思い出して、葉子は立ち竦んだ。逃げようとは考えなかった。追いつかれるに決まっているし、それ以前に――逃げて行く先がない。
 男どものほうから近づいてきて、葉子を取り囲んだ。
「すみませんね。お手数を掛けまして」
 島田に鷹揚に会釈してから、葉子にドスの効いた言葉を浴びせる。
「ふざけたことを歌ってくれたもんだな。十日やそこらは寝込んでもらうぜ」
 二の腕をつかんで、葉子を引っ立てる。
「心配するな。顔にも娼売道具にも――治らないほどの傷は負わせないさ」
 芸能事務所のダンス練習場に拉致されるのか、あの土蔵へまた売られるのか、それとも……これまでの凄惨な体験からも想像できないような残虐で淫惨な折檻をされて。
 いっそ殺して楽にしてほしいとさえ願いながら、葉子は処刑場へ連行されるのだった。

トルコ嬢:完

========================================


 さて、これからヒロインはどんなリンチを受けるんでしょうかね(もはや他人事)。
 
鞭打ちにするか

 基本の鞭打ちは、右の画像くらいまでは過酷になるでしょう。

反省させるか

 24時間ぶっ通しで責めるのは(男が)疲れますから、休みも入れましょう。全身有刺鉄線緊縛して、長い針も添えてやりましょう。モザイクだらけになるので割愛しますが、下半身も同じかそれ以上に虐めましょう。

極刑にするか

 治らないほどの傷は負わせないと最高責任者(?)は言っていますが、可愛さ余って嗜虐百倍。
 芸術的な折檻なら商品価値も高まります。これくらいでびびるような客は『献身学淫』には来ません。被虐美であると同時に、稀に来店するマゾ男には女王様の貫禄というものです。右のような『破壊』までは、たぶん突き進まないでしょう。『公女両辱』は西洋中世でしたが、この物語はそれなりに公序良俗が支配しています。それとも、監視役ヒモ亭主が男気(?)を出して、「生涯、俺が飼ってやる」とか?

 さて。推敲校訂は下手投げで吊り出しといて、『浴場編(湯女)』に着手しましょうかしら。
 こちらは、濠門長恭的ハッピーエンドになる予定です。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:昭和集団羞辱史(トルコ嬢)


前回のレポートはこちら→

SM折檻
 戸籍上の亭主になった、実質監視役の若い男が組への上納金が払えず、ヒロインに「アルバイト」をさせる。というストーリイでした。
 ここで、ヒロインはマゾに開眼したりもせず、ズタボロに責められて――という予定でしたが。こういうシーンでは、延々と書き込みます。趣味です。生き甲斐です。ライフワークです。半分嘘です。
 とにかく、ひとつの章では尺が足りません。そこで、後半を分けました。


========================================

   痛悦馴致


 抱き起こされて、葉子は目を覚ました。裸電球ひとつきりが点されていて、夜なのか朝なのかもわからない。半日も葉子を縛っていた縄がほどかれる。わずかに指先がじいんとしたが、痺れているというほどではない。縛られるなんて初めての体験だったが、師匠と呼ばれている男の縛り方は名人芸なのだろうと、葉子にも察せられた。
 全裸のまま外へ連れ出された。動けないほど痛めつけられて引きずり出されるのならともかく、自分の足で立って朝の陽光の中へ出るというのは、場違いな羞ずかしさを感じてしまう。七八人の男どもが待ち受けているとなると、なおさらだった。
 水道柱の前にしゃがんで、渡された歯ブラシで歯を磨き、顔を洗って手拭いで拭いた。悪夢のような虐待の中での日常的な一齣に、葉子は違和感さえ覚えた。しかし、日常はそこまでだった。
「そこで排泄しなさい」
 ハイセツという言葉が意味を像(かたち)作るまで数秒を要した。言われてみると――冷たい床の上に何時間も放置されて、欲求は切迫していた。
「昼過ぎまで土蔵に閉じ込めておくからね。粗相をしたら、昨日の責めがお遊びに思えるくらいの折檻をするよ」
 脅かされて、横はコンクリート床の隅にある排水口の前に、男どもに背を向けてしゃがんだ。
 トルコ風呂では自分から積極的に全裸でお客に絡みついたり本番をされたり、ここへ連れて来られてからは女性器を晒したり虐められたりされて。それでも、羞恥心が鈍磨したわけではない。我慢しているだけだ。排泄にしても同じことのはずだが……尿道を閉ざしている筋肉は葉子の(消極的な)意志に従ってくれなかった。
「お願いです、ひとりにしてください。見られていると、できません」
「葉子ちゃんは、まだまだ初心だね」
 師匠のではない声が近づいて。背後から抱え上げられた。大きく開脚させられて。横合いから別の男が、先を尖らせた鉛筆を股間に埋めた。指で割り広げて覗き込みながら動かした鉛筆が、尿道口をつついた。
 ぶしゃああああ……
 太い水流が空中に放物線を描いた。
「あああっ……いやだああ……」
 排尿の快感で吐息が漏れて、後半の言葉は頭で考えて付け足していた。
 葉子は下ろされて、下からホースの水を浴びせられた。紙で拭く必要は無かった。
「大きいほうは出さなくていいのかな?」
 葉子は小さくうなずいた。昨日は大量の水浣腸をされて、それからご飯の一粒も口に挿れていない。それを思い出したとたんに、グウウと腹が鳴った。
「うむ。元気があってよろしい」
 なにが元気なものか。今すぐ入院させてほしいくらいだ。
 土蔵へ連れ戻されて。床に丼と箸がじかに置かれた。茶碗二杯分ほどのご飯に、魚のアラを具にした味噌汁がぶっかけてあった。
 土蔵の扉が軋みながら閉ざされると同時に、葉子が丼を持ち上げようとして――腕に力がはいらないと知った。やはり、緊縛の後遺症だろう。どうにか両手で抱えて、丼にかぶりついたのだった。
 ――腹がくちくなって、股間の痛みもむず痒いような疼きにまで落ち着いてくると、葉子は暇を持て余すようになった。昨夜と同じd、昔のことも今のことも考えたくはない。男どもは元気がどうこうとしきりに言っていた。きっと、昼からは昨日以上に非道いことをされるのだろう。すこしでも身体を労わっておこうと、ごちゃごちゃ置かれた品々(主として拷問用具)の中から毛布を見つけて。それにくるまって身を横たえると――昨夜よりはすこしだけ安らかな眠りへと落ち込んでいった。

 今度は、扉の開く音で目が覚めた。すべての電球が点されて、二十人ほどが葉子を取り囲んだ。全員の顔を覚えているわけではないが、昨日は見掛けなかった顔が半分くらいは混ざっていた。
 三メートル余の梯子が引き出されて、浅い角度で壁に立て掛けられた。梯子と葉子は判別したが、高所への登り降りに使う物ではないらしい。踏み段がが途中で二つ分ほど抜かれている。脚の部分には大きな金具が付け足されていて、壁から延びた鎖につながれると、三十度よりも浅い水平に近い角度で固定された。
 葉子は毛布を剥ぎ取られて、梯子の上に寝かされた。踏み棒をはずした部分に、すっぽりと尻が嵌り込んだ。手足を引き伸ばされて、両手は揃えて縛られ、足は開かされて左右の縦桟に括りつけられた。
 長机が運ばれて、そこに洋酒の壜とグラスが置かれた。透明な酒がグラスにたっぷり注がれて、それを師匠が口にふくむ。
 葉子は唇を重ねられて、洋酒を口移しで飲まされた。父が飲んでいたウヰスキーやワインを、ひと口だけ舐めさせてもらこともたまにはあったけれど、そのどれよりも甘く、するすると喉を通った。
「これはシェリー酒といって、白ワインに媚薬を混ぜたものだよ。媚薬、わかるね。女性をエッチな気分にさせる薬だ。だから、これからキミがどんなに乱れても、それは媚薬のせいだからね」
 二か月ほど前に、性的にまだ青いヌードモデルの鈴蘭を陥落させたときと同じ口説だった。
 壜とグラスが片付けられて、代わりにさまざまな小道具が並べられる。大小の筆は十数本ずつ。ペンキを塗る刷毛や付けペンもも半ダースほど。ピンセットや小さなペンチもあった。そして、大小各種の擂粉木。樹皮を残した物もあれば、怒張した男根そっくりの形をした物もあった。ディルドという英語はもちろん、葉子は張形という言葉も知らなかった。
 そういった雑貨に混じって、昨日葉子をさんざんに苦しめた猛獣使いの鞭もあった。もしかすると、蠅叩きのような道具も同じ目的に使われるのかもしれない。さいわいにワニグチクリップは見当たらなかったが、洗濯バサミがザララッとぶちまけられた。
 最後に丸椅子が六つ、梯子の両側に並べられた。
 師匠は椅子に座らず、開脚した葉子の膝のあたりにある踏み段に腰を下ろした。両手に太い筆を握っている。あらかじめ分担を決めてあったと見えて、相談もジャンケンもせずに六つの丸椅子が埋まった。六人とも、筆や刷毛をひとつずつ手にしている。
「では、調教を始めるとしましょう」
 師匠が腕を伸ばして、二つの筆を太腿の内側に這わせた。葉子の頭側に座っている二人が筆を左右の腋下を、つぎの二人は乳房をくすぐり始めた。いちばん師匠に近い側の二人は大きな刷毛を梯子の下へまわして、尻をくすぐる。
「きゃああっ……やめてえ。くすぐった……きひいい……ひゃああん」
 八か所を同時にくすぐられて、葉子は悲鳴とも矯正ともつかぬ甲高い声で叫んだ。
「やだ……きゃひゃああっ……やめて、やめて!」
 ふだんなら腋の下がもっともくすぐったく感じるのだろうが――鉄枷の針で穴だらけにされた乳房の傷がかさぶたになっていて、すこし痛いが圧倒的にくすぐったい。
 筆と刷毛の動きが、ますます早く大きくなる。しかし、女の急所を巧みに避けていた。乳房の上で円を描き、渦巻のように乳首へ近づけていって、あと一センチのところで一直線に麓へ走らせる。太腿から鼠蹊部へとジグザグに動いた筆は、鞭痕が残る大淫唇の縁を撫で上げるが、やはり頂点の手前で引き返す。そこも、鞭痕が甘く疼いた。
「きゃはは……あああっ……いや、いやあ……んん」
 嬌声が甘く蕩け始めた。くすぐったさが引いて、もどかしいような快感が潮のように押し寄せてきた。
 師匠がうなずくと、全身をくすぐっていた筆と刷毛とが一斉に引かれた。後ろに控えていた連中が、鞭や蠅叩きを裸身に叩きつけた。
 パッシイン!
 バシ!
 バヂッ……!
「きゃああああっ……!」
 快楽の登り道から突き落とされて、しかし悲鳴は昨日の鞭打ちに比べればはるかに嫋やかで凄惨の色は薄かった。
 ふたたび、葉子の全身がくすぐられる。今度は急所に集中している。左右の乳首に一本ずつと乳房の基底部にも一本ずつ。クリトリスは師匠が片手で下腹部側から皮を引っ張って実核を露出させ細い筆で裏側を撫で上げ、尻を受け持っている男のひとりは刷毛を縦にして淫裂を掘り下げ、もうひとりは太い筆で尻穴をくすぐっている。
「うああああっ……やめ、やめてええええっ!」
 鞭打たれたときよりも悲鳴は切迫している。
 筆と刷毛とは容赦なく快感を裸身に刷り込んでいく。
「やっだ、やだああっ……おかしくなっちゃう! いや、こんなのいやあ!」
 しかし。師匠の合図で一斉に筆が引かれると。
「あああっ……やめないでえ!」
 筆に替わって洗濯バサミが乳首とクリトリスを咬んだ。
「ひいいいっ……痛い……くううううう」
 快感と苦痛を交互に与えられて、葉子は惑乱している。いや、相反するふたつの間隔が綯い混ざって――歪な快感に止揚されようとしていた。
 太い革紐を何本も束ねたバラ鞭が、乳房と股間を襲う。
 バチイッ……!
 洗濯バサミが弾け飛ぶ。
「ぎびいいいっ……!」
 梯子に縛りつけられた葉子の裸身が反り返った。そのまま激しく痙攣して、ドサッと背中を梯子に打ちつけた。
「逝きましたかね」
「逝きましたな」
「では、徹底的に味を教え込んでやりましょう」
 筆と刷毛の快楽責めが繰り返される。樹皮を残した太い擂粉木が女芯に突き立てられる。
「がはあああっ……いやあああ!」
 しかし、痛いとは訴えない。
 男根を模した擂粉木が尻穴をえぐった。
「熱い熱い……熱いいいいいい!」
 男どもの耳には「良い良い良い」としか聞こえない。
 前後の擂粉木が抽挿を開始した。筆は三本に減った。師匠は乾いた太い筆に取り換えて、クリトリスをくすぐるのではなく擦りあげている。
「うああああっ……あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……駄目めえええええ!!」
 葉子が断末魔の咆哮を迸らせた。手足を拘束された裸身を激しく痙攣させている。
 女芯の擂粉木が引き抜かれた。筆と刷毛も引き下がる。
「やだ、抜かないで……やめないで」
 うわごとのような訴えは、すぐに叶えられた。擂粉木に替わって本物が突き立てられた。といっても、コンドームは装着されていたが。
「ああああっ……い゙い゙い゙い゙い゙っ……」
 絶頂の極みでの媾合。挿入も抽挿も、身体をまさぐる男の手も、すべてが快楽を膨らませてくれた。
「いきますよ」
 師匠の声が聞こえた直後に、男の腰がぐううっと押しつけられてきて乳房への刺激が消え失せた。
 ひゅんっ、バッチャアンンン!
 バラ鞭が真上から乳房に叩きつけられた。
「ぐぼお゙お゙お゙お゙お゙っ……!!」
 激痛への叫びなのか喜悦なのか、もし冷静だったとしても葉子自身にもわからなかっただろう。
「うおおお……締まる」
 男も呻いた。
 ひゅんっ、バッチャアンンン!
「うがあああっ……弾ける!」
 葉子が男の腰を押し返すように身体をのけぞらせた。その動きが怒張をしごきあげて。
「うおおおおっ……」
 男も絶頂を吐き出した。
 男が身を引くと、葉子に催促されるまでもなく次の男が梯子(と葉子)をまたいだ。
「鞭の味を覚えましたかな」
「いや、まだまだ。一日に詰め込むのは無理でしょう。日を空けて何回も繰り返せば馴致できるでしょうが……僕にも、そこまでの経験はないですね」
「わしらも、財布がもたんわ」
 たははは――と、乾いた笑いが起きた。
「うがあああっ……弾ける!」
 ひゅんっ、バッシイン!
 葉子の獰猛な吼え声と鞭の音か交互に土蔵に響いて、今日は十六人の参加者全員が腰を軽くするまで狂艶は続けられたのだった。
 ――葉子は梯子に縛りつけられ、自身の分泌物と血液とで下半身がどろどろに汚れたまま、またひとり土蔵に取り残された。
 葉子は目を閉じて雲間を漂っている。腰は蕩けて、鞭打たれた乳房の疼痛もむしろ快感を先鋭にしていた。
 ここまでで、やっと半分。明日の昼までに、自分はどうなっているのだろう。明後日から出勤なんて、とても無理。また罰金が増える。そんな思いも頭を掠めるが、実のところ、どうでもいいことだった。辱められた嬲り者にされたという思いはあるけれど、だからこその快楽だった。いや、快く楽しいのではい。法悦――それだった。こんな目になら、喜んで何度でも遭わされたい。こうなるのが運命だったとしたら、なんてすばらしい運命なんだろうとさえ思った。
 しかし、法悦のつぎに待っていたのは痛辱だった。今の葉子にとっては、地獄とまでは思わないとしても。
 二時間ほどで男どもは戻ってきた。昼間から酒盛りでもないだろうから、案外と葉子に余韻の愉しませるのが目的だったのかもしれない。あるいは、体力の回復。
 葉子は梯子から解放されて、すぐに巻き揚げ装置を使って吊るされた。両手首はひとまとめに括られて、足首に別々に巻かれた縄は左右に引っ張られて、屋根を支える役には立っていそうにない柱につながれた。
「今度はゲームをしよう」
 師匠が葉子に語りかける。
「これから、キミを鞭で敲く。最後まで声を出さなければ、十発でおしまいにしてあげよう。呻き声くらいはいいことにする。だけど、悲鳴はもちろん声をあげて泣くのも駄目だ。そのときは、残った数に十発を追加してやり直す。七発目で叫んだら、残り三発に十発を足して十三発ということになる。いいね」
 いいも悪いも、男どもの思うがままにされるしかない。葉子は黙ってうなだれた。
 それを師匠は敢えて曲解したのだろう。双つの乳房をつかんで、内側へきつくねじった。
「この期に及んでも強情だね。すこしは手加減してあげようという仏心が鬼心に変じるというものだよ」
 師匠が後ろに下がって、上半身裸の若い男が葉子の前に立った。猛獣使いの鞭を手にしている。
「おとなしくしていれば、たった十発で済むからな」
 言葉でも嬲られている。女芯に打ち込まれた一発ずつの激痛は、まだ葉子の記憶に忌まわしいまでに鮮明だった。布切れを詰め込まれた上にサルグツワを噛まされても、大声で喚いた。最初の一発で絶叫するに決まっている。
 男が鞭を真横に振りかぶった。
 いきなり股間を鞭打たれるのではなさそうだと、わずかに安堵した葉子だったが。
 バヂイイン!
「(あ)ぐ……」
 乳房を水平に薙ぎ払われて、葉子は叫び声をかろうじて飲み込んだ。乳房そのものが女の急所だ。しかも、昨日の拷問椅子で針穴だらけにされている。乳房全体が爆発したような激痛だった。
 バヂイイン!
「くっ……」
 ふたたび乳房が爆発して。葉子は気力を振り絞って悲鳴を封じた。
「うん。なかなか愉しませてくれるな」
 鞭を持つ男の手が、だらりと垂れた。
 葉子は男の意図を悟って――肺の底から絞り出すようにして息を吐いた。
 ビュッシュウウン!
 鞭が女芯に叩きつけられた。鞭の胴部が女芯に食い込んで内側をこすり抜け、先端がクリトリスを弾いた。
「…………!!」
 葉子は大きく口を開けたが、悲鳴となるべき空気は肺の中に残っていない。
 女芯への二発目も同じようにして、激痛に激しく身悶えしたが悲鳴だけは漏らさなかった。これで四発。もしかすると耐え抜けるかもしれないと、葉子は一縷の望みを(無理にでも)見い出そうとする。
「ふうむ?」
 男が葉子の背後へまわった。
 葉子は首をねじって、男の姿を追った。男が腕を横から後ろへ引くのを見て、安堵の深呼吸をした。
 ぶうん、バヂイイイン!
 痛覚と灼熱感が双臀をひと筋に走り抜けた。葉子は息を詰めるだけで耐えた。
 つぎも、同じようにして鞭が水平に宙を奔って――しかし、肌に当たる直前で葉子の視界から消えた。男が途中から腕を振り下げて鞭の先に床を叩かせ、そこから手首のスナップを利かせて跳ね上げた結果だった。
 バッジュイイン!
 鞭の胴部が肛門に叩きつけられ、跳ねた先端が女芯をしたたかにえぐった。
「(きゃ)かはっ………………」
 悲鳴が像作られる前に、葉子は大きく口を開けて息を吐き切った。
「はあ……はあ……」
 ビシュウンンン
 脇腹を打った鞭がそのまま腹に巻き付き、肌をこすって引き戻される。
 葉子の視界の隅に、別の男が背後へ動いたのが映った。竹刀を持っている。
 ビシュウンンン
 今度は腋下を鞭打たれて、乳房に巻き付く。と同時に。
 パシイン!
 竹刀で股間を斬り上げられた。
「(がは)っ…………!」
 もし二人目の男に気づいていなかったら、今度こそ悲鳴をこらえきれなかっただろ。
「ふうん。これで九発か。頑張るね」
 葉子の斜め前に立っている師匠が、別の男に目配せをした。
「キミの健闘を称えて勲章を授与しよう」
 うながされた会員が、洗濯バサミを持って葉子に近づいた。二人の男が両側から葉子の肩と腰を押さえ、乳房をきつく握って乳首を絞り出す。
「ヒョー、ショー、ジョー」
 大相撲で賞状を授与する外人の声帯模写をしてから、正面の男が乳首に洗濯バサミを噛ませた。
「くうう……」
 ワニグチクリップの激痛まで経験させられた葉子は、洗濯バサミで乳房を圧し潰されるくらいでは悲鳴に値しない。けれど、男のふざけた態度に反発を覚えた。もっと真剣に嬲ってもらいたい。そんな思いが頭をよぎったせいもあって。
「ターンタタ、ターン。タタタタ、タ、タ、ターン」
 運動会の賞状授与式などで御馴染の曲を口ずさみながら男が両乳首の洗濯バサミを弾き始めたときは、痛みよりも怒りが先に立った。
「まだ鞭は一発残っているはずです。ふざけてないで、さっさと終わらせてください」
「あーあ」
 数人が嬉しそうに溜息をついてみせた。
「これで、あと十一発になったね」
 洗濯バサミを弾いていた男が、葉子に告げた。
「え……どういうことですか?」
 十一発だろうと百一発だろうと、男どもが満足するまで虐められ続けるのだとは諦めていたけれど――どうにも釈然としない。
「言ったはずだよ。十発の鞭打ちが終わるまでずっと声を出すなと。まだ九発だ」
「あああっ……?!」
 罠に嵌められたと、葉子は悟った。
「非道い。こんな茶番劇なんかしなくても、好きなだけ叩けばいいじゃないですか」
 師匠という男を、葉子は詰った。
 師匠がわざとらしく唇の端を吊り上げた、
「皆さんも聞きましたね。望み通りにしてやろうじゃありませんか」
 最初からそういう筋書きになっていたのだろう。誰も喝采しないし葉子を庇いもしない。
「ハツミ以来のデスマッチですな」
「いや、今回は鞭打ちに限ってですから。サンドバッグも半田ゴテも溺れ責めも無し。そうですね、師匠」
「当然です。この子は、すぐにでもトルコで客を取るのですからね」
「そりゃあ無理筋だよ。三日は寝込むんじゃないか」
「とはいえ――内藤病院に迷惑を掛けない範囲に手加減しておきますか」
 そうか。これまでよりずっと酷い目に遭わされるけど、大怪我まではさせられずに済む。会話を聞いていて、葉子はそう解釈した。もしかすると、私を怖がらせる(と同時に安心させる)ために、わざとしゃべっているのかもしれない――この連中のやり口が、すこしはわかってきた。
「では……おっと、忘れていましたね。まだ金鵄勲章を授与していません」
「せっかくだから、金属のクチバシ――金嘴勲章にしてやりましょう」
 勲章授与役(?)の男がワニグチクリップを持って来て、葉子の正面にしゃがんだ。
 葉子は諦めの息を吐き切ってから、全身を硬直させた。
 昨日とは違って、ワニグチクリップは包皮ごと肉蕾を咥え込んだ。
「いいいっ……」
 葉子は短く呻いただけだった。もちろん、絶叫していてもおかしくない鋭い痛みだったが――剥き出しの実核に噛みつかれる地獄の激痛に比べれば、まだしも耐えられた。だんだんと痛みに馴れさせられているとは、葉子自身にも体感できた。
 もちろん。金嘴勲章が手加減されたのには理由があったのだが。
 紺などは四人が葉子を囲んだ。猛獣使いの鞭、重厚なバラ鞭、竹刀、細竹で大きなハート形に作られた布団タタキ。得物はそれぞれに異なっている。
「では、無制限四本勝負――始め」
 師匠の声と同時に、四本の責め具が葉子の傷ついた裸身に叩きつけられた。
 バッシイン! 布団タタキが尻をひしゃげさせる。
 ビッシイン! 一本鞭が乳房を薙ぎ払う。
 ズンッ……… 竹刀が鳩尾を(軽く)突く。
 バッヂャン! バラ鞭が股間を撫で上げる。
「ぎゃがあ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
 これまでにない凄絶な咆哮が葉子の喉を震わせた。のも、無理はなかった。ワニグチクリップに咬まれたクリトリスを、したたかに鞭打たれたので。洗濯バサミだったら吹き飛んでいただろう。しかし、皮膚に食い込んだ金属の嘴はそこに留まり続けている。
 二度三度と、同じ得物が同じ部位に叩きつけられ、そのたびに葉子は吠えた。
「ぎびひいいっ!」
 四発目で右の洗濯バサミが一本鞭の直撃で毟り取られた。ワニグチクリップは、女のもっとも敏感な部位を咬み続け、血で赤く染まっている。
 六発目で左の洗濯バサミも毟り取られた。
「……もう……赦してください」
 いっそう男どもの嗜虐をあおる結果を招くとは理解しながら、それでも葉子は哀願せずにはいられなかった。
「どうしましょうか?」
 バラ鞭を振るっていた男が、師匠を振り返った。
 葉子は激痛に呻吟しながら、会話を聞き漏らすまいと気力を振り絞っている。
「ひとつだけ願いを聞き届けてやりましょう」
 師匠は葉子に後ろから抱きついて、左手で乳房を鷲掴みにしながら、右手でワニグチクリップをこねくり、いっそうの悲鳴を絞り出させた。
「この金嘴勲章を取ってほしいのかな?」
「はい……お願いですから、これだけは赦してください」
 訴える葉子の声は掠れていた。クリトリスの激痛さえ勘弁してもらえるなら、拷問椅子に座らされてもいい。駿河問でぶん回されながら鞭で叩かれても我慢する。もちろん、自分からそんな交換条件は持ち出さないだけの分別は残していたが。
 師匠は何も言わずにワニグチクリップを外してくれた。じいんと痺れが切れた感覚と、甦った血流でどくんどくんと疼く痛みとが――むしろ葉子に安らぎをもたらしてくれた。
 チャリチャリチャリ……吊っていた鎖が緩められて、葉子は床に倒れ伏した。足を左右に引っ張っていた縄もほどかれた。
(終わったんだ……)
 しかし、安堵は束の間だった。すでにリボンは取れて崩れかけているツインテールに引っ張られて、葉子は無理強いに立たされた。垂らした手が後ろで括られた。その縄にフックが引っ掛けられて。だんだんと吊り上げられていく。
 チャリチャリチャリ……腕が背中からはなれて水平になり、さらに吊り上げられていく。
 チャリ……チャリ……腕が斜め上へ引き上げられるにつれて上体は前に傾いていく。
「くうう……」
「ストップ」
 腕は体幹と直角を保ったまま上体が四十五度まで傾いたところで、師匠が声を掛けた。昨日と同じような布切れを葉子の口元に突きつけた。
「猿轡を噛ましてほしいかな?」
 残酷な質問だった。これからどう虐められるのか、見当がつかない。けれど、慈悲を乞っても無駄なことはわかりきっている。いや。ワニグチクリップは赦してもらえたけれど、昨日の駿河問と同じくらいに厳しく吊られる結果を招いた。言葉を封じられていたほうが、余計なことを言わずに済む。けれど。また強情とか難癖をつけられて、いっそうひどく虐められるかもしれない――と、そこまで考えて。葉子は口を開けた。いっそうだなんて。葉子にしてみれば、これまでの仕打ちは比較級でなく最上級の連続だった。それに。この男は猿轡を噛ませたいのだ。男の意向に逆らう蛮勇など、とっくに無くなっていた。
 昨日と同じに厳しくサルグツワで声を封じられて。
 チャリ……チャリ……
 さらに鎖が巻き上げられていく。
「ぐうううう……ぐうう」
 肩に激痛が居座って、鎖の音とともに激しくなっていく。葉子はつま先立ちになり、さらに吊り上げられて……
「ぎいいいいいっ……」
 満身創痍の裸身が宙に浮いた。じんわりと脂汗が肌をおおう。
 駿河問は吊り責めの中でも一二を争う苛酷さだが。それでも肩に掛かるのは体重の半分だけだ。しかし、後ろ手を一本にまとめられて吊り上げられれば、体重のすべてが肩関節に掛かってくる。今度こそ脱臼するのではないかと、葉子は怖くなった。怖くなったという程度で済んでいるのは――脱臼しても整復できるはずと、その知識にすがっているからなのだが。脱臼したまま、さらに吊られていれば靭帯が破壊されるかもしれないとまでは思い至らない。
 もっとも。肥満男性ならともかく、比較的に体重が軽く筋肉もしなやかな若い女性なら、この形で吊られてもたいがいは大丈夫だと、緊縛研究会の会員たちは心得ている。それを葉子に教えて安心させてやる親切な鬼畜などいるはずもないが。
「では、無制限……そうですね、六本勝負くらいにしましょう」
 六人が互いに一メートルほどの間隔を空けて葉子を取り囲んだ。鞭や竹刀だけでなく、ズボンのベルトや縄束も加わっていた。
「そうらよっ!」
 葉子の真後ろにいた男が竹刀で尻を刺突した。
 ズグッ……ンン。
「いいいっ……」
 身体が振り子のように揺れて、葉子は肩の激痛に呻いた。
 バッチャアン!
 斜め前で待ち受けていた男が、下から掬い上げるようにして乳房にバラ鞭を打ちつけた。
「ぐ……」
 乳房が弾けるような痛みよりも、肩をねじられ絶え間なく変動する痛みのほうが強い。
 バジイン!
 振れ戻ってきた尻に、分厚いベルトが叩きつけられた。その反動で、葉子の裸身は円を描き始める。と同時にゆっくりと自転も始まった。
 バッシイン!
 ビシイッ!
 パアン!
 バッチャアン!
 葉子が揺れるのに合わせて、六人が交互に鞭や竹刀やベルトを全身に叩きつける。そのたびに葉子は身悶えして、さらに振り子運動を複雑な動きにする。宙に踏みとどまろうというように、葉子が足をばたつかせる。そこを狙って。
 ビッシイイン!
 股間を一本鞭が割った。
「ぎびいいいっ……!」
 女芯に鞭を打ち込まれて、葉子は反射的に腰を引こうとしたのだろうが、吊られているので、腿を腰に引きつけるような姿勢になった。そんな不自然な格好はすぐに崩れて、左右の足がばらばらに垂れてくる――ところへ竹刀が突き込まれて上へ擦り上げられた。
「んぶうううっ……!!」
 女性器へ痛烈な一撃で、また脚を跳ね上げる。
 滅多打ち、だった。傷だらけの裸身に新たな筋が刻まれ痣が広がっていく。
「うう……んぐっ……うう……びひいっ……いいい」
 悲鳴なのか泣き声なのか、葉子本人んもわからなかった。涙と鼻水で顔面をぐしゃぐしゃにして。サルグツワから漏れる呻きは、叩かれる部位と叩く得物とで微妙に変化しながら、間断なく続いたのだった。
 ――二十人が交替しながら責めるのだから、鞭を振るい過ぎて腕が疲れるということもない。それでも三十分ほどで凄惨な無制限勝負が終わったのは――嗜虐者たちが劣情をつのらせた結果だった。
 床に転がされた葉子を、昨日のように磔に掛ける手間も省いて、男どもは一人ずつ交代で犯した。意識朦朧としている女には、口淫を強制するのは難しかった。といって、前後を同時にというのも形としては興奮するのだが、案外と具合が良くない。
 二時間以上をかけて、ようやく陵辱はひと巡りした。しかし、葉子への残虐はまだ終わらなかった。両手別々にして、開脚を強いることもなく足の裏が床から浮かない程度まで吊り上げてから、まだ嗜虐を満足させていない数人が葉子の『治療』にとりかかった。
 大きな刷毛で全身に薬用アルコールを塗りたくり、バスタオルで拭き取る。白いタオル地がピンク色に染まった。
「んんんん……?」
 半ば失神していた葉子だったが、鞭とは違って無数の針が突き刺さるような痛みに、意識が戻ってくる。丼にくすんだ黄色い液体が注がれるのを見て、ぶるっと身体を震わせた。かすかな薬品臭から、それがなんであるか、男どもがそれをどうするつもりなのかは明確だった。
 擦り傷の特効薬と当時は信じられていたヨードチンキ液。男の子でも低学年なら泣き叫ぶほどに沁みる。そして、女芯の内側は膝頭の百倍も万倍も敏感なのだ。
 葉子の膝が小刻みに震えた。つまり、それだけ体重が脚に残っている。滅多打ちにされていたときよりは、思考も取り戻している。もしかすると、今日はこれで赦してもらえるかもしれないという、かすかな希望があった。まだ虐め続けるつもりなら、傷薬を塗ったりはしないだろう。
 だから。肌に突き刺さった針で皮膚の裏側を掻き回されるような鋭い痛みにも、歯を食い縛って耐えた。耐えられなくても、耐えさせられる。激しく振り回されったかれていたときは阿鼻叫喚だったが、今は不気味なくらい静かだ。呻き声がこの鬼畜どもの劣情を呼び戻すのではないかと、それを恐れてもいた。
「うううう……いいい……」
 それでも、歯の隙間から苦悶が押し出される。
 薬品の作用で、全身が燃え上がるように感じられた。ことにヨードチンキを塗り込められた内側では、炎の暴風が荒れ狂っていた。
 そうして。全身を真っ黄色に塗りたくられて。吊られたままだったが、サルグツワはほどいてもらえた。
 男たちが土蔵から出ていく。師匠が最後に明かりをすべて消して。
「まだすこし早いが――ぐっすり、お休み」
 葉子はひとり、闇の中に放置された。
 安堵で気が遠くなった。ヨードチンキの痛みはもう薄れかけている。打ち身も鞭傷もじゅうぶんに痛いけれど、とにかく二日目が終わったのだ。足が床に着いているから、吊られていてもそんなに苦しくはない。三角木馬の上よりも、ずっと安逸に身を休められる。
 肉体は消耗しきって、心もズタズタに引き裂かれて。それでも葉子は悪夢すら見ない泥のような眠りに引き込まれていったのだった。
 ――三日目は、朝早くから自然と目が覚めた。もう半日は昨日までと同じように虐められるけれど、それでこの地獄からは開放される。男に身体を売るトルコ嬢としての生活が、今では一家四人の団欒と同じくらいに幸せな境遇に思える。
 こんな目に遭ったのも、結局はお金のせいだ上納金は、ヤクザなのだから仕方がないのだろうけれど。前もって相談してくれていたら、もっと別の方法もあったと思う。いきなり前借に行った勝雄がいちばんの戦犯だけど、そうさせたのは自分だと――葉子は思わないでもない。もっと勝雄に心を開いていたら、彼だって何かと相談してくれただろう。すくなくともトルコ嬢を続けているあいだは勝雄に監視――それが、いけない。名目上の夫に過ぎないし、私の稼ぎに寄生しているヒモだし、監視役だし。それは事実にしても、もっと打ち解けて、甘えて――いや、彼の生活を支えてやって、ヤクザとしての面目を保てるようにお金の面倒もみてあげて。ゆくゆくは、彼を尻の下に敷くぐらいの気構えで臨んでみよう。そのためには、うんと稼がなくちゃ。
 地獄に墜ちて二か月。ようやく葉子は、自分に課された運命をまっすぐに切り開いていく性根が座ったというべきだろう。
 扉が軋みながら開いて、朝の鮮やかな光が土蔵を満たす。
 はいってきたのは、師匠を含めて三人だけだった。葉子は拍子抜けした思いだった。それとも、外で嬲られるのだろうか。
 吊りから下ろされて、白いタオル地のバスローブを与えられた。庶民としては裕福なほうだった瀬田家でも、そんな物は使わない。洋画のヒロイン(せいぜい脇役?)になった気分を一瞬だけ味わった。どうせ、虐められるときは素裸に剥かれる。
 葉子は両側から支えられて裏口から母屋へ引き入れられ、風呂場へ連れて行かれた。
「湯はぬるめにしてある。身体の汚れを落としなさい」
「あの……もう虐めないんですか?」
 綺麗になったところで気分一新、新しい鞭傷を刻んであげよう。そんな答えを予測していたのに。
「プレイは、もうおしまいだ。迎えが来るまで足田を休めていなさい。自分の足で歩いて帰れるようにしてあげるというのが、最初の約束だからね」
「ありがとうございます」
 言葉だけでなく頭を下げてから。自分をこんなふうにした張本人に向かって素直に心の底からお礼を述べている自分を不思議に思わないでもなかった。
「それではお言葉に甘えさせていただきます」
 三人の男の目の前で、葉子はバスローブを脱いだ。トルコ風呂で客に見られながら制服を脱ぐときほどにも羞ずかしくはなかった。
 踊時代からそのままだと言われても納得するくらいに古びた屋敷の中で、風呂場は場違いなくらいにモダンで広々としていた。風呂釜がガス湯沸かしになっているのはもちろんだが、洗い場にはシャワーもあった。
 ヨードチンキで真っ黄色なまま浴槽に浸かるのは、もちろんエチケット違反だ。シャワーで温水を浴びながら、備え付けのスポンジに液体石鹸を染ませてそっと身体をこすった。仕事のときはもっと泡立てて全身を泡まみれにするのだけれど、そういう思いは頭の奥へ追いやった。
 カラカラと磨ガラスの扉が開いて。裸になった三人がはいってきた。
 葉子はうんざりも怯えもしなかった。正直に言うと、筆に引き出された凄絶で淫らな感覚を思い出して――ちょっぴりだけ胸がときめいた。
「背中は自分で洗えないだろ」
 師匠よりも年配の男が新しいスポンジを手にして、正面から葉子に抱きついた。
 それくらいで驚いたり羞ずかしがったりする葉子ではない。トルコ風呂で男の背中を洗うときと、同じ形だ。座っているの相手の膝に乗らないだけ、おとなしい。
「俺は、こっちを洗ってやるよ」
 若い男が後ろにまわって、スポンジを股間に潜らせた。
「ああん……そこ、すごく痛いから優しくしてください」
 これはSMとかいう淫虐な行為ではなくて、女体をエロチックに弄ぶという葉子にも理解できる遊びだった。だから、痛いのは嘘ではないけれどサービスのつもりだった。
「そうか。スポンジでは手加減がわからないから手で洗ってあげよう」
 むしろスポンジよりがさつに掌が股間を包み、指が淫裂を穿った。
「く……」
 痛いと感じるのを、葉子は不思議に思う。鞭を叩きつけられたり凸凹の擂粉木を突っ込まれたり三角木馬の稜線で切り裂かれたときの想像を絶するまでの激痛に比べれば、傷口を指でこすられるくらいは、くすぐられるも同然のはずなのに。心の持ち方なのだろうか。叩かれる非道い目に遭わされると覚悟しているときと、男の淫らな欲望に答えようとしているときとの、心構えの違い。
 しかし、そんな疑問に耽っている場合ではなおと、葉子はわきまえていう。
「く……ううん」
 苦痛の呻きを意識して甘く鼻へ抜けさせた。腰を控えめにくねらせて、快感を装った。性的に弄ばれ性的に奉仕する。それは、この二か月で葉子が(不本意ながら)身に着けてきたトルコ嬢としての振る舞いだった。
 俄然、指の動きが激しくなった。中指と薬指とで女穴をこねくられ、人差し指でクリトリスを転がされ、親指で尻穴を圧迫される。
「いやあああ……おかしくなっちゃう」
 まったくの演技、でもなかった。トルコ嬢としての務めを果たしていたときと同様、こういうことをされているしているという嫌悪はあるけれど、クリトリスがじんじんと痺れ、腰の奥が熱く疼いてくるのも事実だった。今は、そこに傷口をえぐられる痛みが重なっているが――快感を掻き消すほどではない。むしろ、快感に奥深い陰影を刻んでいた。
 年配の男もスポンジを放り出して、素手で乳房をこねくっている。こねくりながら、思い出したように乳首をつまんだり指の腹で転がしたり。そのたびに、これも痛覚にまぶされた快感が乳房を痺れさせた。
 半ば演技で半ば本気で喘ぎながら。女を虐めて悦ぶ変態性欲者でも、ふつうに(?)女性と遊べるのだと、葉子は認識を新たにした。
「この調子では、互いに埒を明けないことには収まりそうもないですね」
 師匠が提案して。三人の男が並んで床に寝転がった。
「これまでさんざんにキミを嬲ってきたからね。今日は仕返しをさせてあげよう」
 嗤いを含んだ言葉の意味は――仰臥した三人の肉体が亠(なべぶた)の形になっているのを見れば歴然だった。仕返しなどと言いながら、縛ったり叩いたりするのとは違うやり方で女に恥辱を与えようとしている。
 逆らえば土蔵へ連れ戻されるだろう。葉子は黙って、まん中に寝ている師匠の身体を跨いだ。が、考え直した。男どもにおもねったのだが、こういう職業意識がこれまでの自分には欠けていたのかもしれないと思い当たるところもあった。
「お言葉に甘えさせていただきます」
 あくまでも自分の意志でそうしている形を作り、葉子は腰を沈めて怒張を女芯に咥え挿れた。ささやかな仕返しのつもりで師匠の肩に両手を突いて、膝の屈伸を繰り返した。
「ふうむ。やはりキミはノン気だね。コイツスとなると、実に積極的だ」
 コイツスというのがセックスと同じ意味だと、葉子は覚えている。
「だって……私、トルコ嬢ですもの」
 清純な女学生だけど男性に性的な献身をする――店名の『献身女学院』にふさわしい物言いを意識して答えた。
「それに……ああっ、あああん……こういうの、好き」
 縛られたり叩かれたりするよりずっとまし――と露骨に言えば不興を買うだろうという懸念が、そういう言い方をさせた。それに、痛めつけられた女性器でも、性交の快感はあった。好きで仕方ないとか、痛いのを我慢して快感を追求するとかではないが、痛みをやわらげる程度の快感だった。
「ああっ……いい。浮いちゃう……あああん」
 演技を続けながら、葉子は意識して肛門を引き締め、腰を前後左右に激しく揺すった。その甲斐あって。
「いいぞ、その調子……出すぞ」
 それほど苦痛(と、わずかな快楽)を長引かせずに、葉子は三人を処理を終えたのだった。
「ふむ。うら若き職業婦人に花を持たせておくとするか」
 ペチンと尻を叩いて、師匠は風呂場から出て行った。
 演技を見抜かれた――と、葉子も悟った。葉子は知らないことだが。会員の話の中に出てきた、彼女と同い年のヌードモデル嬢をアクメの極地に追い詰めて、モデル斡旋会社と不利な契約を結ばせた男には、稚拙な演技などお見通しだったのだ。
 しかし。それを理由に新たな折檻を加えようとしないのは、あと数時間で彼女を開放しなければならないのが一番の理由だろうが。飴と鞭のように責めの合間に見せた偽りの優しさとは根本的に異なるいたわりを、葉子は男の中に見たように思った。
 もしもお客の中からこういった心情を引き出せれば、トルコ嬢としての日々ももっと楽に、そしてお金もたくさん稼げるようになるのではなかろうか。そんなことを考えながら、だだっ広い浴槽の中でぬるめの湯にのんびりと浸かる葉子だった。
 葉子が土蔵に拉致されたのは土曜日の昼だった。今日は月曜日。二十人で割勘にしても一人当たり七千五百円も『趣味』にお金を投じられる連中だが、やはり平日はそれなりに忙しいのだろう。三人と入れ替わりに葉子を嬲りに来る男はいなかった。
 風呂を出て、真新しいバスローブを素肌にまとって(着てきた制服に着替えることまでは許してくれなかった)、土蔵に戻されて。パンと炒り卵とサラダの朝食を食べさせてもらった。それを運んでくれたのは、三人とは別の男だった。この大きな屋敷に住んでいるのは師匠という男ひとりでは、まさかないだろうが、家人も使用人も、一人も見ていない。この催しにそなえて追い出しているのだろうかとも、葉子は疑った。炒り卵は焦げっぽいし、野菜は男手を思わせるさく切りだった。もちろん、まともな人の目に晒されるよりは、ずっと気が楽だが。
 食事の後は、風呂場の三人とは違う四人のまともでない男たちの相手をさせられた。といっても。また風呂場へ連れ込まれて、トルコ嬢としての仕事をさせられただけだったから、つらくも惨めでもなかった――と気づいて、葉子は複雑な気持ちになった。これまでは、トルコ嬢であることそのものが、その仕事が、つらくて惨めに感じていたのだから。
 ――正午きっかりに葉子を迎えに来たのは、兄貴分ではなく勝雄だった。
「俺のせいで、とんだ苦労をさせてごめんな」
 勝雄はいきなり葉子を抱き締めた。
「おやおや。新婚さんはお熱いね」
 まだ残っていた数人の半畳は無視して、勝雄は葉子の機嫌を取ろうとする。
「でも、わりと元気そうでホッとしたぜ」
 葉子は身を振りほどいて、バスローブをはだけた。縄の痣こそ消えてはいるが、まだ無数の針跡が残る乳房も鞭痕だらけの下半身も、勝雄の目に曝した。
「酷い目に遭わせてすまない」
 あまり心がこもっていないように聞こえた。つまりは、葉子を『自分の女』として親身に思っていないのか、ヤクザならこれくらいのリンチは日常茶飯なのか。勝雄を自分になびかせようという今朝方の決心が、早くも揺らぎ始めるのだった。

========================================
折檻ビフォーアフター

 ここから、ちょこっとトルコ嬢としての平凡な日々が続いて。
 売春で摘発されて。亭主が身元引受人になるものの。
「勾留期限の48時間後に引取りに行きます。それまでは煮て食おうと焼いて食おうと」
 ヒロイン自身が賄賂にされて……また尺が伸びて。
 SMアルバイトよりも深く絶望して、売春地獄に墜ちていく。
 悲惨エンドの予定です。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:昭和集団羞辱史(トルコ嬢)

美乳淫妹 遥 -TRIPLE PLUS- 「こんな恥ずかしいコスプレさせるなんて……この変態!」 [CROSSOVER]

 在宅勤務になって、通勤に要していた3時間が、まるまる浮いたわけですが。
 2年前の状況と似たり寄ったりですね。PCゲームとかネットサーフィンとかで、だらだらしてしまいます。平日は1日に10枚かそこらです。しかも、いろいろと作業効率が落ちるので、残業をつけるにしても時間は食われます。
 メリハリもないし。などとぼやきながら。


章立ては
 処女蹂躙(前回公開分)
 偽装結婚
 新人研修(今回公開します)
 自腹接客
 SM折檻
 痛悦馴致(これから着手)
 逮捕陵辱
 淫虐地獄


 マゾ堕ちもせず、諦めの境地で性的虐待を受け容れる、救いの無いバッドエンドを予定しています。

========================================

新人研修


 翌朝は勝雄に起こされて、朝食を作らされた。ご飯を炊いて、味噌汁と目玉焼き。キャベツは、きちんと千切りにした。
「店でも制服を用意してくれるが、本物にはかなわねえ」
 意味がよくわからないことを言われて、学校の制服に着替えた。見られていても、あまり羞ずかしくは思わなかった。不本意とはいえ、肌身を許した男だという意識があった。事務所での輪姦はともかく。自分で敷いた布団の上でみずから股を開いたのだから、とても強貫とはいえない。ならば、和姦ということになる。
 平日の昼間に制服を着て盛り場を、それも男と歩いていては、見咎められないほうがおかしい。まして、連れ合いはリーゼントに革ジャンときている。
「きみたち、ちょっといいかな」
 よりにもよって、巡邏中の警官二人組に呼び止められた。
「きみは学生だな。学校は、どうしたんだ」
 戦前の「オイ、コラ」はなくなっているが、民主警察とはいっても、まだまだ警官は居丈高なところを残している。
「お役目、ご苦労さんです。この制服は、俺の好みで着せてるんですよ。亭主の好きなセーラー服ってやつです」
「あん……?」
 勝雄はジャンパーの内ポケットから紙切れを出して、警官に見せた。
「昨日結婚したばかりの新婚ホヤホヤです。いろいろと借金があって、こいつにも稼いでもらわなくちゃならないんで、トルコへ売り込みに行くところです」
 結婚すれば、二十歳未満でも成人として扱われる。警官は相当にきな臭い顔をしたが、成人女性がどこで働こうと口を挟む筋合いではない。まして、一介の巡査が独断で風俗産業に容喙したとなれば、上から譴責されかねない。
「うむ。しかし、誤解を招きかねないから、平日にセーラー服で出歩くのは、できればやめてもらいたい」
「すみませんね。これからは気をつけます」
 相手を小馬鹿にしたような物言いだが、警官は黙って立ち去った。
 勝雄が、背中を向けてペロリと舌を出した。
「天下御免の通行手形ってやつだな。これからは、おまえが持ってな」
 手渡されたのは住民票の写しだった。
 わざわざセーラー服を着せたのは、最初からこのイタズラを企んでいたのだろう。葉子の推察は半分だけ当たっていたかもしれないが、勝雄のほんとうの目論見は別のところにあったのが、すぐにわかった。

 繁華街のはずれに近いあたりに、トルコ風呂が蝟集している一画があった。バーやキャバレーはまだ店を開けていないが、トルコ風呂だけは店の前に呼び込みが立って、通りすがる男に片っ端から声を掛けている。
「社長。入店して一週間の新人がいますよ」
「どの子もダブルまでお相手しますから」
「労働者諸君。スペシャルだけなら千円ポッキリだよ」
 ポッキリとはいっても、映画が百円の時代である。それを高いと考えるか安いと思うかは人それぞれだろうが、すくなくとも葉子はなにも思わなかった。というよりも、呼び込みの声は聞こえていない。死刑台へ連行される囚人というのは大袈裟だが、それにちかい心境だった。
 トルコ街の行き当たりに、広告看板も出さずブロック塀に囲まれたビルがあった。門構えの石柱を横断して『献身女学院』の看板が掲げられている。
 ブロック塀をぐるりと裏口へまわった。勝雄が呼び鈴を押すと、すぐに中年の男が通用口を開けてくれた。
「菱口組の人だね。そちらが?」
「今日から使ってもらう、瀬田……じゃねえや。下村葉子です。ほら」
 脇腹をつつかれて、葉子は仕方なく頭を下げた。
「よろしくお願いします」
 心にもないことを言ってしまったのは、亭主に恥を掻かせたくないという女心がすこしは湧いたからだった。
「うんうん。旦那さんは今日からと言うけど、トルコは特殊なマッサージサービスだからね。まずは、研修を受けてもらうよ」
 ニコニコしながら、中年男が言う。勝雄やこの男の葉子への接し方が目の前の現実なら、昨夜の凌辱は遠い悪夢にも思えてくる。
 勝雄は追い返されて、葉子だけが中に通された。あるいは連行された。
 三階の事務所で、葉子は中年男と机を挟んで座らされた。最初に書類への署名を求められた。『前借契約書』と書いてあった。つぎに、壹佰萬圓文字が目に飛び込んできた。百万円――父親の使い込みの弁済としてその金をヤクザに渡して、前借を返済するまではトルコ風呂で働かされるのだ。新卒サラリーマンの収入の十年分にちかい大金だった。それでも、葉子はためらいも見せずに署名して拇印も捺した。他に選択肢は無い。
「ふつうは源氏名――芸名だね。それで仕事をしてもらうんだが、キミは本名で働いてもらうよ。それで、いいね?」
 葉子は小さくうなづいた。芸名をつけられるなんて考えてもいなかったし、名前なんかどうでもいいことだった。
 中年男が薄く嗤ったが、うつむいている葉子には見えなかった。
「清楚な女学生が男に献身的に奉仕をするというのが、うちの売りでね。いろんな学校の制服を着せているんだが――キミのセーラー服は本物だろ」
「……はい」
 ようやく、葉子が言葉を漏らした。
「それじゃ、そのセーラー服で接客してもらおう。研修を始めるよ」
 男はあらためて、自分が店長だと身分を明かした。この時代も現在も、風俗店の店長とは、摘発されたときに罪を引っ被って経営者に咎が及ばないようにするのが一番の役目だが、もちろんそんなことは言わない。その店の従業員には男女を問わず、専制君主の如く君臨する。ことにほとんどの女性は前借金で縛ってあるから、近年のようにご機嫌を取ることも無い。
 浅田哲也の『麻雀放浪記』に登場する女衒の達が、女には此奴かコレだ――と言って、最初に拳骨を作り次に拳骨の中から親指を突き出す場面があるが。それで女を管理できていた時代だった。
 店長は、まず言葉でサービスの流れを説明した。
 待合室の手前で三つ指を突いて客に挨拶をする。それから、恋人同士のように腕を絡ませて二の腕に乳房を押しつけて狭い通路を通り、個室に案内する。先に客を脱がせるか自分が脱ぐかを選んでもらう。
 客のズボンとパンツを脱がせるときは、必ず正面に跪くこと。自分が脱ぐときは客に向かって羞じらいたっぷりに全裸になる。脱いだら前を隠してもかまわないが、客に求められたら注文通りのポーズを取ること。どうしても羞ずかしければ客に抱きついてキスをしなさい。そうすれば、見られずに済む。
 そこまで聞いて――葉子は目まいを覚えた。自分が漠然と予想していた『いかがわしいサービス』なんて、子供のオママゴトでしかなかった。
 双方が全裸になったら、男性の下半身を素手で洗う。このときに身体を(股座の奥まで)触られても拒んではいけない。他店では、こんな他愛ないサービスをダブルなどと称しているが、ここ『献身女学院』では挨拶代わりに過ぎない。下半身を洗い終わってから上半身。胸や腹を洗うときは男性の背中に抱きついて、二人羽織みたいにする。背中を洗うときは男の膝に乗って、やはり胸を密着させて両手を背中にまわす。男性の一部がつっかえて邪魔になるようなら、自分の中へ納めてもかまわない。ただし、射精に至るような腰の使い方は禁止する。
 とんでもなく破廉恥な形で男と性交をしろと言っているわけだが、店長はそのものズバリの単語は意識して避けていた――のにも、葉子は気づかなかった。
 洗い終わったら、男女一緒に(小さな浴槽に)入浴する。並んで座って男にたっぷり弄らせるか、向かい合わせで抱きつくか、前を無防備にして膝に乗るか。トルコ嬢がリードしてかまわないが、客の要望を拒んではいけない。
「当店では、女子従業員に淫らな振る舞いをしなさいとは、絶対に求めないよ。女子従業員が客に一目惚れして、好きな男の求めに応じて献身することまでは禁じていないという、それだけのことだからね」
「もしも……お客さんを好きになれなかったら、どうなるんでしょうか」
 葉子は勇気を振り絞って質問した。店長の手に余るようだと、またあの事務所のダンス練習場へ連れ込まれて、大勢の男に引導を渡されることになるのだろうとは、わかっているけれど。
「当店は入浴料が二千円。これの二十五パーセントが、キミの歩合給になる。」
 店長は葉子の質問には答えずに、料金体系の説明を始めた。
「その他に、客からの自発的なチップが三千円。これは、五十パーセントが取り分だ。ただし、献身に伴う個室の損料とか消耗品――余分なバスタオルとかチリ紙とか薬用せっけんは、取り分から差し引くよ。ああ、そうそう。コンドームは支給しないし、持ち込みも禁止している。男女の淫らな行ないを店として公認するわけにはいかないからね」
「ええっ……?!」
 本音と建前の使い分けくらいは理解できる。けれど、避妊具も無しで男女が交われば妊娠してしまう。そこまで考えて――これまで誰ひとり避妊具を使っていなかったと思い出して、顔から血の気が引いた。
「葉子ちゃんが何を心配しているかは、わかるよ。レモンの絞り汁を海綿に吸わせて、子宮口をふさいでおけば、まず大丈夫。それから、最初に下半身を洗うときだけは、専用のシャンプーを使ってもらう。それが沁みると客が訴えるようなら、サービスを中止して内線電話で連絡しなさい。悪い病気を持っている証拠だから。もちろん、目で見てわかるときもだよ」
 性病のことを言っているのだと気づいた。それは、まったく考えていなかった。
「御帰り願うときには、入浴料もチップも全額をお返しする。これが、さっきの質問への答えになっていないかな」
 つまり、客を拒んだら一銭にもならない。
「病気持ちに当たったときは仕方ないが、客を怒らせたりしたときは、お詫びを差し上げることになる。これは、キミの自腹になるよ」
 罰金を取られるという意味だ。罰金が続けば借金は増えるし、勝雄にも店から苦情が行って、それがさらに本部長とかいう怖い男に……
「そうそう。客からはチップだけでなく、ときには詫び料が前金で出ることもある。女子従業員に厭なことを――これからさせるという意味だね。どんなことか、想像できるかな?」
 葉子は顔を伏せたまま、小さく首を横に振った。輪姦とか肛門を犯されるとか、思い出すだけで鳥肌が立った。しかし、店長の言う『厭なこと』は、耳にするまで、そんなことが実際に行なわれるとは信じられないようなことばかりだった。
「フェラチオは五千円のうちだが、小便となると詫び料だな。縄で縛って本番とか、敲いて虐めたいとか、クリトリスに針を刺したいとか――身体に痕が残るようなサービスは、休業補償を申し受けるときもあるが」
 逃げ出しもせず耳もふさがない自分を、葉子は不思議に思った。けれど、理解できない単語もあった。
「笛ラチオってなんですか?」
「おしゃぶりのことだよ」
「あ……」
 ビルに拉致されて引導を渡されたときのことを思い出した。あんな不潔で卑猥なことを、またさせられるのかと……葉子は泣きたくなった。けれど、わからないことをきちんと知っておかないと、後で大失敗をする。
「栗と栗鼠というのも、意味がわかりません」
 店長が下品な微笑みを浮かべた。
「淫核のことだよ。実核(さね)ともいうね」
 それでもキョトンとしていると、店長が立ち上がって葉子の背後にまわった。
「ここらあたりにある豆のことだよ」
 スカートの上から股間を押さえられて――葉子は悲鳴を呑み込んだ。もう、引導を渡されるのは絶対に厭だった。店長の機嫌を損ねて、前借金の契約を破棄されるのも怖かった。
「あ……くうう」
 的確に急所を刺激されて、葉子は甘く呻いた。
 店長の指がはなれる。
「なかなか感度がいいね。素直なのも、よろしい」
 では、実技研修を始めよう。そう言って、葉子を廊下へ立たせた。
「もう客が来店している頃合いだ。ここを待合室に見立てよう」
 廊下に土下座して、客である店長に挨拶しろと言う。その言葉も口移しで教えた。
「ようこそ、いらっしゃいませ。本日のお相手を務めさせていただく葉子です。お風呂へご案内させていただきます」
 客が目の前まで来たら立ち上がって、積極的に腕を絡ませて身体を密着させる。
「きゃっ……」
 不意に尻を撫でられて、葉子は店長を突き飛ばした。
「こら。お客様は、キミの身体とサービスに日給の何日分も払ってくださるのだ。なにをされても、我慢しなさい」
 葉子の手首をつかんで正面に引き寄せて、セーラー服の上から乳房を鷲掴みにした。
「こんなことをされても……」
 乳房をつかんだまま、手首を放してスカートの中に手を突っこんだ。
「こんなことをされても、だよ」
 ただし、廊下でいちゃついていては他の客に迷惑をかけるので。
「ああん。感じちゃって、立ってられない。早く、お風呂へいきましょう」
 葉子は店長に抱きついて、棒読みで科白を口にした。そうして、二の腕に取り縋って。スカートをたくし上げられパンティの上から股間の縦筋をこねくられながら、部屋までたどり着いた。
 部屋は四畳半ほどだった。半分ほどはタイル張りになっていて、小さな浴槽が据えられている。残りの半分には、背もたれの無いベンチのような台と、人間をすっぽり包めそうなビニール張りの箱があった。
「これは個人用サウナ設備ということになっているし、うちはちゃんと蒸気も出るが――どうしても使ってみたいという客がいたら、電話で連絡しなさい。男性従業員に操作させるから」
 これが備えてあるから、保健所からトルコ風呂の営業許可が下りるのだと、店長が説明した。
「それじゃ、研修に戻ろう」
 教えられながら、葉子が店長をマッサージ台に座らせる。店長が葉子に案内されて、マッサージ用の台に座る。ベッドと同じ形をしているが、マットレスは無く薄いクッションをビニールがおおっている。
「先に脱いでくれる?」
 質問のようでいて、絶対の命令だ。
 葉子は教えられたとおりに、店長に正面を向けて。セーラー服を脱いだ。スカートも落として。その二点をハンガーに掛けた。そこまでは自分でも不思議なくらいに平然とできたのだが――さすがにパンティを脱ぐときは指が強張った。
 全裸になって。隠してもかまわないと教わっていたので、両手で胸と下半身をかばった。
「気をーツケッ!」
 怒鳴られて、ビクッと両手を下ろした。
「中年世代は若い頃に軍隊でしごかれているからね。同じことをさせて悦ぶ客もいるんだよ」
 そのときにまごつかないようにと、基本的な動作を演じさせられた。『回れ右』とか『休め』は体育で習っていたけれど、『整列休め』は、かなり羞ずかしかった。脚は横に開いて、手は腰の上で組む。
「このポーズだと、どこも触り放題だからね」
 店長は股間を指で穿ってから腋の下をくすぐって、葉子を悶え笑わせた。
「うちは二時間が基本コースだから、いろいろと遊んでもらわないと時間を持て余す。まあ、二十代なら――洗体が終わって一発、風呂で遊んでから一発、時間切れ直前に一発といった豪傑もいるがね」
 その『お遊び』が終わって、店長の服を脱がしにかかった。成人男性の服を脱がせるなんて、生まれて初めての体験だったが、別に難しいことではなかった。パンツがテントを張っていて、顔をしかめたくらいだ。
 それを、店長が叱った。
「客は、ここを満足させるために来られているんだ。キャアでもイヤーンでもいいから、羞ずかしがるか嬉しがるかのどちらかにしなさい」
 素裸になった店長に、シャワーの前に腰掛けてもらう。わざとなのか、さっきのが教育を目的に無理していたのか――股間の肉棒はでろんと座面に寝転んでいる。
 ちなみに。座面が凹形になっている『スケベ椅子』近年では『介護椅子』ともいうアイテムがトルコ風呂に登場するのは、東京オリムピック前に強化された風俗関係の取り締まりが再び緩んできた昭和四十年以降のことである。
 葉子は洗面器に溜めたシャワーの湯に、下半身専用と教えられたシャンプーを垂らした。湯の中で両手を『カイグリカイグリ』させて泡立てる。
「俺のは剥けているが、先っぽまで皮をかぶっている客もいる。必ず剥き下げて、中身を洗いなさい」
 十人以上に犯されて、勝雄とは三回も身体を交えているが、男性器を手で握るのは初めてだった。ぐんにゃりしたそれは、葉子の掌の中で次第に太く硬くなっていった。
「もっと強くしごいて。文句を言う客は『あら、私の中はもっときついわよ』とか『女の子に握られたくらいで痛いの?』とか、うまくあしらいなさい。病気を持っているかどうかを見定めないと、泣きを見るのは葉子ちゃんだからね」
 そんなことを言われても。性病にかかった実物の反応を知らないのだから、見定める自信なんて無い。今は梅毒でさえも薬で治るのだから――と、諦める葉子だった。
 股間をシャワーで流し終えて。洗面器の湯も替えて。葉子は教えられるままに、スポンジで自分の身体を泡だらけにした。きちんと測ればBカップだがAカップにも無理なく収まる乳房が、泡の中に隠れる。その身体で店長の背中に抱きついて、胸ら腹をスポンジで洗う。
「洗い方は、それぞれに工夫しているね。乳房が豊満な子は、そこに客の腕を挟んで洗うとか、下の毛を束子に見立てて腿や背中を洗うとか」
 そういった独自のテクニックが、客の指名につながる。指名料も半分はトルコ嬢の収入になるし、なによりも何回も来店してもらるのがありがたい。
 洗体が終わると、二人で入浴。葉子は店長の指示で、後ろ向きで腿をまたいで座った。かたちばかりにあちこちをまさぐられて、それでも指まで挿れられたのに。快感につながるクリトリスは弄られなかった。
「女にクリトリスがあることすら知らない男もいるし、知ってはいるが未熟な女は膣よりもクリトリスのほうが感じると心得ている男は多くないからね。指名がついて馴染になったら、葉子ちゃんのほうからオネダリしてもいいよ」
 そんなこと、絶対にしない――と、葉子は決めた。勝雄は知っていて、そこを可愛がってくれる。それで十分だった。
 風呂から出て、やはり葉子の手で店長の身体を拭いて。
「こちらへどうぞ」
 店長がマッサージ台にうつ伏せになって寝転んだ。
「最初からあお向けになる客は少ない。そういう客には、問答無用で仕掛けてもいいが」
 女のほうから男を襲えと――と、店長が教える。
 結婚していても、妻のほうがその気になっていても、亭主にのしかかるほど淫乱な女は滅多にいない。日常では体験できないことを味わってもらうのも、トルコ風呂の醍醐味だ。
 うつ伏せの客には、おおいかぶさって、乳房を押しつけるなり腰をくねらせるなり、全身を使ってマッサージをして。客が興奮して積極的になったら、身を任せればいい。いつまでもおとなしくしているようなら。あお向けにさせて騎乗位に持ち込んでもいいし、勃起していなければ(老齢だったり緊張しすぎていたら、そういうこともある)フェラチオで応援してやれ。
 ただし――と、店長が釘を刺した。
「最初に言ったように、当店は清楚なお嬢様が破廉恥なサービスをするのが売りだからね。嘘でもいいから、羞じらいを忘れないこと。よがるときも、慎み深く悶えなさい」
 よがるという言葉は、ダンス練習場でも聞いたような気がする。たぶん、『善がる』とでも書くのだろうけれど。あんな羞ずかしくて不潔で卑猥で不快なことをされて、善がれるはずもない。勝雄にクリトリスを刺激されたときの快感を思い出してしまったが――男が劣情を満たす行為と女が気持ち良くなる行為とは別物だと決めつけた。
 それに……自分から破廉恥なサービスを仕掛けておいて、それを羞じらうだなんて、店長の言葉は、なにもかも矛盾していると思う。
 女が下になる形はじゅうぶんに練習しているだろうから――と、葉子は騎乗位を仕込まれた。自分から男に貫かれるというのは恥辱だったし、男を満足させるために膝を屈伸させて腰をくねらせるのも、羞ずかしい以上に苦役だった。
 男が満足しても、『献身』は終わらない。男の肉棒にこびりついたどろどろした精汁と自分の分泌物を、フェラチオで舐め取らされた。吐き気をこらえながら、どうにかやり遂げると。吐き出さずに飲めとまで要求された。
「他店では、ここまでの献身サービスはしない。だからこそ、何倍もの料金をいただいている。百万円もの借金を返済できるのは、うちだけだよ」
 父の横領した金額の五分の一。たった(と言っては、真面目に働いている人たちには申し訳ないけれど)それっぽっちのお金で、葉子は売春婦に堕とされてしまった。いや、店長の話が脅しや嘘でないなら――縛られたり叩かれたり、もっともっと変態的なことまでされる、しなければならない。売春婦以下の惨めな身分。奴隷という言葉が、葉子の頭に浮かんだ。
 ――ひと通りの研修が終わって、その日は放免されたのだが。
 明日は生徒手帳を持ってくるように言われた。
「本物の女生徒。しかも名門私立のお嬢様というのは、葉子ちゃんが初めてなんだよ。疑う客がいたら、生徒手帳を見せなさい」
「でも……学校に迷惑が掛かります」
「退学届は出してあるんだろ。つまらないことに義理立てしてる場合じゃないよ。葉子ちゃんだけは特別に五百円の現役手当を付けて売り出してあげる」
「そんなの、いりません。お願いですから、生徒手帳は赦してください」
 ここで泣き伏したら店長さんも諦めてくれるだろう。そうも思ったけれど、胸に広がるのは乾いた悲しみだけだった。
 店長は無理強いをしなかった。その代わり、迎えに来た勝雄に事情を伝えた。
「馬鹿野郎」
 バチンとビンタを張られた。
「痛いっ……」
 葉子は頬を押さえたけれど。手加減してくれたとわかる痛みだった。
「客一人で二百五十円の割り戻しだぞ。一日に三人なら七百五十円。月に二十日として、一年で十八万円にもなるじゃないか。おまえだって、早く借金を返して自由の身になりたいだろ」
 葉子はコクンとうなづいた。金額の多寡ではなかった。勝雄がビンタを手加減してくれた。それが嬉しかった。
========================================
セーラーソープ

 この勝雄が、色恋管理であてがわれた結婚相手です。
 甘々展開を予感させる終盤ですが。
 こいつの生活費(以上に遊興費)も負担させられ、さらに組への上納金を店に前借しようとしたら稼ぎが悪いと断わられて、兄貴分がセットした二泊三日のアルバイトをさせられます。「ヌード嬢」で登場した緊縛研究会が、今度は無制限の残虐研究会として……ヒロインはズタボロにされて、15万円の稼ぎです。当時の中堅サラリーマンの年収です。
 現代に引き写せば、500万円で、五体満足だけを保障されて……いや、3千円で本番をやらざるを得ない女性だっていますから。






テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:昭和集団羞辱史(トルコ嬢)




 というわけ(ひとつ下の記事参照)で、本編執筆再開です。
 このPLOTは、「ストリップ嬢」を書いていた時に、一座のマネージャーが組に呼び戻されるシーケンスで瓢箪駒です。
 組が興した芸能事務所に引き抜かれた男が横領をして、


「トウシロウがヤクザを騙して、無事に済むはずがねえ」
 指を詰めさせたりドラム缶でセメント漬けにしたりはしなかったものの。身ぐるみ剥いだうえで、娘は海ではなく風呂に沈めて、トウの立った女房は山奥の工事現場に送り込み、息子と当人は海の上(遠洋漁船)だという。

 その娘が今回のヒロインに抜擢されました。
 当然ですが、突然の「お仕事」を納得させなければなりません。SM用語では「引導を渡す」といいます(かなあ?)。


========================================

   処女蹂躙

 瀬田葉子は母と弟と一緒に茶の間でテレビを観ていた。
「無茶苦茶でごじゃりまするがな」
 人気漫才コンビのギャグに、テレビの中の観客と一緒になって葉子も笑い転げた。
 劇場まで行かなくても、漫才でも歌謡ショーでも映画でも、茶の間で楽しめる。ガーガー雑音の混じるラジオに耳を傾けていた子供時代からみると、空想科学小説の世界に住んでいるみたいだと思う。自動車だって、そうだ。お弁当を作って電車に乗って動物園へ行くのではなく、隣の県までドライブしてジェットコースターや観覧車のある遊園地で遊んで、食堂でランチを食べる。
 もちろん、みんながみんな、こんな贅沢な暮らしをしているわけではない。父がサラリーマンの何倍も稼いでくれるおかげだ。だから、葉子も私立校へ進学できた。エスカレーターだから、睦夫も受験勉強にあくせくしないでいられる。なによりも、お洒落が許されているのが葉子には嬉しい。公立校では禁止されている、大きなリボンを結んだ葉子のツインテールも睦夫の慎太郎刈りも、近所の同年代の子たちからは制服以上に羨ましがられている。
 この豊かで幸せな生活がいつまでも続くと――葉子は、信じる必要もないほどに疑っていなかった。
 ガラガラッと玄関の開く音。
「……?」
 こんなに早くパパが返ってくるなんて珍しい。
 ドスドスと廊下を踏み鳴らす数人の足音に、葉子が顔をこわばらせて立ち上がった。強盗かもしれない。いざとなったら、どうにかして逃げて隣に助けを求めよう。
 引き戸が開いて。そこには父の太(ふとし)が立っていた。いや、左右から二の腕をつかまれて、引っ立てられていた。
「パパ……?!」
 殴られたらしい顔の痣に気づいて、絶句した。
 茶の間に投げ出される父親。その後ろから、いやに身なりの整った男が現われた。
「儂らは菱口組の物だ。こいつは、事務所の金を横領しやがった。この家を売っても追いつかないほどの大金をな。となると、おまえたちも叩き売るしかないよなあ」
 葉子は、自分が観客となって二階席から映画を観ているような錯覚に陥った。呆然自失ではない。男の派手な縦縞の背広は、冠婚葬祭でしか見掛けない二列ボタンになっている。ネクタイは鮮やかな青。そして角刈り。ヤクザの幹部だと、葉子は冷静に結論づけた。
「姉ちゃんは、お風呂で働いてもらおうか」
 ヤクザの幹部が、葉子を見る。それから母に目を向けて。
「おまえは、ちょっとなあ。人里離れた飯場あたりなら、買手もつくかな」
「お願いだから、妻と子供は赦してやってください」
 父が幹部の足に取り縋って懇願する。
「しつこい。愁嘆場はたくさんだ。それよりも、おまえから引導を渡してやれ。おい、姉ちゃん。いつまでも突っ立ってないで、そこに座りな」
 葉子は、自分が母の横に座る姿を二階席から見ている。
 父が三人に向かって正座して、もぐもぐと口を動かし始めた。
「綺麗ごとを言うな」
「この場を取り繕っても、すぐに身体で知ることになるんだ」
 ヤクザの幹部に脇腹を蹴られたり頭を小突かれたりしながら、途切れ途切れに語った話を要約すると――
 父は五年前に、ヤクザの菱口組が興した菱田芸能事務所の責任者に引き抜かれて、大手プロダクションの営業部長を辞している。給料が倍になって、それが現在の豊かな生活の基礎となった。そこまでは、家族も知っている。
 税金対策に裏帳簿を作るというのは、世間一般の話としては葉子も耳にしたことはあるが。父はさらに、いわば親会社である菱田組向けの帳簿まで偽造していた。裏帳簿と偽造帳簿との差額を横領していたわけだ。
 それが露見して。
「これが盃を受けてるやつなら、セメント詰めにして海に叩き込むところだが――こいつは俺らよりあくどいが、それでも堅気衆といえなくもない」
 命を奪ったり身体を傷つけたりはしない。その代わりに父親と睦夫は海の上、母は山の中、葉子は風呂に沈めて、すこしでも損金を回収すると決まった。
「銭金じゃねえぜ。ヤクザとしてのケジメってもんだ」
「つまり……学校を辞めて働けということですね」
 葉子は二階席から下りてきて、葉子の横に立っている。
「そういうことだ。就職先も決めてある。超高級トルコ風呂だ」
 ぎくっと、葉子が凍りついた。それが銭湯でないことくらい、母が読んでいる婦人雑誌の記事で知っている。個室で男性の身体を洗ったり、性的なサービスをするいかがわしい場所だ。
「この子は、まだ子供ですよ。生娘ですよ。無茶苦茶です」
 母の抗議に、幹部は無表情で答える。
「五百三十万円弁済してくれるなら、家だって残してやるぜ」
 言葉を失って、母はがっくりと頭を垂れた。両手で顔をおおって、慟哭する。
 しかし。正座している葉子の斜め後ろに立っているもう一人の葉子は、呆然自失を突き抜けているのかもしれないが、思考は止まっていなかった。
 五百万円なんて、葉子の金銭感覚とは隔絶している。と同時に、父はそのお金を何に使ったのだろうという疑問も抱いた。この家が土地も含めて三百万円だと、父は自慢していた。自動車が四十万円。差額の約二百万円は、五年間のちょっとした贅沢では使い切れない。隠し預金にでもしてあるのだろうか。
 今となっては、どうでもいいことだ。隠し預金を取り上げられて、家も車もテレビも何もかも叩き売られたところで、何十万円あるいは百万円以上も足りないだろう。
 パパと睦夫は『海の上』と、この人は言っていた。遠洋漁船のことだろう。サラリーマンの何倍も稼げるそうだ。そして私も、見知らぬ男の人にいかがわしいことをされて、同じくらいに稼がされるのだろう。四人合わせて一年に百万円を稼げるとしたら、せいぜい一年か二年の我慢だ。
 泣いても喚いても無駄だ。お金の話だから、警察に助けを求めても民事不介入で追い返される。それどころか、パパが横領罪で前科者になってしまう。
 すでに葉子は、突然の運命を前にして諦めていたのだった。
「仕事を始めるまでは、うちに寝泊まりしてもらおう」
 不意に二の腕をつかまれて――肉体と精神とがひとつに戻った。
 葉子は逆らわずに立ち上がった。家から連れ出されるときも、二度とここへ戻ることもなく、四人が生き別れになるとも考えてはいなかった。
 父母と睦夫は大きなアメ車の後ろ座席に乗せられて、葉子はハンドルを握る幹部の右に座らされた。
「後は任せたぞ」
 父を引っ立てて来た二人の若い衆を跡始末の為に残して、幹部は車を発進させた。
 車内は無言。母のすすり泣く声は、エンジンの音に半ば掻き消されている。父は座席にめり込みそうな姿勢で、頭を抱えている。睦夫は両親に挟まれて――なにも気配は伝わってこない。
 わざわざ隣に座らされて、何をされるかと怯えていた葉子だったが。幹部は拍子抜けするほどに紳士的だった。両手でハンドルを握って、片手運転をする気配もない。しかし、葉子の心臓をギュッと握りつぶすようなことを言った。
「儂らだって、家の処分とか四人の売り込みとか、面倒なことはしたくねえんだよ。こいつは二百万の生命保険に入れてあるからな。それを使わずに済ませてやるんだから、感謝しろよ」
「私たちが逃げたりしたら父を殺す。そういう意味ですね」
「ふうむ。なかなか賢いお嬢さんだ。いや、殺したりはしない。丈夫な縄のある部屋に閉じ込めておくだけだ」
 葉子は、ふたたび言葉を閉ざした。
 ――瀬田一家が拉致された先は、菱田芸能事務所の小さな四階建てのビルだった。二年前に新築されたばかりで、父が「俺が作ってやったようなものだ」と自慢していた。そこに監禁されるなんて運命の皮肉なのか、それともパパの自業自得なのか。葉子は、まるで他人事のようにぼんやり考えている。自分に引きつけて考えるのは怖かった。
 クラクションを鳴らすまでもなく、ビルから四人の若い男たちが飛び出してきて、車の前に整列した。
「ご苦労様ッす」
 頭を下げる若い衆に、車から降りた幹部がうなずいて。
「親父とガキは、地下室に放り込んでおけ」
 葉子たちが一人ずつ車から引きずり出された。
 葉子と母は、二人の若い衆に追い立てられて階段を上がった。連れ込まれた先は、三面に大きな鏡が貼られた広い部屋だった。七八人の男たちが群れている。ダボシャツだったり上半身裸だったり、まともな格好をしている者はいない。
「ダンスの練習場だ。どれだけ騒いでも、音は外に漏れない。叫ぶだけ無駄だからな」
 母娘は部屋の左右に引き離されて――ほとんどの男が葉子を取り囲んだ。
「しょうがねえやつらだな」
 苦笑する幹部自身が、葉子の前に立ちふさがっている。
「もう三人ばかり、婆あの相手をしてやれ」
 比較的に若い男たちが、葉子を囲む輪からはずれた。
「お嬢ちゃんは、まだ男を知らないよな?」
 幹部が葉子の肩に手を掛けた。
 ビクッと身を引く葉子を、強い力で引き寄せる。
「男を知らんことには、トルコは務まらねえ。ちょいとばかり教えてやるよ」
 強面(こわもて)が一変して、目をぎらつかせ唇をだらしなく緩めている。
「いやああああああっ……!」
 母の悲鳴。顔を上げて振り返ると――両腕で自分を抱いて身を丸めている母の姿が見えた。男たちが数人がかりで、服を引き千切っている。
「お嬢ちゃんも、服を破かれたいか? それとも、自分で脱ぐか?」
「…………」
 言葉の意味はわかっている。けれど、身体が動かない。
 チッと幹部が舌打ちして。
「ヤス、押さえとけ」
 言葉と同時に、羽交い絞めにされた。それでも、まだ葉子は反応できないでいる。
 幹部が手を伸ばして、ネルのブラウスをつかんだ。
 ブチチッ……音を立ててボタンが千切れ飛んだ。
「きゃあああああっ……!」
 突然に感情が爆発した。
 羽交い絞めから逃れようともがいたが、わずかに身をよじるのが精一杯だった。
 幹部の手がシュミーズを引き裂き、ブラジャーも引き千切る。
「いやあ! やめてっ……!」
 スカートに手を掛けられて、葉子がいっそうの金切り声で叫ぶ。
 幹部が手を放して後ろに下がった。
 ホッとする間もなく。
「ぐぶっ……!」
 腹に重たい衝撃を感じた。苦い塊りが喉元に込み上げる。膝から力が抜けて、しかし羽交い絞めにされているので床に崩折れることもできない。
 抵抗する気力を砕かれて。パンティ一枚で床に投げ出されるまで、葉子はされるがままになっていた。
「念のために、押さえとけ」
 床に突っ伏している葉子はあお向けにされて手足を大の字に広げて押さえつけられた。
 生気のない瞳で天井を見上げている葉子を見下ろしながら、幹部が悠然と衣服を脱いだ。六尺褌一本になって、それもほどく。節くれだった巨木のような怒張が股間に聳え立っていた。
「男でもビビッちゃいますね」
「悦べよ。玄人妓が啼くほどの名刀をいきなり堪能できるんだぜい」
 乾分どもが、幹部へのお追従と葉子への言葉嬲りとをひとまとめにしてのける。
 幹部が葉子の強制された開脚の中に腰を落として、最後の一枚を無雑作に引き千切った。
「……赦してください。私、まだ処女なんです」
 悲鳴ではなく哀願だった。か細いつぶやきだった。
「わかってるさ。処女じゃあトルコは務まらないから、引導を渡してやろうってんだ」
 幹部が双つの乳房を鷲掴みにした。
「味を教え込むってやり方もあるが――こっちのほうが手っ取り早い」
 まだ熟しきらない乳房に指を食い込ませて左右にこねくった。
「痛い……乱暴にしないでください……おとなしくしてますから」
 陵辱は免れないと観念して、せめてすこしでも優しく扱ってもらおうと妥協した葉子だったが。
「おとなしく虐められてりゃいいんだよ」
 いっそう強く乳房を握りつぶされただけだった。
「くうううう……」
 叫んだりしたら、もっと非道くされる。そう直感して、葉子は歯を食いしばって耐えた。耐えようとした。
「駄目えええっ……そこは……」
 母が、また叫んでいた。葉子は、天井を見上げたまま、声の方角を見ようとはしない。見れば、そこにあるのは数分後の自分の姿なのだ。
 左の乳房から痛みが消えて。ずぷっと、股間を穿たれた。
「ひいいっ……」
 とうとう純潔を奪われたと思った。しかし、違った。股間の奥を蹂躙されているが、それほどの激痛ではない。指で弄ばれているらしかった。この夏に映画で観た、巨大な芋虫の怪物が頭に浮かんだ。芋虫は東京タワーに繭を掛けたが、股間の奥で蠢く指は、ますます動きを激しくする。そのたびに、引き攣れるような痛みが走った。
「へ。生娘のくせに感じてやがる」
 股間から引き抜いた指を、幹部は葉子の鼻先に突きつけた。ぬらぬらと絖って、十一月の寒気の中でかすかに湯気を立てていた。
「こりゃあ、トルコはお嬢ちゃんの天職だな」
 そこを乱暴に刺激されたときに肉体がどう反応するかなど、葉子は知らない。幹部の言葉も耳を素通りしている。けれど、それが心の片隅にでも沁みついて、この先、葉子の思考を微妙に捻じ曲げないとも限らない。
 幹部の顔が、大きく目の前に迫ってきた。
 今度こそ、犯される――葉子は、固く目を閉じた。それ以上の拒絶も抵抗も不可能だった。
 幹部の手か乾分どもの手か。葉子の両脚が引き上げられて、つま先が床に着くまで身体を折り曲げられた。自然と腰が浮いてしまう。
 芋虫よりはるかに巨大な物が股間を割った。その奥をぐううっと押し込まれて。
 ビキイッ……と、鋭利な刃先で切り裂かれると同時に分厚い刀身で左右に割り開かれるような激痛が、股間で爆発した。
「ぎびひいいいいいっ……!!」
 葉子は両手を握りめた。悲鳴を吐き切って、息を吸うこともできずに固まっている。
 刃物に感じられたそれが、さらにずぐずぐと押し入ってくる。そして、下腹部一面に鈍い圧迫を感じた。
「かはっ……」
 体重をのし掛けられて、葉子は肺の奥に残っていた最後の空気を吐き出した。
「はあ、はあ、はあ……」
 股間の爆発が治まって、しかし痛みが消えたのではない。重たい塊りとして、そこに居座っている。
 その塊りが激しく律動を始めた。
「痛い痛い痛い痛い痛い……」
 肺の中の空気が悲鳴の像(かたち)になって、律動で押し出される。
「いきなり追い込みですか。さすがに、可哀そうな気もしますが」
「馬鹿野郎。お前たちに早くまわしてやろうと頑張ってるんじゃねえか」
 葉子には、言葉の意味がわからない。女が二人で男が十人なら最低でも五回は犯される――などとは、思いもよらない。
 三十分とも一時間とも思える拷責が続いて。不意に痛みがやわらいだ。肌を焼くほどに近かった男の気配が、ふっと遠のいた。押さえつけられていた手足も、自由になった。
 終わった……起き上がる気力まではなかったが、葉子は横向きになって、羞恥の根源を隠そうとした。その身体が、再び押さえつけられた。
「おい。そのまま突っ込むのかよ」
「ゴムを着けてるから、どってこたあ無えや」
 葉子を押さえ付けていた若い衆のひとりが、葉子を組み敷いた。
「もう厭……虐めないでください」
 さっきの幹部よりは年齢が近いだけに、気力が萎えていても言葉を紡げた。が、女の哀願に嗜虐を掻き立てられる男もいる。あるいは、文句を言う元気があるなら、まだまだ大丈夫と思われたのか。
「虐めやしない。可愛がってやるよ」
 若い男は勝手なことをほざきながら、葉子を貫いた。
「いやあ……痛い」
 葉子の訴えは、悲鳴ほどには切迫していなかった。男の逸物が幹部に比べればひとまわり半は小さかったせいもあるだろうし、最初の蹂躙で血まみれ精汁まみれになっていたせいもあっただろう。男は、幹部の半分も時間を掛けずに(とりあえずの)満足を遂げてしまった。
「本部長。カマを掘ってもいいですか?」
 二人目の若い衆が、パイプ椅子に座って煙草をふかしている幹部にお伺いを立てた。
「カマもフェラも仕込んでやれ。あのトルコに来る連中は、変態揃いだからな」
 家に乗り込んでくるなり飯場がどうこう言っていたくらいだから、父子母娘の売り込み先は決まっているということだ。
 幹部の許しを得た若い衆は、最初と同じ形に葉子を折りたたんだ。
 葉子は、もう哀訴もしなかった。閉じた瞼から涙をこぼして、思い出したようにしゃくり上げている。
 しかし。二人に蹂躙された部位よりも後ろに圧迫を感じて。
「え……?!」
 戸惑いの声は、すぐに悲鳴に変じた。
「いやああああっ……そこ、違う! 痛い、熱い、うあああああっ……!」
 最初のときと同様、激痛が悲鳴を封じ込めてしまった。
 後背位や騎乗位などは変態的行為と考えられていた時代ではあったが、西洋に比べれば肛門性交への禁忌は緩やかだった。いや、明治時代に先進西洋諸国の風俗を率先して導入する過程で、蛮行と定義づけられた経緯がある。だから、この若い衆は仲間に見られながら平然とカマを掘ったのだが。
 清純な乙女にとっては性交そのものが驚天動地の凌辱であってみれば、前も後ろも関係ないともいえるのだが。二重に辱められたという屈辱はあった。そしてそれは、すぐに三重となった。
 下半身の汚れも拭われないまま、葉子は抱え上げられて床に座らされた。
 視界の隅で、巨大な肉団子のようなものが蠢いていた。肉団子の中心には母の裸身があって、そのまわりに三人の男が群がっている。三つの穴を同時に犯されている――とまでは、葉子にはわからなかった。
 目の前に、生臭い怒張が突きつけられた。
「しゃぶれよ。それとも、こっちに突っ込んで欲しいのか?」
 怒張の持ち主は足の裏で太腿をこじ開けて、その中芯を爪先でつついた。
「…………」
 わずかに身をよじったが、葉子は腰をずらそうともしない。
「なんだよ、その不貞腐れた態度は」
 男は両手で葉子の頭を固定すると、怒張を唇に押しつけた。
 されるがままに葉子は唇を薄く開けて、みずから咥えたりはしなかったが、押し込まれた物を吐き出そうともしない。
「壊れちまいましたかね?」
 口に突っ込んだまま、不安そうに幹部を振り返った。
「女ってなあ、したたかなもんだよ。明日にはケロッとしてるさ。ケロッとして股座に男を咥え込むようになるまで、焼きをいれてやれ」
 とんでもないことを言う男だった。若い衆はそれを真に受けたのか、目上の者の言葉に従っただけなのか。
「じゃあ、ガンガンいくぜ」
 葉子の頭をつかんだまま、激しく腰を前後に突き動かし始めた。
「んぶ……んんん……」
 股間に突っ込まれたときには、まっ赤に焼けた杭のように感じた怒張だが。咥えさせられると、まりきり感触が違っていた。硬いのだけれど弾力があった。熱さはもちろん感じない。しかし、獣じみた臭いがきつい。ときおり、父からも同じような臭いを感じるが、その百倍はきつい。そして、吐き気を催す。父の臭いは、むしろ匂いのようにも思えたというのに。
「んんん……ぶふっ……」
 喉の奥を突かれて、ますます吐き気が強まる。
「うっ……」
 男が短く呻いた瞬間。喉の奥に衝撃があった。
「んぶふっ……ぐふっ……」
 口をふさがれたまま、葉子は嘔吐(えず)いた。
「うおっ……?」
 男が異変に気づいて身を引いた。
「うええええ……」
 口いっぱいにあふれたと感じていたが、床にこぼれたのはわずかな精汁だけだった。
「くそったれが。ちゃんと呑み込めよ」
 腹を蹴られて、葉子は横ざまに倒れた。
 見物していた男たちが、部屋の隅からバケツと雑巾を持ってきた。先に床を拭いて。それから、葉子をゴボウ抜きに立たせて、同じ雑巾で股間を拭った。赤白茶のまだらに汚れていた下半身が、見た目では綺麗になった。
「そっちは終わったようだな」
 壊れた人形のように転がっている母親を取り囲んでいる五人の若い衆に、幹部が声をかけた。
「三輪車で行きましたから」
「それじゃ、こっちを手伝え。ヤスとサブは母親だ」
 五人の男どもが、嬉しそうに近寄って来る。半面、葉子で埒を明けた三人は、げんなりした顔つきで母親のほうへ行った。幹部は母も娘も、若い衆全員に犯させる腹積もりらしい。
 五人目の男が、葉子を組み敷いて前を貫いた。そのままゴロンと寝返って、葉子を腹に乗せた。六人目が背後からおおいかぶさって、後ろを貫く。
「きひ……ひいい」
 泣き叫ぶ気力も体力も消尽して、葉子はか細い悲鳴を途切れ途切れに吐いている。
 後ろを貫いた男が葉子を羽交い絞めにして上体を引き起こす。七人目が髪をつかんでさらに顔を上げさせて、口に突っ込む。
「ぶむ……ううう」
 アクセルが踏み込まれて――荒れ地を疾駆するオート三輪さながらに、葉子の裸身が揺すぶられる。
 三人の動きが互いに邪魔をし合って、男どもはなかなか埒を明けられない。幹部が最初に葉子を犯したとき以上の時間がかかった。オート三輪が停車したとき、葉子はピクリとも動かなくなっていた。
「ここまでだな。地下へ放り込んでおけ。四人とも別々だぞ。一家心中でもされると面倒だ」
 母も葉子も、若い衆二人ずつに手足を抱えられて、荷物のように地下へ運ばれた。地下には倉庫だけでなく、配電設備や機械設備の部屋がある。葉子は配電室へ運び込まれた。毛布でぐるぐる巻きにされて、部屋の隅へ転がされた。毛布は冬の寒さから『商品』を保護するための処置で、縛ったのは逃亡を防ぐ意味もあるだろうが、配電設備に不用意に触って感電しないための保護でもあった。

 葉子は気を失っていたのではない。二階席へ避難したのでもない。意識があると知られたら、また犯されるのではないか。その思いが心も身体も縛っていたのだった。
 男たちが立ち去っても、まだ葉子はじっとしていた。身体を動かす必要を感じていない。
(睦夫は身体がもつかな)
 自分のことよりも、弟の身を案じる。三年生といっても早生まれだから、葉子とは二歳ちかく離れている。線も細くて、体育はいつも2だ。遠洋漁業のような重労働に耐えられるだろうか。
 ママもかわいそう。山奥の飯場とか聞こえた。遠洋漁業に負けないような荒くれ男どもの中に放り込まれて――毎日、さっきみたいな扱いを受けるんだろう。
 パパのことは――考えないようにした。会社のお金で家を建てて自動車を買って。犯罪の上に築かれた贅沢な生活。私たちまで共犯者だ。パパを恨む。でも、憎めない。
 股間というよりは下半身全体が痛い。前にも後ろにも、まだ棒を突っ込まれているように感じる。口の中が気持ち悪い。
 肉体よりも心が、現実からの逃避を求めていたのだろう。いつか葉子は許されているただひとつの逃げ場――眠りの中へと落ちて行った。
shock165002.jpg
========================================

 この後、ヒロインは下っ端組員と結婚させられます。
 結婚すれば成年として扱われますから、どんな職業に就いてもお咎め無しです。ほんとうのところは、結婚していれば『契約』などに保護者の承諾が不要とか、そういうことなのですが。現在でも16歳の人妻がソープに勤めるなりAVに出演なりすると、ややこしい法律論議を引き起こすかもしれません。
 半世紀昔を舞台にしたフィクションですから、そこらあたりは有耶無耶で進めます。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 000:昭和集団羞辱史

 ひと晩寝て、爽やか(でもない←飲み過ぎ)に目覚めて。意欲復活。
 このまま書き続けると、ヒロインの心裡が迷走してしまいますが、それもそれなりにリアリティ。
 The ship riding on.です。
 剛腕てやつで書き進めてみましょう。





 第2弾『浴場編』トルコ嬢&秘湯の遊女

 どうにも進捗しません。チョコマカ書いてはふた休み。文章が細切れになってます。
 筆者は昭和時代の記憶があるから、それを活かして他SM作家との差別化を――なんて営業戦略を練ったのが、根本的に間違ってました真上。
437699_1323690599-4.jpg
 筆者の原点は
・読みたいSM小説が無い
・そんじょそこらの投稿作家よりは、ずっと上手い
・だから、俺が(掻いているネタを使って)書く!
でした。

 年間高級ソープ1回分かそこら(おのれ、月イチ中級ソープをつぶした熱帯雨林め。バイトを見殺しにする極悪ブラック企業め。地球でいちばん同人作家に優しくない企業め――という話はさておき)で基本スタンスを揺るがしてはならぬのです。

 どうにか『芸術編』は書きましたけど。縄も鞭も強引に出しましたけど。
 やはり、話の本筋として出さねばモチベーションになりません。

 ということで。『昭和集団羞辱史』は、中期中断。本格残虐マゾ堕ち大河長編を主軸に、息抜きに『SMツアー』とか。『昭和集団羞辱史』は箸休め。
 なんてのも、戦略ですね。

 とにかく。原点。書きたいものを掻きます。
 月間濠門長恭は、2020年5月をもって断念。よくぞ3年も続いたものです。


 これを書くと、もはや戦前特高物のネタが打ち止め。という『赤い本と白い花(仮題)』に照準を定めます。
 4月中にPLOTを固めます。出たとこ勝負でなく、かなり細かいところまで詰めます。
 そして、4/29-5/06の大型連休で、一揆加勢は無理でしょうが、乗ってしまったジャガーノートくらいまでは進めます。5月いっぱいか6月にかかるか。我が先かコロナが先か、あはれといふもおろかなり南無阿弥陀仏。
 1千枚予定です。掻き上げます。

 というわけで。今夜は(も)内臓消毒して鋭気&英気をええ気になって養います。


追伸
 野田昌弘宇宙軍大元帥も、久美沙織(元)少女小説作家も。書きかけた原稿は最後まで書きなさいとアドバイスされとりますが。
 すでに50作以上も仕上げてきた筆者には当てはまりません。
 ベテランゆえのスランプ――ということにしときます。締切に追われてるわけじゃなし。
 フランス取ったかて、たとえばロリマゾの1編なら、過去に下読みの認識不足で落とされたのが何本もあるし。目の肥えた編集者がきちんと読めば、どれもこれも商業出版に堪える作品ばかりですから。ストック原稿に不足は無い。


 とにかく。掻きたいモノで書いていくんじゃ。
 不思議と、書いてしまうと、そのネタでは掻けなくなるんですよね。SMセレクトデビュー当時から。




テーマ : 日記
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:昭和集団羞辱(ヌードモデル)

  実は、3連休初日に上げています。
 その後は、大量爆撃第2波の印刷とか校訂とか。
 ヤマ場をどーんといきましょう。
 KINDLEの制約がなくなったので、かなりの部分まで公開できます。全公開は、さすがに他サイトでも拙いし、だいち、売上が立ちません。まあ、月イチソープを諦めて得た自由です。表紙絵の制約もなくなりましたし。とはいえ、さすがにモロ出しはNot openなので、レンズフレア処理とかしました。

========================================

 モデルの中には、アルバイトを幾つも掛け持ちしながら、かつかつに暮らしている女性も少なくはない。ヌードモデルの需要はそれなりにあるが、モデラート社の場合でいえば、一か月の半分も仕事があれば売れっ子の部類。二時間の拘束が多いから、全裸ばかりでも月の手取りは六千円くらい。ふつうの仕事と変わらない。それなのに、化粧品とか美容院代が世間一般の女性の何倍もかかる。余暇だけはたっぷりあるが、よほどしっかりしていないと無駄遣いの機会も増えてしまう。
 佳恵が断トツの稼ぎ頭なのは、若さのせいもあるが、社長が意図的にそういう仕事をまわしてくれるからだった。それが依怙贔屓ではないと、ぼつぼつ佳恵も気づいている。レズにしても四十八手にしても緊縛にしても、そんな仕事を引き受けるのは、よほど金に困っているのでなければ、アザミのような『好き者』か世間知らずの小娘くらいだった。
 そして佳恵は――他人の目から見れば『小娘』から『好き者』に染め上げられようとしていた。すくなくとも、社長の岸部はそう目論んでいるようだった。六時間拘束の全裸なんて仕事を、簡単に振ってくる。
 彫刻では十時間以上の拘束も珍しくはないが、それは何日にも分けてのことだ。今回の話は六時間連続で、すこしくらいポーズが崩れてもかまわないという。そして、ヒナギクを指名してきた。前の仕事で下の毛を剃っているから、全裸は不都合ではないかと依頼先に尋ねても、むしろ好都合だと、これは口を滑らしたのだろうが。
 趣味の集まりだが、絵画とか写真というわけでもない。全裸の少女を肴にして酒を酌み交わして、興が乗ればモデルにもなってもらおう。
「生け花の代わりとでも思っていただければ、わかりやすいですかね」
 さっぱりわかりやすくなかったが。結局は、長時間拘束のしんどさを『応相談』に含めて、社長は二つ返事で引き受けたのだった。
 指定された現場は、隣の市との中間にある大きな旅館だった。この地域は明治時代に鉄道建設に反対して交通要所から外れてしまい、一時はどこの山奥かというくらいまでさびれていたそうだ。それでも、江戸時代には参勤交代の本陣だった結構のまま生き残っているのは、この旅館を中心とした知られざる歓楽街に生まれ変わったからだが。三年前に赤線禁止法ができてからは、再びさびれつつあった。そういったことを、佳恵は知らない。昼なのに人通りが極端に少なく、それでいて崩れた雰囲気の女性を何人も見かけることに気づいたくらいだった。
 旅館を訪れると、中庭にある小亭に案内された。二十人ほどの男が二重のコの字型に座って、佳恵を待ち受けていた。
「御待ちの方をお連れしました。御用のときは、内線電話でお報せください」
 それまでは誰も来ないという意味だが、もちろん佳恵にはわからない。それよりも――集まっている男の中に見知った顔を見つけて、佳恵は凍りついていた。
 見分けられた顔は三つ。いずれも、緊縛教室の参加者だった。師匠と呼ばれていた男こそいなかったが、叩き責めのポーズをせがんだ男と、三角木馬に乗せたがっていた男がいた。
「緊縛とやらのモデルは、お断わりしているのは、ご承知ですよね?」
 そうと決まったわけではないので、それほど声は硬くなかった。
「わかってるよ。ヒナギクちゃんを縛ったり敲いたりはしない」
 主催者らしい男が、具体的な内容の部分をいやに強調して答えた。
 この男の顔にも見覚えのあるような気がしたが、思い出せなかった。それもそのはず。初仕事のレズ撮影のときは緊張していて、顔を覚えるどころではなかったし、ずっとカメラで隠れていたのだから。
「さっそく、仕事を始めてもらおうか。脱いでくれ」
 話が違うと、すでに佳恵は気づいている。酒を酌み交わすとか聞かされていたが、御膳どころかお銚子一本並んでいない。そして、男たちの目が異様にぎらついている。
 それでも、佳恵はモデル嬢として振る舞うしかなかった。
「どこで着替えたらいいんでしょうか?」
 何人かの男が嗤った。
「どうせ、みんなの前で『御開帳』するんだ。ここで脱げよ」
 あまりに横柄な物言いだった。このまま引き返してやりたいけれど、それでは社長に迷惑を掛ける――そんなことを考えたのは一瞬。
 いきなり、二の腕もろとも羽交い絞めにされた。
「なにをするんですか!」
 叩き責めの男が目の前に立って、右手を振り上げた。
「やめて!」
 羽交い絞めにされているので、満足に顔をかばえない。
 バシン! バシイン!
 目の前で星が飛び交って、鼻の奥が鉄臭くなった。
「なんだったら、俺らの手で服を引き裂いてもいいんだぞ。そんときは、車のトランクにでも詰めて会社まで送ってやるけどな」
 プロのモデルだなんていう自惚れは一瞬で砕け散った。羞ずかしいのを我慢して卑猥なポーズにも応じていれば、乱暴なことはされないなんて思い込みも消し飛んだ。
「脱ぎます。暴力はやめてください」
 羽交い絞めを解かれて。その場にへたり込みそうになる自分を励まして、裸になった。縛られたり叩かれたりくらいは、覚悟するしかなさそうだった。しかし、男たちの目論見は、そんな生易しいものではなかった。
 両側から肩を押さえ付けられて、佳恵は膝を突いた。腕を引っ張られて。
 カチャン。両手に別々の手錠を掛けられた。
「やめてください。縛るのは駄目って、お断わりしてます」
「縛っちゃいないぜ。これは手錠だ」
 手錠の片方が、足首を巻いた。
「足錠でもあるかな」
「同じことじゃないですか。今すぐ、ほどいてください」
「それこそ、契約違反だね」
 佳恵を取り囲んで見物していた男のひとりが、奇妙なことを言った。
「最初から、六時間の拘束という契約だろ。だから、こうやって拘束している」
「…………」
 あまりに馬鹿らしくて、言い返す気にもなれない。
 この人たちは、あたしを縛って――じゃなくて拘束して、何をするつもりなんだろう。緊縛研究会では師匠に止められた、リアリズムの叩き責めをする。それくらいしか、佳恵には思い当たらなかった。のだが。
 ごろんとあお向けに転がされて、肩を押さえ付けらえた。手足を手錠でつながれているので膝が立ったままになって、自然と開いてしまう。
 主催者が佳恵の前に立って、見せつけるように服を脱ぎ始めた。パンツがきつい角度でテントを張っている。
 事ここに至れば、男たちの意図は明白だった。
「やめてください。罰金の約束はほんとですよ。社長の後ろにはヤクザだってついてるんですからね」
 ほんとうかどうかまでは知らないが。いざとなればそう言えと教えられている。ヤクザは警察や裁判所と違って、場合によっては疑わしきも罰する。差し押さえの手続きも関係ない。速戦即決。もしも、この男たちが佳恵を犯したら、明日の夜までには罰金を払う破目になるだろう。
「罰金は十万円だったな」
 男は委縮のそぶりも見せない。
「二十人で割れば五千円だ。それで処女を嬲り放題なら、安い買い物だ」
「…………?!」
 佳恵には男の言葉が理解できなかった。いや、理解したくなかった。
 十万円あれば一家五人がつつましやかに一年間は暮らせるが、独身者でもちょっと贅沢をすれば五千円なんて一か月かそこらで消えてしまう。ここにいる男たちの社会的な地位は知らないけれど、せいぜいが数か月分の小遣いくらいのものだろう。
 罰金を割勘で払うなんて、どこまで悪知恵のはたらく連中だろう――なんて、寒心している場合ではなかった。佳恵の純潔は、まさに犯されようとしている。それも、いきなり二十人にも輪姦されるという悪夢を超絶する現実で。
「いあああああああああっっ!!」
 佳恵は声の限りに叫んだ。が、悲鳴は不意に途絶えた。手拭いを丸めて口に突っ込まれたのだった。その上を、細くよじった別の手拭いが巻いた。
 素裸になって股間に凶棒を勃起させた男がのしかかってくる。
「ぶむうううううっ……!」
 身体を捻って男から逃れようとするが、手足を拘束されて肩を押さえ付けられていては、どうにもならない。儚い身悶えが、ますます男の劣情に油を注ぐとは、まったく気づかない。
「いきなりじゃあ、可哀そうだからな」
 男の指が、佳恵を穿った。それだけで、焼け火箸を突っ込まれたような激痛だった。焼け火箸が右へ左へと佳恵の中を掻き回す。
「んあああっ……んんんん!」
 痛みがふっと消えた。のは、いよいよ凶棒を突っ込む予告に他ならない。
「へええ。濡れてやがる。こんなにされて感じるとは、マサコよりも素質があるかな」
 縛られて性的に興奮する女がいると、緊縛撮影会のときに耳にしている。そのときにあがった名前のひとつだった。
 女性器を乱暴に扱われると、自己防衛のために幾許かの潤滑がはたらく。しかし、そんな知識は男たちにも佳恵にもなかった。(女を虐める)経験が豊富な男が言うのだから、自分にはそういう資質が秘められているのかもしれないと、佳恵は思わされてしまった。
「それじゃ、オンナにしてやるぞ」
 股間に指よりも太い物が押しつけられた。割れ目を押し広げて侵入してくる。
 そう感じた一瞬後。焼け火箸どころから、まっ赤に焼けた鉄の杭を打ち込まれたのではないかと錯覚するほどの激痛が、佳恵を貫いた。
「む゙あ゙あ゙あ゙ーーっ!!」
 佳恵はくぐもった絶叫を噴いた。
「むゔうう……ううう」
 激痛が、股間に居座っている。男が腰を上下に動かし始めると、激痛がいっそう大きくなって、股間でうねくった。
「うう、うう、うう……」
 男の動きにつれて、苦鳴が間断する。
 佳恵は、もう叫ばなかった。それだけの気力も失われている。男に翻弄されながら、涙を流し続けるだけだった。
 パシャ……カシャ。シャッターの音が、途切れ途切れに聞こえた。あるいは、ずっと写されていて、佳恵がそれに気づかなかっただけかもしれない。
 シャッターの音が消えて。それからさらに三十分とも一時間とも知れない激痛が続いて。ようやく、佳恵を犯していた男が立ち上がった。まだ半勃ちの凶棒は、破瓜の血でまだらに染まっていた。
 それで、佳恵への陵辱が終わったのではない。これからが、本格的な淫虐の始まりだった。
 股間を自らの出血と男の白濁とで汚されたまま、佳恵は裏返しにされた。肩と膝で身体を支えて尻を高く掲げた、淫惨なポーズだった。男たちの嗜虐をあおる姿態だった。
 二十人もの男どもに身を穢され尽くす運命に呆然としていた佳恵だったが。突き出した尻を別の男の凶棒に割られて、狂ったようにもがき始めた。肛門も陵辱の対象にされるとはこの期に及んでも想像すらしていなかったが――ここまでされては、誤解の余地も無い。
 非力な少女の渾身のもがきなど、尻を抱えて押さえつけられて。破瓜の激痛にも勝る凄絶な熱感が肛門を引き裂いた。突き破られるのではなく、上下左右に引き裂かれるような痛みだった。内臓を押し込まれるような、痛みとは異なる鈍い圧迫感をともなっていた。
 佳恵がくぐもった悲鳴を噴いたのは、一度きりだった。あとは、男の抽挿で息を押し出されて、それが不明瞭な呻きとして律動するだけだった。
 やはり、シャッターの音。そして、陵辱を見守る不気味な沈黙。長さの見当もつかない時が流れて、ふたたび佳恵は惨めな休息を与えられた。
 ぴちゃ……尻に冷たさを感じた。ごわごわした感触が肛門をえぐる。水に浸した手拭いで汚れを拭き取られているのだと、しばらくしてから理解した。股間も同じように無慈悲な清拭を受けてから。
 佳恵は身体を起こされた。脚を閉じる気力もなく、立てた膝に上体を投げ出した無様な座り方になった。
 三人目の男が、佳恵の前に膝立ちになった。すでに凶棒は天を衝いている。
「俺ぁ、女を甚振るのは嫌いだ。おめえだって、もう痛いのは厭だろ」
 かすかに佳恵の頭が動いた。
「こいつをしゃぶってくれるなら、痛いことはしねえよ。どうだ?」
 男は、佳恵のサルグツワをほどいた。
 そのまま佳恵が放心していると。男は優し気な言葉とは裏腹に、髪をつかんで佳恵の顔を上げさせた。その唇に先端を押しつける。
 この当時、吸茎という性技があるとは、それなりに知られていた。不甲斐ない夫を奮い立たせようと頑張る健気な妻もいたが、基本的には『プロ』の女性が金目当てに行なう行為と思われていた。当然の前戯として処女でさえも嗜む現今とは、まるで事情が違っていた。
 しかし佳恵は、すでに思考力を失いかけている。男性器をしゃぶる行為がどれほど卑猥で屈辱かなど、まったく頭に浮かばない。苦痛から逃れたい一心で、口をわずかに開けた。
 ぐぼっと――そこに凶棒が突っ込まれた。
「噛むなよ。噛んだら歯をへし折るぜ。ほら、ぼけっとしてないで、ちゃんとしゃぶれ」
 佳恵は息を詰まらせながら、口中の生温かい異物に舌を這わせた。
「もっと動かせ。ぺろぺろばかりじゃ埒が明かない。すするとか、唇で押さえて前後に扱くとか、もっと工夫しろよ」
 どうすれば男根を刺激できるかという基本的な知識すらない少女に、男が無茶な注文を出す。
 ぺちゃぺちょ、じゅるる……男に言われるがままに、舌を動かし、頭を揺すってみる。
 拙い奉仕を続けさせる余裕がなくなったのか。男は両手で佳恵の頭をつかんだ。そして、激しく腰を前後に動かし始めた。
「んぶぶぶ……くしゅ……むぶうう」
 喉を突かれてえずきかけ、鼻腔を淫毛でくすぐられて出そうになったクシャミは男根に押し戻されて。しゃぶれと言われたことだけを覚えていて、頭をゆすられ口中を陵辱されながらも、その元凶に舌を絡める。
 不意に――喉の奥に滾りを叩きつけられて、それを吸い込みそうになった。
「げほっ……うええええ」
 男が凶棒を引き抜くと、佳恵は畳に手を突いて、口中の恥辱を吐き出した。胃液もぶちまけてしまう。昼食から時間が経っていたので、それだけで済んだ。
「こりゃあ、畳の損料を取られるなあ」
「罰金で相殺するよう、交渉してみるか」
 少女の純潔よりも畳一枚のほうが大切だと言わんばかりの会話だった。
「のんびりもできないぞ。六時間で二十人なら、せいぜい十五分だ」
「それだけどな……卍巴をやってみないか」
「なるほど。穴は三つあるな」
 こういうことになると、話は早い。
「お嬢ちゃんだって、早く終わりたいよな」
 乳房を背後から揉まれながら尋ねられて。手を払いのける気力もなく、なにも考えずにうなずいた。
「おっし。お嬢ちゃんも、やってほしいとよ」
 尋ねた男が、佳恵を仰臥させて、前戯も潤滑もせずに前を貫いた。
「きひいいいっ……痛い!」
 佳恵が弱々しく叫ぶ。
 それには構わず、男が佳恵を抱いたままゴロンと寝返りを打った。
「馬乗りになってくれないと難しいな」
 別の男が佳恵の脚をつかんで折りたたむ。わずかに浮いた尻へ凶棒を突き立てた。
「痛いっ……え?? いやあああああっ!」
 ようやく、佳恵は男どもの意図を悟った。ときには、上体を引き起こされて、三本目を口に突っ込まれていた。
 男どもが動き始める。
「どうも具合が悪いな。あんたが音頭を取ってくれ。こっちは、それに合わせる」
 下になっていた男が動きを止めた。尻を貫いている男が、ゆっくりと大きく腰を振り始めた。華奢な佳恵は、男の腰と男根で前後に衝き動かされる。それに合わせて、下からも突き上げられる。目の前にいる男が動かなくても、口中の凶棒は勝手に暴れまくる。
 最初に口を犯していた男が劣情を遂げて。前後の男も相次いで佳恵の中に欲望を解き放った。誰もコンドームなんか着けていなかった。後ろを犯した男は、自らを拭ったチリ紙が茶色く汚れているのを見て顔をしかめた。
 佳恵の下半身は赤白茶色の惨状を呈しているが、その後始末をしたのは、次の三人組だった。そいつらは、壁際に布団を積み上げた。
「ケツをこっちに向けて嵌めろや」
 佳恵は突っ伏したまま、男の声に無反応。それでも。二人掛かりで抱え上げられて、布団に座った男の前へ引きずられ、後ろ向きに肛門を貫かれると、弱々しい悲鳴を漏らした。
 二人目が中腰になって、前を貫いた。佳恵はかすかに呻いただけだった。
 三人目が布団の上に立って、佳恵の正面に割り込んだ。
「ぐらぐらして、こけそうだ」
 おどけているつもりなのだろうが、声が掠れている。壁に手を突いて身体を支えながら、凶棒を佳恵の口に捻じ込んだ。そうして、ふたたび淫惨な卍巴が始まる。口淫を強いていた男は途中でバランスを崩して、ほんとうにこけてしまった。やり直したりはせず、二人が埒を明けてから佳恵を四つん這いにさせて、あらためて同じ部位に突っ込んだ。
 佳恵は膝も砕け、腕を突っ張るだけの気力もない。お留守になっている下半身を別の男が支えてやって、もちろん自分も五千円分の賞味に取り掛かった。
 ――ここまでで、ようやく十人。三人同時は、破廉恥至極淫虐無比。精神的な興奮はこのうえないが、動きが制約されるので肉体的な満足は難しい。それがわかってくると、男たちは二人ずつで佳恵を使うようになった。
 使う――という形容がふさわしかった。佳恵は半ば失神している。ビンタを張られても、かすかに呻くだけで、意識はあるのだろうが何をされても、わずかに身体をよじるだけ。男の手を払いのけようともしなかった。
 そういう意味では、佳恵を犯したのは十人だけともいえる。あとの十人には肉体を使われたに過ぎない。
 二人掛かり三人掛かりが多かったので、二十人がとりあえず満足しても、まだ二時間ほどが残っていた。佳恵は半数ほどの男に風呂へ連れ込まれた。女湯のほうは、これから接客にいそしむ妓たちが商売道具に磨きをかけているが、夕暮れ時から湯に浸かる風雅な客はいなかった。
 風呂へ行く途中で二人連れの女とすれ違ったのだが、旅館の浴衣を着せられているものの前がはだけたまま男たちに引きずられている佳恵を見ても。
「あら、まあ……」
 そんなに驚いた様子もなかった。この旅館は曖昧宿というだけでなく連れ込み宿、いや拐かし宿でもあるらしい。
 佳恵は身体の内外(うちそと)の汚れを男たちの手で(寄ってたかって)洗われたが、汚辱はいっそう心に浸み込んだ。それでも、意識は次第にはっきりしてきて。洗うついでにアレコレと弄ばれると、うわ言のように拒否の言葉をつぶやいた。が、抵抗はしなかった。威勢を取り戻した何人かに犯されたときも同じだった。さすがに――「腰を振れ」だの「咥えるだけでなく啜ってくれよ」だのといった求めには応じなかったが、それも積極的な拒否ではなく、気力が萎えているだけのことだった。
 この状態で放り出してはさすがに拙いと思ったのだろう。男のひとりが、自分の車で会社のビルまで佳恵を運んだ。そして、非常階段の脇に放り出して逃げ去った。
 ――佳恵は機械的に足を運んで、二階にたどり着いた。精神的には瀕死の状態だったし、女性器も肛門も傷ついていたが、肉体的な消耗はそれほどでもなかった。
 非常口は施錠されていた。合うはずもないのに、事務所の鍵でガチャガチャやっていると、内側から空いた。社長だった。営業時間は過ぎていたが、仕事が終わったという佳恵からの連絡がない(旅館に問い合わせると、もう出たとの答えだった)ので、待っていてくれたのだった。
「どうしたっ……?!」
 社長の声を聴いた途端に、かろうじてつながっていた精神の糸がプツンと切れて――佳恵は、その場に倒れた。

========================================
アイキャッチ画像は、「次号予告」といきましょう。体型のロリっぽさで、この1枚で抜けます。
この動画では、なぜか男が腕にゴムバンドを巻いています。小説の設定まんまです。

miad998-06.jpg


miad00998pl.jpg
DMMの売り場はこちら→

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:昭和集団羞辱/芸術編(ヌードモデル)

邪淫のいけにえ2 ~女勇者と修道女・果てしなき絶頂&触手地獄に堕ちたダークエルフと聖女~ [CHAOS-R]暴淫荒野 白濁のビッチ姫~あなたの大きいのドンドン私にぶち込んで~ / ゲリラ少女ハント~捕まったらモヒカン野郎の精液便所~ [CHAOS-R]

 SARSとかに比べて、今回はやけに厳戒態勢。
 過去の教訓を活かしたというより、実は一般大衆に隠されている情報を各国上層部が握っていて、必死に人類滅亡を防ごうとしている――なんてのは、穿ちすぎでしょうか。国産にこだわって外国の検査キットも臨床レベルのワクチンも導入しようとしない利権亡者を見ていると、たぶん人類は大丈夫かな。
 それとも、日常から非常体制への思考転換が出来ないのかしら。

 おっと。こういうのは戦闘詳報で書きましょう。→WARP 9!

 では、中段部分を2章一括掲載。
 「緊縛教室」と「野外撮影」の章の長さの極端な違いが、筆者の力の入れ方に比例しています。




========================================

   緊縛教室


 それでも、三回目の『応相談』の仕事には、羞恥心だけでなく恐怖もあった。
 縄で縛られるのだと聞かされた。犯罪者扱いされるように感じた。けれど、社長に説得されるまでもなく――『本物』と『真似』の違いだと割り切った。
 割り切るよりほかになかった。仕事を引き受けるも断わるもモデルの自由なのだが――佳恵は与えられた仕事と受け止めている。サラリーマンでも工員でも、与えられた仕事を拒否するなんて考えられないことだった。
 この時代。すでに『奇譚クラブ』とか『裏窓』といったSM色の濃い雑誌は存在していたが、広く認知はされていない。だから、佳恵に性的な連想がはたらかなかったことも、四十八手の撮影ほどにも抵抗を感じなかった一因だろう。前貼りは無しだが下穿きは着けたままというのも、佳恵を安心させた。
 汽車に乗って二時間。今度の仕事場は、撮影会の主催者の自宅だった。というよりは、旧家のお屋敷。そこの土蔵が、毎月の緊縛撮影会の場になっている。
「毎月開催していて警察沙汰にもなっていないのだから、女を縛るとかいっても健全なものだよ」
 警察沙汰がどうこうと、わざわざ言及したあたりがきな臭い――とまでは、裏を読まなかった。三時間の撮影と一時間の懇談会。合計四時間に五割の年齢増しがついて『応相談』がなんと千円。ずいぶんと、金銭的に余裕が生まれる。モデルさんにふさわしい洋服でも買おうかなと、むしろ浮き立つ気分だった。

 土蔵には二十人ちかい男性が群れていた。高価な一眼レフカメラはもちろんだが、8ミリ映画のカメラまで持ち込まれていた。レフ係の人はいなかった。それが必要ないほどに、あちこちに裸電球が吊り下げられている。
 これまでのように別の部屋で裸になるのではなくて、みんなの目の前で服を脱ぐように要求された。パンティは穿いたままで、前貼りをするところを見られるわけじゃないんだから――気楽に(でもなかったけれど)考えて、佳恵は要求に応じた。
 撮影会が始まるのを待って、みんな静かに待っている。そう考えた佳恵は、もちろん間違っている。清楚な処女が男の前で裸になるという状況が、どれほど男の劣情あるいは支配欲をあおるものなのか、わかっていないだけだった。
「けっして痛くないからね。もっと力を抜いて」
 いきなり両手を背後にねじ上げられて、無理な注文だった。けれど、力に抗ったらますます痛くなる。
 手首に縄が巻かれた。縄尻が前へまわされて、下乳を縛った。ブラジャーよりもずっと強く乳房を持ち上げられて締め付けられて――けれど男の言葉のとおり、痛くはなかった。
 足された縄が乳房の上を縛った。根元を絞られて、乳房が突き出る。男が乳房をわしづかみにして引っ張る。
「身体をさわるのは禁止です」
「乳の形を整えているだけだ。ポーズを着けているのと同じだろ」
 縛られているのだから、自分ではどうにもできない。我慢するしかないと、佳恵は諦めた。
 腋の下を縄がくぐって、上下の縄がひとまとめに絞られた。首にも縄を巻かれてV字形に胸縄を引き上げられた。
「ほほう。あの貧弱な乳房が、こんなに盛り上がるとは。さすが、師匠ですねえ」
 佳恵は二重の屈辱に唇を噛んだ。自分では、人並みの乳房で形も綺麗だと自惚れていた。それは『貧乳』の一言で粉砕された。それに、乳房が盛り上がり過ぎたシルエットは見苦しいと思っている。見下ろすと、なだらかな半球形だった乳房が、毬のようにくびられて無様に突き出ていた。
 しかし、そんなささやかな屈辱など物の数ではなくなった。
 師匠と呼ばれている男が、パンティに手を掛けたのだ。
「全裸は駄目です。セミヌードまでの約束です」
「そんな野暮ったいズロースでなくて、もっと大和撫子にふさわしい下着に穿き替えてもらうだけだ。着替えるには、脱がなければならないだろ」
「自分で穿きます。だから、縄をほどいてください」
「わがままを言うんじゃない。時間の無駄だ」
 パンティを強引にずり下げられて、佳恵は男に背を向けた。しかし、そこにもカメラを構えてしゃがんだ別の男がいた。レンズが、もろに股間を狙っているように思えたのだが。
「おっと、失礼」
 その男が慌てたふうに立ち上がって、横へどいてくれた。その紳士的な挙措に佳恵は感銘を受けた。
「そのまま、じっとしていなさい」
 背後から声を掛けられて、佳恵は男たちを信頼することにした。
 肩に二十センチほどの白い布が掛けられた。半幅の晒し木綿だった。その布が股間を包んで尻を割って後ろへ引き上げられた。腰骨の上で押さえられれ、細くよじられて腰を巻いた。尻を割る布と絡めて折り返され、きつく絞られた。
(あ……これって?)
 都会ではどうか知らないが、地元の年配者には褌を常用している者も多い。六尺褌を締めさせられるのだと、すぐにわかった。そして、ますます羞恥に身悶えた。女だてらに六尺褌を締めるなんて、男がスカートを穿くよりみっともない。けれど、前貼りだってずいぶんとみっともない。
(これは布で出来てる前貼りなんだ)
 そう考えることで、佳恵は羞恥を押さえようとした。
 肩に掛けられていた端も前に垂らされて股間を包んだ。同じように尻を通されて、布が縦横に交差している部分に絡められて、反対向きに腰を巻かれた。余った布は結ぶのではなく、腰を巻く布によじりつけられた。
「しばらく、この形で撮影しましょう」
 立ち姿を撮られて、正座させられて、そのまま大きく開脚して。
 師匠と呼ばれた縛り役の男が、新しい晒し布を手に取った。褌のために裂いた残り半分らしい。その布のまん中に大きな輪を作って、何度も布をくぐらせてから、ぎゅううっと引き絞った。丸い結び玉ではなく、横長の太い塊りになった。
「口を開けなさい」
 サルグツワを噛まされると、佳恵は正しく判断した。
「あたし、騒いだりしてないじゃないですか」
 男が苦笑した。
「そうじゃない。これも緊縛美に欠かせない要素なんだよ」
「キンバクビ……?」
「縛られて抵抗を封じられ、言葉さえ奪われた女性が、もっとも美しいと僕たちは思っているんだよ」
「……?」
 男の言い分は理解できないし、したくもないけれど。これはお仕事だったんだと思い出して。佳恵は素直に口を開けた。結び瘤が歯を割って口中に押し込まれ、両端の布で頬をくびられた。
「恥ずかしいだろうけど、胡坐を組んでもらうよ」
 佳恵の承諾も得ず、正座している佳恵の膝を両手で大きく割り開き、足首をつかんで引き寄せた。右の太腿に左足の甲を、左の太腿に右足の甲を力づくで乗せ上げた。さらに、重なった脛を縄で縛った。
「ちょっと苦しくなるけど、短い時間で済ますから我慢しなさい」
 参加者が二人がかりで佳恵の身体をきつく折り曲げた。師匠が別の縄で足首を縛り、縄尻を首にまわして引き絞った。ますます佳恵の裸身が折り曲げられて、肩と膝とがくっつきそうになった。
「くうううう……ううううう」
 ちょっとどころではない苦しさだった。自然と呻き声がサルグツワから漏れてしまう。
「これが本格の海老責めです。このまま半日も放置すると、鬱血で死に至る場合もあります」
 師匠の解説を聞いて、佳恵の背筋を得体の知れない悪寒が駆け抜けたのだが。
「撮影される方は、手早くお願いします」
 シャッター音がやむと、すぐに縄を緩めてもらえた。が、上体が四十五度くらいまで戻ったところで固定された。
「このくらいでは、女体は苦痛を感じません」
 女体だなんて――まるで物扱いだと、佳恵はこっそりと憤慨した。
「しかし……」
 師匠がゆっくりと佳恵の裸身を前へ倒していき。膝と頭の三点で身体を支える姿勢にした。
「こうしておいて後ろから眺めれば――二つの穴を同時に鑑賞できます。初心なヒナギクちゃんだと、羞恥に狂乱するでしょうね」
 言われてみて初めて、このポーズがとんでもなく卑猥だと気づいた。もし褌をしていなかったら、ほんとうにそうなっていたかもしれない。
「しかも、これは鑑賞用ではありません。どうぞ突っ込んでくださいという姿ですね」
 もちろん、そんなことは起きないに決まっているけれど。言葉で嬲られるってこういうことなんだと――実感したのだった。
 『座禅転がし』のポーズをしばらく続けさせられてから、脚の縄は解かれた。しかし、三時間のうちせいぜい一時間くらいしか経っていない。
 緊縛に使われたのよりも太い縄が、土蔵の端から端まで張られた。縄には五十センチくらいの間隔で結び玉が作られている。
「それをまたいで立ちなさい」
 縄は膝よりも低く弛んでいる。正常な判断力を保っていたら、またいだ後にどうなるか(どうされるか)容易に予測できただろうが。縛られて、恥ずかしいポーズを強いられて。数秒先のことすら考えられなくなっていた。ここに集まった人たちへの信頼も、すこしずつ高まっていた。ので、何も考えずに縄をまたいだ。
 師匠が縄を引っ張った。ぴいんと張った縄が、褌に食い込んだ。
「んんっ……?!」
 股間に先鋭な圧迫を感じて――かすかな痛みもあるが、くすぐったいようなむず痒いような得体の知れない感覚が生じた。
「淫唇がひしゃげていますね。直してやってください」
 小さなカメラを首から提げている男が佳恵に横にしゃがんで、縄を下へ引いた。褌のまん中へ太い縄をあてがうと、軽く前後にしごきながら引き上げていく。
「んんんんんっ!」
 布地越しとはいえ淫唇の内側をこすられて、苦痛は強くなったが、それ以上に――くすぐったくてむず痒い感覚が数倍に跳ね上がった。はっきりと快感だった。相反する感覚に惑乱して、佳恵は腰をよじって縄から逃れようとした。しかし、縄はますます強く淫唇の内側に食い込んでくるだけだった。
「モデルがポーズを崩しちゃいかん」
 腰をつかまれて、正面を向かされた。
 男がカメラを構えて、至近距離から股間に焦点を合わせた。数人が寄ってきて男に倣った。
 パシャ。カシャ。パシャ。ひとしきりのシャッター音。
「ここまで歩いてきなさい」
 そうだ。これは撮影会だった。あたしはモデルなんだ。佳恵は自分に言い聞かせて、裸身をシャンと立てた。一歩を踏み出して。
「…………!」
 ぐりっと股間の中をえぐられて、佳恵は棒立ちになった。
「こら、歩け」
 最初に縄を食い込ませた男が、ピシャンと尻を平手で叩いた。
「やめなさい」
 師匠が制してくれた。
「今日は、そういう集まりではありません。あくまでも形だけです」
 そういう――女の人を叩いたり身体に触ったり(きっと、もっと酷いことも)するときもあるのだろう。けれど佳恵にしてみれば、股間に縄を食い込まされて歩くのは、じゅうぶんにそういうことだった。
 それでも、モデルとしてはお客様の要求するポーズを取らなければならない。それはモデルとして間違った考え方だったが。社長からは、モデルとしてのマナーとか心構えを教わっていない。もっとも。教わっていたところで、サルグツワで言葉を封じられていては抗議もできなかっただろうが。
 佳恵は、おそるおそる次の一歩を踏み出した。結び玉が股間につっかえた。その意味をあまり考えずに、さらに前へ進んで。
「んんっ……!」
 脳天まで甘い痛みが突き抜けて、その場にしゃがみかけて、いっそう奥深くまで股間をえぐられた。縄が緩められたので、そのまま膝を突いた。
「やはり、ヌードモデルごときには無理な注文だったか」
 師匠とかいう男が吐き捨てた言葉に、佳恵は恥辱と怒りとを感じたのだが。
「マゾ女でなければ、当会のモデルは務まらないようですね」
 マゾオンナという言葉を聞くのは初めてだったが――そういうことをされて悦ぶ女のことらしいと思った。「平然」とか「耐える」とかでなく「悦ぶ」という言葉が頭に浮かんだのは――股間に縄を食い込まされて歩いたときの甘い痛みのせいだったろう。
「それでは、ひと休みしましょう」
 師匠が佳恵の縄をほどいた。
 佳恵は腕を曲げて、自分の手首を眺めた。縄の痕が赤く刻まれて、肌がくぼんでいた。二の腕にも乳房にも、同じような筋が走っている。
「ほっといても明日には消えているが、風呂で肌を温めて揉めば、数時間で消えるよ。ああ、母屋に風呂を点ててあるので、よかったら使いなさい」
 縄を手にしているときとは別人のような優しさだった。たぶん、さっきまでのが、この人の本性だろうと、佳恵は直感した。人格の多面性といったことまでは、考え及ばなかった。
 洋画で見かけるようなタオル生地のガウンを貸してもらって、それを羽織った。土蔵の隅にひじ掛けのついた椅子があった。
「ここに座っていいですか?」
 男たちがニヤニヤした。
「もちろん。座ってくれれば嬉しいね」
「……?」
 近寄ってみて、言葉の意味がわかった。座面には二本の棒が垂直に立っていた。ひじ掛けにも背もたれにも、革バンドが取り付けられている。これは座るための椅子ではない。女の人を無理強いに座らせて、身動きできないように革バンドで縛りつけるのだ。
 あらためて土蔵の中を見回すと。人間を磔にできる大きな十字架みたいな物があった。みたいというのは――下の方にも横木が付け加えられているし、縦の太い棒の中ほどからは三角の細い棒が突き出ていて、文字通りの十字架ではないからだった。
 四隅の脚で支えられた材木があった。四角ではなく三角形に尖っている。他にもいくつか、得体の知れない大道具が散らばっている。
「こういうのに、興味があるのかな」
 いつの間にか男たちに取り囲まれていた。
「興味なんか無いです!」
「そのうち、たっぷりと『応相談』に乗ってもらいたいものだね。そうしたら、ヒナギクちゃんを三角木馬にも乗せてあげるよ」
 男が言っているのは、三角の材木のことだろう。木馬というからには……たった今、縄をまたがされたばかりの佳恵には、その材木に自分がまたがればどうなるか、容易に想像がついた。総毛だった。絶対に『応相談』に応じないでくれるよう、社長にお願いしておこうと思った。
「どうも、休憩しているほうがヒナギクちゃんを怯えさせるみたいだね。再開しましょう」
 むしろホッとした思いで、佳恵はガウンを脱いだ。土蔵のまん中に立って、つぎのポーズを着けられるのを待った。
 後ろ手に縛られサルグツワも噛まされて床に転がされた。足首を別々に括られ、その縄尻を上乳を縛っている縄にくぐらせてギリギリと引き絞られると――背中が反り膝が折れ曲がっていくとともに、自然と開脚させられる。天井から滑車で垂れている太い縄が、背中を縦に走る縄とつながれて――身体が引き上げられていく。
「ぐうううう……」
 いっそう深く逆海老に背中を反らされて、股関節にも痛みが走った。胸縄が上にずれて、腋の下に食い込む。
 腹が床に着いているうちに、腰にも縄が巻かれて体重が分散された。それでも、実際に宙吊りにされると、胸と腹に縄が食い込んで息苦しいし、股関節はギシギシと軋む。
「本来なら、こういう慈悲は掛けませんが――初心者だし、あまり虐めてはモデルを引き受けてくれなくなりますからね」
 もう、じゅうぶんに虐められて辱められている。二度と緊縛撮影会なんて引き受けるものか――佳恵は、あらためて固く決心した。
「んんっ……?!」
 不意に股間をなぞられて、佳恵は激しく腰を振った。ますます、股関節に痛みが走る。
「まるきり濡れていませんね」
 それはそうだと、別の男が相槌を打つ。
「これだけされて濡らすのは、ユキとマサコくらいじゃないかな」
 濡らすというのが、どういう意味かくらい、佳恵も知っている。こんな痛くて羞ずかしいことをされて性的に興奮する女性が存在するなんて、とても信じられなかった。
「師匠。せめて、敲き責めのポーズだけでもやってくれませんか」
「真似はしません。やるならほんとうにやる。さもなければ、やらない。それがリアリズムというものです」
 高尚な美術論議にも聞こえるけれど――女の人を叩いて虐めるのだから、出発点が根本的に間違っている。そこまで内心で憤ってから、前の四十八手の撮影の時に感じたことを想いだした。あれは、真似だった。ほんとうにセックスしたわけじゃない。でも、これは――ほんとうにあたしを縛って、ほんとうに吊るしている。手加減してくれてるようなことを言ってるけれど、虐めていることに違いはない。

 それからも縦に吊られたり、十字架に磔にもされた。横木が二本あるのは開脚させるためだと、実体験で理解させられた。縦の柱から突き出ていた棒が抜き取られていたのは、師匠が言うところの慈悲か手加減だったろう。

 三時間の撮影の後に一時間の懇談という予定だったが、それはキャンセルされた。佳恵の被縛への反応に興醒めされたのだろう。当日のキャンセルだから、一時間分の料金(着衣で『応相談』無し)は払ってもらえる。もちろん、佳恵としては「儲かった」なんて毛の先ほども思わなかったけれど。
 社長からは『しんどい仕事』への労をねぎらわれただけで、客先から文句がきたとかの話は一切なかった。当然だと思う。モデルの仕事だから我慢していたけれど、そうでなければ大声で抗議して、それでもやめてくれなければ泣き喚いていた。自分に限らず、たいていの女の子はそうする。
 二度と緊縛撮影会みたいな仕事は入れないでほしいという佳恵の要求は、すんなり受け入れてもらえた。
2018011502s.jpg
画像は「縄奈加會緊縛撮影会」から拝借。https://aoiyahonten.jp/blog-entry-20362.html


   野外撮影


 三日間は事務所勤めが続いて、週末には前から予定されていた大きな仕事があった。大きいというのは規模のことで、モデル料は、半裸で四時間の基本料金だけで年齢割増もつかない。佳恵の手取りは六百円そこそこ。同年齢の女子の月給の二割くらい。それを一日足らずで稼げるというのに『そこそこ』と感じてしまうくらいには、佳恵の金銭感覚は狂いかけていたのだが、それはともかく。
 佳恵が派遣されたのは、四季の花を集めた大きな公園の一画を借り切って行なわれた、フィルムメーカー主催の『花と水着美女撮影大会』だった。現代モデラート社から派遣されたのはヒナギクとローズとサクラ。他の二人は、もしかすると素人かもしれないと、プロとしてのモデル歴は一か月にも満たない佳恵にさえ見当がついた。佳恵は(会社の備品から借りた)セパレート水着。ローズとサクラはもっと露出度の高いビキニ。三人とも色遣いが派手だが、素人っぽい二人はおとなしい無地のワンピース。それでいて、三人より恥ずかしそうにしている。
 五人が思い思いの場所に分かれて、自分でポーズを取ったり撮影者の注文に応じたり。ただし主催者から「あられもないポーズはしないでください」と念を押されていた――のも、道理。父親に連れられた男の子も(さすがに一人だけだった)交じっていた。その子がファインダー式(一眼レフでないコンパクトな家庭用)カメラを構えてモデルを撮影しているところを撮影した作品が大会の二席に選ばれるのだが、それは後日の話。
 あちこちと場所を変えて五人のモデルを順繰りに撮影している者も多いが、特定のモデルにへばり付く参加者も全体の三割くらいはいた。意外なことに、ローズとサクラのファンはほとんどいなかった。地味な二人に五人くらいずつ。そしてヒナギクには十人以上。モデルを囲む輪も、ヒナギクがいちばん大きい。
 美貌でも肉体美でもなく、若さゆえの魅力だ――と、佳恵は正しく認識している。若いうちに、うんと稼いでおきたいなんて欲望も、チラチラし始めている。
 もっとも。モデルとしての才覚は、ローズとサクラの足元にも及ばない。ひとつのポーズを続けるのはつらいけれど、静止しているのは十秒かそこらで、つぎつぎとポーズを変えていくのも難しかった。
「そこの樹にもたれかかって」
「芝生の上にうつ伏せで寝転がって。目の前の小さな花を両手で包んで」
「目線をこっちにください」
「表情が強張っているよ。もっと微笑んで」
「そこのブランコに乗ってみようよ」
 撮影者の要望に応じていると、身の休まる暇が無い。
 ローズとサクラは一連の流れの中でポーズを変えていって、撮影者に注文をつけさせる余地を与えていない。
 ――昼の休憩は主催者のテント席に呼ばれて、仕出し弁当を御馳走になった。会社の名前が背中に大きく書かれた上っ張りを着るのも仕事のうち。その姿で長机に一列に並んで、メーカーの偉いさん(といっても、支社の部課長クラス)と懇談しながら食べた。
「ヒナギクちゃんはずいぶんと若いけど、この仕事は始めたばかりかな」
「今の事務所は一か月だけですけど、モデルは半年くらい前からやっています」
 田村先生のモデルをしていた経歴を含めれば、嘘はついていない。
「それにしては、なんだかぎこちないね」
「そういえば、両端のお二人はポーズが固かったみたいですけど――まさか、社員さんとか?」
 佳恵に質問が集中しそうな気配を察して、サクラが割り込んできた。
「やっぱり、わかりますかね。そちらの子は、うちのミス営業部ですよ」
 サクラの前に座っていた若い社員が、佳恵の横に座っている女性に顔を向けた。
「あら、ま……」
「こっちの子も――」
 ローズの横に座っている、ミス営業部よりも若い娘を振り返って。
「まあ、身内のような者です。五人もプロのモデルを揃えたら大赤字ですよ」
「そんなこと、おっしゃって。この撮影会だけで、何百本もカラーフィルムが売れるんでしょ」
「卸価格でのサービスだから、儲けは知れている。それよりも、キミたちの時給は秘密にしておいてくれよ。二人にゴネられる」
 営業部長の名札を付けた五十絡みの男が、話にオチをつけた。
 話題にされた二人は、黙々と箸を動かしている。水着が恥ずかしいとかではなく、男が仕切っている場に口を挟むべきでないと心得ているのだろう。

 午後からも二時間の撮影会。プロのカメラマンとかいう人間が二人来て、素人モデルにポーズを着けさせながら、構図がどうのシャッター速度と絞りがこうのと、初心者向けに講釈を垂れた。そのおかげで、三人のモデルには腕に覚えのある参加者が増えて、ますます注文がややこしくなった。
 もっとも、ローズより若くて鼻っ柱の強いリリーに言わせると。
「ひねたアマチュアばかりだったわね。本当のプロは、細かいところはモデルにまかせて、自然な動きの中から最高の一瞬を切り取るものなのよ」
 それが芸術というものかもしれないと、佳恵は思った。けれど、四十八手にしても緊縛にしても、リリーさんの言う方向とは真反対だった。いったい、あれはなんだったのだろう。佳恵は、自分の『仕事』に疑問を持った。
 ――芸術ではなく、男の欲望を満たすためのエロ写真。そういう答えは認めたくなかった。


========================================

 この後は
「廃校利用」
 ヒナギクちゃんを含めて4人が、いろいろさせられます。
 裸ジャンスカ(パンティ有り)での授業、2人分の体操服を4人で分け合って体育授業は、鉄棒大開脚、鉄棒またぎ(食い込み)、2人ずつに分かれての本気レズ。

「割勘両辱」
 モデルの貞操にかかわる行為は罰金10万円(現代の価値に換算して200万円くらい)でも、20人の割勘にすれば1人あたり5千円で済むという……
 ここまでは執筆済み

「快感契約」
 ヒロインは人格崩壊寸前。ヌードモデルはやめたいけれど、実家に逃げ戻るわけにもいかないし、保証人がいなければまともな職にも就けないし。
 社長がふんだくってくれた追加罰金なんかで30万円あるから、数年は暮らせる。
 ここで、社長が(売れっ子モデルを手放したくないので)荒療治に出ます。
 SEX恐怖症/男性不信に陥ってるヒロインに、
「ボクがついていてあげるから」と、最後の仕事をさせます。
 ベッドに縛りつけて強制アクメへと。
 縄師も「弟子の不始末を詫びる」と、粉骨砕身。
 もしかすると、『模擬四十八手』撮影の時の男優も登場させるかも。
 最後は、アクメの絶頂で「続けてもらいたいなら、これに拇印を捺せ」で、3年間くらいの契約をさせられる予定です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:昭和集団羞辱/芸術編(ヌードモデル)

暴淫荒野 白濁のビッチ姫~あなたの大きいのドンドン私にぶち込んで~ / ゲリラ少女ハント~捕まったらモヒカン野郎の精液便所~ [CHAOS-R]斥候兵スミカ -ムルドルド侵攻- [縁]

 ひとつ前のレポートにもあるように「次の作品」を練りながら、『芸術編/ストリップ嬢』に続いて「芸術編/ヌードモデル』を鈍意打鍵中です。
 鋭意にまでは至りません。コロナがフレアするか(
戦闘詳報参照→)MM-88となるか、たとえ日本で100万人が死のうと人口比率1%。でも、甘デジ『海物語IN地中海』を23回転で引いて13連チャンしたばかりですし、年齢リスクとか慢性疾患リスクとか通勤リスクを考えると……
 ええくそ。新規臭い話はヤンピ。


 口入屋の甘言に騙されて――ばかりでは変わり映えしないので。
 次作では、父親の横領でヤクザの手で風呂に沈められるとか、継父にチョッカイ出された娘を、母親がかばうどころか嫉妬と逆恨みで秘蕩温泉に売り飛ばすとか、捻っていますが。
 本編では、こんなところです。


========================================
terayama-kumi006up.jpg
   職業強制


 津田佳恵は背もたれの高い天鵞絨張りの椅子に腰かけて、横に足を流している。全裸だった。閉じた太腿の上に皮革で装丁された本を開いているが、視線は斜め上に向けられている。もう二十分も同じポーズを続けている。身体の節々が痛くなってきたが、田村先生が熱心に筆を動かしているので、休憩したいとは言い出せないでいた。
 佳恵が先生にラブレターを書いたのは、二学期の最初だった。入学してすぐ好きというよりは憧れて――半年後に卒業を控えて、やっと想いの丈を打ち明けたのだった。翌日、美術教室に呼び出されたときは、お説教かなと覚悟もしていたのだけれど。
「佳恵クンの想いに応えてあげることはできない」
 面と向かって下の名前を呼ばれただけで、想いの半分は報われたと思った。そして、次の言葉を聞いて――喜びと戸惑いとが重なった。
「これは……他の生徒には頼めないことなんだが。もしよければ、絵のモデルになってくれないだろうか。来年の県美術展を狙っているんだ」
「それって……ヌードになるんですか?」
 他の生徒には頼めないという言葉に、それを察していた。
「そうだ。でも、君には指一本触れない。けっして邪な気持ちは持たない。お願いできるだろうか」
 喜びと戸惑いに、羞恥が重なった。けれど、『指一本触れない』という言葉に淡い失望が重なったのも事実だった。
 佳恵は、先生の横顔をじっと見つめている。輪郭の太い角張った顔。けっして美男子ではないし、男臭すぎるので女子生徒の評判は(二十八歳の独身というわりには)それほどでもない。けれど、そのいかつい顔を眺めているだけで――佳恵の乳首は固くしこってくる。股間に埋もれた小さな蕾が、じわあっと存在を主張する。
 筆の動きが止まると同時に、佳恵は視線を元に戻した。笛が動き始めると、また視線を先生の横顔に向ける。
 廊下に面した窓はカーテンで遮られ、出入り口には外から南京錠が掛けてある。先生は、施錠してから窓を乗り越えた。そうやって意図的に作った二人だけの空間。その中で流れる、どんな恋人同士でも持つことのできない、二人だけの濃密な時間。
 しかし、それは突如として破局を迎える。
 ガチャガチャッと南京錠をいじくる音。鍵は先生が持っているから、開けられないはずなのに。ガラッと扉が引き開けられた。
「これは、どういうことなのだ?!」
 教頭先生が、出入口のところで棒立ちになって――ひと呼吸をおいて教室に踏み込んで来た。
 佳恵は教室の隅へ駆け逃げた。脱いでいた制服で身体の前を隠して、うずくまる。
「けしからん。神聖な教育の場で、破廉恥なことを……」
「けっして、そのようなことはしていません。裸婦を描くのは、筋肉の流れなどを……」
「黙れ! この生徒の親御さんが、そんな屁理屈で納得するとでも思うのか」
 二人は職員室へ引っ立てられた。日曜の午後とあって、誰もいなかったのが、せめてもの救いだった。
 教頭は田村の弁解を頭ごなしに粉砕して、二人に誓約書を書かせた。美術教室で教え子にヌードモデルをさせていた(先生に頼まれてヌードモデルをしていた)という事実を認めて、二度と破廉恥なことはしないという、それだけの文面だった。
 田村は無表情に、佳恵は泣きじゃくりながら誓約書を書いた。
「ことさらに波風を立てるつもりはありません。今回だけは、目をつむりましょう」
 無罪放免だった。
「佳恵クンにはつらい思いをさせたね。すまない」
「いいんです。先生と二人きりの時間をたくさん過ごせて、あたし幸せでした。でも……モデルがいないと、困るのでしょう。よろしかったら先生のお部屋でも。それとも、どこか貸し部屋とか」
「いや。あそこまで仕上がっていれば、あとはなんとかなる。これからは監視の目も厳しくなると思っておいたほうがいい。きっぱりと、これで終わりにしよう」
 もしも恋人と別れるのだったら、こんなに淡々としてはいないだろう。そう思うと悲しくなるのだが――先生に取り縋って慟哭するほどではなかった。
 そうして、佳恵の胸には青春のほろ苦くも大切な想いが刻まれたのだが。

 冬休みが明けてすぐに、佳恵だけが校長室に呼び出された。校長と教頭と、見知らぬ男とがそこにいた。
「津田の就職について、話をしたくてね。こちらは、即日採用社という職業斡旋会社の課長さんだ」
 教頭に紹介されて、ぺこんと頭を下げたものの。都会で小さな工場を経営している叔父のところで事務員に雇われる話が、もうまとまっている。
「是非ともキミに来てもらいたいという事務所があってね」
 職業斡旋会社の課長が、薄っぺらいパンフレットを机に広げた。

  現代モデラート有限会社
   各種モデルを斡旋致します。
   着衣モデル   二時間四百円~(交通費別途、以下同じ)
   半裸(水着等) 二時間五百円~
   裸婦モデル   二時間六百円~
   その他 応相談
   三十代以上のモデル 二割引
   十代のモデル    五割増
   ご注意 モデルの貞操にかかわる行為に及ばれたときは
       十万円の罰金を申し受けます。


「モデルの手取りは、そこに書かれてある料金の七割だそうだ。大卒のエリートサラリー万よりも稼げるね」
「お断わりします」
 佳恵は即答したのだが。
「キミにはぴったりの仕事だと思うんだけどね。御両親と直談判してみようか」
 教頭が二枚の紙をパンフレットの横に置いた。田村と佳恵の書いた誓約書だった。
 佳恵は蒼白になった。このことを親に知られたら――自分が厳しく叱られるくらいは、なんでもない。でも、先生に迷惑がかかる。男と女とが裸で密室に何時間もこもっていて、それで何も起きなかったなんて――信じてもらえないに決まっている。先生のことを警察に訴えるか、すくなくとも教育委員会とかに申し立てて、先生をクビにさせるのではないだろうか。
「これ……裸にならなくていいお仕事だけ引き受けることもできますか?」
 その質問自体が、教頭の脅しに屈した証だった。
「そういう条件の契約をあちらに呑ませましょう。着衣ばかりは無理でしょうが、半裸までなら、あちらも承知するでしょう」
「……わかりました。よろしくお願いします」
 佳恵は不承不承に頭を下げた。
 一生の――とまではいわないにしても、人生の岐路を決めるのに軽率過ぎる気はしたけれど。断われば田村先生を破滅させることになるのだから、選択の余地はない。見知らぬ男たちの前で半裸になのは羞ずかしいけれど、貞操は保障されている。まさか、年収に匹敵する罰金を払ってまで小娘を犯そうという不届き者もいないだろう。

========================================

 裏設定としては、教頭が口入屋からリベートをもらうとか、あります。
 すでに凄絶なラストも決めていますが、作者の気が変わったときは、この美術教師が展覧会で入選して画家デビューするという、白馬の王子様候補には取ってあります。出番は無いでしょうけどね。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Retry Final/昭和集団羞辱:ストリップ嬢

一気に脱稿しました。原稿用紙174枚/5万8千文字

========================================
 その日のうちに、二人はホテルに投宿した。戦前からあった連れ込み宿とか、戦後に勃興したアベックホテルなどではなく、かつては進駐軍の将校が定宿にしていた高級ホテルだった。二人の風体(本郷はともかく、五十鈴はまだスーツの類を持っていない)を見てフロント係はいい顔をしなかったが、事前に電話予約を入れてあるので断るわけにもいかなかった。本郷が芸能事務所でなく菱口組の名前を出したから、なおさらだった。
 五十鈴の初体験について、あれこれ書き連ねるのは野暮というものだろう。
 本郷は、リリーにも花園姉妹にも負けない熱心さで、指と舌とを駆使して五十鈴を追い上げ、九合目半まで登り詰めたところでとどめを刺した。じゅうぶんに潤い興奮していた五十鈴には、破瓜の痛みよりも、思い定めていた男に貫かれる悦びのほうが大きく、ついに頂上まで達したのだった。

 そうして。本郷が去って初めての、モダン・ミュージックシアターでの公演。
 すっかり手垢のついた『最年少バレリーナ』の惹句は、派手に書き換えられていた。
白鳥麗華(花園一座)開膜記念公演
 主役の麗華は二階の出番。口開けのバレエと、トリのレズビアン・ショー。
 チュチュに身を包んで袖で開演の合図を待ちながら、麗華が一抹の淋しさを感じていた。処女を捨てて文字通りに脱皮した姿を、初めての男に観てもらえないという。
 けれど。だからこそ、この舞台に意義があると思い直す。
 いざとなれば助けてくれるマネージャーは、もういない。これからは、一座に助けられ助けられながら、自分の足だけで歩いて行くのだ。
 開幕前のアナウンスが終わって場内の照明が薄くなって。劇場いっぱいにミラーボールの光点が流れていく。
 五分に編集した『キューピッド』の曲が始まった。
 白鳥麗華は舞台の中央へ駆け出て瞬間的にポーズを決めると、曲に乗って踊り始めた。快活に、可憐に、そして――意識せずともにじみ出る色香で観客を魅了しながら。
========================================

 全年齢向け小説みたいに、SEXシーンをすっ飛ばしてみたりしました。
 次の作品を書きたいという欲求もありますが。オーラスになって連チャンするのもダレます。トップの親は1回栄和ったら、それでゲームセットてのが、近年の流れのようです。


 つぎは、『芸術編:ムードモデル』です。
 恋仲の美術教師に頼まれてヌードモデルしてた女学生が、教頭に見つかって。
「キミに適した職業だ」と、裏職業斡旋業者とつるんで、ヌードモデルスタジオに強制就職させます。
 いきなり先輩と本気レズを撮影されたり。
tetsubou-sakaagari-panchira597020.jpg
 そういう年頃の少女ばかり集められて、山奥の廃校で、こんな(もっときわどい制服で)撮影会が催されたり。
 緊縛講座のモデルにされたり。
 途中で、「まともな」デッサンのためのポージングを挿入して、これだけじゃ食ってけないみたいな展開にします。


 『芸術編』2本まとめたら400枚以上になるので、長編の値段でリリースします。といっても、400円か500円です。

 その前に。大量爆撃第2波の準備も着々と。
『OAV三穴拷貫』と『強制入院マゾ馴致』は最終校訂済。現在は『いじめられっ娘二重唱』です。
 スマホにdocxを入れて、通勤電車内で校訂。課金を承諾していないから、無料版の範囲で使ってると思うけど、年間に1万円以上も払ってたまるか!
 編集したデータが、完全に元の形を保っているかあやしいので


 こんな¥¥ことろ¥¥で遊んでる場合じゃない。だから僕は¥¥展開無茶¥¥火星に行くのだ。
 色付けは、スマホではしていません。
 帰宅後に、PC版の原稿と突き合わせています。多少の手間はかかるけど、月間で(PC直接校訂)20時間分以上の処女膜破り(破瓜→ハカ→墓)です。

 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progess Report Retry 2:昭和集団羞辱/ストリップ嬢



 まさか、COVID-19がMM88になったりはしないと思いますが。
 注:88といっても、ドイツの高射砲兼対戦車砲ではないです。『復活の日』です。
 ともかくも、11月予定の大量爆撃戦果発表までは、死にたくないものです。いや、ずうううううううううううううううっと、生き続けたいですが。宇宙開闢以来の138億年にくらべたら、人生百年なんて須臾の刹那の一瞬間ではありますが。
 不景気な話はやめて、本題へ。


 ストリップ・デビューに失敗した白鳥麗華こと白川五十鈴は、マネージャーの手助けで『白鳥の湖』を演じて、猟師に射たれて羽毛(チュチュ)を毟られて、呪いが解けて全裸美女に変身。あれこれイタズラされて。瀕死の白鳥ですから、ふつうに『御開帳』できなくて。大股開きで舞台から足を垂らして気絶してるのを、観客のほうが行列して順繰りに見物。この様子を『月の石』か『パンダ』にたとえたかったのですが、1961年当時には未来の出来事なので、割愛。
 行列して拝観するのですから、人情としても『御賽銭』をはずみます。

 このマネージャー、作者も驚くアイデアマンでした。
 客演のコンビが不人気なのも、ピンチヒッターを買って出て、同じ設定同じ舞台装置で、大当たりを取ります。


========================================
 五月十一日から拠点のモダン・ミュージックシアターでの公演が始まった。花園一座も四人になったし麗華がまだまだ珍しがられるので香盤に不足はないが、劇場側の横のつながりで客演を迎えることになっていた。共産主義革命で亡命してきたロシア人の孫娘ナターリャと、日本人の苦学生(と自称している)丈二。サドマゾ・ショーを演じるという。五十鈴は初めて聞く言葉だった。エログロの世界では一部の雑誌を通じて認知されつつあると、これも本郷の解説だった。
 前日のリハーサルで観た五十鈴の感想は――(女の人を虐める男なんて、最低!)という、当時としては至極まっとうなものだった。
 香盤を落語の寄席風にいうなら――食い付きが、仕掛けに時間のかかるナターリャと丈二のサドマゾ・ショー。つぎが美蝶で、麗華が膝前、膝代わりがリリーで、トリは姉妹レズビアン・ショーという順番だった。
 いつもは使われない舞台前の幕が客席の視線を遮って。二本の太い柱が舞台中央に立てられ、上下を横木が支える。そこに、ガターリングだけを太腿に巻いた全裸のナターリャが大の字に磔けられた。真ん中に結び玉を作った手拭いが、ナターリャの口をふさぐ。
「あれくらいはしないと、声は封じられないんだな」
 映画なんかでは、ただ口を布で巻くだけの演出が多いのを、リハーサルのときにリリーが指摘している。彼女は踊りに直接関係ないことまで貪欲に『勉強』して、芸の幅を広げようとしているのだと、五十鈴にもわかりかけている。
 詰襟服に肩章を貼り付けて腕に『憲兵』の腕章を巻いた丈二が、横に立って。音楽が始まらないままに、幕が開いた。
 観客が、ちょっとどよめいた。半面、どこかシラケた空気も漂っている。
 丈二が、手にしていた竹刀をナターリャの乳房に突きつけた。ナターリャが大袈裟にかぶりを振った。丈二が乳房を竹刀で叩いた。リリーよりも豊満な乳房が、はっきりとひしゃげて、ほんとうに叩いていると観客にもわかる。ナターリャが顔をのけぞらせ、全身を震わせて苦痛を身振りで訴える。
 もちろん、じゅうぶんに手加減している。リハーサルのあと、裸身には叩かれた痕がほとんど残っていなかった。手足の縄跡のほうがずっと痛々しかった。
 顎を持ち上げて顔を近づけて、尋問する芝居。ナターリャがかぶりを振って。また乳房を叩かれる。身体をくねらせて、痛みを訴える演技。
 丈二が背後にまわって、尻を叩く。
 叩かれるたびに、ナターリャが大袈裟に身悶える。
 五分ほどそれを繰り返してから。丈二が竹刀を投げ捨てた。ナターリャの背後から抱きつくようにして、乳房を愛撫ではなく弄んで虐める。ナターリャは正面を見据えて、恥辱に耐える風情でじっとしている。
 丈二の手が下へ滑って、股間を襲った。中指を曲げて、実際に穴を穿っている。それは舞台を見上げる形になる観客にも、見えているはずだった。ナターリャが腰をくねらせても、掌が下腹部に貼り付いているので指からは逃れられない。
 ナターリャがいっそう激しくかぶりを振るのだが。快感に悶えているのか性的拷問に恥辱を感じているのか、どちらにも受け取れる。
 丈二が指を三本にした。手の平で下腹部も揉みしだく。ナターリャが全身で身悶えして、やがて全身を弓なりにして一切の動きを止めた。
 十秒。丈二が指を引き抜くと、がくりと白い裸身が崩れた。
 丈二が足首の縄をほどき、手首も解放した。くてくてっと、ナターリャが床に突っ伏して。スローテンポの煽情的な音楽が流れ始めると、しゃきっと立ち上がった。右脚を軽く後ろに引いて、貴族令嬢風のお辞儀をした。
 パチパチパチとお義理の拍手。
 最初に本舞台の端から端まで『御開帳』をしてから花道に進んで、最後に回転舞台。チップはそれなりに差し出されたが、麗華よりはすこし多い程度。両手で上下に脚の手を包んで受け取る。
 『御開帳』をしていた手で握手するよりも、もっと客受けのする受け取り方を考えようと五十鈴は思った。
 ――その日の四回の公演は、ごくふつうに終わった。リリーが新しい振り付けを披露して、ファンからいつもの五割増しくらいのチップをもらったのが、いちばん大きな出来事だったろう。そして五十鈴は――処女膜の噂を聞いて見物に訪れたイチゲン客の注目を浴びてはいたが、常連客からの受けは良くなかった。色気、あるいは情緒に欠けると指摘されて、それなりに仕種を工夫してみたが、どうにもいけない。ストリップ・ショーを演じるという、いわばスタートラインからは本郷の手助けで走り出せたものの、ストリップ嬢としての最初の壁に突き当たって、なかなか乗り越えられないでいるのだった。
 いっそ、処女を捨てて――男女の交わりを体験すれば色気も自然と出るようになるかもしれないとは思うが、美蝶に言われるまでもなく、それが最大の武器なのだ。あいかわらず、美蝶もリリーも助言はしてくれない。

 土曜日に、SMショーが急遽取りやめになった。明け方に丈二が激しい腹痛を起こして救急車で運ばれて――盲腸炎だった。生命がどうこうという病気ではなく、ナターリャも取り乱したりはしなかったが。責め役の男がいなければ休演するしかない。
 ここでも、本郷が男気を出した。というか、マネージャーとして頑張ったというべきか。代役を買って出たのだ。
 ナターリャと丈二は、実生活でもサドマゾ的な身体の関係を持っている。彼女にしてみれば、本郷との共演は『浮気』に思えたのかもしれない。
「入院費をどうするんだ。丈二に復学を諦めさせるのか?」
 二人とも親から縁を切られていた。丈二は昨年の後期から休学して、このさき二年分の生活費を稼ぐために、ナターリャを説得して性癖を実益につなげている。国民健康保険を切り替えていないので、全額負担になる。
 結局、ナターリャは承諾するしかなかったのだが。演出を本郷流儀に変えることを提案されて、それが彼女にしてみればとんでもない破廉恥に思えたのだろう。さらに二十分ほども小声で言い争っていた。
「これまでの三倍は稼がせてやる。俺にまかせとけ」
 丈二のように指でこねくったりはしない。金と貞操と、両面から説得されてナターリャが折れた。
 麗華に『仕留められた白鳥の湖』を演じさせたときと同じで、新しい演出の練習は要点だけが事前に一座の三人にも披露させた。それは、チップの受け取り方だった。
 五十鈴は度肝を抜かれた。キャシーは下の唇に客の手を挟んでいたが――本郷がナターリャに仕込んだやり方は、絶対に今の五十鈴には真似のできない、途方もなくエロチックというより淫らな仕種だったのだ。
 日曜日に座長とマネージャーが同伴して丈二を見舞い、本郷のとのコンビを承諾させた。本郷はひとりで市内を巡って小道具を買い付けてきた。赤い鉢巻を巻いて金色の星を付けたツバ付き帽子と、本物そっくりの拳銃と手錠。葉巻と犬の首輪と鎖。
 そして、百個ほどの駄菓子。小粒チョコレートだった。新発売のマーブルチョコレートよりひとまわり小さなプラスチック容器に、ずっと小さなチョコ粒が詰められている。ショーで必要なのは容器のほうだが、食べ物を捨てるなんて、とんでもない。飴玉なんかを入れる広口瓶に詰め替えた。
「この歳になってニキビなんか願い下げだからね。一雄、自分で始末しなよ」
「大丈夫です。小分けにして、同室の患者さんに差し入れます」
 早くも息の合ったコンビの片鱗をうかがわせるナターリャの言葉に、なぜか五十鈴の胸にチクッと棘が刺さった。
 ――新演出のショーは、大成功だった。
 二本の柱に大の字磔にして猿轡を噛ませておく、いわゆる『板付き』で始まるのは同じだが、ナターリャはパンティを穿いていた。その状態で、音楽無しで幕が開いた。
 詰襟服に肩章を貼り付けた本郷がおもむろに登場する。軍帽をかぶって、腰に拳銃のホルスターを吊っている。左手に大きな鞄と、右手には細い笞。これも手作りだった。ハタキの柄を縦に裂いて手元は茶色の布で巻き締め、途中の三か所をタコ糸で縛っている。そし先端には革バンドの端を切り取って薄く二枚に削いだ長方形が割った竹に挟まれている。
 ビュン!
 ナターシャの目の前で笞を素振りする。そして、大きく振りかぶって乳房を打ち据えた。
 パッシイン!
 音は派手だが、ビンタほどにも痛くない。簡単なリハーサルで体験して、ナターリャも本郷の言葉に同意はしていたが。女の急所を叩かれるのだから――手足を突っ張って頭をのけぞらせたのは、まったくの演技というわけでもなかった。
 左右の乳房を一発ずつ叩いて観客を芝居に引きずり込むと、本郷は背後にまわって、尻を立て続けに叩いた。
 それから、丈二と同じように尋問の芝居。ナターリャもかぶりを振って、容疑を否認する。
 業を煮やしたといった演技で、本郷がパンティの中に手を突っ込んだ。
 ジャーンン!
 不意打ちのシンバル。引き抜かれた手には、細い銀色のパイプが握られていた。これも昨日仕入れた小道具。舶来品の高級葉巻のケースだった。キャップを開けて、中に隠されていた紙を引き出す。紙とナターリャの顔を交互に見比べると、激した様子で髪をつかんで顔を上げさせた。左手は垂らして、紙片が観客に見えるようにしている。赤丸や赤線が描き込まれた地図だった。ナターリャがスパイだと、わかり過ぎるほどにわかる。
 パンティが(脱がされるのではなく)引き千切られた。
 鞭の柄にコンドームがかぶせられて、それが股間を穿った。約束通り、指でこねくってはいない。
 ナターリャが恥辱に悶えているのは演技だが。本郷に引きずられて真に迫っていた。
 本郷が後ろにまわって。ぐいと肛門に鞭の柄を突き挿れた――のは、観客の死角になっているから真似だけだったが。
 やがて、本郷が拳銃を引き抜いた。一メートルほど離れて、銃口をナターリャに向けた。ナターリャが柱を揺らすほどに身悶えしながら、脳震とうを起こすんじゃないかと観客が心配するほどに頭を振り続ける。
 本郷が近寄って。こめかみに拳銃を押しつけたまま、何事かをささやく。実際には「オープンショーの時間だぜ」くらいのことを言っているのだろうが。
 ナターリャを磔から解放して、前で手錠を掛けた。首輪を巻きつけて、鎖の端を本郷が握った。舞台の端へ引きずっていく。
 鎖を引っ張ってナターリャをひざまずかせ、靴で腿を蹴って開脚させた。頭に拳銃を突きつけて、『御開帳』を強いる。
 紙幣が差し出される。すぐには受け取らず、本郷が客に駄菓子の空容器を手渡した。機密地図をどこに隠していたかを思い出して、客が紙幣丸めてを空容器に突っ込んだ。それを股間に押し込まれても、ナターリャは拳銃を突きつけられているので逆らえない。
 たちまち、まわりから何本も手が伸ばされる。鞄の仕切った片側に詰めてある空容器を渡す一方で、押し込まれたチップをつぎつぎと引き抜いては鞄の空いた側に放り込んでいく。
 ナターリャが移動すると追いかけてきて、二度三度とチップをくれる客も何人かいた。
 退出するときにも、ひと工夫があった。どんっとナターリャを袖に(転ばないように気をつけて)突き飛ばすと、おもむろに拳銃を射った。
 パアン!
 紙吹雪が飛び散って、観客の笑いを誘った。客の興奮を最後まで引っ張っておいて、不意打ちにリラックスさせる。後の出演者のことを考えた憎い演出だった。
========================================
tumblr_nhrbk68IMo1s5l8jjo1_540.jpg

 実は、この『板付き』というか、初っ端から全裸大の字磔のSMぽいショーは、作者が学生時代に実際にストリップ劇場で観たものです。芸が無いなと、シラけたものです。でも、SMそのものが珍しかった当時、下半身は大興奮でした。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progess Report Retry 1:昭和集団羞辱/ストリップ嬢





 7本(3,690枚)の大量爆撃群が出撃したので、仕切り直しです。
 前のPLOTでは、あまりにエロが薄かったので、座長と妹の姉妹レズ・ショーとか突っ込みました。
 中盤では、ヒロインの(オナニーショーとかを狙って)官能開発で、買春島で生本番、本気レズショーとかも突っ込む予定です。
 最初のエロ・シーンです。400字詰めの13枚目からです。

========================================
「まもなく開演です。踊り子の衣装や身体にはお手を触れませぬよう、お客様にお願い申し上げます」
 ゆっくりした音楽が鳴り始めて、場内の照明が薄くなった。舞台の手前に吊るされたミラーボールに光が当たって、色とりどりの光点がゆっくりと館内に流れ始めた。
「ちょっと遠いが、ここからなら観客目線で見学できる。観客の反応もわかるしな」
 自分を育てようとしてくれているんだなと、五十鈴は思った。法律がどうであっても、自分は一座の期待に応えて一人前のストリップ嬢になり、うんと稼いで一家を支えなければならないのだ。
 カッポーン。鼓の音とともに、邦楽に切り替わった。
 舞台の右手から、きらびやかな和服に身を包んだ美蝶がスポットライトを浴びて登場する。ポスターにそっくりの和風美人に化けている――といっては失礼だと、五十鈴は思ったが。それほどの変貌ぶりだった。
 美蝶が筝曲に合わせて緩やかに舞う。
(まあ……?!)
 美蝶の踊りは優雅で、素晴らしく洗練されていた。
 五十鈴には日舞の素養はない。けれど、友達のおさらい会に招待されて、その流派の御師匠さんの踊りを観たことは何度かあった。その御師匠さんよりも、足の運びはずっとメリハリがあって、腕の動きはずっとたおやかだった。
 これほどの技量を持った人が、なんでストリップなんかを――五十鈴の頭の中では、ストリップは賎業だという意識があった。
 やがて。美蝶は踊りながら帯をほどいた。いや、自然とほどけたように見えた。
 着物も、するすると肌から滑り落ちた。
 襦袢姿で踊っているうちに、それも滑り落ちて。最後には腰巻も脱げて、素裸になった。
「な……きっちりと同じ場所に固まってるだろ」
 後で回収しやすいように、そして観客の視線から隠れるように、計算して脱いでいるのだと本郷が教えた。
 美蝶が舞台中央から延びる花道に進んで、扇子一本で微妙なところを隠すような隠さないようなしぐさで踊り続ける。その先に、小さな円形の舞台があった。そこで足の運びを止めて手だけで踊りながら身体を沈めていき、横臥した。
「わ……」
 五十鈴が小さく叫んだ。
「シイッ」
 本郷が耳元でささやく。
(回ってる……)
 五十鈴は心の中だけでつぶやいた。
 円形の舞台がゆっくりと回転していた。その上で、美蝶は身体をくねらせ、物憂げに脚を動かしている。縦と横の違いはあるが、バレエの動きにも似ていた。白い肌をミラーボールの光点が艶めかしく這う。
 それが二分ほども続いただろうか。
 回転舞台が止まって、美蝶が身体を起こした。
「絶対に声を出すなよ」
 耳元で念押しされた。
 美蝶はしゃがんだ姿になって、両脚を大きく開いた。
(…………!!)
 五十鈴は両手で口を押えた。
 美蝶が左手で身体を支えて腰を突き出して。右手を股間に持っていって、人差し指と中指をV字形に開いた。五十鈴からも、女性器の奥まで直視できる。
 こんな仕種を『偶然の事故』だなんて強弁できるんだろうか。
「これを『御開帳』あるいは『オープン』という。客は、これが目当てでやってくる」
 もっとも。付いているモノは誰も似たようなものだから、ショーの部分が不出来だとすぐに飽きられてしまう。
 本郷はそれ以上の説明はしなかったが。自分にも当てはまることだと、五十鈴は察した。若い処女の女性器は珍しがられるだろうが、バレエが下手くそだと、二度三度と見に来てもらえない。五十鈴は、いっそうの不安をつのらせた。だってバレエを習っていたのは、家が裕福だった小学校時代だけだった。いわば学芸会のレベルで、お客に満足してもらえるとは思えない。
 客のひとりが、二つ折りにして紙幣を差し出した。美蝶は『御開帳』をしたまま身を乗り出して左手で受け取ると、細くたたんで足袋の縁に差し込んでから指にキスをして、それを客の唇に軽く触れる。
 立ち上がって回転舞台を六十度くらい移動して『御開帳』を繰り返す。
 一周すると、花道を引き返しながら左右の客席に均等に御開帳していく。
 最後に舞台の右端から左端まで。美蝶の足首はくすんだ色の花びらで埋まっている。
「十円札がほとんどだが、百円札も珍しくない。な、稼げるだろ」
 これまで想像したこともない世界に気を呑まれているうちに、つぎのショーが始まった。美蝶とは打って変わって、アップテンポなモダンな洋楽。五十鈴には、ジャズとロックの違いはわからない。
 舞台の右手からリリーが駆け出た。頭には大きな赤いリボン。青色のブラウスのボタンをはずして裾をヘソの上で結んでいる。まるでブルマのような、しかし身体に貼り付いたショートパンツも青色。そして、踵の高いまっ赤なサンダル。とても街中を歩けないようなきわどい衣装だった。
 リリーが舞台中央でポーズを決める。左脚を後ろに引いて右脚を曲げ、腰を突き出し胸を反らせて、のけぞった頭に右手、腰に左手。
 つぎの小節で左脚を頭の高さまで跳ね上げて、激しく踊りだした。
 激しくて、そしてセクシーだと五十鈴にもわかる。足を横に蹴りながら左右にステップして、腰をくねらせながら身体を伸縮させて。高く跳び上がって、着地の反動を利用してピルエットよりも高速に何回転もする。すくなくとも五十鈴のレベルでは真似のできない動きだった。
 踊りながら、リリーが衣装を脱いでいく。ブラウスを脱いでブラジャーを投げて。高く跳んでショートパンツを蹴り飛ばした。
「笑ってる……」
 男に裸を見せることが愉しくて仕方がない――そんな印象を受けた。
「いいとこに気づいたな」
 本郷がささやく。
「乙女の恥じらいたっぷりに脱いでくってのも、風情がある。いちばんいけないのは、厭々やっていると顔に出しちまうことだ。もちろん、ぶすっとしてちゃあ話にならない」
 恥らいながら脱ぐのなら、自分にもできるかもしれないと、五十鈴は思う。
 リリーはパンティを脱いで、それは蹴り飛ばさなかった。足ぐりを重ねて、右の太腿に穿きなおした。
 踊りが緩やかになると、公園にあるようなベンチを劇場の従業員が二人がかりで運んで円形舞台の縁に置いた。
 音楽がスローテンポなものに切り替わって。
 踊り疲れたといった風情で、網ストッキング姿のリリーがベンチに浅く腰かけて――男でもしないくらいに脚を大きく開いた。
 音楽は、ゆっくりとしたトランペットのソロに変わっている。リリーの左手が乳房を揉み始めた。右手が腹を滑り落ちて、ハート形に整えられた淫毛を指で掻き分けて――中指が浅く淫裂を穿った。
 わざと見えにくくして、お客を焦らしているのだろうか。そんなふうに、五十鈴は思ったのだが。
「あれは、まったくの演技だぜ。その証拠に豆は弄ってねえだろ」
「…………??」
 五十鈴には、本郷の言っていることがさっぱりわからない。のを、本郷が見て取って。
「麗華ちゃんは、ああいう『おいた』をしたことはないのかな?」
「オイタ……?」
 本郷が溜め息をついた。
「まあ、いいや。今夜あたり座長――よか、リリーがいいか。教えさせるさ」
 回転するベンチの上で、リリーが苦しそうに(と、五十鈴には見える)身をよじって、頭をのけぞらせ……ベンチとともにあお向けに倒れた。そのまま後ろへデングリ返しで立ち上がる。ベンチのあった場所が空いて、『御開帳』をする場所ができた。すべて計算された演出だと、五十鈴にもわかった。
 その後は『御開帳』だが、美蝶とはずいぶんと様子が違った。最後にすることは同じだが、客の前に仁王立ちになって、後ろからまわした手で淫唇をくつろげながら、拍手に包まれて腰を落としていく。
 正面の客が、二つ折りにした紙幣を突き出した。リリーは身をかがめて、男の手を乳房の間に挟み、二の腕で乳房を寄せて身を起こす。客の手が引き抜かれて、紙幣だけが残った。それを太腿に留めてあるストッキング留めのベルトに挟んだ。
「踊り子に手を触れるのは御法度だが、踊り子が触らせるのはかまわないのさ」
 そのせいか、回転舞台をひと巡りしただけで、ストッキング留めの紙幣は満開になった。花道でもらった紙幣は、右の腿に穿いているパンティに押し込んだ。
「いつもいつも、あそこまで触らせたりはしねえよ。ストリッパーになるなら、これくらいは頑張れってえ、麗華ちゃんへの激励てえか、お手本のつもりだろうさ」
 五十鈴は、そっと唇を噛んだ。とても真似できない。羞ずかしいとかいう以前に、五十鈴のささやかな乳房では、あんな芸当は不可能だった。もしも自分が『おひねり』をもらったら、どんなふうに受け取ろうか。そんなことを考えたのだから、リリーの教育は効果があったというべきだろう。
 三番手は、銀幕の偽スター・コンビだった。
 舞台の奥で赤い幕が左右に分かれて――白い壁を背景に、ぽつんとハリボテの松が置かれていた。一週間ほどで出演者が替わるし、演目も出演者の数だけある。そして、観客は五十人そこそこ。そうは大道具にお金を掛けられないのだろう。そこまで考えて、座席の配置が映画館などとはまるきり違うことに気づいた。舞台のかぶりつきと花道と円形舞台の周囲。そこにしか座席が設けられていない。
 五十鈴みたいに遠くから眺めるだけで満足するお客なんていないのだ。
 低く流れていた流行歌が途絶えた。
 カッポーン。
 美蝶のときと同じ小鼓の音。レコードではなく、隣の音調室で実際に鳴らしているらしい。
 舞台の左手から武士が登場する。着流し姿で右手を懐に入れている。身を持ち崩した浪人という設定だろう。
 ドロドロドロドロ。太鼓の音とともに、右手から武家娘が登場。白装束に白鉢巻。この格好だけで、仇討ちのチャンバラが始まるとわかる。
 鉦に小鼓に笛の急調子の邦楽が流れる。
「父の仇。覚悟!」
 へえ――と、五十鈴は軽く驚いた。映画だと、女性は必ず懐剣で男の大刀に立ち向かう。しかし苦江文子は短めの刀を右手に構えて半身になっている。
「しゃらくさい。返り討ちにしてくれるわ」
 市川電蔵も抜刀して、上段に構えた。
 文子が左手を柄頭に添えて突きかかる。電蔵がヒラリと体をかわして、つんのめった文子の背中に斬りつける。のを、文子が床を転がって逃れる。
「…………」
 凄まじい迫力に、五十鈴は息を呑んでいる。チャンバラ映画だと、主人公は何十人もの敵をバッタバッタと斬り倒す――なんか嘘っぽく見えるのだが。この二人のチャンバラいや剣戟は、ほんとうの斬り合いとはこうだったのではないかと思わせる。
「これで演技力が伴ってれば、二人ともひとかどの俳優になれてたんだがなあ」
 本郷の言葉の意味は、じきにわかった。
 ギャリイン――という音は聞こえなかったが。文子の刀が宙に弾き跳ばされた。電蔵の返す刀が、文子の着物を切り裂いた。のは、仕掛けがあるのだろうが。
 切り裂かれた着物が邪魔とばかりに、文子が諸肌を脱いだ。女博徒が鉄火場で啖呵を切っている様子を彷彿とさせた。つまり、貞節な武家娘にはふさわしくない仕種だった。
 文子は花道を追い詰められながらさらに数合の斬り合いで、腰巻一枚になり、それも斬り落とされた。
 円形舞台の上で文子が組み伏せられる。電蔵が素早く着物を脱いで六尺褌一本の姿になった。電蔵があお向けの文子の脚の間に腰を押し入れて、ヘコヘコと動かす。
(きゃ……)
 いかに初心な五十鈴でも、その仕種の意味くらいは(おぼろに)わかる。真似事とはいえ、男女の交わりを演じて見せるなんて、とんでもないことだというのが、彼女の感覚だった。
 回る舞台の上で、二人はつぎつぎと絡み合いの形を変えた。仰臥した文子の両脚を高く持ち上げる。四つん這いになった文子に電蔵がおおいかぶさる。文子が手足を突っ張って尻を高く持ち上げる。反対向きに横臥して脚を絡ませ股間を打ちつけ合う。座ったまま抱き合う。ついには、電蔵のほうが仰臥して文子が馬乗りになる。そのあいだ、ずっと二人は腰を上下左右に打ち振っていた。
 回転舞台が止まると電蔵は客席の手前に降りて、身を屈めて逃げ去った。
 あとは文子のひとり舞台。『御開帳』だが、差し出される紙幣は数枚だけだった。
「浪人が一方的に武家娘を陵辱して悠然と立ち去る。せめて、それくらいの演出にすれば全体の辻褄が合うんだがなあ」
 本郷が嘆息ともなくつぶやいた。いや、五十鈴に演出の大切さを教えようとしているのかもしれない。
「アドバイスしてあげないんですか」
「聞く耳、持たねえよ。四十八手を披露するのが楽しくて仕方ないのさ」
 四十八手の意味が、なんとなくわかった。女性が積極的に動く場面があっては、本郷のいうような演出にはできないだろう。
「好きじゃなきゃやってられない商売だが。客受けも考えなきゃ干上がっちまう」
 そこで本郷は独り言を装うのはやめて、五十鈴の目を覗き込んだ。
「まあ、そういうのを考えるのは初舞台を踏んで度胸がついてからのことだが。頭の隅にとどめとくのと何も考えないのとでは、先行きが違ってくるぜ。柄にもなく説教じみちまってご免よ」
「いえ……ありがとうございます」
 本郷が、照れたように舞台に目を戻した。
 ――舞台が暗転した。これまでとは違って、五十鈴もしばしば耳にしている流行の演歌が掛かった。スポットライトが二つ、舞台の右と左に当てられた。
 右手から美蝶、左手からまったく同じ衣装を着けた女性が、緩やかに踊りながら登場した。一座で顔を合わせていないのは美絵だけだから、それが彼女だろうと五十鈴は見当をつけた。
 衣装だけではない。化粧のせいもあるだろうが、顔つきまでそっくりだった。
 二人は向かい合って、まるで合わせ鏡のように同じ振り付けで近づいて――二人並んで正面に向いたときには、まったく同じ動きになっていた。客席から拍手が湧いた。衣装を着けたまま踊っているときに拍手が起きたのは、これが初めてだった。
 向かい合うと合わせ鏡になって、並ぶと同じ振り付けになっている。どちらが美蝶か、五十鈴には見分けがつかない。
 息の合った踊りは、いつまで見ていても飽きない。だからなのか、衣装のままの踊りがこれまでより長く続いた。
 そうして。脱ぎ始めると、初めて対称性が破れた。脱ぐのではなく、互いに脱がしていく。一方が相手の帯を解くと、解かれたほうが帯を解くだけでなく着物まで脱がせる。そうやって時間を掛けて腰巻姿になって。腰巻を相手から剥ぎ取ると、ほとんど背中と背中をくっつけるようにして、腰巻をヒラヒラと操りながら股間を隠したり見せつけたり。
また拍手が沸いて。白い小さな紙礫のような物が幾つも舞台に投げられた。礫とちがって、長い尻尾が着いている。
「あれが本来の『おひねり』だぜ。数は多いが、せいぜい十円玉だから額は知れてる」
 間接キッスとか胸を触らせてもらうといった見返りがないのだから、これは二人の踊りに対する純粋のご祝儀だ。
「どっちも『おひねり』じゃややこしいから、リリーなんかは御開帳のときのをチップと言ってるな」
 花道では時間を掛けずに、二人が円形舞台に乗った。背中合わせをクルリと向き直って。
「う……」
 叫びかけて、五十鈴は慌てて自分の口を押えた。
 二人は抱き合って、キスをしている。
(女同士でキスだなんて……あれ?)
 ポスターに『姉妹』と書いてあったのを思い出した。姉と妹で濃厚なキス。五十鈴は、カアッと顔が熱くなった。電蔵と文子のときは、あまりにも自分から懸け離れた出来事だったので、ただポカンとしていただけだが。女同士となると、自分に引き付けて考えることができた。しかも、美蝶とは会って話をしたばかりだった。
 演歌は終わって、ゆったりとした雅楽に変わっている。
 二人は舞台に腰巻を敷いて、絡み合ったまま、そこに身を横たえた。
 互いに相手の胸を揉み、股間に手を這わせ……電蔵は褌を締めていたが、美蝶も美絵も素裸だ。真似事ではなく、ほんとうに女同士で睦み合っている。
 そのうち、横向きになったまま一方がずるずると下がって行って。
「きゃっ……」
 今度は、驚きの声を封じられなかった。
 ずり下がったほうが、相手の股間に顔を埋めたのだ。そこを舐めていると、はっきりわかる仕種を繰り返して……舐められているほうは腰をなまめかしくくねらせ始めた。
 スポットライトは、もう裸身を照らしていない。薄暗い照明にほんのりと浮かび上がるもつれ合った白い裸身の上を、ミラーボールの光点が流れていく。幻想的ともいえる、エロチックな光景だった。
「これが、一座の売りさ。レズビアン・ショーは珍しくもないが、姉妹でとなると、背徳的で隠微で、客の食いつきが違う」
 五十鈴は舞台の上の卑猥だが美しい光景に目を奪われていて、本郷の声は耳を素通りしている。
 一方的に舐められていたほうが、腰を中心にくるんと向きを変えて――同じように股間に顔を埋めた。
 しばらくすると、二人が互いにずり下がって、脚と脚を絡ませて、股間同士をくっつけた。くっつけて、すり合わせる。二人とも顔をのけぞらせて目を閉じ口を半開きにして、忘我の境をさまよっているように見えた。
 五十鈴は、リリーがベンチでしていた仕種を思い出した。あれとこれとは、なにか関係があるらしいと――漠とした理解が生じかけていた。
 いったいに、どれほどの時間が経過したのか。二人は向かい合って股間を押しつけ合ったまま、高く腰を持ち上げて――相互にブリッジで支え合うような形で、十秒ほども静止していた。
 そのブリッジがペシャッと崩れて。二人が物憂げに身体を起こした。
 情事――という単語が、五十鈴の頭に浮かんだ。無垢な少女にそれを想起させるほど、姉妹の絡みは濃厚だったのだ。電蔵と文子のコンビとの違いが、なんとなくわかるような気がした。姉妹はコンビと同じくらいにあれこれと『形』を変えていたが、気がつくといつのまにかそうなっていたという自然さがあった。
 二人は『御開帳』で、これまで以上のチップを掻き集めた。いつの間にか舞台に幕が下りていたのは、第一回目の公演が終わったという意味だが、姉妹が左右に分かれて舞台から姿を消すと、すぐに上げられて――紙礫の『おひねり』はきれいに片付けられていた。
========================================
barett1.png
 変更したPLOTは、データにしていません。頭の中だけにあります。書きながら、あれこれ弄っていく予定です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

メモ公開:41 西洋人の好み

 『公女両辱』を書き終えて、表紙をどうするか。
 前々から思ってたのは乳枷ボルトですが、画像が小さいしボケ気味なのでBFに丁稚揚げられるかどうか。
 他に候補はないかと ”Medieval Torture Erotic”とか"Wtich Troture Kinky"とかで検索。
 似たようなばかりでどうもなあ。
 で、ふと思い出したのが「異端審問」
 ”Inquisition Torture Erotic” Eroticを挿れないと史実絡みのイラストばかりですが。
 いやあ、豊作でした。なぜか大画像も多い。

1515.jpg


 異端てのは、憎むべき拷問すべき対象なんですね。
 ちなみに――異教徒とは「神の教えを知らない」獣も同然の存在です。教化できるのです。
 しかし異教徒は、「神の教えをねじ曲げている」救いようのない存在なのです。
 誰のエッセイだか忘れましたが、とても温厚な修道女(カソリック)が、
「プロテスタント、悪魔です!」と吐き捨てたとか。
 キリスト教における新教と旧教との争いは、38度線を挟んだ南北(最近は似てきた?)の争いどころではない、溝の深いものなのです。
 ここらあたり、ネタにできそうですが。教義論争とかがあまりにも付け焼刃になるので、なんでも有りの「魔女」のほうが、書きやすくはあります。
 フランスあたりではそうだったかもしらんが、架空のワランスではこうなのだ――と逃げられます。いざとなればファンタジーとかへも。まあ、筆者の場合は Scientific Fantasy SM にします。しました。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:昭和集団羞辱/ストリップ嬢

  しかし、まあ……とんでもないことを始めたものです。
 元は裕福な家族が借金で都落ちして、親を援けるために昔習っていたバレエを活かしてストリップ嬢になる。
 筆者のバレエの知識は、チュチュとアラベスクだけです。基礎知識が無いのでネット検索の付け焼刃もボロボロ欠けてしまいます。
 でも、まあ……小さい頃に習ってただけだから専門用語は知らないとか、アドバイスする側も、
「ほら、両手を水平にしてヒラヒラさせるやつ」とか、しのぎ切ってみせましょうぞ。
 現在は、Monkey Purposeであれこれの作品の校訂を進めています。
『未通海女哭虐』2回目完。あと1回。
『公女両辱』2回目に着手
『非国民の烙淫』A4版(40字×40行:右側綴代)に着手。
 何度校訂しても、ポロポロラルフローレンです。




zhenzhen-07.jpg
 まずは(ヒロインの)初日。見学の様子から。
 五十鈴が本名でっ華が芸名です。
 いよいよストリップ嬢としての覚悟が定まってくると、地の分でも麗華と表記します。

========================================
 ちょうど最初の演目が終わって、舞台には幕が下りていた。満席の客席は、当然だが男性ばかりだった。
「とりあえず、通しでステージを見学してみな。それから麗華ちゃんの演出を練って、練習して――舞台に立つのは明後日からだな」
 不意に急テンポのジャズ(と、五十鈴は思った)が劇場いっぱいに流れ始めた。幕が左右に開いて。舞台の中央にリリー塚本が立っていた。客席に横向き。両脚を大きく前後に開いて膝を曲げ、両手を腰に当てて顎を反らしている。
「うわ……」
 思わず叫んで、自分で口を押えた。裏方の存在を観客に気づかれてはならないことくらい、バレエの発表会で学校の学芸会でも、教わっている。
 五十鈴が驚いたのは、リリーの舞台衣装だった。ブラウスの裾を胸元で蝶結びにして、そこから腰まで肌が見えている。そして、男物の海水パンツ(肌に密着しているので、ブルマの連想は働かなかった)みたいなものを穿いていた。足回りは膝下まで、踵の高い長靴。
 その長靴が高々と蹴り上げられて――リリーが踊り始めた。五十鈴が(洋画を含めて)見たことのない激しい動きだった。足を左右に蹴り出したかと思えば、腰を前後左右に大きく振って、ついにはその場でくるりと回転する。一見して滅茶苦茶な動きだが、急テンポの曲にぴたりと合っているのが、五十鈴にはわかった。半裸にちかい若い女性が腰をくねらすエロチックさは、理解の外だった。
 五分ほども踊ると、曲が替わった。やはり急テンポだが音量が抑えられている。リリーが踊りながら、ブラウスの裾をほどいた。ブラウスを脱いで、舞台の奥へ放った。ブラジャーは着けていなかった。ひとしきり踊ってから、今度はショートパンツを脱いだ。腰をくねらせながら落としていって、最後は足で蹴り飛ばした。残るは、絶対にズロースとは呼べない小さなパンティ一枚。
 正視できなくて、五十鈴は目をそらして。ベニヤ板で作った背景の書割はアメリカの摩天楼だと、気づいた。本格的なバレエの舞台に比べると、ずいぶんと安っぽい。
 踊りながら、ついにリリーは最後のパンティまで脱ぎ捨てた。全裸で、これまでと同じように大きく開脚したり腰を振ったり。
 そのときになって。五十鈴は、あることに気づいた。
「笑ってる……?」
 すくなくとも、羞ずかしそうな表情ではない。
「いいとこに気づいたな」
 本郷が耳元でささやいた。
「厭だけど金のために仕方なく裸を見せてるなんて風情じゃあ、客だって面白くねえわな。まあ、芸術ですって取り澄ました顔をずっと続けるって演出も『有り』だけどな」
 リリーの踊りが緩やかになった。舞台の袖から若い男が二人、ベンチを運んできて、舞台の凸型に出っ張っている部分に置いた。よく見ると、そこは円形になっていた、十センチほど高くなっていた。
 踊り疲れたといった演技で、リリーがベンチに腰掛ける。音楽はスローテンポなものに切り替わっていた。
「ま……」
 五十鈴が、また口を押えた。
 リリーは両手を広げて背もたれに掛け、うんと浅く腰かけて……両脚を直角以上に開いたのだった。
 客席の後ろのほうから何人もが舞台に近寄ってしゃがみ込んだ。円形の部分がゆっくりと回り始めた。舞台の回転につれて、男たちの頭もゆっくりと動く。
(あんな羞ずかしいこと……わたしに出来るだろうか?)
 疑問は、しかし決意に替わる。
(やらなくちゃ。パパを助けてあげる……だけじゃなく、わたし自身のためにも)
 実家の田畑を取られるにしても、五十鈴自身が身売りを余儀なくされるにしても、どちらにしても家庭は崩壊する。即日採用社の林課長が闇金融と交渉してくれたおかげで、月に一万円ずつ、七年間で借金は三分の一になる。それくらいは、実家でも生活を切り詰めればなんとかなる――はずだけど。本郷の話を聞いた限りでは、月に一万円は不可能のように思えてきた。
 その不安は、目の前で展開された光景で半減した。
「リリーっ!」
「ダンスの女王」
 掛け声とともに、円形舞台に向かって白い小さな物がいくつか放られた。
「あれが『おひねり』だ。たいがいは十円玉だが、豪儀に五十円てのもある。あれ全部で百円は固いな」
 ほんとうは、まだ早い。舞台の終わりになって腰を抜かすなよと――本郷。
 その前に、五十鈴は腰を抜かした。
 音楽が止まると同時に円形舞台の回転も止まった。リリーがすっと立ち上がって。舞台の前ぎりぎりでしゃがみ込んだのだ。こちらを見ているから、詳細な仕種まで見て取れた。大きく開脚して、右手を後ろから股間に持っていって――淫裂に添えるとV字形に開いたのだった。当然に淫唇が左右にめくれて、照明室からでも、濃い鮭肉色の内側が覗き込めた。
 顔をそむけたら、本郷に肩をつかまれた。
「麗華ちゃんも、同じことをしなくちゃならないんだよ。しっかりと見学しておきな」
 ものの三十秒もすると、リリーが立ち上がった。しかし『御開帳』が終わったのではない。三歩ほど横へ動いて、またしゃがみ込む。目の前の客たちが大きく拍手して――身を乗り出して股間を覗き込む。
 ひとりの客が舞台に上がった。
 ふつうの芝居や舞踊の公演ではあり得ないことだった。しかも、その男は――茶色くくすんだ造花で作った花輪をリリーの首に掛けた。
 リリーが、その男を抱き締めて――頬にキスをした。
「しけてやがる。一円札かよ」
 すでに新券は発行されていないが、まだまだ流通している。紙幣で作った首飾りなのだった。
「あれで、せいぜいが百円か。まあ、十円札は座長だけだがな」
 リリーが舞台の奥に下がって脱ぎ捨てた衣装を集めにかかると、さっきよりはずっと多くの『おひねり』が舞台に投げ込まれた。リリーがそれらを拾い集めてブラウスにくるんで、観客席に向かって投げキスを繰り返しながら裾へ引っ込んだ。
「な。出演料なんざ目じゃないだろ」
 皆が皆、『おひねり』をもらえるものでもない。リリーの場合は、若さとエロチックなダンスで人気を集めている。遠くから汽車で駆けつけるファンまでいた。
「エロけりゃいいかというと、そうでもない」
 下りた幕の裏では、アメリカっぽい書割が片付けられて、富士山と松の背景に替えられた。二人の男だけでは手が足りず、踊り子までが手伝っている。
 五分ほどで幕が開いた。音楽の掛からないまま、下手から武士の扮装をした着流し姿の男がゆっくりと表われた。男が舞台の三分の一ほどを歩いたとき。
「みつけたぞ、市川電蔵!」
 上手から女性の声。スポットライトの中に、振袖に袴を着けた一見して小姓のような人物が飛び込む。長髪を頭の上で結んで後ろに垂らしている。それで、小姓が女性の男装だと観客にもわかる。
「親の仇、覚悟!」
 カッポーン! 小鼓の音とともに、邦楽にしては賑やかで急テンポな曲が鳴り始めた。
 小姓が抜刀して男に斬りかかる。男も抜刀して迎え撃つ。二人の動きは速いが、そういう目で見ているせいか、まるで踊っているようだった。刀と刀が噛み合い、あるいは身体すれすれを掠める。
 男の斬撃が――実際に斬ったのではなく仕掛けがあったのだろう、小姓の振袖を切り裂いた。乳房がこぼれ出た。
 男が驚いた顔を作って、それからドンと歌舞伎の六法みたいな所作をした。相手を女と知って助平心が起きたという演出かなと、五十鈴にも見当がついた。
 さらに数合チャンバラが続いて。小姓は動きの邪魔になるとばかりに、切り裂かれた小袖から順繰りに腕を抜いた。
 上半身裸で斬り合って、袴まで切り落とされる。
「ええっ……?!」
 五十鈴は、また口を押えた。袴の下は腰巻でもパンティでもなく、丁字帯だった。田舎では、生理のときに使っている子もいる。女としては裸よりも羞ずかしいのではないだろうかと思ってから――もしかすると、越中褌ではないかとも思った。チャンバラ映画では、主役の着物が乱れたときに白い垂れ布がちらっと見えて、女性ファンから黄色い歓声があがったりする。
 紐を腰に巻いて布の端を押さえているだけだから、激しい動きで緩んでいき――ついには、前が落ちて白い尻尾みたいになった。
 舞台の前端を左右に移動しながら斬り結ぶ男女。女性が大きく足を踏み出して斬りかかるたびに、客席から拍手が湧いた。
 カッポーン。楽曲が途切れた。
それを合図に、女性が円形ステージに押し倒された。男が組み敷いて。スローテンポの方角が低く流れ始めた。
 男が女性に馬乗りになったまま、あわただしく着物を脱いだ。男は肌色の六尺褌を締めている。その姿のままで――女性の片脚を高々と持ち上げた。円形ステージが回り始める。
 男が腰を突き上げて、女性の股間に打ち当てた。それが性交を模した動きだと、五十鈴にも(なんとなく)わかった。すぐに女性を裏返して、今度はプロレス技みたいに両脚を背中へ折り曲げた。開脚の中心をたっぷりと客に見せつけてから、四つんばいにさせて背後からのしかかり、また腰を動かした。
 やがて、男が立ち上がって。自分の着物と二人の刀を拾って袖に引っ込んだ。女性は身を起こして『御開帳』を始める。
「剣劇が中途半端だって、座長はいい顔をしないけど――賑やかしだな。とにかく、この商売。ただ裸を見せればいいってもんじゃない。それじゃ額縁ショーになっちまう」
「……?」
 五十鈴がぽかんとしているのを見て、本郷が説明を足した。
 額縁ショーというのは、戦後すぐに始まった、本邦最初のストリップショーである。大きな額縁の中で全裸の女性が名画のポーズを真似る。ただ、それだけ。それも最初は髪の毛や小道具で股間を隠して、わずか数秒間だけのショー。それでも大入り満員で劇場の前には長蛇の列ができたという。たちまち、全国で同じようなショーが雨後の筍さながら。競合が激しくなって、演出が工夫されるようになった。女性が衣服を脱いで風呂に浸かるという入浴ショーが現われたりするうちに、踊りながら服を脱いでいくというアメリカ渡来のストリップティーズが和風にアレンジされ、さらには『御開帳』とか『オープンショー』と呼ばれる観客サービスが定着していった。
「ほかにも花電車とかシロクロショーとかもあるが、こいつはさすがにコレ(と言って、本郷が指で作った丸印を額に当てた)も見逃しちゃあくれねえな」
 その二つがどういうものかまでは、本郷も説明しなかった。
 二人の剣劇と手籠め演技には、二つ三つの『おひねり』が飛んだだけだった。
 そして。トリの舞台が始まった。
 座長の演し物はストリップショーの定番、日本舞踊だった。
(うわあ……)
 五十鈴は、これまでとは違った意味で驚いた。本格的な舞台を観たことはないが、友達の『おさらい会』には何度かつきっている。そのときに見た流派の師匠の踊りよりも、もっと所作に優雅さと切れ味が渾然一体となっていた。プロ(というものが日本舞踊にあるかどうかは知らないけれど)で通用すると思った。バレエにたとえるなら、大劇場でプリマドンナを張れるんじゃないだろうか。
 舞台の最後が、驚きの打ち止めだった。十円札の首飾りこそ出現しなかったが、『おひねり』を拾い集めるのに手が足りず、花園美絵とリリー塚本までが手伝った。まさか一円玉ではないだろうから、控えめに百個と見積もっても五百円以上だ。全部十円玉なら千円――後で数えたら五十円硬貨や百円銀貨も幾つかあって、さらに五十鈴は驚きを重ねるのだが。
 御礼の意味だろう。美蝶は上手から下手まで全裸で舞いながら、袖に姿を消した。
「とまあ、これが一日に四回だ。楽といえば楽、厳しいといえば厳しい商売だ。やれそうかな?」
「やります」
 五十鈴は即答した。洋舞、剣劇、日舞。みんな凄い。そして、裸で笑顔を浮かべられるくらいに強い。自分のバレエなんて、学芸会もいいところ。裸になったら、とくに『御開帳』なんて、顔が引きつるに決まっている。でも、やらなければ――無一文になるのも厭だし、売り飛ばされるのはもっと厭だった。
「それじゃ、親父さんとこへ仁義を――つまり、この劇場の親分に挨拶をしとこう」
 劇場主は、五十鈴がずいぶんと若いことに驚いたようだった。しかし、それについては何も言わなかった。劇場が契約したのは花園美蝶一座だから、なにか問題が起きたら座長が事に当たる。後で本郷から、そう聞かされた。
「頑張りなさいよ。事情はあるんだろうが、金で解決できる事情なら、ここはまっとうな稼ぎ場だからね」
 どうとでも取れる言葉が劇場主から返ってきた。
========================================


Progress Report 1:昭和集団羞辱/ストリップ嬢


 いよいよ、大河シリーズの膜開けです。
 最近痛感しているのは、「書きたい書きたい」が先行して、ストーリイの肉付けとかほっぽってるなと。
 やはり、書けば何がしかの副収入になって、駄目出しをしてくれる鬼編集者がいないというのは、文芸的堕落につながります。コンテスト狙い=自分で自分に駄目出しをする。というのが、すこしは有効ではないでしょうか。

bo003-150.jpg

========================================
1:花園一座
ストリップ小屋で仲間に引き合わされる。
『花園美蝶一座』
座長:花園美蝶(34)日本舞踊
   花園美絵(32)日本舞踊
   リリー塚本(27)西洋ダンス
   白鳥麗華
マネージャー:本郷一雄(31)『菱口興行』組員。
共演者
右尾文子(31)亭主(市川電蔵)と組んだ剣劇
 レイブの真似事
 初日は見学。
 (ストリップ15分+回転ステージ5分+御開帳5分=25分~30分)
 今は人数が少ないのでストリップを工夫。
 13-15 16-17 18-19 20-22
 10日公演 5日休み/移動
 月15~20日(60~80ステージ:1ステージ200円前後+チップ)で大卒初任給の3倍。交通費宿泊費すべて自腹。
 手取は2/3。

 木賃宿に泊まる。リリーと相部屋。マネージャーは劇場で。
 何が踊れるかと聞かれて、キューピッドだけ
 翌日
 踊ってみせる。短すぎる。
 チュチュ着て踊って、脱ぎながら踊って、ボディファンデーションだけで踊って、全裸で踊って。10分。
 回転ステージで踊りの真似。最後は寝転がって。

2:アヒルの湖
 到着2日後から
「処女バレリーナ白鳥麗華デビュー!」の看板。
 全裸になれない。泣き伏す。観客は同情的。
 逃げなかっただけ根性がある。
 翌日
 白鳥の湖もどき。ボディファンデになったところで、マネージャー。玩具の鉄砲と弓矢でボウガン。矢は新聞を丸めて(伸縮)。
 倒れた麗華を引ん剝く。延々と回転ステージ。アナウンスで客を移動させる。おひねり多数。
 迷惑を掛けたお詫びで分配。

3:初恋
 つぎの巡業地。
 がんばって一人でステージ。あまり受けない。御開帳がイヤイヤに見える。
 マネージャーに共演を頼んで「甘ったれるな」。細かい指導。
 8mm映写機とバレエのフィルム。ずいぶんと高いはず。
 そこそこ受けるようになる。
 恋愛感情に。告白して撥ねつけられる。 

4:SM演技
 つぎの巡業地。
 そばかす外人嬢。いきなり全裸磔。ゲシュタポ扮装男の拷問劇。あまり受けない。座長不機嫌。芸じゃない。
 マネージャー発案。外人嬢も麗華と同じくらいには踊れる。
 デュエットから絡みの真似事。体格と年齢から外人嬢がタチ。大受け。
 しばらく一座の準メンバーに。

5:開膜記念
 外人嬢がヒモを切って座員になってる。
 別の一座から座長を通して移籍の話。向こうは人手不足。
 考えさせて。
 マネージャーに夜這い。
 最後の興行。
 「バレリーナ白鳥麗華開膜記念!」
 『立派なストリップ嬢』になる決意。
========================================

 後半の展開は、変わるかもしれません。
 100~150枚で、『ヌードモデル』と併せて1作品の予定です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:公女両辱



 脱肛しました。初稿6万4千文字(194枚)。
 不出来です。以下「後書」コピペ。


 残虐に徹しようと志して書き始めましたが、どうにも凡作です。
 ヒロインを前半と後半で入れ替えたのが、敗着でしょうか。
「二人の心理を並行して描写するのは難しい。まず人物の行動をあれこれメモして、効果的に配列してから書き始めるべし」とは師匠の教えですが。
 本作品の場合、SとMの立場も入れ替わります。リディアーヌに引き付けて書いてしまうか、M側だけに焦点を当てて前半と後半で完全に視点を切り替えるか。
 読者相手に小説作法を云々して、どうする?
 ともかく、この作品は。乳枷にボルト捻じ込みのリョナを書きたかっただけなのです。
 この作品は、いろんな意味で『賑やかし』でしょうか。通年特売価格に設定します。

 ひと呼吸おいて。『昭和集団羞辱』にとりかかります。物語ごとのプロットを作る前に、同じ斡旋屋が六人くらいまとめて引率して都会へ連れ出して、そこから手分けして売り飛ばしていくという、大筋を作ります。
 秘湯の遊女、トルコ嬢、お嬢様ストリッパー、緊縛モデル、チョンの間、ヤクザの親分の情婦。そんなラインナップですかね。

tumblr_m1o8yp5XhS1qm7ytg.jpg

 まあ……月イチペースで傑作ばかりかけてりゃ、熱帯雨林にゴチャゴチャ言わせず、商業出版の取次やらせてるとこです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:公女両辱

 あらあ。いっちゃいましたよ。106枚。昨日が60枚だったから、一気に43枚です。
 ただ、まあ。弾着予定地点がフランスじゃないもんで、エロイムエッスエム描写が控えめで。前半のヒロインがオリゲルドで後半がアルディス(鶴亀鶴亀)なので、ひとりに深く感情移入しない(できないのは、作者の力量の限界)ので、ひたすらストーリイを語るパターンになっちまいました。
 Report 2の本文抜粋から、途中のヒロインがコソ泥を働いて鞭打ちされるとことかは飛ばして




========================================
 五日もすると、リディアーヌの傷は『使用に耐える』くらいにまでは治癒していた。そして、新たな恥辱が裸身を飾ることになった。いわば、鞭打ちと引き換えに取り返した母の形見である。エマの希望どおり、それらの品はリディアーヌに返されて、リディアーヌもエマも想像していなかった形で使われたのだった。
 金の首飾りには小さな留め金が付け加えられて、乳房の上下に巻かれた。上下の鎖は腋の下と乳房の谷間で留め金でつながれて、乳房をささやかな球形にくびり出した。腕輪はいったん切れ目を入れてから手首に嵌められ、二度と外せないように鍛冶職人の手で閉じ合わされた。小さな耳飾りは耳たぶでなく乳首に留められた。ネジで耳たぶを挟むように作られた留め金には細い針が植えられて、乳首を突き刺した。そうして、小さなカメオの指輪は、うんと直径を縮められて、少女の淫核を飾った。包皮をを剥き上げておいての処置だった。カメオには穴が開けられ、実核の先端だけがそこから顔をのぞかせるという、手の込んだ、しかし淫美であり淫残な趣向だった。
 腕輪のほかはいつでも取り外せるのが、せめてもの慰めだった。もっとも、ジャン・ジャックに使われるとき以外は常時身に着けているよう厳命されはしたのだが。
 いったんは牢獄の鎖につながれたリディアーヌだったが、さらなる恥辱を自ら申し出ることで、再び自由を取り戻した。
「なにかの偶然で、あたしの裸を他人に見られないともかぎりません。じゅうぶん日に焼いて肌の色を濃くすれば、異教徒と思ってもらえるでしょう」
 つまり、一日のうち何時間かは戸外で裸を曝すということだ。この願いは格別の疑惑を持たれなかった。コソ泥もまともに出来ぬ小娘ひとり、裏庭に放り出しておいても問題あるまい。そんなふうに考えられたのかもしれない。
 リディアーヌの目論見は、ただ鎖から逃れるだけではなかった。幼いときに盗み見た使用人たちの『愛の儀式』。いざというとき、ラウルの助けも間に合わないときには、あの物置小屋に隠れるつもりだった。それが今もあるかどうかを確認しておきたかった。さらには――逢引をしていた男女のうち、男の顔には見覚えがなかった。もちろん暗がりの中での出来事ではあるし、少女の注意のほとんどは二人の下半身に向けられていたのだから、まるきり不確かではあるけれど。もしかしたら、外の人間だったのかもしれない。とすれば、あの小屋の奥に抜け道でもあるのかもしれない。憶測に憶測と希望を何段も積み重ねた推測には過ぎないけれど、もしもほんとうに抜け道があるなら、『計画』の助けになる。そこまでの深謀遠慮があったのだ。
 もっとも。異教徒を装うという提案は、リディアーヌが思ってもいなかった恥辱をともなっていた。沐浴の習慣である。異教徒の沐浴とは、ただ身体を洗って綺麗にするというだけではない。ことに女は、首から下の体毛をすべて剃り落とす。腋毛や淫毛を生やした異教徒はいない。
 さすがにリディアーヌは羞恥に肌を染めたが、異を唱えること無くロイクの指摘を受け容れた。いざ体毛を失ってみると、彼女の裸身を飾る小道具は、いかにも異教徒らしく見えもしたのだった。
 リディアーヌの変貌に使用人たちは驚き呆れ、露骨に軽蔑の眼差しを向ける者も少なくなかった。しかしナウラは、投獄された最初から世話人のような役割を負わされて、それだけリディアーヌと接する機会が多かったから、彼女の破廉恥な振る舞いの奥に何かが隠されていることを薄々感づているようだった。そして執事のラウルは、リディアーヌのそばを通るときはひっそりと腰の短剣に手を当てて、替わらぬ忠誠を無言で語りかけてくるのだった。
 リディアーヌをもっとも軽蔑していたのは、この屋敷で唯一の処女であるエマかもしれない。彼女にしてみれば、リディアーヌの何もかもが穢らわしくおぞましかったに違いない。父を誘惑しているという事実が、なによりも許しがたかったろう。
 男が浮気をしたとき、女の嫉妬は浮気相手に向けられるのがふつうである。最初はジャン・ジャックが『義理の』娘を陵辱したことなど忘れ、危うく殺されかけて心ならずも服従したのかもしれないなどとは、考えもしなかった。
 それだけなら、リディアーヌも我が身と彼女とを置き換えて、自業自得と思わないでもないが。
 庶民の出ゆえにこすっからいのか、元々の性格がそうなのか。偽善的に振る舞うのが、どうしても許せなかった。
  肌を焼くために裏庭に出るようになってからは、ふとしたはずみでエマと出会うこともあった。エマは、決して逃げなかった。
「こんな境遇に墜ちて、ほんとうに同情しますわ。その装身具を投げ捨てたのは、ごめんなさいね。もし、わたくしに出来ることがあったら、なんでも言ってちょうだい。願いを叶えてあげるとは約束できないけれど、できるだけのことはしてあげるわ」
 それなら、わたくしの名前を返してよ。母子ともども屋敷から出て行ってよ。そう叫びそうになるのをこらえるのが精一杯で、卑屈な感謝の言葉も痛烈な皮肉も、リディアーヌの口から発せられることはなかった。
 リディアーヌは、週に一度か二度は母の仇に抱かれて媚びを売り、不本意ながらも性の交わりによる愉悦を身体にすり込まれながら――春を過ごし夏を過ごしていったのだった。
 そうして、千載一遇の、そして唯一のチャンスが訪れたのだった。
 凱旋である。
 大国間の争いは、さいわいにして味方が勝利を収め――国を挙げての凱旋式が執り行なわれる運びとなった。リディアーヌの秘密のホクロを知るコルベール伯爵の消息はなお不明だったが、それを確認している余裕は無い。
 執事も腹心の二人も連れて際しともども王都へ旅立ったジャン・ジャックは、さすがにリディアーヌを鎖につないだが、それはなんの役にも立たなかった。今も味方をしてくれている使用人たちが、簡単にはずしてくれた。
 しかし、リディアーヌは、なおも屋敷に留まった。
 彼女が向かったのは、ジャン・ジャックの居室だった。もしも祖父の遺言状が処分されていなかったら、それを示すことで王室の書庫でも本気で写しを探してくれるだろう。しかし、それよりも――ジャン・ジャックが母を謀殺した証拠を、なんとしてでも発見したかった。
 リディアーヌが不義の子で、それゆえに奴隷に墜とされたとした理解していない使用人たちに、複雑な事情を説明するのは、最初から諦めている。そもそも『証拠』がどんなものかも――おそらくは書き付けだろうが、リディアーヌ自身にもわかっていない。居室にある品々をひとつずつ、あれこれと推理しながら探すしかない。
 机の引き出しを開け、中の品を子細に見分して、元あった通りに戻す。
 「デジレをどこそこで殺せ。報酬はしかじか」そんな決定的な証拠でもつかめば話は別だが。
 薄弱な『証拠』を持ってリディアーヌが逃亡したと知れば、『証拠』を否定する『証拠』えお捏造されないとも限らない。リディアーヌが身の証しを立て、謀殺の証拠を出して捜査を初めてもらうまでには、おそらく何か月もかかるだろう。絶対に感づかれてはならない。
 だからこそ、リディアーヌは杜撰極まりないコソ泥を働いたのだった。わずかに品物の位置が変わっていたくらいでは、リディアーヌの仕業とは疑わないだろう。
 もちろん、そんな楽観は脇に置いて、能う限り痕跡を残さないようにしながら、リディアは探索を進めて行った。
 金庫か、最初から探索からはずしていた。公文書や証文や金貨は執事が管理していたから、そこに秘密の書類を隠すはずがない。もちろん、ちゃんとした金庫の持ち主が携帯金庫を持っているはずもなかった。もし見つけたら――それは、そのときに考える。
 机の探索が終わったら、次は書棚だった。紙きれ一枚なら、どうにでも隠せる。さすがに一ページずつ調べていては埒が明かないので、逆さにしてバサバサッと振って、何も落ちなければ元に戻した。
 そうして、ついにリディアーヌは『証拠』を発見したのだった。それは本の後ろに隠されていた、薄っぺらな帳面だった。『奴隷慈悲院寄付帳』。表紙に、そう書かれていた。それは、母が強盗に襲われたとき、手提げ金庫とともに奪われたはずの帳面だった。
「母様、これで仇が討てるわ!」
 廊下で見守っていた使用人が腰を抜かしかけたほどの大声の歓喜だった。
 しかし、すぐに疑念が押し寄せる。なぜ、こんな決定的な証拠を、あの男は後生大事に残していたのだろうか。なにか、とんでもない見落としを自分はしているのではないだろうか。
 そもそも。ほんとうにこれが決定的な証拠になるのだろうか。たとえば、念のために造られてあった写本だと主張されたら……?
 ふっとリディアーヌの頭に正しい答えが閃いた。
「右署名だわ!」
 その叫びは、同時に二つの意味を持っていた。
 右署名は筆跡がぶれない。署名している本人に確認してもらえば、写本か正本か判別できるはずだ。いくら筆跡を真似るとはいっても、十人を超える署名者のすべてを完璧に模倣できるはずがない。
 もちろん。こちらが正本でデジレは写本を持ち歩いていた――言い抜けることはできなくもないけれど。母が訪問したのは格上のブロワ伯爵夫人だ。そんな失礼なことはしないに決まっている。
 そしてリディアーヌは、この帳面が別の悪巧みの証拠にもなることに気づいていた。格下の者がおいそれと入手できない右署名。それをこんなに隠し持っているというのは、書類偽造の意図があったのではないか。
 亡き妻の形見などとは言わせない。内輪の話であるだけに、執事や使用人たちの証言でも重きをなしてくる。
 それでもリディアーヌは喜びに我を忘れることなく探索を最後まで続けたが、他にはめぼしい証拠は出てこなかった。つまり――書類偽造を目論んだがゆえに、配偶者謀殺、ひいては子爵家簒奪の重罪が明るみに引きずり出されることになったのだ。いや、正確にいえば、そうなろうとしている。
 リディアーヌは使用人の協力を得て、念のために確保しておいた抜け道に頼らず、堂々と馬車で逃亡したのだった。
========================================
エロイムエッスエムの無い部分ばかりでごめんなさい。
関係のない画像ばかりでごめんなさい。

もんぺ少女

でも、現役のオカズです。
舞台が昭和10年代か20年代かで、妄想の中身(=ストーリイ)がまるで変って来る画像というのは、なかなかに貴重です。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:公女両辱

  ロケットスタートならず。正月三が日で60枚ほどしか進みませんでした。それで6章立てのうち2章まで書いたのですから、第1章はプロローグとしても、全部で200枚ちょっとでまとまりそうです。過去のSF短編なんかを校訂してて、文章が引き締まってきたのかしら?
 まあ、第3章が『姦獄』で第5章が『拷虐』ですから、ここで延々と書き込むでしょうから、実際に何枚になるかはわかりません。
 わからないといえば。第3章の冒頭。まるで予想していなかったシーンを挿入しちゃいました。この話、『グイン・サーガ』じゃねえっつうの。

========================================

3:奴隷妾の日々

「これ、ないしょ、さしいれ」
 そう言って、木箱のベッドにナウラが置いた盆というにはあまりに粗末な木の板には、丸パンと薄いスープの横に干し肉と果物が並べられていた。
「ゴロツキ、みはりしない」
 これまではリディアーヌに与える食事に目を光らせていた子爵腹心の二人が、気を緩めたということだろう。
「ありがとう。でも、無理はしないでね。見つかったら、あなたたちも罰を受けるでしょうから」
「むち、へいき」
 ナウラがスカートをまくった。太腿には数条の赤く細い傷が刻まれていた。
「まあ……わたくしのせいなの。ごめんなさいね」
「ちがう。つまみぐい、しかられた。たべものへった、つまみぐい」
 つまりは、リディアーヌへの差し入れをごまかすために、わざと見つかるようなつまみ食いをした。そういうことなのだろう。
 リディアーヌはベッドから立ち上がって、裸身をナウラに向けて、その手を握った。
「ありがとう。ほんとうにありがとう」
「もったいない。おじょうさまにおつかえする、あたりまえ」
 貴婦人が奴隷娘の手を取って感謝するなど、考えられないことだった。奴隷に慈悲深かった母でさえ、そんなことはしなかったとリディアーヌは記憶している。しかし、今の彼女は、そうすることにまったく抵抗を感じていなかった。
 監禁されて六日目の夜。深更に再び執事が訪れた。
「脱出の手筈が整いました。今すぐお支度をしてください」
 執事は相変わらず裸身から目をそむけながら、衣服をリディアーヌの脇に置いた。
「匿ってくださる先は見つかったのですか?」
「それは……」
 執事が言いよどんだ。
「しかし、ここにいては、いつ殺されるかわかったものではありません。街の商人や農村の顔役など、何人か協力してくれる者がおります。頻繁に居場所を変えていれば、そう簡単には見つからぬでしょう」
 リディアーヌは、失望の溜め息を吐いた。まったくの行き当たりばったりだ。各柄がを突き止められる恐れは減るかもしれないが(それも怪しいものだ)、移動中に見つかる危険が増える。
「わたくしは逃げません」
 リディアーヌは決然と言い放った。
「お、お嬢様……?!」
 執事がリディアーヌを振り返って、あわてて顔をそむける。
「いずれは逃げます。そのときには、助力してください。でも今は――しなければならないことがあるのです」
 そこでリディアーヌは言葉を切って。執事の正面に回り込んだ。
「わたくしを見なさい。奴隷娘よりも恥ずかしい格好をさせられています。でも、魂まで辱められてはおりません。これから……わたくしは、聞くも穢らわしいような醜聞にまみれることでしょう。けれども、卑しい心根からそのような真似をしてのけるのではありません。わたくしは、リディアーヌ・ド・セギュールです。それだけは、ラウル、あなただけは信じてください」
 執事は、ただリディアーヌの顔だけを見詰めている。けっして裸身に目は向けない。
 息を詰めて令嬢の言葉を賜わっていた執事は、腰の短剣を抜いた。切っ先を胸にあてがって、柄をリディアーヌに向けた。
「我が主人はリディアーヌ様おひとりです。主人の決定に疑いを差しはさまず、如何なる御命令にも従います。もし、我の言葉にお疑いあれば、我が胸に短剣を突き立ててください」
 それは――騎士から姫君に捧げる忠誠の儀礼ではなかった。恋愛感情の交じらぬ、君主に対する臣下の絶対の忠誠を意味していた。ラウルは令嬢の言葉に非常の決心を聞いたのだった。
 リディアーヌは深い感動に包まれながら、正しい作法は知らなかったが、執事の手から短剣を受け取った。刃筋に――まるで恋人にするような深く長いキスをした。
「そなたの忠義、たしかに受けとりました」
 頭(こうべ)を上げて執事に短剣を返すリディアーヌの裸身は、まさに姫君の気品をまとっていた。
 しかし、それからのリディアーヌの行状は、奴隷娘よりも卑しく淫らなものとなる。
========================================

  裸の令嬢が奉げられた忠誠の剣を受け取る――なんて画像は、さすがにみつかりませんね。
sexy-nude-warrior-girl-sword-belt.jpg

 で、この後は、この時代の娼婦ですら忌避する口淫とか、盗みがばれて懲罰(が、作者の眼目ではなくて、すり替わった娘のヒロインへの憐憫とヒロインの娘への憎悪の交錯が目的ですが)とか、あれこれエロエロです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:公女両辱

 年明けとともにスタート。
 『未通海女哭虐(後編)』の校訂と、終盤が駆け足だったので加筆も必要かなと。
 さらに、売れないと分かっている健全SF小説のOCR取り込みが終わって校訂とか。
 目標もショットガンなら、さあ業もショットガンです。
 まあ。『公女両辱』は2月下旬までに仕上げればいいし。
 『未通海女哭虐』にいたっては5月下旬でOK。
 とはいえ、さらに2本くらいは5月末までに仕上げておかないと、年末から月刊再開のめどが立ちません。
 元々は脱サラの初段というか野望というか無謀でSFを書き始めて。ワープロ導入で生産効率10倍になったので小遣い稼ぎにSMに手を出したりしたのですが。それが20年以上も続くと、もはやレーゾンデートルでありライフワークです。たとえ年間1NSソープの実入りしかなくても。

 今回はPLOTの紹介です。数枚書いた感じでは、意外と短くありそうですが。PLOTでは拷問の種類が少ないけれど、次々と増やしたりすると(章タイトルを「拷虐の二週間」としていますが、これが三週間とか四週間とかになったりして)、大長編に化ける可能性もありますね。とにかく。1月5日までに100枚以上は墓を逝かせて破瓜を取りたいものですなんのこっちゃ。




========================================
公女両辱
姦獄に泣く不義の娘と拷虐に哭く不実の娘

背景
奴隷制度(近世フランスに黒人奴隷はいた)

異教徒:人間ではない→奴隷(インディオは人間ではないから虐殺された)
奴隷は人間ではない。首枷(ボルトが主流)

セギュール家
祖父  アンリ・シャルル
父   ジャン・ジャック
母   デジレ
娘   リディアーヌ→エスク(Esclave)
後妻  フラヴィエ→フランシーヌ
連れ子 エマ→リディアーヌ→セミェ(牝豚)

祖父の遺言
デジレの血を引く子に爵位を継承させる。男児無き場合は、娘に婿を迎えるべし。
国王の印可をもらった書状。(デジレ謀殺後に処分)。


1:幸せの終わり
セギュール家
昼食後。サロンでノアイユ男爵夫妻と歓談。
非公式のアットホームな会合なので、社交界デビュー前のリディアーヌも混じっている。
ノアイユ夫妻とは初対面。
戦争など話題。大国間の領土争い。同盟を結んでいるので応援。
女奴隷がお茶を運んでくる。
セギュール家の奴隷は首輪がお洒落。
高齢奴隷の保護施設の建設計画。かたわらに金庫。
奉加帳。ノワイユが署名。
「右署名か」
「ブロワ伯爵をはじめ、皆さま右署名です。私ごとき軽輩が左署名などできましょうか」
左署名:略式の文書などに使う。いざとなれば「あれは儂の署名ではない」
右署名:重要文書、目下から目上へ。
セギュール子爵家に、侯爵や伯爵の右署名文書は与えられない。[伏線]

侯爵家へのデジレ単独訪問。半日の行程。一泊して戻る予定。
保護施設にジャンは不賛成。勝手にさせている。
貴婦人の単独行が珍しいことは言及。病弱の夫の名代など。
護衛の兵はつけている。騎士はいない。
デジレ:お父様は冷淡。
強盗団に襲われて母が行方不明との急報。すぐに全裸暴行死体発見。
護衛兵は逃散。罪に問われる可能性大だから、当然。
葬儀。


2:姦獄の始まり
一週間後に、後妻と連れ子。
「妻のフランシーヌ、娘のリディアーヌだ」
「私と同じ名前?」
「おまえはエスク――奴隷娘ではないか」
結婚のとき、デジレの腹は膨れていた。
衝撃の事実。
使用人雑居の部屋とは別の小部屋。
パニクっているエスクを(全裸に引ん剝いて)暴姦。足に鎖をつないで監禁。
まだ出血しているエスクを裏庭に引き出して、鍛冶屋の手で、武骨な首輪。焼き嵌めボルト。
暴姦の日々。排泄はバケツだが、美麗か武骨かの違いだけ。
同情して逃がしてくれようとする使用人も。
このまま逃げても、下手をすると奴隷として連れ戻される。
逃げおおせても泣き寝入りは悔しい。
子供時代のリディアーヌを見知っている(そして有力者の)ヴァロワ伯爵は遠征中。
もっとも、現在のリディアをそれと見分けられるか?
首絞めプレイ。あわてふためくジャン。
フランシーヌ。頸動脈で確認。
「殺してしまえばよかったのに」
聞こえている。
なぜ?
すり替え/簒奪の意図に気づく。幼時に聞かされている。
まさか、母様を殺したのも……?
護衛が傭兵ばかりだった不自然さ。
幼時の想い出で、もうひとつ。使用人の密会。フェラ。


3:奴隷妾の日々
ジャンに応用。感激。
「殺さないでください。どのような破廉恥なことでもします」
アヌスとか鞭打ちとか乳首クリ抓りとか。あまり残忍ではない。
警戒が緩む。
日に当たりたい。肌が濃くなれば、ふつうの奴隷(中近東)に近づける。
腰鎖。樹につないでおく。
リディが目撃して驚く。
「罰を受けてるの?」
「奴隷ですから。あまり肌が白いと誤解を招くので」
「そう?」
「不義の子でも奴隷でも、私は人間だと思うわ」
「私にできることがあったら、言ってちょうだいね」
家の中を歩き回れるようになって。
リディの部屋を乱雑に漁って、母にもらったブレスレット。
すぐばれる。罰として腕輪を追加。
「そんなに腕輪がほしければ、これをくれてやる」
二度としません。監禁は免れる。
以後、隙をみては慎重に書斎を漁る。遺言状の探索。
奉加帳発見。強盗団に持ち去られたはず。なぜ、ここに?
傭兵の誓約書「任務遂行後は国外へ逃亡」日付が母惨殺の一週間前。
首都で凱旋式。一家で出席。
証拠の品を掻き集めて、使用人の手引きで脱出。


4:一気転落の時
半年後。最初はエスクの身を案じていた偽リディアも、忘れている。
庭におびただしい馬蹄の響きと馬のいななき。
踏み込んでくる兵と騎士。
「アンリ・シャルル子爵の娘デジレ謀殺、ならびに孫娘リディアーヌへの陵辱、文書偽造未遂の罪で投獄する」
檻車で首都へ。3人別々に投獄。
片腕を吊られて、座るのがやっと。溝への排泄。
貴婦人然とした本物リディアーヌの登場。
「エスク……いえ、リディアーヌ様?」助けに来てくれた?
「なぜ、囚人がこのように着飾っているのです。この者にふさわしい姿にしてやりなさい」
金髪が生意気。短く切る。ついでに下も(焼く)。
「おまえの両親は、すべてを白状したぞえ」
「おまえも、簒奪の陰謀に与していたのであろう」
「あの淫乱女の娘が処女のはずもなかろう」
拷問吏の肉棒で処女検査。
「もはや、処女ではありませぬ」血まみれの肉棒を晒して報告。
「手ぬるい」
同時3穴。


5:拷虐の二週間
「素直に白状すれば、拷問はせぬ。処刑の日まで楽に過ごさせてやろうぞ」
「父母の犯した罪に連座することは厭いません。でも、私は潔白です」
初日は鞭打ち。吊るして放置。たまに逆さづりにして鬱血を防ぐ。
翌日。まだ鞭傷が癒えていない。ので水責め。当時、泳ぐどころか入浴の習慣もなかった。
さらに二日おいて。両親が連れて来られる。二人とも口枷。その目の前で。
拷問椅子。2凸+針。
乳枷ボルト責め。
エマへの尋問。否定するたびに両親が呻いて首を縦に振ったり横に振ったり。
翌日。股間は軽傷なので後ろ手一本吊りで木馬。何度も落とす。
リディアーヌ、翌朝まで放置を命じて退出。
松明の熱い脂で永久脱毛。淫毛と腋毛。

6:断罪と贖罪と
裁判。両親は死刑。エマは名前を剥奪して奴隷。
リディアーヌが、即座に引取りを願い出る。エマの感謝。
全裸のまま教会。受洗記録抹消。異教徒の姿そのまま。破門。
鍛冶屋。鍛接された首輪、手枷、足枷、腰枷。胸に「Gentes:ラテン語で異教徒」の焼き印
その姿で、両親の処刑を目撃させられる。
裸身を晒すが、隣の貴婦人に遠慮して投石はまばら。すぐ制止される。
両親も娘の無惨な姿に狂乱。
馬車の後ろにつながれて、領地まで徒歩。爪を剥がすと、足に袋だけ巻かれる。
領民の蔑み切った目。
========================================

乳房拷問
 じつは、この拷問(ナットには、先を尖らせたボルトを捻じ込みます)を書きたいばっかりに丁稚揚げた小説です。
 こういうのは西洋中世でないと雰囲気が出ません。
 殺しても構わないというスタンスで拷問しますから、なかなかに悲惨なことになるかもしれません。でも、生き地獄エンドですから、後半のヒロインの両親は、あっさり首チョンパですが、この2人はMOB扱いですから。
 そういうことですどういうことだ。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜

一気に突っ走りました。
これで年間3千枚突破 !♪ です。
最後のほうをまとめてUPします。
書き急ぎました。下手したら……いえいえ、前半の書き込みだけで、2次も余裕でしょう。と、信じたい。


========================================

・妊娠中は生中出し

 一見してそれまでと変わりない様子で、久美子は『仕事』を続けた。男の精気を吸い取るだけでなく、母親になる準備を始めた身体は日を追って性熟してゆき――ますます男たちを夢中にさせた。
 十一月も半ばを過ぎると、久美子の妊娠は広く知れ渡るところとなった。体型は変わらなくても、事の最中にまでゲエゲエやっていたのでは、異変に気づかないほうが、どうかしている。
「妊娠したんだってな。そんじゃ、もうこんな野暮な帽子はいらねえよな」
 誰もが、前を使うときは抜き身でするようになった。おかげで、一回ごとに海まで往復しなければならなくなったのだが。
 久美子は以前に比べて感度が良くなってきた。淫核をくじられて軽く逝き、前に挿入されれば、『瞬間湯沸かし器』の弓枝に負けず劣らずの早さで、しかも弓枝よりも盛大に昇天した。
 久美子にも、無意識裡には妊娠への懸念があったのだろう。それが最悪の形でとはいえ解消されて、最後の歯止めまでが失われた――そういうことだったろう。しかし、心だけではなく肉体も開発されているのも事実だった。前を一切刺激されなくても、後ろだけで逝ってしまうこともしばしばになっていた。
「私も久美子ちゃんも――というより、女はみんな淫乱なんだねえ」
 弓枝は自嘲めいた感想を口にしたが、その実、誇らしげでもあった。
「でもね。因習とか道徳とかに縛られて、ほんとうの女の悦びを知らない人だってたくさんいるのよ。皆が皆、大岡越前の母親じゃない」
 久美子はその逸話を知らなかったが、弓枝に教えられても実感はわかなかった。
 ――情痴の絡んだ裁きを持て余した大岡越前が、思い余って母親に尋ねる。
「女子(おなご)は、幾つまで情欲があるものでしょうか?」
 母親は黙って、火鉢の灰を掻き回した。
 灰になるまで――という意味である。
 むしろ久美子は――『仕事』の最中はともかく。日常では、媾合いとか体罰のことをあまり考えなくなっている。赤ん坊を産んで育てる。そんなことが出来るかという不安と期待だった。
 伯母が許してくれるかどうか。
 仮に許されても、こんな環境で育てるわけにはいかない。誰かの養子に――できれば、島の外の人がもらってくれないだろうか。そんな夢みたいなことも考えている。
 わずか半年前。いずれは結婚して男の人と契ることになると知ってはいても、それは遥か未来の出来事のように思っていた。けれど、妊娠は違う。出産のゴールラインは七か月後だ。今の境遇と七か月前のそれとが根本的に違っているくらいに、なにもかもが替わってしまうのだろうか。
 そうはならないと、漠然とだが思っている。
 赤ん坊にお乳をやったりオムツを変えてやったりしながら、何人もの男を相手に脚を開き続けているだろう。そんな生活が、この先五年以上は続くはずだ。弓枝さんお息子が五歳児なのだから。

・厳冬の海女漁強制

 しかし。そんな悲惨の中にも甘さを残した幻想は、すぐさま粉々に打ち砕かれた。
「おまえ。明日から海女稼ぎに戻りな」
 突然の命令だった。
「おまえは『もやい妻』じゃないんだからね。島の男たちは、誰も面倒見ちゃくれないよ。食い扶持を男に恵んでもらいながら、赤子を育てる費用は自分で稼ぐんだね」
 無茶苦茶な理屈だった。『娼売』なのだから、それで現金をもらうなり、子育ての品々を差し入れてもらえば済むことなのに。
 医者や助産婦に面倒をみてもらえなくても、妊娠したときの注意は弓枝から教わっている。まだ、ふとしたはずみで赤ん坊が流れてしまう恐れのある時期に、身の凍るような海に浸かればどうなるか――わかりきっていた。
「……乗合させてくれる舟はあるんですか?」
 それが、精一杯の反論だった。海女漁は、せいぜい十月上旬まで。こんな季節に潜る海女はいない。
「一丁仕立てで、わしが相方になってやるよ。手間賃は、まけといてやるよ。いちおうは血のつながった赤子のためだからね」
 久美子は、一瞬だけ伯母の顔を眺めた。鬼女よりも凶暴な眼光に射竦められて、あわててうなだれた。
「わかりました……お願いします」
 いやだと言えば折檻だ。あの荒縄束で腹を叩かれたら、絶対に流産する。それよりは、赤ん坊の生命力に賭けて――いや、自分の命を削ってでも、赤ん坊は護ってあげたい。けれど、それは叶わぬ願いだと、母親の本能が久美子に告げていた。
「ごめんね……!」
 伯母の姿が見えなくなるのを待って、久美子は泣き伏した。
「ごめんね。ごめんね。ごめんね……お祖母ちゃんと一緒に待っててね。母さんも、すぐに逝くから」
 そうとでも詫びるよりほかに、久美子に出来ることはなかった。
 ――翌朝。久美子はガラクタの中から見つけた短い鎖を腰に巻いて、鬼伯母が待ち受けている小舟に乗った。伯母は海女褌と素肌に法被という、海女の正装をしていた。憎い妹の産んだ娘を虐めるためなら、晩秋というよりはほとんど真冬の寒さも苦にならないらしい。もっとも、顔がすこし赤いところを見ると、酒でも引っ掛けているのかもしれない。
 伯母は久美子の裸の腰に目を据えて、鬼夜叉の上に不機嫌を重ねた顔になった。
「おや。海女鑑札はどうしたんだい?」
「夜這いの相手ばかりしているうちに、無くしてしまいました。今から探してきましょうか」
 久美子が、平然と答えた。もう、怖いものなんか何もない心境だった。探しに戻れと言われたら、むしろありがたい。
 伯母は、男みたいにチッと舌打ちした。
「しょうがない。わしが海女鑑札を着けてるから、それでいいさ」
 久美子は舫い綱をほどいて、腰まで海水に浸かりながら小舟に乗った。それだけでも、胴震いが止まらない寒さだった。
 久美子は根に向かって、伯母に叱られないくらいの遅さで櫓を漕いだ。定期船が見えるまでに引き揚げるはずだから、根に着くのが遅くなれば、それだけ海に浸かっている時間が短くなる。三時間が二時間五十分に縮まったところで、奇跡が起きるわけでもないだろうけれど。
 ザブンと全身が見ずに浸かった瞬間、心臓に痛みが走った。心臓マヒになってくれたら、赤ちゃんと一緒に死ねる。瞬間、そんんなことまで考えたが――久美子の心臓はそんなにやわではなかった。
 海の中は、意外に暖かかった。というのは錯覚だと、久美子にもわかっている。舟の上では波しぶきに濡れた裸身に風が吹きつけて、どんどん体温を奪われる。風の吹き方で体温を奪われる度合いが違うし、風の強さも常に変わっている。海の中だと、じんわりと全身から満遍なく体温を奪われていくので、そういった変化が無くて、体感に乏しいだけだ。
 どれだけ稼いでもぎりぎりまで潜らされるのはわかっているというのに、面白いように獲物が獲れた。もうひと月からも海女漁が無かったうえに、水温の低下で貝の動きも緩慢になって、岩にしがみつく力も弱まっているせいだ。
 久美子は息が続く限り潜って、できるだけ激しく身体を動かした。浮かび上がっても激しく磯笛を吹いて、息が整うとすぐに潜った。激しい動きが赤ん坊にとって好ましくないというのは地上に限ってのことではないかと、久美子は疑っている。たとえば走れば、着地のショックが子宮までとどくからだ。海の中なら、どれだけ激しく動いても、そんなショックは無いはずだ。そして。動いて身体を暖めることに努めなければ、子宮が痙攣を起こすだろう。
 そういった考えは、医学的知識に基づいたものではない。本能と、伯母への意地と――とにかく何かしていないと赤ちゃんを見殺しにしてしまうという焦りだった。
 そうして。久美子は午前十時まで潜り続け、たとえばハツあたりなら万歳を叫ぶかもしれない収穫を揚げて、久美子は赤ん坊ともども一日を生き延びた。
 二日目も三日目も、母子は生き延びた。伯母の顔が日に日に赤みを増していったのは、狩猟が増えたせいだろう。もし、伯母を海に突き落としたら――ほんとうに心臓マヒを起こすんじゃないだろうか。そうは考えてみたが、考えるだけだった。どんなに憎い相手でも、人を殺すなんて、久美子には絶対に出来なかった。
 そして四日目。
 潜り始めて一時間も経った頃。久美子は下腹部に差し込むような鈍い痛みを感じた。鈍痛は、浮かび上がる前に鋭い痛みに変わっていた。股間を押さえた手が、赤く染まっていた。
「浮かぶのが早過ぎるよ。獲物はあるんだろうね」
「それどころじゃないんです。血が……」
 久美子は手の平をかざして見せた。しかし、返ってきた言葉は、久美子が予想していたとおりのものだった。
「女は血を流すものさ。いいから、海女稼ぎを続けな」
 久美子は、島に来て初めて、怒りの眼差しで伯母を睨みつけた。睨みつけながら磯笛を吹いて。
「鬼!」
 呪詛の言葉を吐いてから沈んでいった。
 しかし、無力な反抗は、伯母の残忍をあおっただけだった。
 つぎに浮上したとき、舟に上がるよう命じられた。
「褌をほどきな」
 一瞬の反抗で気力を使い果たしている久美子は、唯々諾々と褌をほどいて、それを伯母がひったくるにまかせた。
 まっ赤に染まった布の中に、子供の握りこぶしくらいの塊りがあった。塊からは細い突起が四本突き出していた。
 伯母は褌をばさばさっと振るって、その塊りを海中に投げ捨てた。
「あああっ……!」
 久美子は後先を考えず、海に飛び込んだ。死んで母胎を離れた胎児は、生に未練を残すかのように、波間に漂っている。
 久美子はがむしゃらに水を掻いて、『我が子』に追いついた。手の平に掬い上げて。振り返ると、伯母が艫に立って櫓を漕いでいた。久美子を置き去りにして、海岸へ向かっている。
 どうしよう。久美子は途方に暮れた。
 けれど。このまま赤ちゃんと一緒に溺れ死ぬなんて、あまりに口惜しい。ありもしない母の罪を償わされ、伯母にそそのかされた島中のひとたちから迫害され、淫売に落とされ、とうとう胎児まで殺された。
 もしも。殺さないまでも、仕返しに包丁で腹をえぐるくらいはしてやろう――そんなことを考えるくらいなら、とっくに実行している。それが出来ない久美子にとっての、伯母への復讐は――久美子が生き延びることではないだろうか。
 久美子は両手に我が子を包んで、海に潜った。根からはなれた場所に大きな岩を探して、その下にカギノミを使って穴を掘った。何度も浮かび上がって何度も潜って。これなら魚がほじくり出したりしないだろうと納得できるだけ深い穴を掘って、そこに我が子の亡骸を埋めた。
 穴を埋め戻して。そのすぐ横にカギノミを突き刺した。そして、息の続く限り合掌して。腰から鎖をほどいて、穴を取り巻くように安置して。一気に浮上した。
 海岸は波間に隠れてみえないけれど、その向こうの山は見えている。何時間かかるかわからない。冷たい水に体温を奪われて死んでしまうかもしれない。
 でも、絶対に泳ぎ着いてやる。
 久美子は死力と気力を振り絞って泳ぎ始めた。

・流産と新たな種付

 久美子は海岸まで泳ぎ着けなかった。しかし、生き延びた。
 季節外れの海女漁をすると知って、田中ハツも女将の魂胆を見抜いていた。午前中には男が訪れないのを幸いに、船宿に隠れて見守っていたのだった。
 女将が久美子を乗せないで帰ってきたのを見るなり、船溜まりへ駆け付けて。
「これで、おまえんとこの海女子は四人になったよ!」
 女将を海に引きずり落として舟に乗ると、女将が戻ってきた方角へ全力で櫓を漕いで―― 力尽きて溺れる寸前だった久美子を見つけたのだった。
 その日のうちに、ハツは海女鑑札を持って網元の家を訪れた。女将を非難したりはせず、海女を引退する口上を神妙に述べただけだった。
 ハツを敵にまわせば、海女子だけならともかく、男衆の何割かも反目するだろう。それを恐れて、女将も初の長年の働きを労わるしかなかった。
 ハツとしては、久美子への仕打ちを恐れて(女将を舟から引きずり落とした後には)穏便に事を運んだつもりだったが。
 女将の淫湿は、やはり久美子に跳ね返った。
 その日を境に、久美子に対してだけは、コンドームが使われなかった。
「心配するな、孕んだら女将さんが面倒をみてくれるって話だ」
「女の子を産めよ。ちゃんと育てて、英才教育ってやつを施して、娘宿にすまわせるんだとさ」
 久美子は、さらに絶望を重ねるしかなかった。
 伯母は、久美子の子供にまで――たぶん、久美子よりずっと若い時分から、同じことをさせるつもりなのだ。
 それでもなお。久美子は自死を選ばなかった。
 もしかすると。久美子の娘にまで『娼売』をさせたら、苦しむのは伯母ではないかという、突飛な考えが浮かんだからだ。
 そのとき、伯母はとっくに中年を越えて、初老が目の前に迫っている。その目の前で若い娘が奔放淫乱に振る舞っていれば、嫉妬にもだえ苦しむことだろう。それこそが、絶対の弱者ゆえの復讐になるのではないだろうか。




遥かな後日譚


・令和に継がれた命

「次の子は、死産だってことになってるけどね。うん、男の子だった」
 この仕事に就いてまだ三か月目だという少女は、恐ろしい意味を裏に隠しながら、あっけらかんと言ってのけた。
「さいわいに、と言っちゃっていいのかな。そのつぎは女の子で、ずいぶんと英才教育を受けたらしいわ。ペニスの大きさなんて、キャンディーバーとあんまし違わないし。けっこう太いウンチをする女の子だっているでしょ」
 少女は添い寝した男の股間をマッサージしながら、つぎつぎにとんでもないことを語った。
「いったい……何歳で、その……娘宿にはいったんだ?」
「んふふ……ヒ・ミ・ツ」
 少女は身体の位置をずらして、男のキャンディーバーを舐めた。
「ほら、おっきくなった。もっかい、しよ?」
 男の承諾を待たずに馬乗りになって、一気に埋没させた。が、すぐには動かない。
「お二人さんなら、よかったのに。あたしも、お尻は感じちゃうのよ」
 上体を倒して、つながったまま男に抱きついた。
「三代目が生まれた頃には、女将さんもぼけちゃっててね。それと、人権とかなんとか、うるさくなってたでしょ。そうなると、娼売をさせられるんじゃなくて、してる感じになってね。一方で過疎は押し寄せるし、漁業は遠くになるし。ぼちぼちと、女の子が集まり始めて、今の形になってきたの」
 少女が身体を起こして、ゆっくりと腰をくねらせ始めた。
「お客さん、話を聞いてるうちに、どんどん逞しくなってきたじゃない。お客さんもロリコンなのかな。それともサディスト?」
 少女は膝の屈伸も交え始めた。
「ん? あたし、三代目じゃないよ。四代目。それでさ、帳場にすっごいお婆ちゃんがいたでしょ。あの人が、お話してた久美子さんだよ。ん? 今じゃワンポイントリリーフだけど、まだ現役だよ。プレイング・マネージャーってとこかな」
 初代とは違って、悲壮のひと欠片も感じさせずに、少女は奔放なグラインドを始めていた。

 『秘境・海女の宿』は、今日も盛況だった。

========================================

SM_魔女拷問6

 今回の画像は『次号予告』です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 7:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜



 妄想を書き垂れることこそ生き甲斐。とは思ってきましたが。
 社会人になって間もなくSFを本気で書き始めたのは、サラリーマンなんざやめたかったからです。つまり。大本には「小説で金を稼ぎたい」という不純で純粋な動機があったのです。
 SMにいたっては。ワープロを導入したら3時間/枚が3枚/時と、ほとんど十倍速になったので、当時のSM雑誌の素人投稿小説に
「こんなのより、俺のほうがずっと上手いし面白い!」と断定して書いて、その通りになったのです。

 つまり。やはり。画像系同人誌が主力のサイトで、せいぜい年間にNSソープ1回くらいの実入りではパイプクリーナーです詰まりません。というわけで、しつこく御仏蘭西とかもあらためて視野に入れたのですが。その他にも、電子記録で応募出来て結果も比較的すぐに出るところへも(R18作品OKを確認のうえで)ショットガンします。
 というのは、前置きで。


========================================
・折檻と体罰の選択

 泣きながら坂道を下っていると、背後から自動車の音が近づいてきた。狭い道なので脇へよけると、軽トラックがゆっくりと久美子を追い越して、道をふさぐようにして停まった。荷台に白ペンキで学校の名前が書かれていた。そういえば、校務員宿舎の横に車庫があって、この車が置いてあったと、久美子は思い出した。自分のことにいっぱいいっぱいで、気にも留めていなかったのだが。
「勝手な早退は許さんぞ」
 運転席から降り立った男は、体育教師の物部だった。
「学校へ戻れ」
 久美子の手をつかんで、軽トラックに乗せようとする。
「嫌です! もう、学校になんか行きたくない!」
 手を振りほどこうとしたが、屈強な男の力に抗せるはずもなく、ずるずると引っ張られる。
「それなら、浜崎の家へ送り届けてやろうか」
 凄味のある声で脅された。
「網元の女将さんに折檻してもらうぞ」
「どんなに折檻されたって、たとえ責め殺されたって、絶対に学校へは行きません」
 これまで屈折させて心の奥底に溜め込んでいた一切を、久美子は大声で喚いた。
 物部は、と胸を突かれたように、腕を引っ張る力を緩めた。久美子が本気だと判断したのかもしれない。数秒ほど考えてから、声をやわらげて。
「それなら、先生の体罰を受けるか? 女将には、俺からとりなしてやってもいいぞ」
「嫌です!」
 久美子は金切り声で反発したのだが。
「あの擂粉木は、俺も見た。あれは、ひどいな」
「……?」
 女将さんより残忍な体罰を与えたくせに――と、久美子は訝しんだ。
「素直に先生の体罰を受けるなら、あの擂粉木はなんとかしてやる。それ以上のことをしないよう、生徒たちに言い聞かせてやってもいいぞ」
 つまり、昨日のような虐めは、これからもずっと続く。
「でも、男子が……」
「ふん。校務員とつるんで、また校内で性行為に及ぶだろうな」
 この先生(だけではないだろう)は、みんな知っている。もしかしたら、裏で糸を引いている張本人ではないだろうかとさえ、久美子は勘ぐった。
「現場を発見したら、その都度に体罰だな」
 声に愉快の響きを聞いて、久美子は確信した。この先生は、女子生徒に体罰を与えるのが趣味なんだ。趣味なんて奥ゆかしいものではなくて、性癖なんだ。
 だけど……。ふっと久美子の心に、奇妙な衝動が生まれた。
 女将さんは、あたしが憎くて虐めている。
 でも、この先生は……自分が愉しいからあたしを虐めるんだ。玩具にされると言ってもいい。だけど。嫌いな玩具で遊ぶ人がいるだろうか。恋愛とはまったく別の問題だけど、あたしの心なんかどうでもよくて、ただ身体にだけ興味があるんだろうけど。
 先生には、あたしが必要なんだ。か弱い女の子を縛って叩いて犯して、その鬼畜な欲望を満たすためだとわかってはいるけれど。あたしを憎んで虐めている女将さんよりは、この先生に虐められるほうが、何百倍もましなんじゃないだろうか。いや、そうじゃない。プラスとマイナスの違いなんだ。
「先生の体罰を受けます」
 久美子は顔を上げて、体育教師の顔を見上げながら、はっきりと言い切った。それは、これからの久美子が歩む悦虐への道の第一歩だと――気づいているのは物部だけだった。
 物部は久美子を軽トラックの荷台に乗せて、学校へ引き返した。体育館兼講堂の裏手に乗りつけて、校務員宿舎よりも大きな体育用具倉庫に久美子を連れ込んだ。跳び箱やマットだけでなく、運動会で使う大玉やアーケードなどが壁に沿って整然と並べられて、倉庫の中央には何も置かれていない。重量物を扱うための人力式巻き揚げ装置まで天井から吊られていた。
 その下に久美子を立たせて、腕を伸ばさせたまま腰の後ろで手首を縛り、吊り上げ装置のフックに引っかけた。二重になって垂れている細い鎖の一方ををチャラチャラチャラと引くと、だんだん久美子の腕が吊り上がっていく。それにつれて、久美子の状態が前へ倒れていく。備品置き場でカーテンを使って縛ったときと同じやり方だった。
 肩の負担をすこしでも減らそうとして久美子は立ち位置を変えてみたが、すぐに前へも後ろへも動けなくなった。上体が約四十五度まで倒れて、そこから腕が直角に伸びている姿勢で、いわば釣り合いが取れた。身体を倒せばいっそう腕が吊り上げられて肩の痛みが増す。上体を起こすと、足が宙に浮きそうになる。
 これから輪ゴムで乳房を絞られるのか、目玉クリップで敏感な突起を虐めらるのかと、それともいきなり(今度は肉棒ではなくて竹刀かバットで)お尻ペンペンされるのかと、激痛の予感に怯えている久美子だったが。
「三十分ほど、そうやって反省していろ」
 物部は久美子を置き去りにして倉庫から出て行った。すぐに、軽トラックが走り去る音が聞こえた。
 そんなにのんびりしていていいんだろうかと、久美子は余計な心配をした。体育の授業は昼休み前の四時限目と、午後からに集中している。今は二時限目が始まった頃だから、久美子に体罰を与える時間がなくなる。それとも、放課後までこのままで、それからゆっくりと愉しむつもりなんだろうか。
 ――軽トラックのエンジン音が聞こえたのは、三時限目の予鈴が鳴った直後だった。
 倉庫に姿を現わしたのは物部ひとりではなかった。その後ろに和服姿の女性が、家臣に露払いをさせた女主人然と立っていた。
「久美子への愛の鞭を参観していただこうと思ってな」
 これだけ厳しく体罰を与えるのだから、女将さんのほうでは手控えてやってください。そういう思惑が物部にはあるのだろう。
「なんだか、漁師風情には思いもつかない趣向があると聞いて、来てやったんだよ」
 久美子にしてみれば、地震と雷と火事がひとまとめに襲ってきた思いだった。
「なるほどねえ。こういう吊るし方をすれば、けっこうこたえそうだね」
 女将が久美子の真横まで近づいて、まったく身動きできない裸身を評する。
「いやいや。これは下準備にすぎません」
 久美子の恥部を隠すわずかな布切れを、無雑作にほどいた。つぶされていた乳房がぷるんと膨らんで、割れ目から小淫唇が垂れた。
「これは、ひとつ間違うと肩を脱臼させる危険がありますが……」
 巻き揚げ装置の鎖をチャリチャリと手繰って、すでに極限まで吊り上げられている久美子の腕をさらに高く引き上げた。
「うあああっ……痛い!」
 裸身が宙に浮いて。肩がグキッと鳴ったのを久美子は音でなく関節の痛みで感じた。
 久美子は、床から三十センチほどの高さまで引き上げられた、
 物部が壁際へ動いて、縄跳びを持って来た。二つに折ったて、グリップが縄の先にくるように握った。
「こいつは、荒縄なんかより効きますよ」
 縄跳びを軽く振ると、グリップがぶつかり合って、カチャカチャと音を立てた。
 物部が久美子の後ろへまわって、右腕を大きく引いた。肘をすこし曲げているのは、威力の調節というよりも狙いをっさ駄目やすくするためか。
 ぶんっ、バッジャン!
 グリップを叩きつけられた尻肉が目に見えてへこんで、ぷるんと爆ぜた。
「きひいいっ……」
 悲鳴は、二人に聞かせるためのものだった。悲鳴をこらえれば、いっそう強く叩かれる。
 叩かれた反動で、吊るされた裸身はわずかに揺れている。その揺れに合わせて、二発目が尻を襲った。
 ぶんっ、バジャジャン!
「きゃああっ……」
 三発四発と続けて叩かれて、揺れがだんだん大きくなっていく。尻にはグリップの形が赤く乱れ模様に散っている。
「うあああ……痛い。肩が抜けちゃう。せめて、揺れだけでも止めてください」
 肩を脱臼させる危険があるという物部の言葉は、脅しではなかった。
「心配するな。先生は柔道整復の心得がある。肩が抜けたら、はめてやる」
 ひぐっと、久美子が息を飲んだ。物部の言葉に怯えたからではない。視界に彼の姿がはいってきたからだった。『お尻ペンペン』は終わって、彼の言い方だと『おっぱいペンペン』が始まろうとしている。
 物部は久美子の斜め前で、下手に縄跳びを構えた。揺れて近づいてきたところを狙いすまして、しゃくり上げるように縄跳びを跳ねさせた。
 バジャッ!
 三か月前に比べてひとまわり大きくなっている乳房がひしゃげる。
「ぎゃはあああっ……!」
 久美子は凄絶な悲鳴を吐いた。荒縄の何倍も痛い。水を吸って重くなった荒縄も、肌に当たれば撓う。しかし、木製のグリップにはそれがない。縄の先端に錘をつけて振り回すのだから、竹尺の何十倍も威力がある。
 乳房を叩かれたと同じ数だけ悲鳴をあげた。グリップの刻印が重なって全体が赤黒く腫れてから、ようやく物部は手を休めた。
 これで赦してもらえるなんて甘っちょろいことを、久美子は期待していない。
 果たして、物部は久美子が恐れていたとおりの言葉を口にした。
「さあて。いよいよ『お股ペンペン』だ。素直に脚を開け――と言っても難しいか」
 物部が鎖を逆に手繰って、足が床に届くまで久美子を下ろした。といって、つま先立ちまでだった。
「女将さん、手伝っていただけますか」
 それまでは呆けたように体罰を眺めていた女将が、「え?」と物部に顔を向けた。
「片足をつかんで、開いてやってください」
 意図を察して、女将は久美子の膝をつかんで横へ引く。
 久美子は、もちろん逆らわない。そして、戸惑っている。
 憎悪に凝り固まった伯母の折檻よりは、女の子を虐めて愉しむ教師の手に掛かった方がまだしもと思っていたのに、二人が協力するなんて。
 物部の指示で、女将は久美子から離れて足首を持った。
 自然とく巫女の上体が反対側へ倒れて、肩がゴキッと鳴った。が、吊られていたときほどの痛みは無い。もちろん、ふつうの少女だったら悲鳴をあげているだろうが、より激しい痛みに馴らされてしまった久美子ならではの我慢だった。
 物部が久美子の背後に立った。上体が前傾しているので、正面からは狙いにくいのだ。二つのフリップを左手に持って、びしっと縄跳びをしごいた。
「五発で赦してやる。自分で数えろ。間違えたら、最初からやり直しだぞ」
「……はい」
 返事が終わると同時に、風切り音が聞こえた。
 ぶうん、バッジャジャン!
「がはあっ……ひとつ!」
 これまでは、打たれた部分だけに痛みが広がっていた。でも、股間への衝撃は腰から背骨まで突き抜けた。
 ぶうん、バッジャジャン!
「きひいっ……ふたつ!」
 久美子は大声で叫ぶことで、かろうじて意識を保っていられた。
「おお、やってますね」
 三人目の声。久美子にも聞き覚えはあったが、名前は思い出せないし、誰だろうと久美子の味方でないことだけは確実だった。
「西田先生、忙しいところをお呼び立てしてすみませんな。終わるまで見学しておってください」
「いや。僕は、こういう暴力的な体罰は苦手ですので」
 それなら、なぜ、こんな所へいらっしゃったのですか。皮肉を言いたくなる――だけの気力を、まだ久美子は残している。
 西田という名前は初めて聞いたのだが。彼が校長室での特別補習で久美子を犯した一人だったことは思い出した。制服を褌に変えられた技術科の教師だったことも。
 西田は倉庫の隅から跳び箱を引きずり出して、なにやら細工を加え始めた。
 ぶうん、バッジャジャン!
「うああああっ……三つ!」
 ぶうん、バッジャジャン!
「ぎゃああっ……四つ!」
 ぶうん、バッジャジャン!
「いつつ!!」
 絶叫と同時に、久美子はがっくりと頭を垂れた。これで赦してもらえる。あとはせいぜい、二人の先生に犯されるくらいのものだ。
「これだけで赦してやるんですか?」
 女将が物足りなさそうに尋ねる。
「はい。体罰は、これでおしまいです。ですが……」
 物部は、奇妙な形に変えられつつある跳び箱に目を向けた。
「罰を加えるだけでは、教育になりません。じっくりと反省させてやります」

・理科と技術の応用

========================================

09062601.jpg

 画像は、筆者が好みの『後ろ手一本吊り』です。筆者の命名です。一般的にはどう呼ばれているか知りません。あちらの画像のタイトルに"Bent forward strappado"というのがありましたが、グルグル翻訳では「曲がった前方のストラップパド」ですとさ。
 おっと、定義がWebiloにありました。
"手を人の背中側で縛り、手首に縛ったロープで地面から引き上げ、ロープの動きで手が下がったことが確認されるまで吊り下げておく、拷問の一種”だそうです。「手を垂らした状態で」とか細かな定義が抜けていますが、まあ。
 肝心の日本語は……吊らない場合は「下手小手縛り」ともいうそうです。ほぼひとつの緊縛講座サイトの主張ですが。筆者が使う「後ろ手一本縛り」も造語ですし。
 そのものズバリを新背う言葉を使っても読み手側の受け取り方が違うばあいもあります。このブログの読者なら「亀甲縛り」と「菱縄縛り」の違いは御存知でしょうが、そうでない御仁もすくなくないはずですし。結局は細密描写でいくしかないですね。


 次章の『理科と技術の応用』では、跳び箱のマット段を取っ払って、厚めのベニヤ板を垂直に立てた木馬(いつもいつもハードル援用では手垢です)とか、感電式ビックリ箱の電圧増強型とかを出します。1963年ですから、スタンガンも低周波マッサージ機もありませんから。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 6:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜

にじよめ - 二元美少女専門ブラウザゲーム&ソーシャルゲーム

 どうにもこうにも、災厄続きです。主として熱帯雨林のせいで精神的ストレスがフルヘッヘンドって、昨日の朝など立ちくらみ。10年ほど前に買った電子血圧計で測ったら、まさかの200突破!!!!!
 昼には222のゾロ目。ふとここで、気がついたのは。測るたびに値が上昇していく。まさか、どこかで空気が詰まってるんじゃないかと。身体が壊れてるか血圧計が壊れてるか、どっちだ?
 医院で測ったら、165。くだんの血圧計で測り直したら175。身体も血圧計も、どっちも壊れてました。
 だいたい。日常の血圧は130±10です。この1か月で30以上も上がりました。
 それもこれもあれもどれも、1中級ソープ/月から1NSソープ/年にまで激減した副収入のせいです。
 まあ。絶対にまともな回答を寄越さない電子出版部門に媚びるのも疲れ果てました。
 ロリが登場しない(娘は、ああされてこうされるだろうというヒロインの心理描写はありますが)作品まで本文アウト食らったのですから、いずれは金も$も縁も切れてはいたでしょう。
 しかし。年額たかがこれだけと割り切れません。絶版が無いのですから、10年20年の累計だと、百万円単位になります。おのれ、シャア少佐じゃなくて大差です。
 この状況でなおかつ書き続けられるかどうか。正念場です。
 というわけで。父として進まず母ですが、出来高のお披露目。

====================
・制服の残骸を褌に

 その日は特別補習が長引いたせいもあって、秀一たちに待ち伏せされることもなく、娘宿と称する淫売窟へ帰り着いた。男たちにもらった日用雑貨の中には裁縫箱もある。古びてはいるが中身はそろっているから、くれた男は奥さんのか母親のかを持ち出したのかもしれない。端切れにされてしまった制服を、すこしでも縫い合わせてみようと試みた。
 背中を切り裂かれた上衣はなんとかなったけれど、スカートは難しかった。縫い代の分だけ裾回りが縮むから、タイトスカートみたいになってしまう。正面と後ろだけを縫って、横の裂け目はそのままにしておいた。そうこうするうちに、短くなってきた日が暮れて、裁縫仕事はできなくなる。
 久美子は海へ降りて、下半身を清めた。そうして海女褌もほどいた全裸で、虫食い布団に身を横たえて――夜這いを待った。
 男は早番と遅番が二人ずつで四人。特別補習で教わった快感を再現してくれる男はひとりもいなかった。
 そして、二学期の四日目が始まった。
 教室にはいるなり、久美子は十人からの女子生徒に取り囲まれた。
「あの……?」
 男たちに囲まれる以上に、久美子は怯えた。男たちの顔は欲望でぎらついている。けれど、目の前にある顔には、憎悪と侮蔑しか浮かんでいない。
 久美子は羽交い絞めにされた。
 正面に立っていた女子が、洋バサミを突きつけた。制服の裾をジャキジャキと切っていく。
「やめてください」
 無駄とわかっていても抗議しなければ、理不尽を受け容れたことになってしまう。
 制服は上から下まで切り裂かれてしまった。
「ひ……」
 脇の下にハサミを押しつけられて、久美子はいっそう身を硬くした。袖ぐりが切り開かれて。両側から力まかせに袖を引っ張られた。ビリリッと音がして、袖が引き千切られた。
 別の女子が袖を細かく切り裂く。その間に、身頃の左右も切り裂かれて。制服は幾つもの端切れになって床に落ちた。
 スカートも同じようにされた。プリーツだけでなく、腰回りまで切り裂かれた。これでは、掻き集めて縫い合わせるとこもできない。
 女子生徒たちの狼藉は、海女褌にまでおよんだ。前を切って股間を露出させてから横ミツを切断するという念の入れようだった。
 すべてが終わったと同時に。
「こらあ! おまえら、何をしている!」
 物部が怒鳴りながら教室へはいってきた。偶然にしてはタイミングが良すぎる。物陰から眺めていたのかもしれない。
「おまえら戦後生まれは、物を粗末にしすぎる」
 叱る方角が違っている。久美子は、物部も女子生徒の肩を持っているのだと知った。
「おまえら、教室の後ろで正座しとれ。授業中もだ」
 女子生徒たちは悪びれるふうもなく、澄ました顔で床に座った。正座は、廊下に立たされるのと同じくらいの軽い罰なのだ。もっと厳しい罰になると、膝の裏に箒の柄を挟んで座らされたり、水の入ったバケツを持って立たされたりする。ビンタは、さらに厳しい罰となる。
「久美子。その残骸を全部持って、ついて来い」
 久美子が連れて行かれたのは、また校長室だった。
「ご覧の有様です。これでは、通学させられませんね」
「うむ……破れているくらいは大目に見ましたがねえ」
 ちょっと失礼――と、物部が出て行って、家庭科の女教師と技術科の教師を連れてきた。
「ここまでズタズタにされては、どうしようもありません」
 ひと目見るなり、女教師は匙を投げた。
「そうですか。御苦労様でした」
 彼女を呼んだのは体裁を取り繕うためだったようだ。
「こういうのは、どうでしょうかね」
 技術の教師が、リボン状になったスカートの残骸をつなぎ合わせた。
「これを褌にしなさい」
 無理難題だろうと羞恥だろうと苦痛だろうと、久美子は黙って受け容れる悲しい習慣が身についている。いわれたとおりに褌を締めようとして――途中で手が止まった。布の幅が狭すぎて、股間を包めない。
「割れ目に食い込ませなさい」
 久美子は、最初に街中を引き回されたときの、駐在さんと花江の会話を思い出していた。女性器は割れ目ではなく、その奥にあるという屁理屈を。股間に縄状の物を長時間食い込ませているとどうなるか、までには考えがおよばなかった。
 割れ目をくつろげて、内側の肉襞は押し込んで、その上に布を通した。凄まじい違和感だったが、苦痛はあまり無かった。もちろん官能も無い。
 久美子が『褌』を締めている間に、技術科の教師は上衣を同じようにつなぎ合わせた。
「これで胸を隠しなさい」
 ブラジャーを着けるのとは勝手が違ったが、とにかく胸に巻いてみた。
「おっぱいがつぶれるくらいきつく締めなさい。そうしないと、ずり落ちてしまう」
 三か月前には、布地がすれただけでも軽い痛みを感じていた乳房は、女将に叩かれ男たちに揉みしだかれるうちに、ずいぶんと(性感とは別の意味で)鈍感になっている。乳房が上下二段に見えるまで締めつけても、息苦しさは感じるが苦痛はそれほどでもない。
 名札は、乳帯の脇に付けた。
「どうでしょうね。いちおう制服の上着とスカートを身に着けているわけですが」
 くくくっと物部が含み笑いをして、校長は苦笑している。
「まあ、いいでしょう。特例として認めることにしてあげます。久美子くん。これからもきちんと登校してきちんと勉強するんだよ」
「はい……」
 きちんと虐められなさいの間違いだと内心で思いながら、諦めきった素直さで返答する久美子。
 もう授業が始まっているから、二時限目から教室に戻りなさいと言われて。のこる三十分ほどは、せっかく身に着けたボロ布をまたほどかれて。技術科の教師に身体でお礼をさせられた。物部には口で奉仕。校長があちこちを愛撫してくれたので、久美子は八合目あたりまで登ることが出来た。
 バケツに組んできてもらった水で汚れを清めてから、食い込み褌と乳房潰し帯を締めて。校長に連れられて教室へ戻った。教室では担任も待っていた。
「これから、白石さんはこの『制服』で過ごします。これ以上制服が破損したときは、その原因を作った人に制服の一部を提供してもらいます。いいですね」
 言葉の非常識さよりも、校長先生が直々に言い渡したという事実に、教室は静まり返っている。
「きみたちも席に戻りなさい」
 教室の後ろで正座していた女子が、やれやれといった顔で立ち上がった。彼女たちと入れ替わるように、久美子はいちばん後ろに隔離されている自分の机に着席した。
 女子が怒っているのは、男子が久美子に群がって彼女たちをないがしろにするからだ――くらいは、男子生徒にもわかっているので、休憩時間中も昼休みも、とばっちりが来ないようにおとなしくしていた。
 しかし、それも放課後になるまで。早々に逃げ帰ろうとした久美子だったが、秀一が校門に先回りして待ちかまえていた。
「途中まで一緒に帰ろう」
 久美子の腕をつかんで、強引に引っ張って――林の中に連れ込んだ。のではなく。遠回りして裏門から学校へ戻った。はいってすくのところにある校務員宿舎へ連れ込まれた。用具置き場を兼ねた土間と六畳ひと間の居室と狭い風呂場と台所。そこに二十人以上の男子生徒が集まっていた。初老の男もひとり。
「ほおお。遠目には見ておったが、いやはや。素っ裸よりもいやらしいくらいじゃ」
 久美子の裸身をねめまわす。
「みてるだけじゃつまんねえよ。久美子。そんな紐、取っちまえよ」
 秀一に言われて、乳帯をほどくと。
「ちょっと待った。下はそのままでやってみよう」
「はあ?」
 股の布は二本に分かれとるから――とにかく、そこに座ってごらん」
 部屋のまん中には煎餅布団が敷いてあった。
 久美子は無表情無感動に正座した。
 校務員が下半身を丸出しにして、わずかに鎌首をもたげた鈍(なまく)らを久美子の鼻先に近づけた。
「サービスしてくれるんじゃろ」
 久美子は無表情のまま、それを咥えた。不快そうに顔をしかめたのは、腐った牛乳のような臭いがしたからだった。歳のせいなのか、よほど清潔に無頓着なのか。
 けれど久美子は吐き気をこらえて、雁首を甘噛みし、舌で亀頭を舐めた。勢いよくではないが、徐々に硬く大きくなっていく。
 これくらいでいいかなと見当をつけて、久美子は仰臥した。手で顔をおおって、まわりに群がっている同級生を見えなくする。
「それじゃ、遠慮なく姦らせてもらうよ」
 と言ったわりには、校務員はおずおずといった態で久美子の両脚を割り開いた。
 久美子は逆らわず、むしろ自分から動いて膝を立てた。
 淫裂の両側に褌の紐がぎりぎりと食い込んでくる――のは、巨木が無理矢理に押し込まれようとしているせいだ。新鉢を割られたときは別として、すさまじい圧迫だった。
「うほほほ……まるで初物をいただいてるみたいじゃ」
 挿入される感触よりも、淫唇をこじ開けられるほうに意識が向く。それは軽い痛みをともなっていたが、突起を弄ばれるのとは違った心地良さもあった。
 抽挿が始まると、淫唇の谷間にも律動が伝わって。
「あっ、あっ、あっ……」
 久美子は小さく喘いでいた。とはいえ、官能の坂を押し上げられるほどではない。
 歳の功というよりは歳のせいで、公務員は延々と腰を振って、久美子を辟易させた。
 もっとも。公務員が激しく動いたのは最後の一分足らずだけだったから、一度は女子生徒を犯してみたいという――長年の勤務で培ってきた妄想を味わい尽くしていたのかもしれない。
 公務員は欲望を満足させると、宿舎から出て行った。
「全員下校のチャイムまで、見回りをしてくる。ちゃんと綺麗にしとけよ。汚したら、二度と貸してやらんぞ」
 それからが、本格的な狂宴になるのだが。
「待ってください。褌を取らせてください」
 自身の分泌物でよごれるとはいえ、男の体液でまで穢されたくなかった。久美子は膝立ちになって、股間に食い込む制服の残骸をほどいて、また布団に仰臥した。
「爺さんは下校時刻までなんて言ってたけど。俺、そんなに時間がない。畑の手伝いをしないと叱られる」
「僕だって、アルバイトが四時からだ」
 生徒たちが訴える相手は、おのずと秀一だった。秀一は考えるまでもなく即決した。
「サンコイチはかえって手間みたいだから、ニコイチにしよう」
「は……?」
 秀一の言葉を理解した生徒は一人もいなかったが、秀一に言われて久美子が姿勢を変えると、今度は即座に了解した。女が四つん這いになっていれば、後ろからも前からも犯すことが可能だ。
「一番は、もちろん俺な」
 秀一がズボンとパンツをひとまとめに脱いで、久美子の後ろにまわった。
「いよいよ、親父と穴兄弟かあ」
 怒張に自分で唾を塗って、濡れた手で久美子の腰をつかんだ。
「いけません、若主様。女将さんに叱られます」
「若主様……?」
「そう呼ばせてるん?」
 級友が半畳を入れる。
「まあな。こいつ、うちの穀つぶしで、女中より下の扱いだから」
 得意そうに応じながら、淫裂に怒張を突き挿れた。
「駄目です。いつものように、お尻にしてください」
 しかし、久美子は逃げようとはしないし、尻を振って拒もうともしない。秀一に逆らうなんて、恐くてできない。
「つべこべ言うな。黙ってりゃわからないさ。ばれたって、折檻されるのはおまえなんだ」
「…………」
 久美子が口をつぐんでいても、噂はすぐに広まる。それどころか、秀一自身が吹聴してまわるかもしれない。
 けれど。女将さんがその気になれば、なんの落ち度がなくても久美子を折檻するだろう。八月中は、一度も縛られたり荒縄で叩かれたりしていない。女将さんの腹の虫は癒えたのではなく、大噴火に備えて溶岩を溜めこんでいるのだろう。
「おい。ニコイチだぞ。前にも突っ込んでやれよ。健二、おまえがやれ」
「え……あ、うん」
 指名された男子が、久美子の正面で腰を落として、それからズボンを膝までずらした。
 生ぐさい臭いが鼻をついた。校務員のような饐えた臭いではなく、性欲に滾りたった若々しく獰猛な臭いだった。好ましいとは感じなかったが、嫌悪もなかった。久美子は目を閉じて、大きく口を開けた。ぐぼっと突っ込まれると、歯に唇をかぶせてしっかりと咥えた。
 秀一がせわしない抽挿を始めて、健二もそれを真似る。二人が同時に突き、同時に引く。久美子は手足を突っ張って身体を支えた。あまり揺すぶられると乗り物酔いみたいに気分が悪くなる。そんな心配をして自然と対応ができるまでに、複数を相手の淫技にも馴れてしまっている久美子だった。
 舌を使うまでもなく健二は暴発させて。それに誘発されたのか秀一も事を終えた。
「なあ。これって、やっぱり筆おろしになるんかな?」
 健二が誰にともなく尋ねた。
「違うんじゃねえの。オマ●コに挿れなきゃセックスじゃないんだから」
「なんだ。それじゃ、俺も今日までは童貞だったんか」
 秀一がとぼけると、皆が一斉に笑った。
 誰が二番手になるか争い始めると、秀一がジャンケンで順番を決めさせた」
「待ちきれないやつは、横から乳でも尻でも撫でてろよ。つかんで引っ張って叩いたっていいよ。こいつ、そういうのには慣れてるから」
 たちまち、久美子の裸身は男子の群に取り囲まれて、乱暴にあちこちを揉みしだかれる。歴戦の娼婦でも、そんなことをされれば悲鳴のひとつもあげるだろうが、久美子は黙って耐えている。いや、久美子の感覚では、耐えるというほどのことでもなかった。少年の側には、女体に触れるという遠慮があるし、同性の頑丈な肉体とは異なる柔らかな手応えに戸惑ってもいた。そしてなにより、久美子に苦痛を与えようという意図は無いのだ。
 短時間のうちに全員が久美子の肉体を貪って。二度目に挑むという発想までは無かった。久美子が風呂場で跡始末をしているうちに、男子は部屋を片付けて、さっさと引き揚げたのだった。
 これくらいだったら、毎日されたって平気だ。強がりではなく、本心だった。しかし。いずれはこれくらいでは済まなくなる。それもわかっていた。このところ、夜這いに来る男どもの要求は、だんだん変態じみてきた。
 顔が水に浸かりそうになる深さで手押し車をされたり、逆立ちで尺八を吹かされたり、鈴口(先端の穴をそう呼ぶのだと、その男に教わった)に乳首を挿れさせられたり、売り物にならない小さな海藻を詰め込まれてから挿入されたり――もちろん、折檻覚悟で拒むほどのことではないけれど。
====================

しかし、筆者はとことん褌が好きですね。

変形縄褌

 ちょっと面白い縄褌を御紹介。左の画像は、『非国民の烙淫:後編』の表紙絵の元ネタです。




テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 5:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜



 まあ、ぼちぼちと書き進めております。
 前編9万文字を終わって後編です。
 冒頭は1ページかそこらで次の小見出とか、アンバランスです。
 今回は、後編の今現在書いているところまで全公開。


========================================

学校でも屈辱

・恥ずかしい夏休み

 学校が夏休みのあいだ、久美子はこれまで以上に恥ずかしい思いをしなければならなかった。朝から夕方まで、海岸のいたるところで子供たちが遊んでいる。親からは、かかわり合いになってはいけないと注意されているようだが、それでも男の子たちは久美子を取り囲んではやし立てたりする。
「やーい、裸ん坊。いんらんおんなのふしだらむすめ」
「せっかんビシビシ、おまたヒリヒリ」
 久美子の母がしたとされていること、久美子が現にしているされていることが、子供にまで筒抜けだった。女将や花江が御用聞きにちょっと(悪意を込めて)漏らすだけで、その日のうちに島じゅうに噂が尾鰭をつけて広まるのだ。
 いちばん恥ずかしいのは、久美子と同じ年頃の少年少女が舟溜まりで親の手伝いをしていることだった。少女はあわてて目をそらすか何かしらの用事を見つけて逃げていくが、少年はかたわらにいる親の目を気にしながらも、久美子の裸身を穴のあくほど見詰める。ほかの海女には目もくれない。法被を着ているいないの差ではなく、彼女たちはおっかないオバサンであり、久美子は性欲の対象なのだった。
 親に厳しく言われているのだろう。時間がいくらでもある夏休みになっても、娘小屋に近づく少年はいなかった。秀一を除いては。四、五日に一度は久美子に肛姦を強いる。久美子が整理して積み上げたガラクタの陰に隠れての行為だから、女将の目を盗んでのことだろう。けれど、露見して折檻されるのは久美子なのだ。秀一を拒んで、女将に告げ口されても同じ結果になる。
 たいていの男は、後ろを犯すときは前も指でくじったりするのだが、秀一だけはそこに触れようとしなかった。父親(ではないらしいが)の性器が突っ込まれた部位をさわりたくないのかもしれない。
 漁に出ない日は、昼間から物々交換の売春をもちかけられる。これも、久美子に断わる権利は無い。娘小屋に生活必需品が足りてくると、男たちはしわくなった。もっとたくさんやるから抱かせろ――とはならなかった。女将が糸を引いているのか、男たちが談合して順番を決めているのかまではわからないが、男たちの数は昼間に三人から五人、夜這いも同じくらいに収まっていた。
 夜に外から施錠させることもなくなった。それでも、夜這いの男たちはいちいち久美子に鍵を見せる。いわば、女将が発行する夜這いの許可証みたいなものだった。
 夜這いにもすっかり馴れてしまって、なんの感動もなく淡々と仕事(ヽヽ)をこなすようになっている久美子だったが、心に余裕ができた分だけ、妊娠への恐怖を現実のものとして考えるようになっていた。
 もっとも。今のところ久美子は妊娠していない(らしい)。若かりし頃の女将の妊娠は、当人が自覚するよりも早く同僚の海女に気づかれていたそうだ。裸で接しているのだから、同じ女として微妙な変化でも察知するのだ。
「まだ、大丈夫だよ」
 それでも、八月の初旬に二度目の生理がきたときは、ほっとした。

・二学期からは通学

 八月三十一日。明日から二学期が始まるという日。久美子は屋敷に呼び出された。
 勝手口から声をかけると、女将と見知らぬ男が現われた。都会の人間のように、きちんとネクタイを締めている。ぶよぶよした身体は、農業や漁業のような肉体労働者でないことを語っている。
「校長先生だよ、ご挨拶しな」
 事前に女将から事情を聴いていたのだろう。生徒と同じ年齢の少女の裸身に驚いた様子もなく、貪るように眺めている。
 性欲の対象にされている――それがわかるようになっている久美子だった。それでも、女将に命じられたことには無条件に服従する。
「白石久美子です。よろしくお願いします」
「うん、よろしくしてあげましょう」
 なんだか漫才みたいな返事だったが。
 久美子の前に風呂敷包みと音頭靴が放られた。
「明日からは、学校に通いな」
 え……と、久美子は女将の顔を見た。
「校長先生はお堅くてね。ちゃんと制服を着なけりゃ駄目だとさ」
 久美子は風呂敷包みを開けてみた。取り上げられていた制服だった。
「あ……ありがとうございます」
 久美子は深々と頭を下げた。女将さんに本心からのお礼を言うのは、これが初めてだった。
 しかし、感謝の気持ちは次の言葉で砕け散った。
「なにしろ、ふしだらな盗人の娘ですからね。うんと厳しく躾けてやってください。もげちゃあ困りますが、手足の一本くらい折れたって文句は言いませんよ」

・口開けは校長先生

 翌朝。久美子はほとんど三か月ぶりに、裸ではない姿で道を歩いていた。下着までは返してもらえなかったので、海女褌だけの素肌に制服を着ている。それでも、外見はふつうの女学生と、ほとんど変わらない。違いは胸当てを剥ぎ取られていることと、もはや乙女とはいえない色香が全身からにじみ出ていることくらいだろうか。顔が赤銅色なのは、漁師村の少年少女なら誰も同じだ。
 海女仕事で身体を鍛えられて、とくに肺活量が増えているのだろう。胸がきついし、一歩ごとに乳首が服の生地に擦れて、少し痛い。乳首をつねられたり叩かれるのとはまるきり違う、ごく軽い痛さでしかないのだが、それがかえってうっとうしかった。
 入学のときに(母が大奮発して)誂えてもらったスカートは、丈をいっぱいに伸ばしても裾は膝小僧から三センチほども上だが、それでも褌で外を歩くよりは、よほどみっとも良い。
 午前七時に校長室へ来るよう、命じられている。転校初日だから、事前の手続とかがあるのだろうと、久美子は簡単に考えている。
 商店街を突っ切って、以前に引き回された農村へ折れる道を通り過ぎてから、島の裏側にある漁村と中間のあたりで右に折れて――十五分ほども山道を登って、ようやく学校に着く。片道に一時間ちかくもかかる。もっとも、五時過ぎに起きるなんて、今の久美子の感覚ではちっとも早起きではない。カンジという男からもらった中古の目覚ましが鳴るよりも早く目が覚めた。この目覚ましには、忌まわしい記憶がともなっている。棕櫚縄を巻きつけて極端に太くなった、男の……。
 久美子が校門をくぐったとき、木造二階建ての校舎の壁に掛かった大時計は、七時十分を指していた。じゅうぶんに余裕を見込んで出てきたつもりだったが、海女仕事で鍛えた体力も、坂道を上る役には立たないらしい。それとも、汽笛に時計を合わせたから、ずれていたのだろうか。
 久美子は急いで(廊下は走らずに)二階にある校長室へ行った。
「遅刻だね。夕べは仕事に励み過ぎたのかな」
 校長の言う仕事が海女のことではないと、久美子にもわかる。たしかに、昨夜も三人の相手をさせられた。でも漁師は朝が早いから、午後十時には寝ている。
「その仕事のことで話があるのです」
 校長が、いやにていねいな言葉づかいになった。
「学校の中でも外でも、生徒を相手に娼売をしてはいけません」
 なにを馬鹿なことを――と久美子は思ったが、校長はからかっているのではないらしい。
「とくに学校の中では、絶対に淫らな真似をしてはいけません。外でなら、さわらせたり抜いてあげるくらいは大目に見ますが、それでも性行為だけは駄目です。不純異性交遊になります」
 久美子は二重の意味でぽかんとしていた。
 抜くという言葉の意味がわからなかった。たぶん、淫らなことなのだろうけど。
 それよりも、学校の外でなら級友に身体をさわらせてもかまわないだなんて、学校の先生の言うことだろうか。
「あまり時間がありませんね。ちゃっちゃと服を脱ぎなさい」
 久美子は聞き間違いかと思った。しかし、駄目押しともいえる言葉が続いた。
「裸になって、そこのソファに寝なさい」
 校長先生は、あたしを犯そうとしている。と、そこまで頭に浮かんでも、信じられなかった。
「でも、ここ……学校じゃないですか」
「学内で禁止したのは、生徒との性行為です。先生を相手ならかまいません」
 無茶苦茶だとは思ったけれど。校長先生の横に立っていた女将さんの姿を思い出すと、なにも言えなくなった。
 服を着ているぶんだけ羞恥心が甦って。制服を脱ぐときには指が震えた。けれど、海女褌姿になると覚悟も座った。二か月前までは外で平然と(ではなかったかれど)大勢の目にさらしていた部分だ。部屋の中で一人を相手に、今さら恥ずかしくなんかない。そうは思ったのだけれど。
「ほほう。つるつるだね。まさか、まだ生えてないってことはないね?」
「……自分で剃っています」
 二、三ミリも伸びると、男たちから苦情が出る。久美子にはさんざん痛いことや不快なことをするくせに、自分がチクチクするのは厭なのだ。
 もちろん、それは言わなかったが、好悪長は事情を察したようだ。
「ふんふん。なかなかに商売熱心なことだね」
 校長はズボンと開襟シャツを脱がずにソファに座って、まだ褌を持って突っ立っている久美子を自分の膝に座らせた。
「もうじゅうぶんにオトナの身体だね」
 左手で肩を抱いて、右手で乳房を揉む。
 校長の言葉のとおり。この三か月足らずで、久美子の身体つきはずいぶんと変わってきた。上半分がえぐれ気味だった乳房の膨らみも、すっかり球形になってきた。尻にも丸みと厚みが増した。その一方で、腰は以前よりも細くなったくらいだ。そして淫裂からは一センチばかり貝の脚のような肉片がのぞいている。つまり、性熟したのだ。
 校長の手つきは、ほかの男の誰とも違って、緩やかで繊細だった。指が丸みをなぞるだけで、久美子の背筋にさざ波が走った。
「ひゃんん……」
 乳首を指の腹で転がされて、悲鳴が鼻に抜けた。
 校長が久美子の顎をつかんで振り返らせて、唇を重ねようとした。
 久美子は、反射的に顔をそむけた。
「駄目です。あたし、汚れてるから……」
 ほかの男たちは、久美子にキスをしようとはしなかった。誰が、男の排泄器官を咥えた口を吸おうとするだろうか。
「久美ちゃんは、どこもかしこも綺麗だよ」
 強引に唇を奪われても、久美子は逆らわなかった。人間の女性として扱われているようで、ちょっぴり嬉しく感じた。舌を挿れられて、口の中を歯の裏側まで舐められ、舌を絡め取られても、されるがままになっていた。女将の折檻が怖いのはたしかだが、女の本能として受け身になっている部分もあった。

・仄かな官能の兆し

 校長は久美子を膝の上から下ろして、ソファに寝かせた。その横にひざまずいて、あらためてキスをしてから。久美子の乳房に肌を這わせた。
「あ……」
 痛くもくすぐったくもなかったが。カタツムリに這われているような気色の悪さがあった。
 校長が乳首を咥えた。
「ひゃんんっ……んん」
 舐められて。鼻に抜けた悲鳴が吐息になった。指で摘ままれたり転がされたりしたときとは違って、ピリピリする電気ショックではなく、くすぐったさの混じった心地良い刺激だった。
 校長の舌が右の乳首を離れて左へ移った。今度は左の乳首にくすぐったい心地良さが生じた。そして、右の乳首に物足りなさを感じた。
 校長はさらに顔をずらして、久美子の肌を舐めていく。
 へその穴を舌先でつつかれて、久美子はくすぐったさに身悶えした。舌はさらに肌を舐め進んで。
「やっ……」
 久美子は顔から両手を放して半身を起こし、校長の肩を突き飛ばそうとした。
「そこ、ほんとに駄目だです」
 校長が上体を起こす。
「いいから、おとなしくしていなさい。きみの着ている制服はうちのとは違うね。没収してもいいんだよ」
 裸で授業を受けるか、通学を諦めるか。どちらも厭だった。久美子はソファにあお向けになって、また両手で顔をおおった。
「聞き分けのいい娘だね」
 固く閉ざされた腿を、校長の手が押し開く。鼻息が淫埠をくすぐって……
「あ……」
 予期してはいたが。淫裂からはみ出ている肉襞を舐められて、おぞましさとくすぐったさが腰をぴくりと震わせた。
 考えてみたら。逆のことは、しょっちゅう男に求められてきた。そこからほとばしる精汁さえ飲まされてきた。その男とたちに代わって、校長先生が罪滅ぼししてくれている。そんな気分になった。のも、束の間。
 淫裂の中にまで舌が到達すると。くすぐったさが、さざ波のように揺れて、それが心地よく感じられてきた。
 校長はいったん顔をはなして。両手で淫唇をかき分けると、その頂点にある突起をすすった。
 ずちゅうううう……
「ひゃあっ……あああ、ああんん」
 電気が走るというよりも、甘く鋭い感覚が立て続けに跳ねた。
「ああっ……なに、これ? あああっ……」
 朝にまみれた肌を風に吹かれて気持ちが良い。凍えた手をストーブにかざして気持ちが良い。そういった気持ちの良さとはまるで違っているけれど……腰が震えるような、気持ち良さの塊りだった。久美子の中で、電気とかくすぐったさが、ついに性感として目覚めたのだった。
 久美子の反応に呼応して、校長もいっそう久美子を刺激する。肉芽をすすりながら、左手で乳房をさっきよりも強く揉み、右手は尻を抱きかかえて撫でた。
「うああああ……身体、どうかなっちゃう」
 もしも校長が女体についてもっと知り尽くしていれば、そのまま刺激を続けて、久美子をいっそう登り詰めさせただろうが。彼はおのれの欲望を優先した。いや、若い娘にとっては挿入よりも淫芽への刺激のほうが逝かせやすいとは知らなかったのかもしれない。
「あ……やめないで……」
 久美子が思わず口走った淫らな訴えには応えず、校長はズボンと猿股を脱いだ。
「まってなさい。もっと気持ち良くしてあげるから」
 まだ半勃ちの肉棒をみずからの手でしごいて猛り勃たせると、久美子におおいかぶさった。久美子の右脚をソファの背もたれに掛けて、その開脚した中芯に老木(とまでいっては、彼がかわいそうだが)を突き挿れた。
「ああ……」
 久美子の吐息は――せっかく芽生えて急速に成長しつつあった性感を取り上げられた嘆きだった。挿入と抽挿とに快感を得るところまで、まだ久美子は達していない。いつもの我慢の時間が始まっただけだった。
 校長は五分ほどでおのれの欲望を吐き出してしまった。生徒を犯しているという背徳感と、、若い娘から性の悦びを引き出したことで、挿入前から畳分の極にあったのだ。
 事を終えると、校長もほかの男たちと同じように、久美子の身体に興味を失った。
 服装を整えて、腕時計を見て。
「きみも、はやく服を着なさい。行動へは先生が引率するから、それまで外で待っていなさい」
 机に座ると、何枚かの書類を引き出しから取り出して、事務仕事を始めた。
 久美子は制服だけを着て、褌は折りたたんで鞄に入れた。
「失礼します」
 当てつけとかは意識せず、ふつうに挨拶をして校長室を出た。便所を探して、股間を清めてから、スカートは脱いで上着の裾をたくし上げて、褌を締めた。そして、校長室の扉の前へ引き返した。

・若主さまの玩弄物

 校長に引率されて講堂へ入ると、前の学校よりも狭い講堂に生徒があふれていた。久美子は別の先生に案内されて、最前列でほかの生徒からすこし離れた席に着いた。さっそくに、男子生徒の視線が集中する。
 校長先生が、前の学校でも聞いたような挨拶を長々として。それから転校生である久美子の紹介。
 壇上に立つと、生徒たちがいっせいにざわめいた。前の学校で久美子が転校生を迎える立場だったときとは、明らかに雰囲気が違っていた。
「へええ。ちゃんと制服を着てるんだ」
「よく学校へ来れたものね」
「真っ黒けだけど、けっこう可愛いじゃん」
「一発米一合って、ほんとか?」
 久美子は、できるだけ平静を装って、挨拶の言葉を述べた。
「浜崎様のところでお世話になっている白石久美子です。卒業までの短いあいだですが、皆さんと一緒に楽しく勉強していきたいと思います」
「なんの勉強だよ。俺にも教えてな」
 そんな野次は無視して、ぺこりとお辞儀をして、久美子は壇上から逃げた。
 椅子に戻ってからも、皆から離れている久美子は晒し者状態だった。身じろぎひとつせず壇上を中止する久美子の耳に、先生方の話は素通りだった。
 教室へ戻って。始業式とは逆に、久美子の机は教室のいちばん後ろになった。横の列には誰もいない。隔離されたと感じたのは、けっしてひがみではないだろy。さすがに授業中に久美子を振り返って眺める生徒もいないだろうから、そういう意味ではありがたいのだけれど。
 初日の授業はロング・ホームルームだけ。学級委員をはじめとする各委員の選挙があったが、もちろん久美子は立候補しなかったし、転校生をわざわざ推薦する生徒もいない。
 午前十時半にはホームルームも終わって。久美子は遠慮して、最後に教室を出ようとしたのだが、男子の五人が席に着いたままだった。そこへ、隣のクラスから、秀一が五人の男子を引き連れて教室にはいってきた。
「おまえの仕事着を見せてやれよ」
 机で固まっている久美子に、秀一が命令口調で言った。
 秀一を除く十人が、久美子の机を取り囲んだ。
 久美子は動かない。どう対処しようか考えても、頭は空回りする。
 秀一が背後に回り込んで、久美子の肩に手を置いた。馴れ馴れしく耳元に口を寄せてささやく。
「お・か・み・さん」
 秀一は母親に面と向かっては『かあちゃん』と呼んでいる。久美子や級友に使う三人称は『お袋』だ。それをこの場で『女将さん』と言う理由は、ひとつしか考えられない。久美子への脅しなのだ。
 久美子は黙って立ち上がった。せっかく来ているのに脱ぐのは惜しい。思ったのはそれくらいで、羞恥の感情は折檻への恐怖に圧しつぶされている。
「うおおっ……」
「フンドシだ」
「おれ、同級生の裸を見たのは初めてだよ」
 興奮の声が教室に響く。
「仕事着って言ったぞ。その恰好で海に潜るんか?」
 今度は、全員に聞こえる声で秀一が言った。言っただけでなく、上着の裾から両手を突っ込んで、乳房を揉んだ。
「やめ……」
 やめてくださいと言いかけた声が、か細く立ち消えた。逆らってはいけない校長先生の言葉もよみがえったけれど。学校の中で淫らな真似をしても(事実は、されているのだけれど)、素肌で縛られた急所を縄で叩かれたりはしない。
「手をはなしてくれないと、脱げません」
 同じ制止の言葉でも、まりきる逆の意味になった。
 秀一が後ろに下がって。久美子は淡々と、褌一本の姿になった。
 教室に雄叫びが轟いた。
 それをあおるように、秀逸が後ろから抱きついて、級友に見せびらかすように双つの乳房をわしづかみにした。
「く……」
 その程度は、今の久美子にとってはちょっと痛いだけの仕打ちになっている。
 久美子は(すくなくとも表面上は)嫌がっていない。そうなると、ほかの男子も指を咥えて見ているだけではなくなる。
「ぼ、ぼくもさわっていいかな」
「どんどんさわってやれよ。ほら」
 久美子に代わって秀一が答える。当人は場所をゆずって、久美子の正面にしゃがみ込んだ。
 二人が後ろで押し合いへし合いしながら、乳房の根元をつかみ、別の二人が秀一を挟む格好で乳首のあたりを摘まんだ。
 こんなにたくさんの手で嬲られるのは初めての体験だが、意図的に虐めるつもりはないらしく、乳房を握る手の力はそんなに強くない。
 秀一が久美子の股間に顔を押しつけて両手を尻にまわすと、褌をほどき始めた。
 久美子は、諦めの溜め息すら吐かない。
 褌をほどくと、秀一は股間を間近に眺めて。それだけでは満足せず、右手の人差し指を挿れてきた。
「うわ……ぬるぬるしてる」
「濡れるのは感じてる証拠だって聞いたこと、あるよ」
「ぼくにも見せてくれ」
 あぶれていた六人のうちの二人が、乳房を弄んでいる生徒と秀一とのあいだに割り込んできた。さらに二人が、横合いから尻を撫でる。
「いつまでやってんだ。交替しろよ」
 佐藤に群がる蟻そのものの光景だった。砂糖のほうが黒くて、群がっている蟻は白いシャツを着ているのだが。

・輪ゴムとクリップ

いつ終わるとも知れない幼稚な戯れは、突如として中断された。
「こらあっ! なにをやってるんだ!」
 たちまち、白い蟻どもが逃げ散った。怒鳴った教師は腕組みをして前の入り口をふさいでいるが、男子生徒たちが後ろの扉のねじ錠を開けるあいだ、なにも言わなかった。
 久美子がひとり取り残されてから、教師がおもむろに動いた。
「学校では淫らなことはするなと、校長先生に注意されていたはずだぞ」
「ごめんなさい。でも、浜崎さんに命令されて……」
 バチン!
 頬を叩かれた。女将さんの拳骨と同じくらいに痛かった。
「言い訳をするな。ちょっと来い」
 トレパンに開襟シャツ姿の教師が、久美子の乳首を摘まんだ。強く摘まんで、前へ引っ張る。
「待ってください。服を着させてください」
 きっと、この先生も敵なんだ。自分の願いなんか無視されるだろう。すでに久美子は諦めていたが、その通りになった。
「どうせ、自分から脱いだんだろうに。無理矢理に脱がされたのなら、どこか破れているはずだ」
 当てずっぽうにしても、図星だった。
 久美子は乳首を引っ張られて教室から引きずり出され、廊下の突き当りにある小部屋へ連れ込まれた。備品置き場だろう。大きな教材や古ぼけた教科書を並べた本棚が雑然と並べられている。
 教師は久美子を部屋のまん中に立たせて、向かい合った。
「おまえの考えなど、お見通しだぞ。秀一に告げ口されて、浜崎の女将さんに折檻されるよりは、先生から罰を受けるほうが、ずっと甘っちょろい。そうだな」
 これは当てずっぽうではないだろう。女将の凄まじい折檻を話半分に聞いたとしても、誰もがそう考える。
「ふん、だんまりか。そういえば、淫売のときもよがり声ひとつあげないそうだな」
 これまでは、そうだった。でも、さっき校長先生に犯されたときは違っていた。いや、ちがわない。あれこれ弄られたときは、すごく気持ちが良くなったけど、『性行為』のときは、これまでとたいして違わなかった。数秒、そんなことを考えていたのを、教師はどう受け止めたのか。
「女将に折檻されたほうが、よっぽど楽だと思わせてやる」
「ご、ごめんなさい……」
 久美子は、反射的に土下座していた。そんな卑屈が身にも心にも浸みこんでいた。
「もう、絶対にしません。だから、虐めないでください」
「勘違いするんじゃないぞ。俺は、おまえに適した教育を施してやるだけだ」
 言葉は幾分かやわらいでいたが、女将と同じ冷酷で残忍な響きを久美子は聞き取った。
 おさげをつかんで立たされた。
 教師はトレパンの後ろポケットから紅白のハチマキを取り出した。そんな物を持っているし、この格好だから、この人は体育の先生かなと、久美子は見当をつけた。体育だろうと音楽だろうと、どうでもいいことだけど。
 体育教師はハチマキを、久美子が予想した通りに使った。後ろ手に縛ったのだ。
 久美子にしてみれば、手首をひねり上げられもせず、肌ざわりも荒縄よりずっとやわらかかった。
 つぎに教師は、本棚に置かれていた小箱から輪ゴムを幾つも取り出して、それを久美子の乳房に嵌めようとした。しかし手をはなすと、輪ゴムは肌を滑ってはずれてしまう。
 チッと舌打ちをして、教師は忌々し気に久美子の乳首を指で弾いた。
「おお、そうだ」
 何を思ったか、右の手首に数十本の輪ゴムを嵌めた。そして、久美子の左の乳房をわしづかみにした。左手を使って、輪ゴムの一本を乳房の付け根まで動かした。指が乳房に食い込んでいるので、輪ゴムはそこに留まっている。
 教師は、次々と輪ゴムを乳房に食い込ませていく。
「い、痛い……」
 わしづかみの何倍も強い力で乳房を圧迫されて、激痛に馴致された久美子が呻いた。
 教師が手をはなすと――乳房は野球のボールよりもひと回り大きな球形になっていた。
「ひねると、もげそうだな」
 九十度もひねられて、とうとう久美子は悲鳴をあげた。
「ひさしぶりに聞く音色だ」
 その言葉は、この教師がほかの女子生徒にも悲鳴をあげさせるような行為をしてきたことを暗示している。
 これは、生徒にまでは知られていないことなのだが。性的虐待混じりの体罰が、この時代にあっても行き過ぎた行為と咎められて、この教師は『島流し』にされているのだ。地元民の結束が強い田舎なら、そうも無茶はできないだろうという上層部の判断だった。
 その判断は正しかったのだが――久美子のような『生贄』が現われるとまでは予想していなかったのかもしれない。
 教師は右の乳房も、同じように輪ゴムで球形にくびった。
 これくらい、竹尺で叩かれるほども痛くない。と、見くびった久美子だが。教育は、まだ始まったばかりだった。
 教師は古びた机の引き出しから、六センチほどの大きさの目玉クリップを取り出した。その目玉に作文集を作るときの紐を結んだ。
「動くんじゃないぞ。おとなしくしていれば、昼休みが終わるまでには帰してやる」
 教師は久美子の乳房をつかんで固定して、クワッと口を開けた目玉クリップを近づけた。
 そこまでされて、やっと久美子は教師の意図を悟った。叩かれたりつねられたりはしょっちゅうだけど、こんなふうに道具を使われたことはなかった。それだけ痛いかは――すぐにわかった。
「きゃあああああっ……!」
 久美子は切迫した悲鳴をあげた。しかし、野獣の吠え声にまではなっていない。
 乳首を水平に噛んだ目玉クリップは、乳房の弾力に支えられて、まだ水平に立っている。
「敏子には五円玉十枚ずつで赦してやったが……さて」
 教師は独り言をいいながら、室内を物色した。
「おお。これは、ちょっと厳しいぞ」
 喜色満面の教師が手にしているのは、書道に使う文鎮だった。五つほどもあった。
「うまい具合に、ツマミがある」
 文鎮の中央にあるツマミに紐が結び付けられた。教師が手を放すと……
「びぎいいいいっ……痛い! 痛い痛い……赦してください」
 痛みに身悶えすると文鎮が揺れて、さらに乳首が責められる。
「もう片方、残ってるぞ」
 両方の乳首に文鎮を吊るされた。わずかでも文鎮を揺らさないよう、久美子はじっと立っていることしかできない。涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら。
「実はな、ここからが本式の教育なんだよ。先生も、一度はしていたかったんだ」
 つまり。他校の生徒にはできなかった残虐なことを目論んでいる。
 教師は同じ大きさの目玉クリップを二つ、今度は先に文鎮を結び付けた。
「もっと脚を開け」
 教師の狙いを知って、久美子は文鎮が揺れるのもかまわず、イヤイヤをした。
「お願いです。どうか赦してください。赦してくれるんだったら……」
 言葉に詰まって、とっさに頭に浮かんだのは。
「どんなサービスでもします。尺八でもオカマでも帆掛け船でも、あたしの身体を好きにしていいですから……」
 バチンとビンタを張られて、久美子は正気に還った。淫売を交換条件にするなんて……どうしようもなく惨めになった。と同時に。
「そういうふしだらな態度を直してやろうとしているんだぞ」
 閉じ合わせている久美子の腿に膝をねじ入れて、教師は強引に久美子を開脚させた。さっきの秀一と同じように、正面にしゃがんで。ずっとひどいことをした。
「ううう、うう……」
 淫裂から顔を出している肉襞に目玉クリップを噛まされて、乳首ほどには痛くなかった。
 しかし。教師がこれまでの倍ちかくあるクリップを取り出すのを見て、身体がぐらりと揺れた。
 文鎮を吊るした目玉クリップが、股間のど真ん中に近づく。教師は、淫核を剥く手間を惜しまなかった。
 目玉クリップが、縦に実核を咬んだ。
「がわああああああっ……」
 久美子は吠えた。息を吐き出し終えると、そのまま後ろへ倒れかけた。
 危ういところで、教師が抱き止めた。ほとんど気絶している久美子の無惨な裸身を窓際へ引きずっていった。カーテンを絞って、頭越しに手首に巻き付けた。それで、手をはなしても久美子は倒れなくなった。
 教師が備品置き場から出て行った。十分もしないうちに、縄束を持って戻って来た。
「ふん。やっぱりズルをしていたな」
 久美子は窓に頭を押しつけて、乳首の文鎮を窓枠に乗せていたのだ。
「ひさしぶりのことで、俺も気が急いていたな。最初から用意しておくべきだった」
 縄を久美子の腰に巻いて、引っ張った。
 久美子の腕が斜めに吊り上げられて、上体が傾ぐ。
「うああああ……赦して……赦してください」
 意識が朦朧としたまま哀願する久美子。そういった弱々しい訴えが嗜虐癖のある男を喜ばせると、久美子は知らない。もっとも、強情を張り通してもいっそうつよく責められるだけなのだが。
 教師は縄尻を本棚に結んだ。それだけなら、思い切り踏ん張れば本棚を引きずって、すこしは楽な姿勢になれたかもしれないが。さらに開脚させられて、両足を箒の柄に縛りつけられた。ますます身体が沈んで腕が引き上げられ、肩の付け根が軋んだ。
「さんざん手をやかせてくれたから、昼休みまでで勘弁してやるわけにはいかんな」
 まだ、四時限目が始まるチャイムも鳴っていない。これから二時間だって絶対に無理なのに――けれど、久美子は抗議しなかった。哀願でさえ、折檻を酷くする口実にされる。
「これから、お尻ペンペンするぞ。泣かずにじっといい子にしていたら、昼休みの終わりまでで勘弁してやる。声を出したり逃げようとしたら、六時限が終わるまでだ」
 ずっと黙っている久美子が面白くないのか、教師は丸くくびられて鬱血している乳房を、握りつぶした。男の本気の力だ。折檻に馴れた少女がで耐えられない痛さだった。
「ぎひいい……痛い!」
「返事は?」
「は、はい……わかりました。声を出さず動かず、いい子にしています」
「そうだ。素直になれば、先生だってやさしくしてやるぞ」
 言葉とは裏腹に、両手で久美子の腰をつかんで激しく揺すって、股間の三つの文鎮を暴れさせた。
「ぎゃああっ……素直になります。だから……」
 やめてくださいと訴えれば、もっとひどいことをされると、久美子の経験が教えていた。
「だから……早く、お尻ペンペンしてください!」
 そうねだるよりなかった。
「そうかそうか」
 教師は、やっと久美子の身体からはなれた。
「お尻ペンペンは、これでしてやる」
 久美子を開脚させているのと同じ、柄の長い箒を逆手に持って教師は、股間に垂れている三つの文鎮のうち、真ん中のをコンコンと叩いた。
「うああ……?」
 激痛が震えて、その奥に別の感覚がひそんでいた。校長にやさしく嬲られたときの官能に、似ていなくもなかった。
 教師が、おや?――という顔をした。何人もの女子生徒に『愛の鞭』を振るっててきた男は、他の少女にはない何かを、久美子に見たのだろうか。しかし、一年半にわたる、いわば禁欲生活は、まずおのれの劣情を満足させるほうを優先した。
「いくぞ。動いたり声を出したら、六時限の終了まで立たせておくぞ」
 教師は片手で持った箒を振り上げて、手加減無しで柄を黒褐色の尻に叩きつけた。
 バシン!
「…………」
 久美子は身じろぎひとつせずに、呻き声も漏らさなかった。耐えた――のではない。水を吸った荒縄の束に比べれば痛みは一瞬で鋭く、どこか爽快でさえあったのだ。
 バシン!
 バシン!
 バシン!
 尻を叩かれること自体は、今の久美子にとっては折檻の名に値しないほどだったが。叩かれた衝撃で文鎮が揺れて、乳首と実核とで激痛が震える。しかし、痛みの奥底からにじみ出てくる官能が、久美子を当惑させていた。そのかすかな官能があったから、どうにか耐えられていたのだが。
「なかなか頑張るじゃないか」
 手を休めた教師が、久美子の横にまわった。
(…………!?)
 トレパンの前が異様に膨らんでいるのに気づいて、久美子は不思議に思った。全裸になったときも、身体のあちこちに凶悪な仕掛けを施されていたときも、トレパンはこんなにも盛り上がってはいなかった。先生は、あたしを叩いて、それで性的に興奮しているんだろうか。
 そういう性癖の男がいる――いや、すべての男の心には嗜虐が潜んでいるとは、久美子に限らず、たいていの女は知らない。
 教師はトレパンをずり下げて、腹にくっつくほどの急角度に聳え立った巨木を露わにした。
「今度はこれで、お尻ペンペンしてやろうか?」
「お願いします。先生のマラで、お尻ペンペンしてください」
 即答だった。マラでお尻ペンペン(ズボズボだと、久美子は正しく理解している)して、樹液を吐き出してくれたら、それで赦してもらえる。これまでの淫惨な経験で、久美子はそう思った。
「さすがは淫売娘だな。恥ずかしがりもせずに、マラとはな」
 久美子を抱く男たちは、たいていその言葉を使う。久美子にしても、チ●コと言うよりは、よほど口にしやすい。
「まあ、いいだろう。先生も言葉遊びは好きじゃない」
 教師は、シャツの胸ポケットから小さな紙箱を取り出した。箱を開けて、輪ゴムの中に薄い膜が張ってあるような物を取り出して、それをマラの先に嵌めた。輪ゴムを巻き下げると、マラ全体が半透明の膜に包まれた。
 これが、ときどき耳にしているコンドームというものだろうと、久美子は思った。これなら、性行為をしても妊娠の恐れがない。でも、後ろで使うというのは――マラを汚さないためだろう。久美子への配慮でない。
 教師は、すぐに挿入しようとはしなかった。今度はトレパンのポケットから小さな平べったい缶を取り出して、中の軟膏を指で掬って肛門に塗り始めた。塗るだけでなく、指を挿れて内側からも揉みほぐす。
「あ……」
 肛門の縁を冷たい風が吹き抜けるような感覚に、久美子は戸惑った。その感覚には、覚えがあった。しかし爽快感は、すぐに浸み込むような熱を伴なう疼きに変わった。
「あ……はああ」
 指の動きが止まって、久美子はもどかしさに腰を揺すり……文鎮が揺れた。
「つうっ……」
 痛みに呻く声が艶を帯びていた。
「経験の差か……それとも?」
 教師が低い声でつぶやいた。彼がこれまでに『愛の鞭』を振るった生徒は、処女ばかりだった。『お股ペンペン』にまで至った獲物は、二人人だけだった。それも交わりとしては正常な行為しかしていない。肛門に刺激性の軟膏を塗ったことは(自身での実験を除けば)なかった。だから、久美子の反応が尋常のものか異常なのか、判断がつかなかった。
 教師は、疑問を追及しようとはしなかった。この生贄なら、いつでも教育を施せるのだ。
 教師は久美子の後ろにまわって、両手で腰をつかんだ。コンドームに包まれた魔羅の先を焦げ茶色の蕾に押しつけた。
「いくぞ」
 たぎる欲望にまかせて、ぐいっと腰を突き出した。
「ひいいっ……熱い!」
 可憐な悲鳴とともに、久美子の蕾は大きく広がって巨木を受け挿れた。
「はううう……」
 奥まで挿入されて、いったん教師が動きを止めると、久美子は安堵の息を吐いた。熱痛は去って、拡張される痛みというよりも違和感だけが残っていた。そのくらいには、肛姦にも馴らされている。
 教師が抽挿を始めた。軟膏のおかげで痛みはほとんど無かったが、全身を揺すられて文鎮が暴れまくる。
「きひいっ……痛い痛い……先生、早く終わってください」
 乳首も実核も引き千切られそうな激痛。官能が蠢く余地はなかった。
「お、おう……もうすこしの我慢だぞ」
 久美子は驚いた。折檻でも夜這いでも、哀願を聞き入れてもらえたのは、これが初めてだった。
「痛い……ひいい……」
 教師の動きが荒々しくなっても、久美子の悲鳴は弱々しく可憐だった。
 そうして。数分の嵐が去って。
 数多の男がそうであるように、教師は急にやさしくなった。なんと、目玉クリップを外して、カーテンの拘束まで解いてくれたのだ。
「素直になった褒美だ。今日は、これで赦してやる」
「ありがとうございます!」
 咄嗟に打算がはたらいて、久美子は土下座した。この人は、女将さんみたいな冷血じゃない。校長先生と同じくらいに慈悲深いのかもしれない。久美子は、とんでもなくずれた基準で教師を評価したのだった。
 教師も、犯した生徒に感謝されたのは初めてのことだったろう。戸惑った表情で久美子を見下ろしていたが。
「先生は先に出る。ひと休みしてから帰りなさい」
 言い残して、さっさと備品置き場から出て行ったのだった。
 久美子は裸のまま、しばらくうずくまっていた。乳首と淫核の痛み、軟膏のせいでいつまでも続く肛門の熱痛。そして、不自然な形に腕をねじ上げられていた肩の痛み。
 それでも、女将さんの残酷な折檻よりは、はるかにましだと久美子は思っている。股間を打ち据えられる激痛と、突起を咬まれて引き伸ばされる劇痛と。どちらが厳しいかは、甲乙つけがたい。瞬間的な痛さは、水に濡らした荒縄だ。けれど、目玉クリップの痛みは、延々と続く。先生が最初に言っていたように、午後の授業開始とか、まして六時限の終了まで放置されていたら、とても耐えられなかっただろう。いや、久美子が耐えられようと耐えられまいと、責める者が満足するまで赦してはもらえないのだが。
 ガラッと扉の開く音がして。顔を上げると、さっきの教師が立っていた。また虐められるんだろうか。怯えではなく物憂い気分で、そのままうずくまっていると。教師がはいってきて、久美子の前に鞄とくしゃくしゃの制服と三雑に折りたたまれた褌とを置いた。そして、無言で立ち去った。
 ただそれだけのことで。やさしい先生だなと思ってしまう久美子だった。

・手の届かない電話

 昼休みの始まりを告げるチャイムを聞いてから、久美子は帰り支度を始めた。痛みはだいぶん引いていた。股を開く代償に男からもらったチリ紙を鞄から取り出して、犯された穴のまわりを丹念にぬぐって、汚れた紙は新しいチリ紙に包んで鞄に入れて。褌は締める気になれず、素裸の上に制服を着て、備品置き場から出た。
 ひとり山道をくだる足取りは重かったが、登校のときよりは早く、商店街まで来てしまった。
 小走りに通り過ぎようとして、煙草屋の店先にある赤い公衆電話がいまさらのように目にはいった。
 海底に通した電線で、島にも電話はつながっている。けれど加入権がとても高いし、工事まで半年以上も待たされるので、一般家庭に電話は無い。電話があるのは、駐在所と学校と浜崎家くらいだろう。商店街は共同の電話を、この公衆電話とは別に持っているが。
 電話で、陸の警察か役所に助けを求める――そんなことは無理と、久美子は最初から諦めている。
 一一〇番以外に連絡先を知らない。そして、駆け付けてくるのは駐在さんだ。
 いや、電話を掛けることすらできないだろう。手を伸ばしただけで、誰かに取り押さえられてしまうに決まっている。
 娘宿に戻って。久美子はすぐに裸になって海女褌を締めた。制服を着ていいのは通学のときだけと、女将に言われている。ときおり様子を見に来るけれど、それより怖いのは他人の目と口だった。

========================================

この後の目次(予定)です。最初に比べて増えました。

・海女褌で体育授業
・特別補習は三穴姦
官能への階段
・折檻と体罰の選択
・保健室も地獄部屋
・喪哀妻の快楽地獄
・三穴の絶頂に哭悦
・淫乱娘への灸折檻
・哭虐と諦虐と悦虐
妊娠と流産と
・妊娠中は姦り放題
・厳冬の海女漁強制
・流産と新たな種付
・若過ぎるもやい妻
かな後日譚
・令和に継がれた命

 今回もアイキャッチに困りました。まったく無関係の画像でお茶を濁します。
逆手吊り
 脚で体重を支える形なら、何度か書いていますが。実経験の有無はノーコメント。
 まさか宙吊りできるとは、考えていませんでした。しかも、動画ではブランコみたいに振り回されています。
 脱臼しないのかしら??



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 4:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜



 前編脱稿しました。8万8千文字(原稿用紙268枚)です。
 すぐ後編に着手しますが、そのかたわら前編の推敲と校訂も進めていきます。
 これで、前編は2020年2月発行確定です。後編が3月。
 年始年末には4月号を書き進めたいところです。
 今回は、ご報告だけ。


 おっと。衝撃的(笑)な画像に遭遇しました。着エロというか。
D00H9GeVYAAPAD3.jpg

imgrc0068653352.jpgバレエのチュチュに褌の組み合わせ。
 この発想はありませんでした。下半身丸出しで踊らせるというのは、よくありますが。褌というアンバランスな組み合わせ……筆者は書かないでしょうね。全裸+チュチュこそ王道です。









 さらにおまけ。踊りやすくする工夫なんでしょうけど。「穴あき」といえば、当然エロに直結してますから、ものの見事に上手出し投げを食らいました。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜


 世間一般のエロ常識としては、海女は健康的なお色気に結びついているようです。
 街中を闊歩させるとか、新人海女を溺れさせるとか、真冬の海に放り込むとかいうシーケンスは、あまり見当たりませんね。
 ということで、アイキャッチ画像に困ります。
 それと。本文中では「海女褌」とぼかしていますが、日本で一番露出度の高い「サイジ」なんて書くと特定地方に限定されます。東京オリムピックが開催される前年の6月が物語の始まりですから、干潮満潮とかを調べて、「事実と異なる」なんて熱心な読者が……いてくれたらうれしいなあ。
 左の画像が「サイジ」です。
 中央のは普通に通販で売っているレディース用極細褌。
 右のは……フンドシじゃないですね。
 表紙絵に使うと、某大手では確実にアウトですし。「昭和ノスタルジー」でなくなります。
 まあ、表紙絵は前回に紹介したおとなしいフンドシにしておきますけど。

どしふんどし

 あ。以前は前のプログレス・レポートへのリンクを貼りましたが、(めんどうなので)やめます。
 この記事のタイトルをクリックすれば単一ページが表示されて、最後に同じテーマへのリンク画像が並びますから、そちらからどうぞ。


 さて。どんどん長くなってきました。
 前後編に分けて出します。3月号まで確定させられるという下心もあります。


 では、小見出しひとつ分、丸々どうぞ。数字はページです。2倍すると原稿用紙換算になります。すでに250枚突破。

 ※今後の版組は下記のようにして、PC閲覧用とスマホ用の2本を同梱します。販売中の作品は、スマホ版を追加しました。
  「未通海女哭虐」はブログでは横書きですが、実際にはPC版縦書きで書いています。
PC版:横書き40字×25行/縦書き40字×20行
スマホ:横書き20字×25行/縦書き20字×15行
 筆者の感覚では、スマホ用ラノベの版組はスカスカに思えます。
 作風がネチネチですから、画面もそれに合わせます。


[前編]

見習海女は裸 - 7 -
・鬼伯母の棲まう島 - 7 -
・便所も風呂も浜辺 - 10 -
・食事の作法も屈辱 - 12 -
・十五年ぶりの見習 - 15 -
・実核を括る色付紐 - 21 -
・漁師へのお披露目 - 25 -
・苛酷な素潜り訓練 - 28 -
・強いられた裸生活 - 35 -
・亡母の遺骨が人質 - 44 -
・理不尽な折檻甘受 - 51 -
・折檻肌で海女練習 - 57 -
・ひとりきりで買物 - 65 -
・厳しさを増す特訓 - 75 -
・初潮は新たな恥辱 - 84 -
・海女漁鑑札の代償 - 89 -


折檻と輪姦と    - 100 -
・海女稼ぎの厳しさ - 100 -
・従兄との鉢合わせ - 105 -
・従兄を誘惑した罰 - 109 -

======================================
 その夜。泥のように眠っていた久美子は、開き戸のきしむ音を夢うつつに聞いた。
 忍ばせた足音。
 泥棒かと思ったが、すぐにまさかと打ち消す。盗られるものなんて――もしかして、伯母が骨壺を奪いに?
 身を起こす前に、胸をつかまれた。
「ひゃっ……誰?」
 手で口をふさがれた。
「声を出すなよ。ちょっとのあいだ、おとなしくしてろ」
 秀一の声だった。目当ては品物ではなく、久美子の身体だと気づいた。
 口を押さえ付けられて、身を起こせない。もうひとつの手が、乱暴に久美子の乳房をまさぐる。力まかせに握りつぶす。
「んんんん……んんん!」
 久美子は、両手で相手の胸を押し返した。意外とあっさり、秀一が身を引いた。
「なあ……誰彼なく、さわらせてるんだろ。親父には股を開いたんだろ。俺にだって、そうする権利があるはずだ」
「馬鹿をいわないでください」
 伯母には言えない言葉が、秀一を相手には吐けた。
「伯父……主様には、海女鑑札をもらうときの仕来りで新鉢を割ってもらいました。岩村さんやパン屋さんには……」
 お礼として指挿れまで許したなんて、自分が乞食か売春婦になったみたいで、言えることではない。実際には、伯母に告げ口されるのが怖かったのあけど、それを言うと……いや、秀一を相手なら、こちらから脅せるのではないだろうか。
「……相手はオトナだから、逆らえませんでした。でも、あなたはあたしと同い年じゃないですか。そんなうちから、こんなことをして。女将さんに言いつけますよ」
 秀一が激しい勢いでのしかかってきた。
「言えるもんなら、言ってみろよ。俺も言ってやるぞ。パン屋のこととか、雑貨屋でこっそりお菓子をもらってることとか。他にも、いろいろ知ってるんだぞ」
 他にもいろいろとなんて、久美子はしていない。秀一のデマカセだ。それに、パン屋の主人がどうなろうと知ったことではない……けれど、雑貨屋の奥さんに迷惑をかけるなんて、恩を仇で返すようなものだ。
「ひどいことはしないでください」
 久美子は弱々しくつぶやいた。折檻に怯えている自分が、情けなくなった。
 こういったときにはいつもそうしているように、久美子は両手で顔を蔽った。
 乳房が荒々しく揉みしだかれる。痛いのだけれど、最近ではピリピリした電気のような感覚が乳房から背骨に走ることがあった。
「あ……」
 乳首をつままれて、はっきりと電気が走った。伯母につねられたときには、絶対にそうならない。
 これで満足してくれたらいいんだけど。久美子はそう願ったが――秀一の手は腹を滑って、下へ向かった。
 寝る時まで海女褌をしていては汚れが落ちなくなるので、久美子は素裸だった。秀一の指は遮る物のない割れ目の上端あたりをまさぐって、昨日までは恥辱の色紐を結んでいた肉芽を探り当てた。
「ひゃっ……」
 乱暴につままれて、鋭い痛みを感じた。それなのに、乳首を悪戯されたときよりも甘い電撃が腰を貫く。痛いのに心地良い。パン屋の主人にしても岩村にしても伯父にしても、あまり肉芽には触れなかった。なのに秀一は、そこにこだわっている。女の身体に小さなオチンチンがついているのが珍しいのだろうか。
 もしかして、自分は奇形なのではなかろうか。ふと、不安になった。他人の女性器なんて、しげしげと眺めたことはない。修学旅行のお風呂やプール授業の着替えのときに、同級生のそこがチラッと見えたりしたけれど、久美子のだって、ふだんは割れ目の中に隠れている。
 秀一がいきなり立ち上がった。
 終わったのかと、指の間から覗きみると。寝間着の裾をまくって、白いズロースのような物を脱ごうとしていた。少年たちのあいだで流行っているブリーフだ。
 ブリーフの下から、若い巨木が現われた。秀一が性の交わりを目論んでいることは明白だった。
 あんなに痛いことは、二度とされたくない。
 久美子は跳ね起きて、開けっ放しになっている戸口から逃げだそうとして。誰かにぶつかった。
「きゃっ……!」
 尻餅を突いて。見上げると、伯母だった。腰に手を当てて、久美子を見下ろしている。
「助けてください。秀一さんが……」
「ち、違うんだよ、母ちゃん。あの、その……」
 しどろもどろの秀一だったが。叱られたのは、久美子のほうだった。
「うちの子に色仕掛けかい。なんて淫らな小娘なんだろうね」
 とんでもない勘違いというか言いがかりだった。
「寝てたら、いきなり襲われたんです。色仕掛けだなんて……あたし、なにもしてません」
 返事は、腹への蹴りだった。
「ぐぶっ……」
「嘘をつくんじゃないよ。痛くしないでとか誘っといて。豆をいじくられて、よがってたじゃないか」
 曲解だとしても――では、ずっと見られていたのだ。や、曲解ではない。こじつけの難癖だ。なぜ、そんなことをするかというと……伯母がいつ襟足から竹尺を抜くかと、久美子は震えあがった。今度ばかりは、脅しではすみそうにない。
 伯母は、うずくまっている久美子を置いて、勝手口へ戻った。
「主さん。花江、京子。みんな、起きといで」
 大声で、屋敷の皆を呼び起こす。
「秀一。小屋の隅に荒縄があるだろ。持っといで」
 久美子の取り残して、物事が進んでいく。伯母が台所から包丁を持ち出して、荒縄を一メートルほどに何本も切り取った。京子と花江が、寝間着の裾を押さえながら姿を現わす。最後に伯父も現われたが。伯母から事のあらましを聞くと。
「おまえが仕切ればよかろう」
 久美子を哀れむようにちらっと眺めて、引っ込んでしまった。
「それじゃ、俺も……」
 逃げ出そうとした秀一は、伯母に呼び止められる。
「被害者のおまえが立ち会わないで、どうするんだい」
 秀一はぽかんとしていたが、自分は叱られなくてすみそうだと気づいたらしく、あらためて久美子の裸身を堂々と眺め始めた。
「両手を前に出しな」
 伯母は長い荒縄を手に持っている。意図は明白過ぎた。
「縛らないでください」
 懇願しながら、しかしいっそうの怒りを買うことを恐れて、両手を揃えて前に突き出した。その手首に荒縄が何重にも巻き付けられ、さらに十文字に縛られた。
「秀一。そこの松の樹に上がりな」
「え……なんで?」
「こいつを吊るすんだよ」
 ひぐっと、久美子はしゃっくりのような悲鳴を飲んだ。最初の日に脅された言葉がよみがえった。樹から吊るして折檻……。
「ごめんなさい。もう、しませんから……」
 月明かりの中で、伯母の顔が鬼のように笑った。
「そうかい。色仕掛けを認めたんだね」
 あっと思った。母の骨壺を奪われそうになって、明日からは頑張るといったときと同じだ。もうしないということは、さっきは色仕掛けをしたと認めたことになる。伯父の言葉も思い出した――腹が癒えるまで。
 どんなに大声で泣き叫んでも無駄だ。隣家まで何十メートルも離れている。いや、声が届いたとしても、無駄なとりなしをして伯母に睨まれたいと思う人なんかいない。
 秀一が樹によじ登って太い枝に荒縄を巻いて、縄尻をまた垂らすあいだ、久美子はそれをぼんやり眺めていた。
 伯母は、五、六本の荒縄を手桶に浸けて、揉み洗うようにして水を浸み込ませている。それで久美子の肌を叩くつもりなのだ。
「お前たち、朝が早いだろ。先に寝ててもいいんだよ」
 伯母が二人の女中にやさしい言葉を掛けた。
「はい、あの……それでは、お休みなさいませ」
 京子は折檻の場から逃げて行った。
「おまえは、寝ないのかい?」
「何かあったら、お手伝いします。若主さんは女体の扱い方を御存知ないでしょうから」
「それは、折檻の後で仕込んでやるさ」
 なんだか不気味なことを言って、伯母は久美子の後ろに回り込んだ。前の折檻と同じで、最初はお尻を叩かれるんだと、久美子は思った。
 ぶゅん……バッシイン!
 びくっと身をすくませたが――伯母が叩いたのは、松の幹だった。すさまじい音だった。
 伯母が正面に戻った。水を吸った荒縄の束は右手に提げて、縄先が地面をこすっている。
「もっと脚を開きな。息子の魔羅のかわりに、こいつを叩き込んでやるよ」
 久美子は心臓が止まりそうになった。竹尺を打ち込まれただけで悶絶しかけた。桁違いに破壊力のある縄束で叩かれたら……痛いとかではなく、大怪我をさせられる。
「どうか赦してください。二度とふしだらなことはしません。秀一……いえ、若主様にも、けっして近づきませんから」
 なんとか折檻から逃れよう、いや、せめて竹尺で赦してもらおうと思って、久美子は事実とは反対のことを次々と口にした。それが折檻の口実を積み上げるだけだとは、気づいていない。
「ごちゃごちゃ言わずに股座を開いて……御開帳しな」
 さすがに、そのものずばりの淫語を口にするのは、伯母もはばかったらしい。
「なんだったら、片足ずつ両側の樹に結んでやろうか。手を焼かせるなら、二発三発と増やしてやるよ」
 どうあっても、股間を荒縄で打ち据えられる運命からは逃れられないと、ついに久美子は観念した。ならば、せめて――一発だけで赦してもらおう。久美子は膝を震わせながら、すこしずつ脚を開いていった。
「出し惜しみするんじゃないよ。もっと開けるだろ……まだまだ」
 七、八十センチも開かされた。吊られているから、踵が浮いてしまった。
「それじゃ、いくよっ」
 ぶゅうん、バッヂャアアン!
「ぎゃわああああああっ……!!」
 悲鳴ではなかった。断末魔の咆哮だった。
 反射的に脚を縮めたので、宙ぶらりんになった。手首に縄が食い込んだが、そんな痛みはものの数ではない。激痛が突き抜けるのではなく、股間にわだかまっている。いや、爆発し続けている。
「痛い振りをしたって駄目だよ。脚を伸ばして、さっきみたいに広げな」
「え……?」
「え、じゃないよ。もう二発ほど躾けてやる」
「でも……一発だけで……」
「そんなこと、誰が言った? 手間を掛けさせるなら、三発よりも二発か三発を増やすつもりだったんだけどね」
 騙された。たしかに、伯母は一発だけとは言っていない。でも、そんなふうに久美子が誤解するような言い方をしたのだ。
「鬼……」
 もちろん、声には出さなかった。久美子は力なく足を下ろして、右足を半歩、左足を半歩、横に踏み出した。
 ぶゅうん、バッヂャアアン!
「ぎゃわあっ……!!」 
 咆哮が短かったのは、吐く息が尽きたからだった。
 またしても宙吊りになって、久美子の身体がブランコのように揺れる。
「もたもたしてると、ほんとうにあと三発増やすよ」
 あと一発。あと一発で折檻は終わる。海子はそれだけを希望に、脚を伸ばして広げる。
「おや? ずいぶんと水が散って軽くなってるよ。ちょいと待ってな。脚は閉じるんじゃないよ」
 久美子の屈辱をできるだけ引き伸ばし、苦痛をできるだけ増やすために、伯母は井戸端へ行って、縄束を水に浸した。戻ってきた伯母は、それまでより一歩下がって、大きく右手を後ろへ引いた。
「覚悟しなっ!」
 左足を踏み込みながら、右手を弧を描いて下から上へ振り抜いた。
 ぶゅううん、バッヂャアアンン!
「があっ……!」
 短く吼えて、久美子は両脚を突っ張って背をのけぞらした。がくんと、こうべが垂れる。
 頭から水を掛けられて、久美子は意識を取り戻した。
「まだ折檻は終わっちゃいないよ」
「…………」
 久美子は、もう赦しを乞おうとはしなかった。この前は、お尻を叩かれて乳房を叩かれて、最後に股間を一撃された。今日は、順序が変わっただけだ。
「乳に十発と、尻に三十発。どっちにするね」
「え……?」
 涙に濡れそぼった顔を上げて、伯母も顔を――直視するのは怖くて、胸元を見詰めた。
「言った通りさ。あんまりあちこち叩くのも可哀そうだからね、どちらかひとつにしてやるよ。それとも、乳も尻も腹も背中も、満遍なく折檻されたいか」
「お尻を叩いてください」
 久美子はとっさに、そう答えた。乳房への一発と尻への三十発でも、答えは変わらない。
 伯母が夜叉みたいな笑みを浮かべた。
「そうかい。それじゃ、望み通りにしてやるよ。後ろを向いて、脚を踏ん張りな」
 いそいそ――という形容はふさわしくないが、まさしくそんな感じで、久美子は向きを変えた。
 三十センチほど脚を開いて身構えた久美子に、荒縄の束が襲いかかった。
 ぶゅんっっ、バッヂャアン!
 ぶゅんっっ、バッヂャアン!
 ぶゅんっっ、バッヂャアン!
 久美子は叩かれた瞬間に「かはっ……」と息を漏らしているが、悲鳴にまではならなかった。しかし。
 ぶん、パシャアン!
「ひぎいいっ……」
 縦に打たれた荒縄が尻の割れ目に食い込んで、縄が肛門に当たり縄先が淫裂まで達すると、弱々しい悲鳴を吐いた。正面から打ち込まれるよりは軽い。以前の久美子だったら、大声でわめいていただろうが、羞恥の根源への激痛には、すでに馴致されてしまっている。
 ぶんっ、バシュウウンン!
「きゃあああっ……」
 股間を叩かれただけでなく、跳ね上げるようにして荒縄が引き戻された。肛門もしたたかにこすられた。
 ぶゅんっ、バヂャアン!
 今度は横ざまに叩かれたが、すこし弱いように感じられた。久美子がますます痛みに狎らされたのでなければ、伯母が疲れてきたのかもしれない。
 ぶゅんっ、バヂャアン!
 ぶゅんっ、バヂャアン!
 立て続けに十発ほども打たれたところで、伯母の声が聞こえた。
「腕が痛くなってきたよ。花江、代わっておくれ」
 花江は伯母に忠実だ。でも、伯母ほど力は無さそうだった。
「はあい。ええと、あと何回叩けばいいんでしょうか?」
「なんだ、数えてなかったのかい。まあ、いいか。あと二十発てとこかね」
 そんなはずはない。残りはせいぜい十発だ。もちろん、久美子はそれを言わない。言えば、二十発に十発を上乗せするくらいのことはする伯母だ。
「そんじゃ。わたしを恨むんじゃないよ」
「恨むもんかね。悪いのは、そこのグズなんだから」
 ぶん、パシイン。
 伯母の半分ほども痛くない。力の差もあるだろうが、花江には久美子を恨む理由がないし、夜這いを掛けられたうえに折檻されている久美子に、同情はしないまでも後ろめたさを感じているのかもしれない。実質的には、伯母が縄束を手放した時点で折檻は終わっていた。
「く……ううううううう」
 久美子の口から嗚咽が漏れた。こんな理不尽な仕打ちを甘受しなければならない自分を哀れむだけの心の動きがよみがえったのだった。
 半月前ならともかく、今の久美子にとっては形ばかりに過ぎない二十発の折檻が終わって、久美子の縄はほどかれた。しかし、久美子への陵辱まで終わったのではなかった。


======================================
・従兄従妹は釜の味 - 120 -
・かいま見得た真相 - 125 -
・病気だけが休み時 - 129 -
・独りだけの娘小屋  ←執筆中
・Y字バランスの鞭
・緊縛放置集団夜這
・娘ひとりに男三人
・不浄期間に猛勉強



[後編]

学校でも屈辱
・恥辱のセーラー服
・校長室で特別授業
・海女褌で体育授業
・娘宿売春は大盛況
・仄かな官能の兆し
・保健室も地獄部屋
・喪哀妻の快楽地獄
・三穴の絶頂に哭悦
・淫乱娘への灸折檻
・哭逆と諦虐と悦虐


妊娠と流産と
・妊娠中は姦り放題
・厳冬の海女漁強制
・流産と新たな種付
・若過ぎるもやい妻


遥かな後日譚
・令和に継がれた命

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜

 海女さんのエロ画像は、健康的なものか淫乱的なものが多いですね。
 業を煮やして「女、裸、ふんどし、折檻」なんてキーワードで検索すると、どこぞで見たようなBF(CG以前)が引っ掛かったりします。
 というわけで、今回はアイキャッチャーに詰まりました。
 実は大見出しの「折檻と輪姦と」にこれから書き進むのですが、画像とマッチしているということで、手前の章を公開しましょう。強制されて破瓜なんてのより、よほどインパクトがあるかもしれません。


SnapCrab_NoName_2015-11-13_23-8-44_No-00.png

見習海女は裸
・鬼伯母の棲まう島
・便所も風呂も浜辺
・食事の作法も屈辱
・十五年ぶりの見習
・実核を括る色付紐
・漁師へのお披露目
・苛酷な素潜り訓練
・強いられた裸生活
・亡母の遺骨が人質
・理不尽な折檻甘受
・折檻肌で海女練習
・ひとりきりで買物
========================================
 疲れ果てた身体を引きずって坂道を上がっている途中で、定期船の汽笛が聞こえた。十一時だ。休み休み帰っても十一時半には間に合うが、ぎりぎりになってしまうと、時刻を過ぎたと言われるかもしれない。時計を見ればわかることだが。
「わしの言葉を信用できないのかい」
 そう言われて、また躾けられるに決まっている。
 自分では精も根も尽き果てていると思っていた久美子だが、飢餓が身体を衝き動かしてくれた。裏木戸を開けて、十メートル先の勝手口に食事を乗せたお盆を見たときには、嬉しさに目まいがしたほどだった。けれど、我を忘れはしなかった。
「主様、女将さん。穀つぶしの私に食事を恵んでくださって、ありがとうございます。花江さん、京子さん。お手数をかけて申し訳ありません。若主様、お嬢様にも感謝します。いただきます」
 思いつくかぎりに卑屈な礼を、閉ざされた勝手口の奥へ呼ばわった。一人称もふだんの「あたし」ではなく、よそ行きの「わたくし」を使った。それでも難癖をつけられないかとびくびくしながら、大急ぎでお盆を小屋へ運んだ。
「いただきます」
 これは母親に躾けられたとおりに、いろんな人たちとお日様、そして命を恵んでくれた植物や動物に感謝の念を奉げてから。十一時半になったら薬缶を引っ込められるかもしれないと気づいて、あわてて取りに行った。
「薬缶もお借りします。ありがとうございます」
 最初のひと口は咀嚼もせず飲み込んで、喉につかえて。飢餓状態で急に食物を摂ると命にかかわるという知識を思い出して、つぎのひと口はいつもの半分にしていつもの倍くらいはゆっくり噛んだ。久美子の知識は海難を扱った実話本から得たもので、「極端にお腹が空いている」のではなく「餓死寸前」の場合なのだが、その違いには思い至らなかった。なんにせよ、よく噛んで食べるのは身体に良いことではあった。
 食べ終わって、満ち足りた気分でお盆と薬缶を沓脱石の上に戻して。
「ごちそうさまでした。ありがとうございました」
 待ちかねていたように勝手口が開いて、花江がお盆と薬缶を引っ込めた。
「おまえ、食べるのまでグズだねえ」
 女将さんそっくりの口調だった。
 学校に行かせてもらえないのだから、せめて独習で皆についていかなければ卒業できない。そうは思っても、腹がくちくなったのと疲労とで、久美子は藁山の上に倒れ込んだ。塩がこいりついた身体を洗わず、実核の色紐も結んだまま、すとんと眠りに落ちた。
 ――そして、また蹴り起こさされた。伯母ではなく、花江だった。
「お使いに行ってくれるんだってね。買い物を頼むよ」
 学生鞄くらいの大きさの竹籠を、久美子の前に放り投げる。背負い紐がついている。
「ちゃんと背負うんだよ。手に持って歩いてたりしたら、女将さんに言いつけるからね」
 絶対に前を隠すなという意味だった。
 籠の中には、買う物を書いた紙片だけがはいっていた。
   婦人月報  一冊
   パンの耳  一袋
   亀の子束子 一個
「あの……お買い物だったら、お金が要ります」
「うちは網元だよ。節季払いに決まってるじゃないか」
 ツケにしておいて、盆と年末に清算するという意味である。どこの誰とも知れぬ客を相手にできる商売ではないが――だから、あちこち引き回されたのだと、久美子は理解した。顔は覚えてもらえなくても。素裸で出歩く年頃の少女は、日本じゅう探しても、浜崎の網元の世話になっている久美子しかいないだろう。そう思うと、ますます屈辱が深まる。
 花江は、すぐに小屋から出て行った。
 久美子は籠を背負って、そのままの姿で出掛けようとしたが、ふと気になって手鏡で自分の顔を見た。髪がごわごわになっている。
 井戸へ行って、手桶いっぱいの水で髪を洗った。もう一杯を使って身体を拭いた。そして小屋へ戻って戸をきっちり閉めてから、箪笥代わりのミカン箱から櫛を取り出して髪を梳いた。使ったのは、自分の櫛だ。母の形見の櫛は――見つかったら取り上げられるかもしれないと気がついて、チリ紙に包んで小屋の梁の上に隠した。机を勉強に使わず踏み台にすることに、ちょっぴり後ろめたさを感じたけれど。
 グズグズしていては叱られる。その先には躾と折檻がある。籠を背負い直して。桟橋へ向かった。色付き紐は身分の証し(裸身のほうが、よほど明白な証だけれど)だから、結んだままだ。
 最初に雑貨屋へ行った。割烹着を着た三十歳くらいの小ぎれいな婦人が店番をしていた。まるでガラスの壁を隔てて遠くにいるように見えた。店にはいっても、そこはガラスの壁の手前だった。
「亀の子束子をひとつください。浜崎の家の者です。節季払いでお願いします」
 恥ずかしさで顔を上げられなかった。けれど、言うべきことはきちんと言った。
「ちょっと待っててね」
 目の前に商品はあるのに、夫人は奥へ引っ込んだ。
 けがらわしいと思われたのだろうか。そんなふうにひがんでしまう。
 婦人はすぐに戻って来て、束子をひとつ新聞紙に包んだ。
「はい。これもあげる」
 割烹着のポケットからキャラメルの箱を取り出して、握らせてくれた。
「あの……これ?」
 婦人は小さく首を横に振った。
「可哀そうだと思うけれど、私にはこれくらいしかしてあげられない。これからも街に来たら、立ち寄ってね」
 不意に感情が込み上げてきて。久美子の目に、大粒の涙が湧いた。いたんだ、この島にもあたしに味方してくれる人がいたんだ。
 婦人はあわてた様子で外をうかがって。久美子を店の隅へ引き入れた。
「ここにしゃがんでいれば、誰にも見られないから。さあ、甘い物を食べたら、気も落ち着くわよ」
 婦人は久美子の手からキャラメルの箱を取り上げて、封を切って一粒を口元に寄せてくれた。
「……ありがとうございます」
 そっと口を開けて、夫人の指を舐めないよう気をつけて、久美子はキャラメルを歯で咥えた。口を閉じると、安らぎが口いっぱいに広がった。泣き出しそうになったけれど、夫人に迷惑を掛けるんじゃないかと、嗚咽は飲み込んだ。久美子は涙をぼろぼろこぼしながら、キャラメルを舐めた。
 口の中のキャラメルが溶けて無くなると、久美子は涙を手の甲で拭って立ち上がった。
「長いこと、お邪魔しました。ほんとうに……ほんとうにありがとうございました」
 深々と頭を下げて、久美子は店を出た。
 そんなふうに親切にしてくれたのは、その婦人だけだった。
 三軒先が、パン屋だった。チョコレートやクッキーのような洋菓子も一手に商っている。店先の一段低くなった棚に、パンの耳を盛った小さな笊が、『五円』の値札を立てて並べられている。店先に人影は無い。
「ごめんください。浜崎の家の者です」
 白い前掛けを着けた四十歳くらいの婦人が奥から出てきた。
 久美子が用件を言うあいだ、夫人はそっぽを向いていた。
「おかしいね。これまで、そんな物を買っていただいたことはないよ。節季払いをいいことに、ちょろまかそうってんじゃないだろうね?」
「あの……どういうことでしょうか?」
「あれだけのお金持ちが、貧乏人たらしくパンの耳を食べるはずがないだろ。カツレツを作るときだって、わざわざパン粉を使ってるそうじゃないか」
「でも、ほんとに言いつかったんです」
「とにかく、売れないよ。ほんとに要るんなら、昔からの女中さんに来てもらいな」
 手ぶらで帰ればどうなるか考えると、恐ろしくなった。晩ご飯を抜かれるか、折檻されるか。
「商売の邪魔だよ。とっとと帰りな」
 婦人は奥から塩を持ってて、久美子に投げつけた。
「けがらわしい。二度と来るんじゃないよ」
 そこまで言われては、引き下がるしかない。土下座をしてでもお願いをする――ところまでは、卑屈になれない。なったところで、足蹴にされるだけかもしれないけれど。
 久美子は商店街の端にある本屋へ足を向けた。
 小学校高学年くらいの男の子が店番をしていた。
「うわあ、裸だあ」
 久美子を見るなり、大声で叫んだ。
「ねえ、どうして裸なの? 強盗に盗られたの? 駐在さんに叱られないの?」
 好奇心丸出しで矢継ぎ早の質問を繰り出しながら、丸くした目は久美子の裸身に吸いつけられている。
 子供を相手に伯母の非道を訴えても始まらない。いや、大人に訴えても同じか、告げ口されて――行きつく先は折檻だ。
「あたしね、海女さんになるの。修業中は裸で暮らすのが、この島の仕来りなのよ」
 みずから進んで裸をさらしている。そう振る舞うしかない。
「ふううううん。海女さんて、小母ちゃんばかりだと思ってたけど、違うんだあ」
「おっ。網元さんとこの……」
 後ろから声を掛けられた。聞き覚えのある声だった。振り向くと、もやい結びを教えてくれた青年だった。あのときは全裸で肉棒に目印の赤い紐を巻いていたけれど――今は、都会のファッションに比べればずっと野暮ったいけれど、とにかく洋服を着ていた。
「海女仕事が終わっても裸かよ。まるで戦前だな」
 見知らぬ人に裸を見られるのは恥ずかしいが、すこしでも言葉を交わした相手、それも若い男性に見られるのは、もっと恥ずかしい。
「まあ、女将さんのなさることに、どうこうは言えねえけどな」
 棒立ちに固まっている久美子の横で、青年は週遅れの週刊誌を買った。
「また、色々と教えてやるからよ」
「ひゃあっ……!」
 久美子が素っ頓狂な声で返事したのは、尻を撫でられたからだった。折檻の竹尺と違って、それが性的な悪戯だくらいは、初心な久美子でもわかる。自分が男に性的な関心を持たれるくらいには成熟していると思うと、ますます羞恥がつのるのだった。
 とにかく本屋での用事はすませて。重い足取りで坂道を上っていると。
「網元んとこの嬢ちゃん……」
 林の中から声を掛けられた。白い前掛けを腰に巻いた中年の男が立っていた。紙袋を両手に持っている。
「これを持って帰らないとしかられるんだろ?」
 男が紙袋からパンの耳を取り出した。
「さっきは、女房が邪険なことをして、ごめんな。ほら、取りにおいで」
 まだ男を疑うことを知らない久美子だった。パンの耳につられて、林に踏み込んだ。
「はいよ。籠に入れてあげるよ」
 男が後ろへまわった。
「それにしても、ひどく折檻されたんだねえ」
 紙袋を籠に入れて空になって手で、すばやく久美子の乳房を撫でた。
「ひゃっ……」
 久美子は逃げようとしたが、腕ごと羽交い絞めにされてしまった。
「また、うちで買い物をすることもあるんだろ。小父さんを怒らせると、困ったことになるよ」
 その言葉が、久美子の抵抗を封じた。男の手が乳房を弄ぶのを、身を硬くして耐えた。しかし。強く握られて、反射的に身を振りほどいた。
「痛いっ……やめてください」
 竹尺に打ち叩かれて腫れているところをわしづかみにされては、たまらない。
 男は、久美子を追おうとはしなかった。その代わり、左手に持っているほうの紙袋を開けて見せた。
「ちょっとだけ我慢してくれれば、これもあげるよ。陸(おか)から来た子にゃ珍しくないかもしれないかな」
 不覚にも、腹の虫がグキュルウと鳴った。コッペパンに焼きそばが挟んであった。たまに見たことはあったが、太りそうなので食べたことはない。母との貧乏暮らしでも、女の子として体重を気にかけるくらいのゆとりはあったのだ。けれど、今は――すごく食べたい。でも、食べ物の代償に身体をさわらせるなんて。そんなの、娼婦以下だ。でも、つぎにパン屋さんへのお使いを言いつけられたとき、売ってもらえないと。久美子の考えは、つまるところ折檻という言葉に行き当たる。
「……我慢します。でも、乱暴なことはしないでください」
 久美子はその場にじっと立って、自然と両手で顔をおおった。
 男が背後から近づく。
「これ、邪魔だな。ちょっと手をどけておくれ」
 背負い籠を下ろして、背後から久美子を抱いた。
 男の手が、さっきよりは優しく双つの乳房を揉み、乳首を指で転がした。
「あ…………」
 淫核の皮を剥くときと似たような、甘い電撃があった。乳首が固くしこってくる。ばかりでなく、淫核が紐に締めつけられた。初めての感覚に久美子は戸惑ったが――これが男と女の秘め事に関係しているらしいとは、本能的にわかった。
 男の片手が乳房からはなれて、股間に触れた。淫裂をなぞって、指を挿れてくる。
「そこは、やめてください」
 意外にも、あっさりと男は久美子から身を引いた。
「つぎは、もっとたくさんあげてもいいよ」
 男が小走りに立ち去った。
 籠を背負おうとしたら、紙袋はふたつあった。
「こんなもの……」
 焼きそばパンの袋を投げ捨てようとしたが、できなかった。食べたいからではない。食べ物を粗末にしてはいけない。といって、持ち帰ったりしたら理由をきかれる。悪戯された見返りだなんて知れたら、絶対に折檻だ。盗んだと思われても折檻。
 仕方なく、久美子は焼きそばパンを食べた。ものすごくおいしかった。
 両手で口のまわりを丹念に拭ってから、籠を背負って鬼伯母たちの住まう屋敷へ向かって歩き始めた。
 キャラメルも同じだと、あらためて気づいた。籠を持ったまま小屋へ行くのは不自然だ。伯母か花江が裏庭にいないとも限らないし。屋敷の手前にお地蔵さんがあったのを思い出した。焼きそばパンの袋でキャラメルの箱をくるんで、お地蔵さんの後ろに隠した。これなら、お供え泥棒にも見つからないだろう。
「ずいぶん遅かったね。どこで油を売ってたんだい」
 もっと早く帰っていても同じように叱られただろう。この家の者にとっては、久美子を虐めるのが面白いらしい――そんなふうに考えてしまうのだった。
 その晩はちゃんとご飯をもらえた。
「一日に三十分くらい潮目は遅れていくから、明日はもすこしゆっくりできるよ。朝ご飯を準備しといてやるから、わしが行く前に支度をすませときな」
 言葉の順序から考えると、伯母に蹴り起こされたら朝ご飯はもらえないということだろう。

========================================

・厳しさを増す特訓
・初潮は新たな恥辱
・海女漁鑑札の代償

折檻と輪姦と
・従弟を誘惑した罰 ←
・従弟従姉は釜の味
・独りだけの娘小屋
・Y字バランスの鞭
・緊縛放置集団夜這
・娘ひとりに男三人
・不浄期間に猛勉強

学校でも屈辱
・恥辱のセーラー服
・校長室で特別授業
・海女褌で体育授業
・娘宿売春は大盛況
・仄かな官能の兆し
・保健室も地獄部屋
・喪哀妻の快楽地獄
・三穴の絶頂に哭悦
・淫乱娘への灸折檻
・哭逆と諦虐と悦虐

妊娠と流産と
・妊娠中は姦り放題
・厳冬の海女漁強制
・流産と新たな種付
・若過ぎるもやい妻

遥かな後日譚
・令和に継がれた命

 歳とともに好みが変わってきたのかもしれません。
 悦虐から哭虐。
 ヒロインの設定年齢も、以前はR18前後だったのに、今ではU15。
 一方、電子出版業界の自主規制値は上昇傾向にあります。Rくらいは気にしませんが、Aもその気配が。価格改定を目論んだら、半分くらいは……でも、『未性熟処女の強制足入れ婚』14も、『縄禿初潮水揚』U13もパスしたんだから。ジョウホウガタリマセン。カイセキフノウデス。


 話を本筋に戻して。けっこう長くなりそうです。でも、年内には出版登録して、2020年2月発売は余裕です。章ごとのバランスが良ければ、前後編にわけて3月号までキープできるかも。
 どこまで続くか[月刊濠門長恭]


下記のアフィリエイトのキーワードは[ふんどし 拷問]です。筆者の趣味が如何に偏っているかの証明?

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜



 細かく章分けしたのは失敗だったかなとも思ったりします。
 一場面ずつを見出にすると、細かくなりすぎます。が、まあ、このスタイルで最後まで書きましょう。失敗だと判断したら、次から元に戻すだけです。


=========================================
見習海女は裸
・鬼伯母の棲まう島
・便所も風呂も浜辺
・食事の作法も屈辱
・十五年ぶりの見習
・実核を括る色付紐
・漁師へのお披露目
・苛酷な素潜り練習

「ここらでいいだろう」
 三十分ほども漕がされてから、やっと伯母が声をかけてくれた。身体じゅうが悲鳴をあげていたし、手の平はまっ赤に腫れていた。
 他の小舟は、ずっと沖合で頭を出している岩のまわりに集まっている。あの下に魚貝類が群れているのだろう。
 伯母が、先ほどの赤い牛乳瓶を遠くへ投げた。
「お手本を見せてやる。そこの箱メガネで覗いてな」
 底辺が二十センチ四方の素通しの箱に、ガラス板が嵌められている。手に持つ水中メガネだった。
 伯母は舟べりに後ろ向きに腰掛けると、何度か深呼吸をしてから、くるんとトンボを切って海に潜った。
 箱メガネで見ていると、斜め下に向かって平泳ぎで進んでいる。その先に赤い牛乳瓶が見えた。伯母は水中に浮かんだままそれを拾ったが、すぐには上がってこない。余裕を見せつけて、海底すれすれを十メートルほどカエル足だけで泳ぎ、それから縦に反転して舟の真下まで来た。そして、海底を蹴って一気に浮かび上がる。
「ヒュウーイイイイ」
 悲鳴とも口笛とも違う、甲高い細い声が伯母の口から漏れた。太く息を吐くと喉を傷めるので、口をすぼめて細く強く吐き出す。それが自然と音になる。いわゆる磯笛だ。これが吹けないと一人前の海女とは認められない。
 伯母は舟を大きく揺らして、その反動を利用して身体を引き上げた。また遠くへ牛乳瓶を投げて。
「やってみな」
 無雑作に言う。
 久美子は船べりから身を乗り出して、片足を海に浸けようとした。ぐらりと小舟が傾いて、バシャンと投げ出された。
「きゃ……」
 小さく叫んだ口に海水が押し入って、久美子はむせた。
「なにやってんだい。深呼吸で肺に空気を溜めて――そうそう。さあ、潜りな」
 久美子は息を整えてから、頭を海に突っ込んで水を掻いた。けれど、ちっとも沈んでいかない。頭を水に突っ込んで、お尻を海面から突き出して、ジタバタもがいているだけだった。
「しょうがないねえ。いったん戻りな」
 それもひと苦労だった。舟べりにつかまって身体を引き上げるのだが、舟が傾いて振り落とされてしまう。久美子は、伯母のやり方を思い出した。体重を掛けて舟を傾けてから身体を沈め、舟べりが高く上がったところで、水を蹴りながら一気に腕を縮めた。身体が上がり、舟べりが下がる。久美子は舟底に転げ込んだ。
 伯母が海女桶の底から鎖を取り出した。
「おまえには、こっちのほうが似合いだね」
 晒し布の帯をほどかせて、腰に鎖を巻きつけた。後ろで両端を引き違えて、長い綱の先に着けてある金具で留めた。
「これでよし。ちゃんと拾うまで、引き上げてやらないからね」
 鎖は、ずしりと腰に思い。
 久美子は今度は伯母のように舟べりに腰掛けてから、トンボを切って海にはいった。背中から落ちたけれど、意に反して投げ出されたのではなかった。トンボの勢いで、自然と頭が下向きになった。
 さっきの悪戦苦闘が嘘のように、ぐんぐん沈んでいく。手足で水を掻く必要もないくらいだ。これでは、海面に向かって泳いでも浮かび上がれないかもしれない。伯母の矢継ぎ早の指示がなくなったし、海の中で裸でいるのは羞ずかしいことではない。心に生まれた隙間に、恐怖が押し入ってきた。
 それを払いのけて、久美子は海底を見通した。水に遮られて、視界はぼやけている。箱メガネで覗いていたときは舟の上からでも見えていた赤い牛乳瓶が、どこにも見つからなかった。
 海底に頭からぶつかりそうになったので両手を突っ張って、身体の上下を変えた。海面を見上げると、意外にくっきりと舟影が見えた。細い綱が緩く弓のようにたるんで、自分の腰まで伸びている。
 潜ってから、せいぜい二十秒かそこらだろうが、もう息が苦しくなってきた。一度浮上して箱メガネで、およその方角を確認しようと考えた。舟影は前が尖っているから、牛乳瓶がどこらにあるかが海底でもわかる。
 久美子は海底を蹴って、上に向かって平泳ぎを始めた。ひと掻きで身体半分くらいは進む。けれど、手足を縮めているあいだに、鎖の重みで沈んでしまう。力いっぱい泳いでも、海面はなかなか近づかない。
 じきに、胸と頭が痛くなってきた。手足に力がはいらない。そして。蹴った爪先が海底にぶつかった。
 このままでは溺れてしまう。久美子は夢中で命綱を手繰った。が、手ごたえは弱かった。まったく身体は持ち上がらない。そして、綱の端まで手繰り寄せてしまった。
 伯母の冷酷な言葉が、頭によみがえった。
「拾うまで、引き上げてやらない」
 でも、まさか――と思う。きっと箱メガネで見守ってくれているはずだ。いよいよとなったら、助けにきてくれる。けれど、見上げても舟影が揺れているだけで、伯母の姿はなかった。
 その舟影が、かすんできた。頭がガンガン痛む。ほんとうに溺れてしまう。絶望が泡になって口から漏れた。大量の泡だけが、海面に向かって浮き上がっていく。
 久美子は恐怖に駆られて海底を蹴った。が、何度水を掻いても、足が海底にぶつかった。
 ゴボゴボボッと、久美子はまた絶望を吐き出した。そのとき。グンッと腰を引っ張られた。鎖が腹に食い込んできた。
 ああ、引き上げてもらえるんだ――安堵が、久美子の意識を奪った。
 気がつくと、久美子は空気の中にいた。腕を後ろへ引っ張られて、背中をゆっくりと何度も押されている。
「ごぼほっ……」
 咳き込んだ久美子の口から、海水が吐き出された。
「まったく手間のかかる子だね。久美子じゃなくてグズ子だよ」
 伯母の鮮やかな海女ぶりを見せつけられているだけに、久美子には帰す言葉がない。
 伯母が櫓を操って舟の向きを変えて、数回漕いだ。
「獲物は舟の真下だよ」
 箱メガネで覗くと、赤い牛乳瓶に手が届きそうだった。
「さ、拾ってきな」
 久美子は、まだ喘いでいる。
「ま……待ってください。もうすこし息を調えさせてください」
「あっちを見てみな」
 百メートルなのか五百メートルなのか、久美子には見当がつかないが。海面から突き出た岩のまわりに小舟が散らばって、そのすぐ近くに白いものが浮かび上がってきて、腕を伸ばして舟に何かを落とし入れているらしい。そして、すぐにまた潜っている。
「潮目の二時間で五十回は潜るんだよ。最初から怠け癖をつけさすわけにはいかないね」
 一回に一分以上潜っているのだから、まさしく休み暇もない重労働だ。けれど、それは年季を積んだ一人前の海女の話だ。初心者が同じことをできるはずもない。しかし久美子は、言い返さなかった。またビンタをもらうだけだ。
 久美子は大急ぎで深呼吸を繰り返した。かえって頭がクラクラしてきたけれど、船べりに腰掛けた。今度は、うまくトンボを切れた。そして、ふと疑問に思った。遠くに見た海女さんは、いちいち舟に上がらずに、その場で潜っていた。たぶん、トンボを切るのは最初だけだろうと、自分で答えを出した。まさか、伯母がわざと難しい所作をさせているとは思いもしなかった。
 今度は、すぐに牛乳瓶を見つけた。それを拾うと、すぐに命綱を引いてもらえた。
「やればできるじゃないか。次は、すこし遠くへ投げるよ」
 久美子は、牛乳瓶が投げられた方角とおよその距離を、頭に刻んだ。
 船べりから手をはなすと、自然に沈んでいく。途中で頭を下にしてから、舟の向きをたしかめ、牛乳瓶の方角へ泳いだ。しかし、見当をつけていたあたりに赤い色は見えなかった。
 海面を仰ぎ見ると、舟はこちらに舳先を向けて、斜め左後ろにいる。方角に間違いはない。久美子は左右を見ながらさらに進み、横へ五メートルほどずらして引き返す。
 しまったなと、思った。たとえば、最初からわざと狙いを右にずらして進んでいたら、左だけを探せばよかった。見つからなければ、うんと左へ移動して、今度も左だけを探せば良い。つぎから、そうしよう。
 船影の真下にたどり着くまでに、息が続かなくなった。どうせ、溺れかけるまで引き上げてもらえないのなら、さっさと息を吐き出してしまおう。そうは思ったけれど、恐くてできなかった。結局、頭痛に襲われて目の前が暗くなって、こらえきれずに息を吐き出して――それでも、腰の鎖は引っ張られなかった。息を吸いたいという思いを必死に押さえ込んで、たすっを求めて舟影を見上げた。
 綱がピインと張って腰に鎖の食い込む感触で――また、久美子は気絶してしまった。
「浮かんでいる舟を目印にするから、こういうことになるんだよ」
 意識を取り戻した久美子を、伯母が叱りつけた。
「落語にもあるじゃないか。渡し船で刀を落としちまった侍が、船べりに目印をつけて、後で拾おうってやつさ」
 そこで、気づいた。前は左前方に見えていた岩が、今は真横に来ている。同じことが、久美子が潜ってから舟影を見上げるまでのあいだにも起きたのだろう。
「おまえは三十秒と息が続かないね。鑑札をもらったばかりの海女でも一分ちょっとは潜るよ。わしが現役だった頃は、三分ちかかったものさ」
 命綱を引いたのは、二回とも四十秒かっきりだったと、伯母が言う。ストップウォッチなんかなくても、ゆっくり数を数えることで、一分で二、三秒しか違わないのだそうだ。
「今日は、これまでにしといてやる。二回も水を吸い込んだからね。肺炎にでもなられたら、ますます物入りだ」
 久美子は鎖をほどかれて、見習海女の褌と伯母が称している晒布を腰に巻いた。いっそ何も身に着けないほうがましだと思うが、仕来りだと言われれば反論もできない。いや、文句を言ったところで、返事はビンタだ。
 帰路は伯母が漕いだ。久美子が三十分かかった距離を、伯母は十分で渡った。
 まっすぐ屋敷へ戻ると、伯母は久美子を残して家へはいった。
「井戸の水で潮を流しな。手桶三杯まで使わせてやるよ」

・強いられた裸生活

 髪と身体を洗って、井戸屋根の梁に掛けてあった煮しめたような手拭いを使っていると、最初に姿を見せた女中が現われた。四十歳くらいかなと、久美子はあらためて観察した。ひっつめ髪のきつい顔で、割烹着姿だった。
「あんたをお医者へ連れてくよう、申し付かったわよ。ついといで」
 久美子に背を向けて、裏木戸へ向かう。
「あの……着替えるまで待ってください」
 女中は鼻で笑った。
「あんた、海女になるんだろ。常日頃から褌一本で暮らすのが、仕来りってもんだよ」
「…………!?」
 久美子は立ちくらみに襲われて、その場に膝を突いた。ひと気のない道を歩いて、同じように(男性だけど)素裸の漁師もいる船着き場まで行くのだって、恥かしさで死んでしまいそうだった。こんな姿で街中へ引き出されるくらいなら、あの鎖を巻いてひとりで海に飛び込んでやる。
「いやです。裸で海に出るくらいが我慢します。でも、でも……」
 久美子は泣きながら訴えたが、感情が高ぶって言葉が出ない。
「京子さん、ちょっと来て」
 女中が勝手口に向かって大声で呼ばわった。ずっと若い女がすぐに出てきた。同じようなひっつめ髪で、やはり着物の上に割烹着姿だった。
「縄を持ってきて。こいつの小屋ん中にあるはずよ」
 京子と呼ばれた若い女中が、久美子にあてがわれた物置小屋から荒縄を取ってきた。
 年配の女中が、泣きじゃくっている久美子の両手を前に引いて、荒縄で手首を縛り合わせた。
「な……なんで、縛るんですか!?」
「決まってるだろ。あんたを医者へ連れてく」
 女中が縄を引っ張ったが、久美子は足を踏ん張って、動こうとしない。
「やれやれだねえ。京子さん、あなたが引っ張てちょうだいな」
 年配の女中が勝手口へ消えて、すぐに長い竹尺を持って戻ってきた。久美子の後ろにまわって、竹尺を尻に叩きつけた。
 ビシャアン!
「きゃあああっ……!」
 思わず前へ逃げる。
「京子さん、ちゃんと引っ張りなさい」
 ごめんねと小さくつぶやいてから、京子が縄を引いた。
 ビシャアン!
 ビシャアン!
 尻を叩かれるたびに、久美子は前へ前へと逃げてしまう。そうして裏木戸から引き出されて、道を歩かされた。
 いや。どれだけ叩かれようと縄を引っ張られようと、逆らって踏みとどまることは、できたかもしれない。けれど、伯母の顔が頭に浮かぶ。『樹から吊るして折檻』という、身の毛もよだつ言葉を思い出す。心をくじかれてしまう。
 このまま、縄で縛られて、お尻を叩かれて引き立てられるくらいなら――久美子は妥協してしまった。
「叩かれなくても歩きます。だから……」
 縄もほどいてくださいと、久美子は訴えた。
 これでは、まるで時代劇の引き回しだ。それはそれで――見る人は、まさかに久美子がそれに値する罪を犯したとは思わないだろう。同情してくれるだろう。けれど、船着き場での出来事を考えると。伯母の威光を恐れて、久美子の味方になってくれる人はいない。
 憐れまれるよりは、むしろ。古来からのしきたりを守って、みずから進んで裸身を晒していると思われたほうが、よほど救われるのではないだろうか。久美子は、そんなふうに自分の心を偽ってしまった。
 そえは、つまり――後年になってSMという概念が認知されるようになってからは、調教とか馴致という言葉で表される心の動きだった。
「ほんとうだね。また逆らうようだったら、女将さんに言いつけるからね。」
 その結果がどうなるかは、わかりきっている。
 久美子は手首の縄をほどかれて。すぐに両手で胸と下腹部を隠そうとしたが、その手を竹雀でピシャリと叩かれた。
「裸が見習海女の仕事着だよ。誇りを持って堂々と歩きなさい」
 久美子は唇を噛み締めて、服を着ていると同じように――も、さすがにできず。下腹部で両手を組んで、歩き始めた。こぼれる涙は、止めようがなかった。
 羞恥と屈辱とに目もくらむ思いでとぼとぼと歩きながら、さまざまな想念が久美子の脳裡をかすめた。
 伯母から聞かされた女中の名前は、花江と京子。ならば、先に立って歩いている年配の女性が花江だろう。見習のあいだは素裸なんて、封建的な戦前でも考えにくい。こんな姿で街中を歩けば、お巡りさんに逮捕されるんじゃないだろうか。
 久美子の懸念は、あっさりと覆された。
 街が近づくにつれて、人の往来も増えてきた。誰もが、驚き呆れて眺めている――ように、久美子には感じられた。けれど、相手のほうが気まずそうに視線をそらす。やはり、島一番の網元の威光は絶大なのだった。それは、駐在勤務の警察官に対してさえも同じらしい。
 港の手前にある駐在所で、久美子は呼び止められた。三十歳くらいの警官だった、
「裸で外を歩くとは……」
 そこで、後ろの花江に気づいて、そちらへ問いかける。
「これは、いったいどうしたことです」
「この子は、見習海女になったんです。一人前になるまでは裸というのが仕来りなのは、駐在さんも御存知でしょう」
 駐在は口を半開きにして花江を見詰め、久美子の裸身に目を転じてはあわててそっぽを向いたり、彼のほうが挙動不審だった。
「あれは、浜崎さんの地所内と漁のときだけに限って黙認しておるだけだ。このように公然と裸で闊歩されては……」
「裸のどこが、いけないんですか」
「公然猥褻罪になる」
「この子の裸のどこが猥褻なんですか?」
 そんなことは子供でもわかる――と、久美子は思ったのだが。
「何年か前の裁判で、下の毛が見えなければ猥褻ではないという判決がありましたわね。だからこの子には、わざわざ剃らせているんです」
 そういう目論見だったのかと、久美子は気づいた。花江の立て板に水は、伯母の入れ知恵だろう。医者は口実で、憎い妹の娘を満天下の笑いものにするのが真の目的だったと――久美子は暗然と悟った。
「いや、それは知っているが……毛よりも猥褻なものが、丸見えですよ」
 ほほほほと、花江が作り笑いをした。
「お股の割れ目は、性器ではありませんわ。女の性器は割れ目の奥に隠れています。奥様をお持ちのくせに、そんなことも御存知ないのですか」
「いや、それは詭弁というもので……」
「これは、女将さんの決められたことです」
 ぴしゃりと言い放つ花江。
「ご自分でお米も野菜も作るおつもりですか。石鹸とか歯磨き粉は、どうなさいますの?」
 網元の威光に逆らうなら村八分にすると、花江はおどしている。皆が皆、網元の支配下にあるわけではないにしても、網元配下の者が買わなければ、店はつぶれる。そして、彼らは本土へ買い出しに行ける足を持っている。
「せめて、外部の者の目には触れぬよう、それだけは、くれぐれもお願いします」
 駐在は、苦虫を噛みつぶしたような顔で、奥へ引っ込んだ。
「つまらないところで時間を取られた。いちいち説明するのも面倒ね。こっからは、わてが先に立ってやるよ」
 竹雀を襟首から着物の後ろに隠して、花江が歩き始めた。あわててついて行く久美子。後ろに目はないけれど、いつ振り返られるかわからない。久美子は、それまでと同様に、羞恥の根源を隠さないように努めた。
 桟橋に、まだ船の姿はない。苦しいことや恥ずかしいことが次々に起こったけれど、まだ朝の十時過ぎなのだ。
 桟橋に面した家並みの大半は、何らかの店になっている。八百屋に肉屋、書店、雑貨屋、薬局、一膳飯屋、自転車店……魚屋だけは見当たらない。
 全裸の久美子に声をかける者はいなかった。割烹着の婦人が浜崎家の女中だと誰もが知っているから、その背後にいる女将さんが恐いのだ。視線だけが、久美子に集中する。男たちの大半は好色な目で裸身を眺めている。それくらい感得できるくらいには、久美子も性長している。女性の目は、三つに分けられた。憐憫、侮蔑、そして敵視。敵視というのは、母の昔の所業のせいかもしれない。
 後藤医院(外科・内科・小児科・産婦人科)と掲げられた看板を通り過ぎて家並みの向こう側まで突き抜けて、右へ折れて坂道を登っていく。緩やかな段々畑の先にある農村まで引き回されて、村長に挨拶させられた。
「網元の浜崎様のお世話になる白石久美子です。自分の食べる分くらいは稼ぎたくて、海女さんになることにしました。見習のあいだは、こんなみっともない格好ですが、どうかお許しください」
 道々考えて、花江に添削された口上だった。
「いやいや。やはり島の娘さんだね。伝統を守ろうとは、殊勝な心掛けじゃわい」
 久美子のことは、あらかじめ教えられていたらしい。とっくに還暦を過ぎた老人は、久美子の乳房と股間との間に視線を往復させながら、久美子に劣らずの挨拶を返したのだった。
 別の道を下って桟橋へ引き返して、それから後藤医院へ連れて行かれた。
 裸の胸にしつこく聴診器を当てられ、乳房を触診までされた。学校の定期健診で慣れて(はいないけれど)いるから、ちょっとしつこないと感じたくらいだった。
「肺の音はきれいだから、問題は無いと思いますよ。念のために抗生物質を出しておきましょう。今日の昼と夜、念のために明日の朝のぶんまで出しておきます」
 帰り際に、窓口でもめた。
「なんだって、こんなに高いんですか。保険証が使えない? 全額負担ですって?」
 久美子は浜崎家の扶養家族になっていない。手続きが間に合わなかったのというよりも、これまでの経緯から考えると、家族に加えるつもりなんかないのだろうと、久美子は屈辱を重ねた。
「まあ、いいわよ。叱られるのは、勝手に溺れた久美子なんだから」
 溺れたくて溺れたんじゃありません――と花江に言っても始まらない。あとで、ますます伯母の勘気をこうむるだけだ。
 ボオオオオー。
「あら、もうこんな時間だわ。おまえが愚図愚図してるからよ。すみません、裏口から出させてもらいますね」
 花江は久美子を走らせた。隠していた竹尺を手に、尻を叩いて追い立てる。
「あ…………!?」
 トンッと足が地に着くたびに、久美子は股間を異様な衝撃が突き抜けるのを感じた。正確には――まだ赤い紐でくくられたままになっている、昨日までは自分でもその存在を知らなかった、小さな肉の突起が、鋭く疼く。痛いのではない。むしろ、甘美とさえいえる衝撃だった。
「もういいよ。ふつうに歩きな」
 遠くから呼ばわれて、久美子は我にかえった。和服を着ている花江が追いつけないほどの速さで駆けていたのだ。
 そのまま走り続けていたい誘惑を投げ捨てて、久美子は速度を落とした。歩くときでも意図的に足を強く踏み下ろせば、同じように甘い衝撃が生じるのだが。久美子は、そうしなかった。この観応が淫らなものだという意識は無かったけれど。ズロースを履いていたら、この突起は揺れなかっただろう。紐で括られていなかったら、刺激は受けなかっただろう。裸を強いられて、しかも恥ずかしい目印を付けられて。それで気持ち良くなるなんて、恥辱でしかなかった。
 医院で予想外の出費があったことには、伯母は何も言わなかった。
「夕方の潮目で、また海に出るよ」
 海女になると言ってしまったからには、きちんと練習をするつもりではいるが。
「学校へは、行かせてもらえないんですか」
 ビンタも覚悟で尋ねた。
「まだ転校の手続きがすんでないんだよ」
 引っ越した当日から通学できる制度になっているなど、久美子は知らない。そういうものかと納得しかけたのだが。
「言っとくけど、海女稼ぎができるようになるまでは、その恰好で暮らすんだからね。学校でも同じだよ」
「…………!」
 学校へ行かさないと言われたも同じだった。むしろ、行かされたらどうしようと、そちらが不安になってきた。
「ああ、そうそう。昼ご飯も恵んでやるけどね。食べ終わったら、小屋から出るんじゃないよ。子供たちが学校から帰って来るからね。そんなみっともない姿を見せたら、教育に良くないからね」
 街中を引き回す口実に、花江は「裸が仕事着」と言っていた。どうせ伯母の受け売りだろうが、今の言葉とは真反対だ。こちらが本音だとは、久美子にも察しはつく。

・亡母の遺骨が人質
・理不尽な折檻甘受
・折檻肌で海女特訓
・ひとりきりで買物
・初潮は新たな恥辱
折檻と輪姦と
・従弟を誘惑した罰
・従弟従姉は釜の味
・独りだけの娘小屋
・Y字バランスの鞭
・海女稼ぎの厳しさ
・娘ひとりに男三人
・不浄期間に猛勉強
学校でも屈辱
・恥辱のセーラー服
・校長室で特別授業
・海女褌で体育授業
・娘宿売春は大盛況
・仄かな官能の兆し
・保健室も地獄部屋
・喪哀妻の快楽地獄
・三穴の絶頂に哭悦
・淫乱娘への灸折檻
・哭逆と諦虐と悦虐
妊娠と流産と
・妊娠中は姦り放題
・厳冬の海女漁強制
・流産と新たな種付
・若過ぎるもやい妻
遥かな後日譚-
・令和に継がれた命
後書き
=========================================

 今回は小見出2章分を丸々引用して、読者サービス。迷惑だという声は聞こえません。

「強いられた裸生活」で、ひとりでお買い物に出すつもりでしたが、溺れさせたので、やはり肺水腫とか懸念して医者へ。別に小見出しを立てました。
ブログ用
 表紙絵は今から考えていますが、「裸海女×義務教育生徒」なんて原画は、そうそうないし。ちょっと苦慮しています。上記は初期案です。背景が公園の川なので、もう一工夫します。
 もしもこの表紙絵が某方面でコンテンツガイダンスだったら、性器責めアウトだと確定します。

下のアフィリンクはDLsiteで「SMX工房 ふんどし」をキーワードにしています。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Start:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜



『寒中座禅(転がし)修行』の校訂に着手していないのに、次作執筆開始です。これを書きたくて座禅転がしを書き急いだのです。
これです。着想即肉付即執筆→

 今回は、目先を変えてみます。
 従来はWORDの「見出し1」だけで書いてきましたが、今作では「見出し2」も使います。
 従来の数章分をまとめて大見出しにして、それを幾つかの小見出しに分けます。
 読者側の利点としては、目的のシーンに飛びやすい。
 筆者側の利点としては、後半も小見出しをたくさん作っておけば竜頭蛇尾を防げる……かも?
 たぶん、KENPCもすこし水増しできる?


 そして。小見出しごとの内容は、細切れで筆者の頭に入っているので、きっちり書いておかなくても忘れない。まあ、この記事の読者の参考までに、括弧書きで(一部に)注釈を付けておきますけれど。

========================================
未通海女哭逆:裸の昼と縄の夜
おぼこあまこくぎゃく
Young Virgin Shell Diver Cry for Sexual Abuse
Naked daytime and Bound nighttime


1963年(昭和38年)

浜中和子:伯母(母の実姉)5月に妊娠(判明は8月)。相手は下層漁師。別の婿が必要。
     妹だけ進学したのを根に持っている。白石を横取り(思い込んでいる)されたことが一番。
浜中勝利:白石に逃げられて急遽入り婿に。別の零細網元の次男坊。
浜中紀夫:3年生。3月生まれ(15歳)。両親から微妙に疎外されている。
浜中有子:兄と四つ違い。グズに近ずくなと厳命されている。将来は婿養子を。
浜中梢枝:和子の従妹だが若い。養護教諭。

白石久美子(グズと呼ばれる)2年生に降級。8月生まれ(14歳)。
白石洋子:母子家庭。交通事故で死亡。
白石倫夫:病弱を鍛えようと5月から島に滞在して洋子を見初める。
     妹が先に嫁ぐなど許さん。姉の和子と結婚して、網元を継げ。駆け落ち。妊娠は、その後。
川中弓枝:夫婦で移住(夫の祖父が島出身)。雑貨屋を営むも病死。5歳児の母親。
     雑貨屋を手伝っていた男は既婚なので、喪哀妻を強制された。義父が病臥。

見習海女は裸
・鬼伯母の棲まう島
・家の中は立入禁止(トイレは海の中)
・十五年ぶりの見習
・実核を括る色付紐(早朝に漁師・海女に挨拶させられる。下層漁師の若衆も全裸)
・強いられた裸生活(買い物を言いつかって、雑貨屋の女将に同情される)
・亡母の遺骨が人質(泣いていて叱られる)
・理不尽な折檻甘受(これからは頑張りますの揚げ足を取られて)
・折檻肌で海女特訓(他の海女舟に便乗。前日に撒いた色ガラスを回収)
・初潮は新たな恥辱(物置部屋から出るのを禁止)
・海女漁鑑札の代償(伯父とは血がつながっていないし)

折檻と輪姦と
・従弟を誘惑した罰(夜這いを掛けられて抵抗して)
・従弟従姉は釜の味
・独りだけの娘小屋(外から施錠。男が合鍵を借りる)
・Y字バランスの鞭(初日の夜這いを拒んだ罰)
・緊縛放置集団夜這
・海女稼ぎの厳しさ
・娘ひとりに男三人
・不浄期間に猛勉強

学校でも屈辱
・恥辱のセーラー服
・校長室で特別授業
・海女褌で体育授業
・娘宿売春は大盛況
・仄かな官能の兆し
・保健室も地獄部屋
・喪哀妻の快楽地獄
・三穴の絶頂に哭悦
・淫乱娘への灸折檻
・哭逆と諦虐と悦虐

========================================
 こんな感じです。如何でしょうか。小見出しだけで、ある程度想像がつきませんか?
 小見出しすべてを書くのではなく、本文を書きながら取捨選択していきます。いきなり挿入(きゃああ♡)なんて事態も生じるかもしれません。これまで[硬式]ブログと『戦闘詳報』では分隊を変えていましたが、最近は混交しています。

maxresdefault.jpg
 今回のアイキャッチ画像は脳内補間(ではなく、水着を脳内滅却)してください。

※「喪哀」、「催合=もやい/もあい」からの造語です。寄合などから転じて、皆で分け合うという意味です。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:寒中座禅(転がし)修行



 Progress Report3 →

 脱稿しました。全体の3/4あたりを走って、最後の責めは、わりあいネチネチ。

========================================
 昼食養虐をはさんで三時間の休息で、修行尼たちは最後の修行を始める心構えを調えた。体調のほうも、ほぼ万全だった。何十番も稽古をしたわけではないし、午後からの修行を考慮して、鞭撻もそれほど厳しいものではなかったのだった。
 七人がみずから望んだ修行は、それぞれの被虐願望をじゅうぶんに解き放ったものだった。
 ゆかりが抜けてハードマゾの第一人者(?)となった菜穂子の望みは、いっそう厳しい滝行を求めた。滝壺の真上にずっと逆さ吊りで放置されていたいというものだった。
 円花は胡坐縛りでの滝行を希望した。
 さまざまな修行を通じて、痛いのよりも寒いほうが苦手だと自覚するようになった蕾は、その姿を思い描いただけで鳥肌が立った。しかも、二人とも溺れる危険がある。菜穂子の望むような完全放置は難しいだろう。
 実咲は座禅板を使った二穴貫通と三点針金くびりの電気責めを望んだ。あまり激しい修行で悶絶してしまっては、いざというときに看護師として務まらないからだろう。
 野乃花は『試練の石段』を麻凛と蕾ががされたような、昔ながらの方法で何往復も(ぶっ倒れるまで)登り降りしたいと申し出ていた。後ろ手に縛られ、縄で胸をつぶされ、荒縄褌の間から引っ張り出されたクリトリスを(陽根に見立てて、それが隠れてしまわないよう)タコ糸で括られて。
 一種館前には処女だった芽美の願望は――できるだけ多くの男性に、うんと性感を開発してほしいという、ささやかだが切実なものだった。
「男は弾数がかぎられておるからの。主役はこっちになるぞ」
 直径四センチ半の長大なディルドが後門、前門にはいっそう太い電マ(もはや、この呼び方が世間一般でも大勢を占めている)で責められることになった。もちろん、外からの刺激ではなく挿入する。
 四方にハンドルのういた箱の下に大きなパッドが取り付けられた器具を、芽美が不思議そうに眺める。昭和の時代には、これこそが電気マッサージ器と呼ばれていたのだと、妙覚が説明した。
「こいつを使うと、ほんとうに腰の痛みや肩凝りが治る。まあ、当時でも不心得な使い方をしていた者はいたらしいが」
スイッチがはいると、ブウーンンと唸りながら、全体が強烈に振動を始めた。それを肩に当てられて、芽美が「ひゃっ」と叫んだ。これを二台も使って、乳房と子宮を刺激すると聞かされて、不安そうな顔になった。
「先達の二人に担当してもらう。強く押しつけたりは――多分しないから、まあ安心してよがり狂うんだね」
 麻凛が望んだ修行の内容を聞いて、蕾は心の底から驚いた。これまでの修行からのリクエストではなく――かつての菜穂子と同じように、リヤカーを膣で牽引したいという。オートバイにつながれたリヤカーを見ての着想かもしれないが。苦痛系が苦手と自称しているのだから、ずいぶんと無謀な冒険だった。
 しかし、牽引に使える『突起が装着された鉄棒』が、無かった。そこらへんの棒にディルドを縛りつけたくらいでは、牽引力に耐えられない。
 代わりに高山社長が提案したのは、股間ブロック曳きだった。股縄から伸ばした縄でコンクリートブロックや古タイヤを引きずる責めは、蕾もネットで画像を見たことがある。しかし、縄ではなく有刺鉄線というのは、恐ろし過ぎて、妄想したことすらなかった。しかも股間だけでなく、全身を有刺鉄線で縛るというのだ。
「棘は短いからね。鞭で叩き壊すよりは、ずっと早く治る。リオのカーニバルまでにはね」
 来年の二月に、リオのカーニバルに全裸(ボディペイント)で参加したいという個人ツアーがある。そのガイドというよりは同伴者が麻凛になる予定だった。
 蕾も研修を兼ねて派遣されるかもしれないが、今日の修行で肌に傷が残る懸念はなかった。一昨日の巡拝を繰り返すだけという、みんなの修行内容を聞いていて羞ずかしくなったほどの、生ぬるい修行だったのだから。
 最初に妙覚が七人全員をそれぞれに緊縛してから、釈覚と広学とともに、菜穂子と円花を滝へ引っ立てた。
 肩がはずれそうに痛む背面合掌縛りなのに、縄に抱き締められて陶然としながら、蕾は二人と三人を見送った。訥念と三人の先達が、野乃花を『試練の石段』へ追い立てる。芽美と実咲は、六人の先達に囲まれて本堂へ。奇しくも裏添乗員同士の組み合わせとなった蕾と麻凛の修行の場は、境内だ。すでに、巡拝のためのロープが張り巡らされている。二人の修行を鞭撻するのは、朴念と秀学、大学、俊学の四人だった。
 まず、麻凛が巡拝のロープに沿って歩き始めようとした。有刺鉄線の棘に股間と上半身を突き刺されながら、一歩を踏み出して。後門のあたりで有刺鉄線に巻きつけられている縄がピインと張った。
「い、痛い……」
 コンクリートブロックは二つが無雑作に縛り合わされている。そのせいで、玉砂利の上を滑れずに、掻き分けて進ませなければならない。
 ずりっとコンクリートブロックが動いて、その振動が股間の有刺鉄線を震わせる。
「ぐゔゔゔゔ……」
 顔をゆがめて、麻凛が二歩目を踏み出す。ずりりっとコンクリートブロックが玉砂利を押しのける。
 バッシイン!
 手加減無しの竹刀が、蕾の尻を襲った。
「きゃああっ……!」
 縄に酔いながら、先輩の苦闘にも感情移入しかけていたせいで、まったくの不意打ちだった。
「おまえも、さっさと進め」
 秀学が作務衣のポケットから洗濯バサミを取り出した。
「これで引っ張ってやる」
 ロープと淫裂のあいだに指を突っ込んでクリトリスを引っ張り出すと、問答無用に洗濯バサミを噛みつかせた。
「ひゃぎゃあああああっ……!」
 蕾は絶叫した。強烈の圧迫感の中から、先鋭な激痛が突き抜けていた。洗濯バサミの痛みだけではなかった。
 のがれようとする蕾を、朴念が背後から押さえ込んだ。
 乳首を狙って近づく洗濯バサミを見て、蕾は息を呑んだ。洗濯バサミの裏側に画鋲が貼り付けられていて、反対側のクチバシには小さな穴が明いている。画鋲の針は、洗濯バサミが閉じるのを妨げない。つまり、針責めも同時に行われるのだ。
 針が乳首を貫いて、さらに洗濯バサミが圧し潰す。
「くうううううううううう……うううう」
 絶叫こそしなかったが、蕾の呻き声はいつまでもやまなかった。
「そら、あんよはじょうず」
 洗濯バサミにつながれた三本のタコ糸を、秀学が両手を使い分けて引っ張る。
 バシイン!
 尻に竹刀が叩きつけられる。
「うううう……きひいい」
 よちよちと蕾が歩き始めた。しかし、ロープの中間に巻きつけられている金属タワシの手前で、立ち止まってしまった。金属タワシから細い線が向こう側の支柱に向かって斜めに伸びていた。支柱の横には、見慣れたリモコンボックスが置いてあった。
 電撃――と怯えたが、電線は金属タワシの一本きりしか見当たらない。電極が二つなければ電機は流れないはずだ。
 おそるおそる、蕾は淫裂を金属タワシにこすりつけた。
 バチチッ!
「きゃああっ……」
 股間を電撃に貫かれて、蕾は悲鳴をあげた。が、座禅板で受けた電撃に比べると、かなり弱かった。そして、座禅のときと違って、脹脛が痙攣した。
 そこで、蕾は自分たちが(滝へ行くときなどを除いて)ずっと裸足だったことを思い出した。アースというくらいだから、電気は地面を流れる。
 できるかぎり腰を引いて金属タワシから遠ざかっているが、ますます強くクリトリスと乳首を引っ張られ、尻を叩かれている。
 この前は失敗したけれど、電撃を受け続けるよりはいい。いや、電撃で脚の筋肉が痙攣したら歩けなくなるかもしれない。蕾は決心した。大きく足を踏み出して、一気に金属タワシを駆け抜けた。
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!」
 絶叫したときには、電撃が終わっていた。
 しかし、金属タワシは、まだ幾つも残っている。朴念がリモコンボックスを次の金属タワシの場所まで運んで、蕾が最初の支柱を乗り越えている間に配線をすませてしまった。
 つぎの障害物はフロートなので、これは楽々とクリアして、一歩ずつに苦しんでいる麻凛をずっと引き離した。
 幾つもの金属タワシを走り抜けて本殿前の参拝柱にたどりついたとき、蕾の股間は真っ赤に染まっていた。淫汁と混じり合っていない、純粋の血液だった。
 蕾は、恐怖に目を見開いて金属柱を見詰めていた。柱の下には小さなビニールシートが敷かれて、そのまわりはアルミホイルで囲まれている。柱を膣に加えるには、アルミホイルの上に乗らなければならない。地面のアースとは比べものにならない電撃に襲われるだろう。
 三点を強く引っ張られて、蕾は膝を震わせながらアルミホイルに乗った。朴念が金属柱を押し下げて淫裂を割り、膣に挿入してから手を放す。バネの力で膣奥を突き上げられても、電撃は無かった。もちろん、それが束の間の安逸に過ぎないと、蕾は承知している。リモコンボックスは、しゃがんだ朴念の前に置かれている。
 意を決して、蕾は腰を沈めていった。ロックが掛かるまで支柱を押し下げないと、この責めから解放されない。
 ぐうううっと内臓が押し上げられる、純粋に不快な感覚。ぎゅうんとバネがたわむ手応えならぬ膣応え。朴念は、まだリモコンボックスに手を伸ばそうとしない。
 じゅうぶんに腰を落として、カチリと膣応えがあった瞬間。
「ぎゃんっ……!!」
 蕾自身がバネ仕掛けのように跳ね上がった。まったくの不意打ちだった。電撃のスイッチは、ロックと連動していたのだ。しかも完全にロックできていなかったので、支柱は蕾の動きを追って伸びて、串刺しにしてしまった。
 全身を痙攣させながら気を失って倒れかかる蕾を、秀学と大学が抱き止めた。俊学は、麻凛を追い回している。
「そちらも、なかなかに盛況のようですな」
 三人の先達が、本堂から出てきた。
「交替しましょう。まったく、男という生き物は厄介なものじゃ。快感は一瞬で、チャージには時間がかかる」
 先達は入れ替わったが、朴念は境内に残った。芽美の修行には危険が伴わないから、先達に任せておけばよいという判断だろう。
 麻凛が今にもつんのめりそうになって、ゴールに到達した。彼女の股間も赤く染まって、太腿にも血の筋が流れている。
 朴念は蕾の淫裂を裏返して、傷の具合をたしかめた。麻凛の傷も、有刺鉄線を挟む襞をめくって調べる。
「ふたりの修行は、これまでです。広学に治療をさせましょう」
 蕾の三点から画鋲付洗濯バサミをはずし、麻凛もコンクリートブロックから解放した。が、緊縛そのものはほどかない。
 乳房を乱暴にこねくるのが心臓マッサージだとでもおもっているわけでもないだろうが、そうやって蕾を目覚めさせて。
「これから滝まで行かせる。だが、その前に」
 効き目は抜群だが刺激も抜群の傷薬を二人の股間に吹きつけて、あらためて悲鳴を絞り出す。
 草鞋を履かせてやるのも忘れない。
「うああああっ……死んじゃう! 死んじゃう、死んじゃう、死んじゃうよおおおおおお!」
 野太い絶叫が、蕾の耳に届いた。それは芽美が天国を突き抜けた咆哮だった。艶やかさなどこれっぽっちもない、原初の雄叫び――いや、雌叫びだった。
 股間の激痛に苛まれながら、蕾は芽美のことを羨ましく思った。彼女自身、そこまでの快楽へ突き抜けた経験が無かったのだ。通販で見つかれなければオークションを漁って、あの昭和レトロな激烈電気マッサージ器を手に入れようと思った。
 滝までの道のりは、境内の一周よりずっと長い。ロープはないが、傷薬スプレーの刺激が蕾の股間を燃え上がらせていた。けれど、麻凛先輩の有刺鉄線褌に比べたら、苦痛を訴えるのさえ羞ずかしい。蕾は歯を食いしばって、滝まで歩きとおした。麻凛も、後輩への意地なのか苦痛系に目覚めたのか、有刺鉄線に傷口をえぐられて、さらに血を流しながらも脱落しなかった。途中からは乳首にだけ着けられた画鋲付洗濯バサミで引っ張られたけれど。
 ――滝では、まだ修行が続いていた。流れ落ちる水で菜穂子の様子はよくわからないが、首まで川に浸けられている円花の唇は紫色を通り越して黒ずんでいた。意識が朦朧としているのか、首が垂れて顔が冷水に浸かり、そこで意識を取り戻している。
 けれど、まだ生命の危険は無いのだろう。直腸の温度を示す二台のモニターを、広学は悠然と眺めている。いや、目を離せないほどには切迫しているのかもしれない。
 蕾は不安に駆られるが、主催者の二人と医師を信頼するしか、彼女に出来ることは無いのだった。

 午後の修行が終わったとき、蕾と円花と野乃花の身体はボロボロになっていた。鉄条網で緊縛されていた円花がいちばんの満身創痍ぶりだったが、野乃花もなかなかだった。『試練の石段』の三往復目では精魂尽き果てて何度も転んでいた。付き添いの先達に抱き止められて一緒に十段ほども転落したこともあったそうだ。
「おかげで、こっちまで打ち身だらけだ」
 高山社長がぼやいたが、どこか満足そうに聞こえた。身体を張って女を助けたというのが、その理由かもしれない。
 やはり、この人に支配されよう。蕾は、あらためて心に誓った。ご主人様とかではない。けれど、雇用主と被雇用者といったビジネスライクな関係でもない。
 この人の命じるままに、新たな被虐の場に赴く。言ってみれば、高山社長はゲームマスターのようなものかもしれない。
 そんなふうに考えるのも、男に悦んで支配される女性心理の表われだろうか――とも思ってみるが、人生経験に乏しい二十一歳になったばかりの小娘には、手に余る問題だった。
========================================
293421.jpg
 男根に見立てた淫核の画像です。縄で固定しないと引っ込んでしまいます。

 強引に脱稿したのは、早く次を書きたいという欲求のせいもあったでしょう。
 実は……
 被虐願望のマゾ女を合意の上で調教 
 潜在的被虐願望の少女を初手からガンガン責めて、否応なくマゾに目覚めさせる。
 こういったパターン飽きてきて、次作はノーマル&ノンケの少女を徹底的に虐待する話です。

 ここで(↓)書いているやつです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:寒中座禅(転がし)修業



Progress Report 2 →

 どうにも、金○の結果(『女囚永代吟味』は、5日経過してもまだレビュー中。)が気になって、鍵が進みません。筆者は東京生まれの中国(地方)育ちですが、大阪人よりもイラチな性分です。 1日おいて、また休日なので、「今日が駄目なら明日にしましょ」な気分があるのもたしかですが。

 1:登門  2:得度  3:滝行  4:祓行  5:灸行  6:総括  7:還俗
 4が終わって、本文143枚です。
 4:祓行では、午前中にこんな仕掛けのある『座禅板』で、AEDの出番も無く電撃座禅が終わって。

W電極棒

 午後からが、身体から煩悩を「叩き出す」修業です。

============================================================
 十二人の先達の中から六人が選ばれて、二人の平僧侶とともにさまざまな鞭や笞を持って、修業尼の前に立った。
 被虐の経験値を考慮して、菜穂子と円花には、一メートルほどの長さの一本鞭を手にした朴念と訥念が立った。ゆかりには、高山社長が同じく一本鞭。初めて鞭を受ける芽美には、先を丸めた短い竹の笞。
 高山社長にベルトで叩かれた経験しかない蕾には、バラ鞭だった。ただし、ソフトビニール製の遊び道具ではない。頑丈な革紐の途中にいくつも結び玉が作られていて、六十センチほどの長さがあった。初心者のサディストでも、容易に厳しいダメージを与えることができる。
「そんなん、修業にはなりません」
 ゆかりがふつうとは逆の意味で、抗議の声をあげた。
「ほんまに肌を切り裂いてください。それとも、善羅座禅会とか古武術研究会いうても、ほんまもんの鞭を使える人はおらんのですか」
 釈覚と妙覚が顔を見合わせた。
「しばし、待っておれ。他の者は、悦淫を除く七人を――祓行にそなえて、身体を暖めておいてやれ」
「飴と鞭の、飴のほうですよ」
 見物にまわっていた六人と菜穂子を担当するはずだった高山とが加わって、七人の修業尼たちを『暖め』始めた。ひとりが背後から抱き着いて(わざと体重を預けて、吊るされている手首に負担を掛けてやる残酷で親切な男もいた)、乳房を中心に身体中を撫でまわし、得物を持っている男は、柄の部分で前門を暖めてやる。
 いちばん得をしたのは竹刀で叩かれる実咲だった。ディルドに比べれば細いが、柄の部分の滑り止めはじゅうぶんにざらついている。逆に割りを食ったのは芽美だろう。三日前には処女だった彼女も、膣性感のとばくち(ヽヽヽヽ)くらいには立っている。
 すぐに二人が戻って来た。六尺褌一本の裸形が、気合を示していた。妙覚は長さが三メートルはあるブルウィップを丸めて持っていた。釈覚のほうは、いっそう凶悪な鞭。蕾に使われる予定のバラ鞭に似ているが、もっと長いし、結び玉ではなく金属の棘が植えられていた。
 それを見て、さすがのゆかりも息を呑んだ。
「こんなこともあろうかと――というやつじゃな」
 本来は時代劇で使われても不自然ではない科白だが。あれこれのアニメのマッドサイエンティストや整備技術者が口にするシーンが、どうしても頭に浮かんでしまう蕾だった。
 しかし、まさしく。ブルウィップはともかく、金属棘のバラ鞭など、本物の拷問でもない限り使われるはずのない凶器だった。
「では、祓行を始めようかの」
 あらためて、先達ひとりずつが修業尼の前に立った。ゆかりの前には、ブルウィップの妙覚。釈覚は斜め後ろへまわった。
「よろしいかな。一句に一発ですぞ」
 釈覚は鞭を払子(ほっす)のようにかまえて、お経を唱えだした。
「カンジーザイボーサッツ」
 尻上がりの語尾に合わせて、八人が鞭をふるった。
 バシイン!
 バチャッ!
 パアン!
 ビッシイイイン!
「きゃああっ……」
 悲鳴をあげたのは芽美だけだった。
 乳房全体をバラ鞭で薙ぎ払われた蕾は、半ばは意志でこらえたが、息が詰まって悲鳴を封じられたのもたしかだった。激痛が乳房全体で爆発すると同時に、結び瘤が肌をこする鋭い痛みも奔った。
「ギョージンハンニャーハラミタージッ」
 バッシインン!
 ビジュウウッ!
 二発目は、一発目よりもはっきりと痛みが強かった。
 芽美を打ち据えている英学が、後ろへまわった。それを見て、蕾の正面にいた晴学も、尻を叩く位置へ移動する。
「ショーケンゴーオンカイクウッ」
「あがっ……」
 ゆかりがひと呼吸遅れて呻いた。長いブルウィップが胴を巻いて、肌をこすりながら引き戻されるタイミングで、ついに釈覚の金属棘鞭が尻を叩いたのだ。
 ゆかりの尻は一発で鮮血に染まった。
 さらに釈覚は凶器を振りかぶり、妙覚は逆に長大な鞭を真後ろへ這わせた。
「ドーイッサイクーヤック」
 ブルウィップが地を奔って、脚の間で跳ね上がった。
「ぎゃあああっ……!」
 前門を鞭で深々と切り裂かれ、さらにこすり上げられて、ゆかりが絶叫した。
 釈覚が左手を上げて、妙覚に合図をして。
「シャーリーシイッ」
 今度は釈覚が右手を跳ね上げて、後門から前門まで、一気に薙ぎ払った。
「ぐがっ……」
 がくんと身体が崩れて、吊るしている縄が反動で揺れた。
 蕾の前の晴学も、バラ鞭を下手にかまえる。
「いやあ……お股は赦してよお」
 芽美が泣き声で訴える。
「ごく軽くだから」
 英学が気の毒そうに答えた。興味半分で野乃花に連れてこられた彼は、まだ『SMプレイ』の感覚から抜けきっていないようだった。しかし、股間打ちの構えはそのままなのだから、着々と逆調教の成果はあがっているというべきだろう。
「シキフーイークウッ」
 鞭の音と数人の悲鳴が交錯する。蕾は、股間から脳天まで突き抜ける衝撃に耐えた。
 悲鳴をこらえるべきか、素直に吐き出すべきか、蕾は迷っていた。泣き叫べば、すこしは手加減してもらえるように思う。けれど、百万円を払い休暇をやりくりしてまで参じたサディストばかりだ。かえって嗜虐の血を沸かせる結果になるかもしれない。
 だいいち。手加減してもらいたいのか、ゆかりみたいにズタボロにされたいのか、自分の気持ちがわからなかった。
 いずれにしても、そんなことを考えてしまうのは、悦虐にしても哭虐にしても、まだまだ没入はしていない――と、それもわかっている蕾だった。
 十発あたりで実咲と野乃花も悲鳴をあげ始めた。それにつられるように、蕾も泣き叫んで。黙然と修業に耐えているのは、麻凛と円花と菜穂子の三人になった。
 苦痛系は苦手だと言ってるけど、わたしなんかよりずっと耐性がある。さすがは先輩だと、感心してしまう蕾だった。先輩のようになりたい――とは、思わなかったけれど。
 その麻凛も、さらに五発ばかり股間を狙われて、クリトリスを直撃されると盛大に悲鳴をあげた。
 蕾もそうだが。一度でも叫んでしまうと歯止めが効かなくなる。
「きひいい……痛い! ひぎゃああっ……!」
 しかし、赦しを求める言葉はついに吐かなかった。
 二十発を越えたあたりで、釈覚は誦経を中断した。
「では、交替せよ」
 見学にまわっていた五人の先達に、二人の平僧侶が加わった。
 釈覚は本堂へ戻って、僧衣に着替えてきた。もはやゆかりは、乳房も尻も脇腹もギザギザの裂き傷で埋め尽くされ、血まみれになっている。
 待たされているあいだ、蕾は鞭の余韻にたゆたっていた。じんじんと火照っている肌に寒風が吹きつけて、むしろ心地良い。初心者の芽美は――さんざんに泣き喚いた子供が、半ば放心しながらすすり泣いているよな、そんな印象だった。
 もうじゅうぶんに鞭打たれたと、蕾は思う。一発一発が、高山社長のベルト鞭はずいぶんと手加減してくれていたのだと思い知るほどに強烈だった。このまま女人房へ帰してくれたら――悦虐に浸れる余地もあるのだけれど。鞭の打ち手が交替したということは、すくなくともこれまでと同じだけは責め続けられるのだろう。蕾は甘い絶望を噛み締めていた。
============================================================
むちびしばし

 悦淫こと[ゆかり]をズタボロにし過ぎました。
 八人の修業尼のうち七人は夜の座禅会を免除して、ひとりだけあっさりと気絶したおかげで肌が裂けていない芽美を16人がかりで(3人ずつ)7、8回もマワそうということになります。
 ヒロイン(蕾)視点なので、夜のしじまを破って聞こえてくる悲鳴の描写だけです。それも、たいていの場合は口もふさがれているので、男たちが交替するわずかな時間にしか、泣き叫ぶことも許されません。


============================================================
 真冬の山中には、虫の声も獣の気配も無い。寒いのを我慢して窓を開けておけば、芽美が本堂で泣き叫ぶ声がかすかに聞こえてくる。もっとも、常に口もふさがれているのだから、男たちが交替するわずかな時間にしか、悲鳴もあげられない。
「自分からなんて、できません!」
 座禅転がしに掛けてしまえば、三穴同時は困難だ。縛られているかどうかはわからないが、騎乗位を求められての拒否だろう。
 パシン、パシン。
 バシン、バシン。
 音の質感から推測すると、最初は頬へのビンタ。つぎが乳ビンタだろう。
 そこで音が聞こえなくなって。
 三十分ほども経った頃に。
「いやあっ……もう赦してえ!」
 泣き声混じりの悲鳴は、時間経過から考えて、たぶん三巡目あたりだろう。
 さらに一時間ちかくが過ぎたころから、悲鳴はよがり声になっていった。
「うああああっ……ああ、むぶう」
 口を犯される合間に絶叫しては、また突っ込まれる。それが繰り返された。
「うああああああああああああっ! 壊れちゃう壊れちゃう……壊してえええええ!」
 その絶唱がフィナーレだった。
 もっとも、アンコール(?)が繰り返されたのだろう。意識が朦朧としている蕾が女人房へ投げ込まれたのは、さらに三十分以上が経過してからだった。
 芽美は壊れた人形みたいに床に転がって。仏像のような神秘的な微笑を頬に浮かべていた。
 自分もこんな経験をするときがくるだろうかと、蕾は考えて。あるに決まっていると、断定する。このままSMツアー社に勤めて裏添乗員を続けているなら。もっと凄まじい快楽も残虐も悦虐も哭虐も恥辱も――たぶん、ふつうの女性が一生に体験する何十倍も何百倍も。
 蕾は明日の修業を心待ちにしながら、雲の中を下へ下へと落ちていくような眠りに吸い込まれていった。
============================================================
 芽美も蕾も、たいへんに幸せな展開ですねえ(でしょ?)
 ところで。書いているうちにというか、書き始めたときからわかっていましたが。似たような名前が多いですね。
 円花と野乃花、しかも花つながりで、蕾と芽美。
 マゾのツボミ(真園蕾)というのも、遊びが過ぎるような。
 筆者の中では、漠然とですが名前の字面と性格付けが関連しています。
 2019/11発売の『火竜と翔けたアクメの空』のヒロインは、アンナ・シュライバー。以前の『突撃! 戦車娘』がエルザ・シュライバー。面倒いのと面白いのとで、先に国民的アイドルにしてヒロインになったアンナに、実は祖父が従兄弟同士だったというエルザからファンレターが来るシーンで尺を稼いだりしています。


 閑話も本話も終題です。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:寒中座禅(転がし)修業



Progress Repot 1+ →

 今さらですが。書き進めるうちに難しい問題が出てきました。
 筆者の基本パターンは、「被虐願望/素質」のある少女が「不本意に虐待されて」「ついには悦虐に目覚める」というものです。
 被虐願望を自覚どころか実践までしている女性というのは、『SMツアー』が初めてじゃないでしょうか。
 『ロリマゾ』は、ヒロイン年齢が若いし、一人称なので、処女ゆえの妄想暴走で(筆者の内部では)整合性に問題が無かったのですが。
 『女囚性務所』では一般服役囚が被虐願望濃度を薄めてくれたし、『ドンキーガール』はヒロイン1人に焦点を当てていたし『海女と鮑と褌』とにも、ただの援交金好女もいましたが。
 今回はSMツアー客4人と裏添乗員2人、一般参加者2人。合計8人が筋金入りのマゾ女です。約1名だけ、妄想暴走処女も混入していますが。被虐願望濃度がK点超えです。
 書くうちに、マゾ女同士がマゾ度を競い合うような展開になってきました。
 第3章『滝行』からの抜粋です。

========================================
「きみには、特別の修業をさせてあげよう」
 妙覚が、菜穂子の修業衣を引き剥がした。後ろ手にねじり上げて、手練の早業で縄を掛けていく。胡坐を組ませて足首を縛り、前へ倒す。
「ちょっと面白い玩具を見つけましてね」
 妙覚がたもとからフィギュアのような物を取り出した。手の平に乗るサイズで、サソリのような恰好をしている。
「幻児向けの玩具ですが、水に浸けると五倍くらいに膨れるのですよ」
 男たちに見せて。もうひとつ、蛇のフィギュアも取り出した。
「こちらは比較用です。試してみましたがね。いったん膨張してしまうと、軽く握ったくらいでは吸収した水を絞り出せません」
 上向きに晒されている菜穂子の股間をゴム長靴の爪先でつついたり、靴底で踏みにじる。
「ひどい……それを、わたしの中に挿れるんですね」
 菜穂子の口調からは、非難ではなく被虐への期待が聞き取れた。
「最初から圧力をかけていれば、そこまでは膨張しないと思う。実験はしていないがね」
 じゅうぶんに潤った淫穴に、妙覚がサソリのフィギュアをねじ込む。あふれた淫汁を指で掬って後穴になすりつけて、こちらにはアナルディルドを押し込んだ。長いコードが延びて、家庭用血圧計みたいなディスプレイにつながっている。上段の数字は107、下段は38.2。
 座禅転がしに掛けたまま、股縄も施す。フィギュアが抜け落ちないように尻尾を両側から挟んだが、それほど厳しく締め付けなかったのは、膨張を妨げないためだろう。
「お手数ですが、こいつ水に沈めてください」
 菜穂子は両側から抱え上げられて、善学と遊学、二十代の二人の手で川へ運ばれた。ゴム長靴が水没しないぎりぎりの深さまで運ばれて、滝壺に向かって放り投げられた。
 大きな水しぶきがあがって、菜穂子の全身が水中に没した。
 釈覚が水中から引き起こして、そこに、これも褌一本の姿になった妙覚が加わる。修業壇の水中に没しているあたりに植えられているフックからロープを伸ばして、水に流されないように菜穂子をつなぎ留め、首縄の長さを調節して、喉まで水に浸かる角度に固定した。
「なんじは、皆の滝行が終わるまで、そこで座禅を組んでおれ」
========================================
 菜穂子は第1話「ドンキーガール』のデブス大年増です。ポニー牧場で使役ロバとして重労働に明け暮れ、栄養バランスのとれた「餌」のおかげもあって、ウエストのくびれも形成されて、ぽっちゃり系の熟女グラマーにまで変身しています。本作品でも、修業尼としてだけでなく、使役奴隷/下女としてこき使われることを本人が希望した――という設定です。

ryoujyuku085004.jpg

========================================
 釈覚に向かって金切り声で叫んだ。
「あなたたちも滝に打たれてみなさいよ。女王様だって、限界を身体で学ぶために、最初はマゾ嬢で修業するんだから」
 わざわざサディストを挑発するような言い方をしている――と蕾が思ったのは、間違っていないだろう。円花は女囚性務所でも敢えて反抗的な態度をとって、懲罰を受けていた。
 釈覚と妙覚が、顔を見合わせた。困ったり怒ったりしている表情ではなかった。
「よかろう。なんじの修業は免除してやろう」
 言い分が通ってしまって、円花がぽかんとした。のは、一瞬。
「なんじには、師に逆らった懲罰を与えることにする。おい」
 朴念と訥念が、円花を焚火の前から引きずり出そうとする。
「厭だっ……!」
 正面に立った朴念の股間を、円花が蹴り上げた――が、弱々しい反撃は腕でブロックされた。
「懲罰の追加じゃな」
 力ずくでひざまずかされ毛布を剥ぎ取られた円花の背後に、妙覚が縄を手にして近づいた。菜穂子を縛ったと同じ荒縄だった。
「厭だ、縛らないで……やめて……くううん」
 妙覚の手練で、拒絶の声がじんわりと蕩けていく。
 あの人の縄に陥落しないマゾ女性なんて、いないのではないだろうか――と、蕾は思う。『試練の石段』を登るときに縛られた感触を思い出すだけで、腰の奥がじんわりと熱くなってくる。
 観念したのか縄に酔っているのか、円花は妙覚に引かれて素直に川へ足を踏み入れた。
「ううう……冷たい」
 その声までも、どこか艶めいていた。
「なんじらも、とくと入水せよ」
 釈覚は、ニュウスイではなくジュスイと言った。古風な言葉づかいにこだわっている男だ。水責めで逝けるくらいのマゾになれという意味だと、蕾は解釈した。
 修業壇に向かって水中を歩きながら、目の端に動きを感じて、そちらを見上げた。滝の左側から太い松の枝が伸びている。そこに朴念がとりついていた。妙覚が緊縛に使ったのよりも太い荒縄を二重にして、枝に巻いている。
 たいがいはペアで行動している相方の姿を求めてあたりを見回すと。対岸の松によじ登っていた。同じ荒縄を、こちらは幹に巻いて、端を滝壺へ投げ落とした。
 妙覚と釈覚が、円花を右の修業壇に押し上げた。妙覚が先に上がって。両側の松から垂れている荒縄を、足を投げ出す形に座らせた円花の左右の足首に何重にも巻き付けた。
 準備が整うと、釈覚も上がってくる。二人掛かりで円花の裸身を持ち上げて。
「いくぞ――せえのお」
 掛け声とともに、壇上の二人が円花を押し上げ、樹上の二人が縄を引っ張る。
「え……きゃああああああああっ!」
 開脚して逆さ吊りにされる円花。
 縄の張りが調節されて、円花の裸身は左右の修業壇の中間にきた。落下する水が股間を直撃する。
「ひいいいいい……痛いっ、ぶはああっ」
 水を吸い込んで口を閉じたが、水流は容赦なく鼻の穴から押し入ってくる。円花は咳き込みながら頭を左右に振り、もたげたりのけぞったり。窒息しないくらいには息ができているようだった。
「さあ。なんじらも修業を始めよ」
 蕾とゆかりが、左右に分かれてコンクリートの台座によじ上った。
「お願いがあります」
 ゆかりが坊主頭に向かって、声を張り上げた。
「あれでは円花……花淫さんが溺れてしまいます。お慈悲を掛けてやってください」
 釈覚に合わせて、古風な言葉づかいになっている。
「身分をわきまえぬ申し状じゃな。なんじも懲罰を受けたいか」
 ゆかりの返事は、蕾の予想もしていなかったものだっか。
「はい。うちも花淫さんと同じように――向かい合わせにして吊るしてくださ。そしたら、顔に掛かる水が減ります」
 スキンヘッドを志願したくらいだ。円花さんを思いやってというよりは、自分も同じように責められたいのだろうと、蕾は判断した。わたしも志願しなくちゃいけないかな――ちらっと考えたが、やめておいた。ふたりはじゅうぶんに被虐の道へ踏み込んでいるから、ガイドとして導いてあげる必要はない。それに、三人では向かい合わせに吊るせないから、かえって顔に水が掛かりそう。というのは、ほとんど言い訳だったが。
 いったん円花が下ろされて、あらためて二人一緒に縛り合わされた。
「ごめんなさいね」
「ええんよ。一緒にうんと厳しく罰してもろおうやん」
 水音に混じって聞こえてくる会話に、蕾まで腰が疼いてしまった。
 二人がY字型に吊り上げられて。その横で蕾が――二人に負けないくらいに開脚して、これは懲罰をうけるかなと、半分怯えて半分期待して。印を結ぶ代わりに両手で乳房を揉みしだいた。
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」
 宗派が違うと分かっていて、わざと念仏を唱えてみた。
 わたしって、自分で思ってるよりも被虐願望が強いのかな。そんなことを考えているうちに、蕾の二度目の滝行は終わった。
========================================

 円花は、本文中にあるように頭抜けたハードマゾです。
 責めの内容は、いまのところPLOT通りですが。
 真園蕾の独白/心理描写が、予定外に増えています。
 彼女は、ハードのマゾの素質はじゅうぶんでも、本格的な調教を受けたのは、SMツアー社入社半年後に裏社員への配転適性試験を高山社長(アシスタント:西川麻凛)から受けた1回(数回にしようか?)きりです。
 筋金入りのマゾのお姉様方(彼女は20歳。年下は妄想暴走処女の芽美ひとりだけ)の薫陶を受けて一人前のドマゾに性長していくという、ビルドゥングス・ロマンになりそうな予感です。いや、ロマンでなくて弄瞞ですね。

 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1+:寒中座禅(転がし)修業



中断前のレポート→

 紆余曲折して閑話休題で。結局、書き直しです。
 「座禅」は通俗表記で「坐禅」が正しいのだそうですが、だからこそ、タイトルは「座禅」にしましょう。

 最初から書き直しています。
 ここでは抑えて、だんだん盛り上げて――とか、計算しないでもないですが。それでは、書いていてつまらない。売れ筋(NTRとか催眠とか)無視して、書きたいものを書くという本道(?)に立ち返って。
 すると、過去作と同じシーンになったりします。というか、過去作と強引に連携させてしまったり。

 書き直しの冒頭部です。


========================================
「ここは、かつて、女人禁制の修験場であった」
 釈覚が奇妙なことを言いだした――と思った者は、ひとりもいない。SOSツアー客も予備知識を教えられていたし、二組のカップルも古武術研究会の会員だった。
「この石段を上がろうと試みる女は――」
 急角度に立ち上がった石段を釈覚が振り返った。一段ずつの高さが五十センチほどもある。駅など公共の場の階段なら、三段飛ばしにも相当する。
「縄で胸をつぶし、股間に疑似陽根を作らねばならなかった」
 疑似陽根がWディルドを意味するのなら、ツアー参加者の君島芽美には途方もない試練になると、蕾は懸念した。彼女は、まだ在校中の処女なのだ。
「さすがに、女性の人権も多少は配慮されるようになってきた昨今では、そんな無茶も要求できん。俗世の穢れさえ落とせば、それで善しとしておる」
 麻凛と蕾を含めてSOSの六人は、釈覚の言葉の意味がわからなかった。全裸で座禅をさせられて、姿勢を正すという名目で緊縛されて座禅転がしにかけられて、野外でも修業させられるとしか教えられていなかった。あとは、現地での(マゾ女性にとっては)お愉しみということだ。
 カップルで参加している二人の女性が、それぞれに服を脱ぎ始めた。三十路前後のぽっちゃりした女性は、目の前に居並ぶ男たちに正面を向けたまま、ゆっくりと。二十代半ばのスリムなショートボブは、パートナーに向き直ってから、テキパキを超える早さで。
「なにをしておる。なんじらも、俗世の穢れを落とすのだ」
 釈覚に叱られて、蕾はいそいでコートを脱いだ。股下ゼロcmのミニワンピを寒風が吹き抜けて、パンストなんて野暮なものは穿いていない生足に鳥肌が立った。
「覚悟を決めましょう」
 麻凛にうながされて、SOSの四人も脱ぎ始めた。
 そうか。常に顧客のことを考えなければいけないんだ――と、そこに気づくだけの余裕は、まだ蕾には残されている。短大を卒業して就職したばかりの蕾には、自分の被虐を悦虐に変えるのが、やっとだった。今の麻凛と同じ歳になる三年後には、先輩に追い付いているだろうか。いや、こんな『仕事』をそんなに長く続ける自信すら無かった。
 蕾と麻凛は気合のはいった露出服を着ているが、四人はまちまちだった。
 図抜けて最年長の木島菜穂子は地味なパンツルックで、防寒対策もじゅうぶんだったが――ショーツを落とすと、見物している男性陣がどよめいた。
「あれ、タトゥか。ずいぶん目立つな」
「いや、焼き印じゃないのか?」
 菜穂子の下腹部には、SLAVEの文字が刻まれていた。文字を囲んで、ショーツでぎりぎり隠れる大きさの逆三角形。薄赤い線刻が、はっきりと盛り上がっている。この夏にポニーガール牧場で使役ロバとして酷使され、最後の日に本人の希望で刻まれた焼き印だった。
 個別企画のツアーで女囚性務所に服役していた林円花は、ごくふつうに膝上十センチのツーピースだったが、その下にはなにも着けていなかった。
 SOSに初めて参加した二十五歳の小室ゆかりは、蕾以上に大胆なコスチュームだった。膝丈のファーコートの下は素裸だったのだから。
 最年少の君島芽美へのどよめきが、じつはいちばん大きかった。なにしろ、コートの下から現われたのはセーラー服だったのだから。しかも、ほかの女性たちが全裸になっても、ようやくスカートを脱いだところだった。男たちの視線を一身に集めて、芽美は指先を震わせながら、それでもためらったり羞ずかしがったりは、内心はともかく素振りには表わさずに脱衣を終えた。
「ふむ……」
 身をこごめて両手で自分を抱いて寒さに震えている八人の女性たちを、釈覚が見回して、ことに蕾と麻凛に目を留めた。
 この二人がガイド役として、みずから率先して被虐に身を晒す立場にあると、主催者側は知っている。
「どうじゃ。なんじらは、古法に則った試練を受けてみるか?」
 いくらツアーコンダクターでも、そこまで『お手本』を示す気にはなれない。グルメツアーだって、添乗員やガイドは別室で質素な食事ですますことも多い。
「お願いします」
 それなのに、麻凛は躊躇しなかった。となると、蕾としても志願せざるをえない。
「よい覚悟じゃ。では妙覚殿、お願い致す」
 マイクロバスの運転をしていた男が、縄束を手にして麻凛の後ろに立った。釈覚と同年代で、髪を凍頂で短いポニーテールのように結っている。
 妙覚と呼ばれた男が、麻凛の両手を後ろにねじ上げて、手首を縛った。
「手を縛るんですか?」
 縄は乳房をつぶすためのものだと思っていた蕾は、予想外の展開に驚いた。
「縄を掛けるときに手首を縛るのは、緊縛の常識だ」
 たしか、高山社長もそんなことを言っていた。緊縛の第一の目的は、相手の自由を奪うことだ。そのうえで、苦痛を与えたり見栄えをよくするための縄を存分に掛ける。手が自由なままで拮抗縛りなど、本末転倒だ。それは、蕾にも納得できる理屈というか、緊縛の美学だった。けれど、今は乳房をつぶすことだけが目的のはずだ。
 もちろん、蕾も麻凛も抗議はしない。なにかと口実をもうけて女性を甚振るのが、サディストの常套手段であり、マゾ女性としても、そのほうが受け容れやすい。
「さあ、プレイを始めよう。縛るよ」
 では、まさしくプレイでしかない。そんなものを、SOSの参加客は求めていない。
 妙覚は、あっというまに麻凛を高手小手に縛り、上下の胸縄で乳房を絞り出しておいてから、縦横に縄をめぐらせて、乳房をつぶした――というか、ボンレスハムのようにしてしまった。
「くうううう……苦しい」
 呻く麻凛の声には、すでに悦虐の恍惚がひそんでいる。
 麻凛の腰に縄が巻かれた。上体を縛った麻縄ではなく、毛羽立った荒縄だった。蕾が予想したとおりに、二重にした荒縄で大きな結び玉が作られて、麻凛の股間に埋め込まれた。
「きひいいいい……」
 股間に通された縄を後ろへ引き上げられて、食いしばった歯のあいだから悲鳴が漏れる。しかしそこにも、陶酔が紛れていた。
「あの……ペニスは作らないのですか?」
 釈覚は疑似陽根と言っていた。
「これが睾丸に相当する」
 股間を深く割っている結び玉を妙覚が揺すって、麻凛を呻かせた。
「陽根は睾丸の上にある」
 妙覚は縦縄を左右に割って、クリトリスを摘まみ出した。すでに尖っている小さな器官の包皮を剥けば、ミニサイズの亀頭に見えないこともない。それをタコ糸で縛って引き伸ばし、根元を二本の荒縄で挟みつけた。最後に、クリトリスを縛ったタコ糸で荒縄を巻いて、引っ込まないようにした。
「生身の女体から男根を引き出す秘術は、古武術研究会百年の伝統だ」
 妙覚が蕾を振り返った。
「さて、つぎはきみの番だよ」
 被虐の場でサディストから『きみ』と呼ばれることに、蕾は軽い違和感を覚えた。釈覚の時代劇めいた物言いは、おなじ違和感でも修業の場にふさわしい気もするのだが。
 両手を背中に高くねじ上げられて、手首を十文字に縄が巻いた。
(え……!?)
 きつく締めつけられているのに痛くなかった。胸縄も同様だった。息が苦しいほど締め付けられ、乳房を上下から縊り出されて、それが心地良かった。
「あう……くうううう……」
 麻凛と同じに、快感混じりの声が自然と口から洩れた。
 古武術研究会というのが、実は捕縄術と拷問術に特化していると、これも高山社長からのブリーフィングだが。たしかに、社長とは比べものにならない手際の鮮やかさだった。まるで縄に抱き締められているようだった。
 しかし、縦縄には蕩けている余地などなかった。結び玉に淫裂を割り開かれ、粘膜を荒々しくこすられて、びくんっと反射的に腰を引いた。赤く焼けた無数の針を突き立てられたとでも形容したくなる激痛だった。
 逃げた腰は、縦縄をつかんで引き戻された。
「痛い……すこしでいいから、緩めてください」
「甘ったれるんじゃないわよ」
 蕾は麻凛先輩に叱られた。
「クリちゃんを縛られたら、こんなものじゃすまないんだから」
「……ごめんなさい」
 内勤のときに優しく(ふつうの事務仕事を)指導してくれたときとは、まるで雰囲気が違っていた。もちろん、ふたり一緒にこういう『仕事』をするのは、これが初めてだったが。
 クリトリスを縄の間から引き出されて包皮を剥かれて。乱暴に扱湧荒れても、そこまではマゾヒスティックな快感のあったのだけれど。本物の陽根なら雁首にあたるくびれた部分をタコ糸で括られると、痛みと快感とが拮抗して腰の奥まで沁み込んできたのだけれど。
 タコ糸がクリトリスの上下で縦縄を結束すると、また灼熱した針で貫かれる激痛が甦った。
「そこに縦一列で並べ」
 そのわずかな移動が、蕾にとっては生まれて初めての試練だった。
「く、くううううう……」
 わずかに足を動かしただけで、敏感な粘膜が荒縄にしごかれる。こんな状態では、段差の大きな石段を登るどころか、平地を歩くのさえ拷問に等しかった。小刻みなすり足で動いて、蕾は列の最後尾にならばされた。
 麻凛が先頭に立たされて、その左右に二人の男が並んだ。男の腰にトラロープが巻かれて、二メートルほど伸ばして結び玉を作ってから、麻凛の腰に巻き付けられる。緩く二回巻いてから後ろで結び玉が作られて、一メートル半ほど空けて、麻凛の後ろに立つ菜穂子も同じようにつながれた。
 誰かが転んだときに転落を防ぐ命綱だと、蕾も理解した。
 添乗員ふたりが前後に配されて中の六人は――木島菜穂子、畑田美咲、島野乃花、小室ゆかり、林円花、君島芽美。歳の順に並ばされていた。
「では『試練の石段』に挑んでもらおう。どんなことがあっても落伍などさせぬから、そのつもりでおれ」
 ジャララン、バシンッ!
「きゃあっ……痛いっ!」
 不意に尻を叩かれて、蕾が悲鳴をあげた。振り返ると、浅黄色の僧衣をまとった若い男が、先端に金属環の装飾(?)を施した杖を手にしていた。
「このように、まさしく鞭撻してやる」
 同じ姿をしたもう一人が、列の横に立った。同じように、杖を持っている。
「さあ、前へ進め」
「あの……荷物は持たなくていいんですか?」
 木島菜穂子が尋ねた。何百キログラムもあるリヤカーを膣だけで牽引していた彼女なら、スーツケースを持って石段を上がるくらい、苦にもならない――すくなくとも本人は、そう思っているのだろう。
「まとめて運んでやる」
 釈覚が駐車場の隅を指差した。
 駐車場には蕾たちが乗ってきたマイクロバスのほかに、他県ナンバーの自家用車が二台と、地元ナンバーの軽トラックがあった。そして釈覚の指差した先には、オートバイに牽引された細長いリヤカー。その荷箱に、全員の荷物が積み込まれていた。
 五泊六日とはいえ、替え上着も下着もメーク用品も不要なのだから、女性たちは小さなスーツケースがひとつだけという身軽さだった。むしろ、二人の荷物のほうが大きく、畑田美咲のパートナーだか御主人様だかにいたっては、スーツケースのほかに大型のトランクまで持ち込んでいた。どうせ中身は自前の縄とか鞭とかがぎっしりなんだろうと、蕾は想像した。
 麻凛と蕾を緊縛した妙覚が、駐車場奥の、一見しただけではそれとわからない出入口を開けて、オートバイで(ゆっくりと)走り去った。防寒作務衣を着た男のひとりが、出入口を閉めると、そこはどう見ても、ただの鉄柵でしかなくなった。
 ふたたび釈覚にうながされて、麻凛が石段に向かう。麻凛は前に並んだ二人の男に引っ張られる形で、いやおうなく――小さな歩幅でちょこまかとついていく。
「く、くうう……」
 呻きながら大きく足を上げて、最初の一段を上がった。そこで両足をそろえてから、つぎの一段に挑む。
 後ろの女性たちは、背を丸めた姿勢で両手で胸を抱きながら、こちらは苦も無く五十センチ以上の段差を踏み上がっていく。
 そして、蕾も石段に直面した。
 ぐっと足を上げると、股間に灼熱が奔った。クリトリスに突き立った毛羽が、粘膜を引っ掻く。
「ぎいいいい……」
 脳天まで激痛が突き抜けて、目の前がかすみ、ふらあっと後ろへ倒れかかった――のを、横についていた作務衣姿の男が抱きとめてれた。
 ジャラン、バシンッ!
 杖で尻を叩かれて、おもわず腰を前へ逃げて、そうするとクリトリスにいっそうの激痛が奔った。
 蕾が見上げると、麻凛はゆっくりとだが、一段ずつ踏みしめて登り続けている。苦痛系が苦手だと言っていたけど、それならわたしは超絶に苦手だ――そんなふうに思った。
 が、立ち止まっていることは許されない。腰に巻かれたトラロープがぴいんと張って。すぐ前にいる君島芽美が立ち止まって、心配そうに振り返った。
 添乗員が顧客に迷惑をかけるなんて、あってはならないことだと自分を励まして、蕾は激痛に呻きながら、つぎの一段を上がった。
「くうう……ふう……くうう……」
 一段上がっては両足をそろえて一息ついて、それから次の段を上がる。
「きひいいい……痛い痛い痛い」
 麻凛の艶めいた悲鳴が聞こえた。蕾にとっては快感の余地などない女性器への激烈な刺激にも、麻凛は悦虐を味わっている。
 石段に目を落として、一段また一段と、蕾は登っていった。五十センチ以上の段差を乗り越えるために足を大きく上げると、結び玉がこねくられ毛羽がクリトリスを突き刺して、激痛が脳天まで突き抜ける。踏ん張って身体を引き上げるときも、脚の動きが縦縄を引っ張る。
 じきに、蕾は呻き声をあげなくなっていた。繰り返される劇痛に、神経が麻痺したような感じだった。と同時に。頭の奥がじいんと痺れてきた。自分が自分でないような、かといって別の視点から自分を観察している離人感とも違う――不思議な感覚だった。性的な快感は伴っていないが、この状態がずっと続いてもかまわない気分になっていた。
「よおし。みな『試練の石段』を登りきったな。得度を許すぞ」
 釈覚の大声で、蕾は我に還った。山の中腹を切り拓いたにしては広い境内に立っていた。
 ほんとうに凄まじい試練だった――と自分を褒めかけて、ほんとうの修業(被虐)は、これから始まるのだと思い出した。恐れおののいたのでは、ない。その証拠に――クリトリスがいっそう凝って、タコ糸が食い込む痛みが、もはや快感になりかけていた。
========================================

 この『善羅参禅会』を主宰しているのは「古武術研究会」ですが、この会は明治末期から連綿とではなく断続的に続いているのです。同じく、古武術研究会が、この寺(物語の最後まで無名でしょう)を舞台に百年の昔に繰り広げた少女虐待絵巻もご紹介しときます。
『大正弄瞞~義理の伯父と継母と異母兄に淫虐三穴調教される箱入り娘』の終局近い章です。


========================================
 山伏姿の中年男が二人とジャンパーを着た若い男とが、佐江たちを迎えに来ていた。
彼らに案内されて山道を一時間も歩くと、注連縄で結界の張られた場所に着いた。
「ここで素裸になって、足元も履き替えてもらおう」
 それが佐江だけに向けられた言葉だと、すぐ理解した。
(どうせ、こんなことだと思っていた……)
 また、見知らぬ男たちに辱められる。でも、お腹の赤ちゃん、ほんとうにどうするつもりなんだろう?
 コートのボタンをはずすと、全身が寒気に晒された。たちまち鳥肌が立つ。脱いだ服は本郷に取り上げられた。通学にも使う革靴を脱いで、山伏に教わりながら草鞋に履き替えた。
「本来ならば、この先は女人立入禁制の場である。せめて、形だけでも男性に作ってもらおう」
 山伏が荒縄を取り出しても、佐江は驚かなかった。胴に縄を巻かれて、息が苦しくなるほど乳房をつぶされた。縄は四重に巻かれて、乳首がそのあいだに挟まれた。寒さと毛羽のせいで、痛いほどに乳首が勃起した。胴を厳しく縛されながら両手は自由というのが、佐江にはひどく不自然に感じられた。
 山伏は荒縄を二重に折って、佐江の腰に巻きつけた。佐江はじっとしている。山伏の意図を察して、軽く脚を開いた。
「ふむ、馴れたものだな」
 山伏はへその下で結び留めると、まだ長い縄の途中に大きな結び玉を作った。
 佐江は両手で股間をくつろげて、花弁を左右に分けた。変な形に圧迫されると、内側の粘膜を刺激されるよりつらい。
 結び玉が股間に埋められて、縄が尻の谷間を引き上げられる。
「これが金玉の代わりじゃ。そして、これが――」
 山伏は、二本の荒縄のあいだから淫核を引き出した。縄に圧迫されて、自然と実核が突出する。荒縄の上下を凧糸で引き結ばれると、毛羽が粘膜に突き刺さってくる。
「くう、うん……」
 佐江は、初めて声を出した。最初からなまめかしかった。
「これが、魔羅の代わりじゃ。なかなか立派な魔羅じゃな」
「名前からして、『りっぱなサネ』ですからね」
 本郷の言葉に、佐江を除く全員が声をあげて嗤った。
「では、お嬢さん――ではなく、下女でしたな。下女一匹、たしかにお預かりしますぞ」
「厳しく仕込んでやってください」
 こうして、初めての土地で初対面の男たちに陵辱される一週間が始まったのだった。
 歩き始めて、佐江は股間の刺激の鋭さに困惑した。結び玉の圧迫には馴れていたが、荒縄の毛羽先に刺されながら歩くのは初めての感覚だった。脚の動きで花弁も毛羽に刺されたまま前後にこねくられる。ふつうの女だったら、その鋭い痛みに悲鳴をあげていただろうが――佐江にとっては受容の限界に収まるどころか、くすぐったさが混じり、実核への同じような刺激が重なって、蜜を結び玉に吸い込ませているのだった。
 山道をさらに登ると、周囲は白一色になった。佐江は寒さに震えながら歩いた。せめて両腕で身体を抱いてすこしでも寒さをしのぎたかったが、後ろを歩く男に錫杖で尻を打たれた。
「姿勢が悪い!」
 小さな鉄の輪が幾つもついた頭部は、鞭や棒とは違う痛さがあった。
 山伏が佐江の手を縛らず、身体を抱くことも禁じたのには、まっとうな理由があった。山伏の履く一本歯の高下駄は、歯を支点にして前か後ろを地に着け、斜面でもまっすぐに立てる。雪道でも滑りにくく、歯の間に雪が詰まることもない。けれど草鞋を履かされた佐江は、何度も足を滑らせた。とっさに手をつける体勢でなかったら、怪我をしていただろう。
 注連縄からさらに三十分ほど歩くと、見上げる首が痛くなるほどの階段で道が終わっていた。
「これを試練の石段という。女子供や、男でも身体の弱い者は登れぬ」
 山伏の言葉には説得力があった。石段のひとつひとつが、並の階段の三、四段分はあった。
「僕のすぐ後ろについて来なさい」
 ジャンパー姿の青年が先に立った。よっこらしょという掛け声とともに足を高く上げて、最初の段を上がった。青年は高下駄でも草鞋でもない、靴底の凹凸が大きな頑丈そうな靴を履いていた。これなら足を滑らしそうもない。
(ずるいな……)
 羨みながら、佐江は最初の段に右足を掛けた。グリンと結び玉が食い込んで、毛羽先が小淫唇の裏側を引っ掻いた。
「あ……ん」
 佐江は苦痛と快感とに同時に襲われて、足を引っ込めて腰を引いた。
「さっさと上れ」
 ジャランと鉄環が鳴って、バシンと尻に叩きつけられた。
「ひいっ……」
 佐江はもういちど試みて、身体を引き上げた勢いで左足を二段目に乗せた。最初に倍する足の動きで、苦痛と快感も倍増した。
「はあ……ん」
「そこで足場を固めてから、つぎの段にかかれ」
 佐江の後ろから登る山伏に教わった。けれど三段目で両足をそろえたら、錫杖で今度は太腿を叩かれた。
「子供みたいな上り方はするな」
 佐江は右足を上げて四段目を踏み、足首を左右にひねって雪を払ってから身体を引き上げて左足を五段目に乗せた。そこで、また雪を払う。
 白い息を吐きながら一段ずつ上るうちに、佐江は陶然としてきた。苦痛は依然として股間を苛んでいた。けれど快感は、それが薄れる前につぎの快感が積み重なっていく。錫杖で叩かれて仕方なくではなく――佐江はみずから望んで石段を上り続けた。
 ほとんど忘我の境で……足を滑らせた。横倒しになりながら、フワッと身体が浮いた。
「きゃああっ……!!」
 これまでに上ってきた高さが、佐江の脳裡をかすめた。転げ落ちたら大怪我、運が悪ければ死ぬ。
 ドン……背中が硬い物に突き当たり、軟らかく支えられた。山伏が二人とも佐江の後ろから上ったのには、こういう理由があったのだ。
「あ、ありがとうございます」
 山伏の腕に支えられながら、佐江は感謝の言葉を述べた。
「苦行を続けると、自我というものが消えて天地の心理に開眼する。早くもその一端に達するとは、良い素質を持っておるな」
 真面目くさった顔だが、山伏がからかっているのは間違いなかった。佐江の実核を指の腹で転がしながら喋っているのだから。さっさと上れと――佐江の身体をまっすぐ立たせてから、掌でポンと尻を叩いた。
 理性を保つために頭の中でAからZまでの英単語を順番に思い出しながら、股間の刺激はできるだけ意識から締め出して、佐江は残りの石段を上りきった。平らな地面を両足で踏みしめると同時に、佐江はクタッと腰を抜かした。
 山伏のひとりが佐江を立たせて、縄をほどきにかかった。
「女人禁制ではなかったのですか?」
 皮肉を言ってやったが、屁理屈で返された。
「試練の石段を上りきったのだから、おまえの修験場入りは神仏から認められたのだ」
 乳房の縄をほどいてから、山伏がニヤリと嗤った。
「しかし、おまえが気にするのなら、魔羅と金玉は残しておいてやろう」
(こういうのを、墓穴を掘るっていうんだわ)
 佐江は後悔したが、すぐに思いなおした。
(でも、少しでも隠しているほうが、ましかな?)
========================================

 同工異曲どころか、クリソツです。
 同じ作者が同じ妄想に駆られて書いているのですから、当然ですね。
 しかし。あの作品とこの作品。いろいろ絡み合わせられるのも、50本も書いてきた積み重ねでしょうか。
 新天地。未開拓の処女地――も、まだまだ視野に入れていますけれど。


SM(JAPAN)正統座禅転がし

 ふううう。久しぶりに書いた「進捗状況報告」でした。
 しかし。
 得度式(剃毛)とか、中二病的妄想に駆られて参加した処女の「修業の妨げになる障壁」を破るエピソードとか。
 70枚を超えて、まだ座禅を一回も組んでいないのです。
 まあ、座禅の前に滝行(寒中水責め)が始まったりしますけど。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1: 寒中坐禅(転がし)修業



 盆休み明けに着手して、一週間で(人物紹介とかは除いて)実質45枚。スローペースです。
 とはいえ、今年に入って完成原稿は3100枚ほどです。大昔にSFを書いていた頃は、年に200~300枚とかでしたから、フルタイム・サラリーマンとしては、たいしたものです。と自画自賛。


 今回は、初夜の参禅の様子など(書きかけですので)途中までご紹介。参加者の中には『女囚性務所』『ドンキーガール』『海女と鮑と褌と』に参加したマゾ女がいます。
 さらには。有髪の僧侶に扮した男は第八代目の『古武術研究会』会長です。『大正弄瞞』の重要人物の末裔です。あれこれ書いていると、いろいろと登場人物が絡み合ってきます。「鬼平犯科帳」と「仕掛人・藤枝梅安」と「剣客商売」みたいな……痛いッ! 石を投げないでください。


========================================
 本堂のまん中に八人が横並びになって坐禅を組む。胡坐になって足の甲を反対側の腿に乗せる。身体が固かったり極端な肥満はこれが難しいのだが、女たちは易々と結跏趺坐を組めた。手を使わないと結跏趺坐を解くのは難しい。だから『本格』の座禅転がしでは腕しか縛らないのだが、もちろん、全羅参禅会のやり方ではない。
「手は後ろに回して、反対側の肘をつかめ」
 エア緊縛などとは、釈覚は言わない。
「女人は欲が深い。せめて参禅中は、何も欲しがらぬという心を姿勢で示せ。両手を広げて何もかも掻き集めるとか、前で重ねて『お頂戴』の結界印など、もってのほかじゃ」
 女たちは素直に手を後ろに組んで、何をされるんだろうとワクワクドキドキ(芽淫だけは、ビクビクも混じっている)しながら目を閉じて迷想にはいった。
 釈覚と妙覚が警策(スパンキングのための細長い竹箆と思えばよろしい)を目の前に立てて、もっともらしく巡回する。
 十二人の行者たちは本堂の壁沿いに並んで、形ばかりの坐禅。二人の伴僧の姿は、この場に無かった。
 最初の五分は、なにも起きない。女たちはお預けを食わされた気分になりかけて。円淫が上体をふらつかせたのは、わざとだったろう。この女は女囚性務所でも、わざと看守に反抗して厳しい懲罰を受けている。
 妙覚が斜め前に立って、警策の先で乳房をつついた。
「えっ……?」といった顔をして、戸惑いながら腕をほどいて合掌した。そして、元の姿勢に戻る。
 妙覚が警策を野球のバットのように構えて、軽く振った。
 パシイン!
 肉を打つ音が本堂に響く。
「…………」
 円淫は顔をしかめたが――女囚性務所で受けた懲罰に比べれば、ちょっと乱暴な愛撫くらいにしか感じていない。
 釈覚が、男たちに向かって軽くうなずいた。
 十二人がそろりと立って、足音を忍ばせて女たちに近づく。
 近くにある小さな滝の音が轟々と聞こえるほどの静かな本堂の中で、人の動く気配に気づかぬはずもない。女たち裸身には、性的な興奮の兆候がはっきりと表われていた。
 八人の男が、ひとりずつ女の背後に立って、あぶれた(のではなく、むしろこちらのほうが愉しいかもしれない)四人は、若い芽淫、蕾淫、凛淫、悦淫の前にしゃがんだ。年齢的には三番目に若い円淫が外されたのは、肉体的特徴に乏しかったからだろう。なにしろ悦淫は坊主頭だし、凛淫は小淫唇と太ももを接着剤で貼り合わせられて、クリトリスの実核も剥き出しにされている。
 釈覚が目顔で合図して。背後の八人が一斉に女の乳房をつかんだ。
「きゃあっ……」
「ひゃっ……」
「痛いっ……」
 いちばん派手な悲鳴をあげたのは、数時間前までは処女だった芽淫だ。凛淫と淫爛は声を出さなかったでけでなく、身じろぎひとつしなかった。
 前に陣取った四人は、それぞれ無毛の股間に手を伸ばして。芽淫と蕾淫は指で穿ち、悦淫は大開脚した合間から顔を覗かせているクリトリスをつねった。小淫唇を太腿に貼り付けられクリトリスの包皮を剥かれて瞬間接着剤で固定されている凛淫の前にしゃがんだ男は、両手に隠し持っていた注射針を左右の小淫唇に突き刺した。
「ぎゃああああっ……やめて!」
 凛淫が本気で叫んで、目の前の男を突き飛ばした。
「喝ーッ!」
 待ってましたと言わんばかりに、釈覚が叱声を発した。
「ちょっと触られたくらいで大仰な悲鳴をあげ、あまつさえ修業を手伝ってくれおる行者を突き飛ばすとは何事じゃ」
 妙覚が麻縄の束を凛淫の前に投げ落とした。
「暴力をふるえぬよう、縛ってしまえ」
 妙覚が麻縄をしゅるしゅると引き伸ばした。あらかじめ七メートルずつに切られている一本を二つ折りにして、凛淫がいさぎよく(内心をときめかせながら)みずから後ろに回した手首に縄を巻いて、ぐいと引き上げた。じゅうぶんに吊り上げてから、縄を乳房の上に回す。
「あっ……んんん」
 凛淫の喘ぎ声は、すでになまめかしく湿っている。
 高山社長も緊縛の手際はそれなりに鮮やかで、彼の手で初めて縄酔いも体験していたが。妙覚の縛り方は次元が違っていた。縄そのものが意志を持ったように肌に絡みついて来て、厳しく優しく締め付けてくる。
 上乳を絞られただけで、頭に霞がかかって、腰の奥が熱く疼いた。下乳を縛られ、別の縄で首を巻かれ乳房の谷間を絞られ、両腋も留め縄で締めつけられたときには、男の精液にも似た本気汁で床をたっぷり汚していた。
 固唾を飲んで見守っていた男も女も、妙覚が立ち上がってから初めて、いっせいに息を吐いた。
「縄酔いくらいは見たこともあるが、ここまでドロドロになるとは、思ってもいなかった」
「ドライだが熱いというのが、いわゆる縄酔いですからね。これはもう、縄逝きですよ」
「さすがは八代目ですなあ」
 一般参加者十人のうち半数は古武術研究会の会員だから、妙覚が希代の捕縄術達者だと知っている。ネットで得々とテクニックを披露している縄師のたぐいとは格が違うのだ。
「それにしても……この淫核の膨れようは信じられんな」
 凛淫の実核は包皮を含んだ平常時の大きさの三倍ほどにも勃起して、深いルビー色に染まって、いや輝いている。
「針でつつくと、パチンと弾けそうだね」
「おお、そうそう」
 凛淫の小淫唇に注射針を突き刺した男が、懐から三本目を取り出した。
「こんなこともあろうかと」
 メタボ気味で巨根の純学は、くすっと(たぶんお義理に)笑った。あとの者は、この台詞がアニメ系のギャグだとも気づいていない。
 男が個別包装のパッケージを破って、小淫唇を縫ったのと同じ注射針を取り出した。
「いやああああっ! やめて! 赦してください!」
 縄逝きから醒めて、凛淫が悲鳴をあげた。苦痛に(マゾ女としては)弱い彼女は、洗濯バサミまでしか経験がなかった。この夏のピンク海女ツアーでも、芽淫と同い年の野々村早苗絵がワニグチクリップで責められ三十分以上も耐えさせられた姿を見て、股間を濡らしながらも心の醒めた部分は恐怖に縮こまっていた。
 一般的なSMの知識としては、針は貫通してしまえばそれほど痛くないと知ってはいたが、やはり自分の身体で実験してみる気にはなれない。
「まったくうるさい女だな」
 釈覚が僧衣をはだけて越中褌をほどいた。
「我が法力で黙らさてくれるわ」
 三尺の布を丸めて、凛淫の口元に突きつけた。
 さらに逆らって、拷問のあげくに力づくで猿轡をねじ込まれるまでには、悦虐の心境に達していない。凛淫は素直に口を開けて、布を頬張った。褌の紐で頬を縛られた。
「では、弾けるか弾けないか、試してみましょう。みなさん、がっちり保定しておいてくださいよ」
 結跏趺坐に組んだ膝を両側から足で踏みつけられて、背後の男に乳房を握りつぶされる。
「では……」
 男が焦らすようにゆっくりと正面から針を近づけて、ぐいっと押しつけた。
「んんんん……ん゙い゙い゙い゙い゙っ!!」
 実核が淫埠に押しつけられるまでも鋭い痛みはあったが、実際にプツッと注射針が突き刺さった瞬間には目の前が赤く染まり、股間から尾底骨まで冷たく鋭い衝撃が奔って、そのまま背骨を貫いて悩円まで突き抜けた。
 猿轡の中に絶叫を吐き出して、凛淫はガクッと頭を垂れた。気は失っていなかった。クリトリスを淫埠に縫い着けられて、しかし痛みは薄れていた。
 超絶的な激痛だったが、一瞬なら耐えられると、凛淫はぼんやり考えている。もちろん、ここに通電されたり炎で炙られたりピンクローターを吊るされたりといった『オプション』があるとは、SMツアー社の裏社員であれば当然に(?)知ってはいたが。まさか初日からそんな凝った責めまではされないだろうと、高を括っているところもあった。
 実際、凛淫の希望的観測どおりになった。
「いきなりで厚かましいお願いかもしれませんが、妙覚さんの緊縛術を教えていただけませんか」
 芽淫の『初めての男』になった俊学が申し出ると、何人もが賛同の声をあげた。
「喜んで。修業女どもを法悦協に導くのも私たちの務めですから――といっても、初対面の女を縄酔いまで追い込むのは無理でしょうが。無駄に締め付けて痛い思いをさせるのも可哀想ですしね」
========================================
追伸
「座禅」は「坐禅」に改めました。こちらが正しい表記だそうです。
雰囲気も[らしい]感じです。



00.jpg

高山社長と西川麻凛や真園蕾たちだけのシーン(があるかどうかは未定)では実名で書きますが全羅参禅会の場面では法名で通します。しかし、ふつうに漢字変換すると手間です。「さく」→「咲く」1文字BS 「咲いん」→「咲淫」
なので、全部単語帳に登録しました。作品を書いた後では邪魔になる読みもあるので(いんらん→淫爛)、あとで確実に削除できるよう、読みに「*」を着けておきました。
ついでに、SMX関係の登録単語も披露しておきましょう。『戦闘詳報』では、全登録単語の紹介をしていますが、まあなんとか差別化を図ってみましょう。



*いんらん    淫爛   名
*えついん    悦淫   名
*えんいん    円淫   名
*かいん     花淫   名
*しゃくかく   釈覚   名
*しょういん   咲淫   名
*とつねん    訥念   名
*ぼくねん    朴念   名
*みょうかく   妙覚   名
*めいいん    芽淫   名
*らいいん    蕾淫   名
*りんいん    凛淫   名    ここまでが『寒中坐禅(転がし)修業」の人名です。
あいど      愛奴   名詞
いれ       挿れ   一段動詞
いんかく     淫核   名詞   だいたい『陰○』はすべて『淫○』で登録しています。
いんぎゃく    陰虐   名詞   『陰性』『陰陽師』『太陰』『山陰』などは置き換えませんよ。
いんぎゃく    淫虐   名詞
いんぐ      淫具   名詞
いんけい     淫茎   名詞
いんしん     淫唇   名詞
いんのう     陰嚢   名詞
いんのう     淫嚢   名詞
いんばい     淫売   名詞
いんぷ      淫婦   名詞
いんぷ      淫埠   名詞
いんもう     淫毛   名詞
いんもん     淫門   名詞
いんれつ     淫裂   名詞
えいん      会陰   名詞
えいん      会淫   名詞
えつぎゃく    悦虐   名詞
えんぎ      艶戯   さ変 名詞
えんこう     援交   さ変形動名詞
おぼこ      未通女  名詞    「むすめ」とルビを振る場合もありますね。
おんな      妓    名詞
かぎゃく     加虐   名詞    非加虐的反応……??
かしん      花芯   名詞
きじょうい    騎乗位  名詞
きょこん     巨根   名詞
くめい      苦鳴   名詞
くんに      クンニ  さ変名詞  カカタナ変換で間に合うのに
けいけつ     経血   名詞
こういん     口淫   名詞
こういん     肛淫   さ変名詞  荒淫、光陰、工員、公印、拘引などはデフォルトにあります
こうかん     肛姦   さ変形動名詞
こうぎ      後戯   名詞
こうぎゃく    肛虐   名詞
こうはいい    後背位  名詞
こばく      固縛  さ変名詞
さいいん     催淫   名詞
さね       実核   名詞
しかん      視姦   さ変名詞
しゅうい     囚衣   名詞    一般名詞ですが、SMX御用達です
しゅうどう    衆道   名詞
しょうかん    娼館   名詞
しょうがくせい  娼学生  名詞
しょうばい    娼売   さ変形動名詞
じゅうかん    銃姦   さ変名詞  もちろんウソです。Fc2規制です。ちなみに仮名はOK
じゅうよく    獣欲   名詞
じゅぎゃく    受虐   名詞
じょいん     女淫   名詞
じょせいき    女性器  名詞   「おんな」+「せいき」でもいいけど、女世紀とか誤変換対策
すまた      素股   名詞
せいぎ      性技   名詞
せいじゅく    性熟   さ変形動名詞
せいじょうい   正常位  名詞
せいど      性奴   名詞
せいむしょ    性務所  名詞
ぜんぎ      前戯   名詞
そうきゅう    双丘   名詞
そけいぶ     鼠蹊部  名詞
そばめ      側妾   名詞
た        勃    た行五段
たけぐつわ    竹轡   名詞
たつ       勃つ   た行五段
だんせいき    男性器  名詞
ちきゅう     恥丘   名詞
ちじょ      痴女   名詞
ちもう      恥毛   名詞
ちょうちゃく   打擲   さ変名詞
ていもう     剃毛   さ変名詞
とさつ      屠殺   さ変形動名詞
としま      年増   名詞
にくぼう     肉棒   名詞
にくらい     肉蕾   名詞
にじゅうしょう  二重唱  名詞    『いじめられっ娘二重唱』で登録した方が手っ取り早いかも
にゅううん    乳暈   名詞
にゅうりん    乳輪   名詞
はずかし     羞ずかし形容詞    「恥ずかしい」との使い分けが難しい
はりがた     張形   名詞
ばいしょうふ   売笑婦  名詞
ばいた      売女   名詞
ひえつ      秘悦   名詞
ひがい      秘貝   名詞
ひこう      秘孔   名詞
ひしん      秘唇   名詞
ひにく      秘肉   名詞
ひぶ       秘部   名詞
ひれつ      秘裂   名詞
びちく      美畜   名詞
びていこつ    尾底骨  名詞    尾骶骨はデフォルトですが
ふたつ      双つ   助数詞
まぐわ      媾合   あわ行五段
またなわ     股縄   名詞
まら       魔羅   名詞
まんこ      マンコ  名詞    お遊びで登録したっけ?
みせいじゅく   未性熟  名詞
みつつぼ     蜜壷   名詞
むち       笞    名詞
むなじ      胸乳   名詞
むもう      無毛   名詞
やわにく     柔肉   名詞
ゆな       遊女   名詞
ようこん     陽根   名詞
ようぶつ     陽物   名詞
らじょ      裸女   名詞
れいじょう    隷嬢   名詞



追伸 2019/08/25 21:30
Progress Report後に書き飛ばして、本文62枚です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0: 寒中座禅(転がし)修業



 なにか書いていないと落ち着かないというのは、これはこれで病気ですね。
 SM小説執筆依存症、エロ駄文中毒。

 [SMツアー:貴女の妄想叶えます]EPISODE 5 『寒中座禅(転がし)修業』
 だいたいは出来ていた構想(責めの内容、展開)に登場人物を配していって。
 また、ちょっと遊びました。
 舞台は山奥の荒れ寺。いちおうは『参禅世界』という宗教法人が管理していて、年に4回の宿泊座禅転がしを催していて、冬は寒くて女の手配がつきにくいので、SMT社に依頼している。という設定ですが。
 この荒れ寺を『大正弄瞞』でヒロインが無茶修業をさせられて流産した、その寺にしました。主催者も同作品の狂言回しを務めた古武術研究会(古武術といっても捕縄術ばかり)の子孫が引き継いでいるとか。大正後期から昭和平成まで、復活して数年活動しては、また消えかけて――を繰り返して、実に百年の伝統を誇る女人虐待の宴。
 今回の参加者(の一部)のハードマゾぶりに感激した主催者が、古いアルバムを披露して。『大正弄瞞』のヒロインの写真もあって。
・昔は、ひとりかふたりの女を十人くらいで甚振っていた。(今回の企画は♀8×♂14)。
・被虐願望マゾ牝でなく、売られたり騙されたりした本物だった。当時でさえ非合法の年齢の少女も生贄にされていた。
 その話を聞いて、羨ましがる女とか。
 現代社会での企画(全羅座禅会:ぜんらざぜんえ)は、まったくの合法。
 修験道場という、一般人立ち入り禁止の私有地内で公園ワイシャツ罪も適用されず、参加者の最少年齢でも18。
 まあ、国内企画だと、仕方がないですね。


 では、PLOTを。作者の覚書ですので、内容があちこちに散らばっていたりも、いつものことです。

========================================

男は耐寒仕様作務衣。
女は平常は袖無半尻作務衣だけ。素足。食事と座禅は全裸。就寝はさまざま(連縛、夜通し貫通)
06:00 起床、排便、水行
07:00 作務(清掃、料理)
08:00 朝食
09:00 エロ作務
10:30 座禅(転がしあり) 一部男が昼食準備だったが、今回は菜穂子が中心。
13:00 昼食
14:00 野外修業/昇天修業/瞑想(放置)
17:00 作務(般若湯準備)
18:00 夕食
19:00 座禅・勤行(乱交)
22:00 消灯
5泊6日(男とペアは前泊)
寺は大正時代から数寄者が集っては、さびれ。さびれては復活。
『大正弄瞞』の寺 山伏の修験場だったが、今は宗教法人『参禅世会』。
仏教協会などには加盟していない。新興宗教扱い。

女:8人(単独参加者には20万円のギャラ。バイトとしては見合わない)
  SOS裏社員2人は、そのままギャラ。基本給も支給。
  ツアー参加者4人は半額が手数料。
男:寺側4人+ペアの片割れ2人+単独8人(高山含む)
SMT社としては紹介料90万円+手数料40万円。
高山の拘束時間を社長業務と考えれば大赤字。
凛淫[リンイン] 西川麻凛 (23)
          蕾のタチを装って監督指導(SOS参加者は知っている)
蕾淫[ライイン] 真園 蕾 (20)
          コンダクター(裏社員研修)
円淫[エンイン] 林 円花  SOS (22)派遣社員。高山がスカウトを試みる。
芽淫[メイイン] 君島芽衣  SOS (18)処女
悦淫[エツイン] 小室ゆかり SOS (25)SMを理解してもらえず破局の傷心参禅:剃髪を希望
花淫[カイン]  島野乃花  一般参加(26 パートナー:小出 聡) 野乃花が小出を逆調教
咲淫[ショウイン]畑田実咲  一般参加(29 パートナー:畑田勇太) 実は看護婦
爛淫[ランイン] 木島菜穂子 SOS (39)焼印のまわりは無毛

妙覚 弟子の身分だが、実質的な主催者。祖父が古武術研究会の運営者。
釈覚 住職
朴念 修行僧=雑役 全羅修業会(ぜんらしゅぎょうえ)のときだけ
訥念 同上

昭学:高山  一般参加を装う。2人の僧しか知らない。SOS参加者との面接は麻凛まかせ。
英学:小出  野乃花が実咲の高校時代の後輩の縁で
広学:畑田  ボランティア医師 古武術研究会(10年前に復活)賛助会員。
健学:大野木 単独参加者 100万円
秀学:田代  単独参加者 100万円
大学:鈴宮  単独参加者 100万円
友学:津田沼 単独参加者 100万円
元学:下林  単独参加者 100万円
純学:南   単独参加者 100万円
善学:佐東  単独参加者 100万円
主催者としては、100×7-[20×6+15×6]=510万円。
諸経費を引いた残りは210万円。スタッフの手取は、ひとり50万円。
年4回(春夏秋は女が足りているからSOS無し)。これだけでは事業として成立しない。
写真・動画は編集/モザイクで裏通販。
オリジナルは妙覚のみが秘蔵。古武術研究会の存続がライフワーク。


1:得度
 急な長い石段を上がるSOS一行。昔のエピソードとか。
 女淫房に先客は花淫と田淫。前日から参加。修業衣(袖無半尻透作務衣)。
 断熱構造。寒い。
 庭で顔合わせ。男は僧衣と防寒作務衣。ルールは男女とも心得ている。
 俗世の一切を捨てよ。女は全裸に。
 本堂で得度。麻凛、円花は永久脱毛。菜穂子の焼き印に瞠目。
 菜穂子が下女働きを申し出る。得度が難しい。燃やす。
 ゆかりが剃髪を申し出る。釈覚が担当。
 剃毛は、切り傷若干。SOSメンバーに法名。
 僧の指導を受けながら女は夕食準備。
 全裸を鑑賞されながら夕食。開脚正座。菜穂子は後ろ手錠で待機。残飯を犬食い。
 夜は最初の座禅。手は後ろで水平に組む。欲深い女は、何も求めてはならぬ。
 菜穂子は逆さ吊りで見学。身悶えしたら警柵その他。
 男が交代で教導。叩いたりつついたり。全員が緊縛(緊縛講座)。
 男女とも憧れの(?)座禅転がし。
 ノーマルに就寝。

2:滝行 
 午前の座禅は緊縛放置バイブ添え。
 四六時中の責めではない。合宿気分も。スマホ類禁止。TVも無し。雑談。
 午後の修業は滝行(短時間)。菜穂子は終始水中座禅。アナルディルド体温計で目は配っていたが、低体温症。
 円花が拒絶して逆さ吊りで。性務所と同じで、反抗で懲罰のパターン。マンコ滝打ち。
 高山が氷柱を。円花、よがる。
 入浴時はソープ修業。実咲が元本職。
 坐禅は最初から目隠し緊縛猿轡。乳首⇔足の親指。途中でクリ糸合流。ローター/電マ吊るし。
 夜は、年少の芽衣と蕾を4人掛かりで。円花は緊縛安静で見学。菜穂子は雪ダルマ放置。

3:祓行
 午前は巡拝。庭に支柱を打ち込んで、ロープを張る。支柱は伸縮式。
 緊縛で周回。本殿前では支柱挿入して拝跪。
 午後は罪障祓い=鞭打ちその他。未経験者はバラ鞭と笞。
 ゆかりが、肌が裂けるまでの鞭打ちを希望。菜穂子も。妙覚と高山で対応。一本鞭。
 妙覚が臨時レクチャー。古い写真のデジタル化。女囚第七号(佐江の母)、十六号(年増女郎)二十三号(佐江)、八十二号(尋常学校)。
 昔は、ひとりの女を五人十人で責めていた。しかも、本人は嫌がっていた。円花と芽衣が羨望のため息。
 5年から10年続いては、しばらく中断。昭和後半のカラー写真は、縄でなくハーネスも。
 坐禅は2穴凶悪ディルド。人数分はないので、3点スポイトローターも。

4:灸行
 無駄な労働。上半身有刺鉄線緊縛。股縄ブロック運び。股間箒。膣牽引(ドンキーガール)。
 午後から灸責め(台座灸)。ゆかりと菜穂子は直接を希望。
 全員マングリ返しでクリ、淫唇。
 入浴時のソープ練習は続いている。

5:相撲
 高山が円花をスカウト。「好きな責めばかりではない」
 男女入り乱れての相撲。女同士の勝ち抜き/負け抜きあり。
 菜穂子はケツバット四股。ゆかりは鉄砲練習台。土俵では円花が頑張る。
 基本的に和気あいあい?
 午後から本人のリクエストで。
 円花 :水中座禅顔浸けあり。
 菜穂子:滝行逆さ吊り。(2人の責めが入れ替わる:畑田が監督)
 ゆかり:全身お灸。
 蕾  :巡拝。
 麻凛 :有刺鉄線緊縛で膣牽引(苦痛系に挑戦)。高山の発案で有刺鉄線フンドシでブロック。男性3人で鞭追い。
 芽衣 :素直に快感開発。男性陣総がかり。
 野乃花:相撲で男性から総嬲り。
 実咲 :フル装備座禅、3点責め+2穴ディルド。いざというとき、看護婦に戻るため。

6:還俗
  解散。円花がスタッフに。

========================================
 外見とかは、書きながら決めて(麻凛、円花、菜穂子と高山昭雄は、過去の記述と矛盾しないよう)、PLOTに後からメモしていきます。
胡坐縛りがいっぱい
 胡坐縛りの画像はたくさんありますが、ひとつの視点から眺める形にまとめるのが難しいし。これまでに紹介している『複数裸女座禅』は、探しまくっても低画質画像が2点きり。困ったものです。


 以下の画像は作者の個別作品DLsite販売ページへのアフィリエイトリンクです。
大正弄瞞~義理の伯父と継母と異母兄に三穴淫虐調教される箱入り娘少女博徒~手本引地獄海女無惨花-淫虐の近親レズプレイ-偽りの殉難~香世裸責め未性熟処女の強制足入れ婚無限の幻夢~被虐異世界遍歴の果てにミスリルの悲劇ミスリルの虚妄~繁殖寵姫の権謀術数

しつこく、FANZAの自作アフィリンクも貼って見たりします。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final : プライベート・リョナファイト

  脱稿しました。173枚。
 ここのところ、『流して』書いている感が否めません。前作の『火竜と翔けたアクメの空』は渾心でしたが、あれは一部描写を除くと全年齢で通用しそうな、内容でしたので内心が忸怩としないでもありません。
 今回は、造詣が浅い格闘技がテーマなので、どこまでリアリティがあるか……空戦の描写に比べて、曖昧な表現が多くなってしまいました。
 ちょっと趣向を変えて。「体験版」でも紹介しない後書を晒してみましょうか。


========================================
 いくらPLOTを決めていても、話の流れには逆らえません。最後には、『可愛い孫娘』を痛めつけられたブレイカー老の詩織への復讐残虐シーンを挿れるつもりでしたが、ばっさり落としました。
 リョナファイトはリョナファイトだけでまとめたほうが、すっきりします。サディスティックなリビドーは蓄積しておいて、別の作品でヒロインにぶつけてやります。そのヒロインこそ、いい迷惑ですね。
 最後にブレイカー老が『復活』するシーン。かなりに取って付けていますが。ほんとうは、彼の姓をドイツ風にして
「総統……私は歩けます!」と叫ばせるつもりでした。
 さすがに遊び過ぎと反省して、これもボツにしました。
 最後の最後で、登場人物中最年少のはずのフロルが、実はアラサーの可能性もある――というのは、筆の勢いです。作者としては、フロルは見た目通りの年齢です。
 この作品を脱稿したのは、盆休みの終盤です。
 明日(2019/08/17)は同人誌の毎夏恒例麦酒庭園集会。
英気を養って、構想を練って、次作には週明けからでも取り組みましょう。

 さて、何を書きましょうか――このところ、毎回同じことを書いてる気がします。[硬式]ブログの本棚を増設して、いよいよ『昭和集団就辱』シリーズを始めたい気もします。
 これは、同じようなシチュエーションの短編を2~3話一気執筆して、
『接客編』チョンの間、売春島
『浴場編』トルコ嬢、秘湯の遊女
『芸術編』ストリッパー、モデル
『女給編』ピンサロ、同伴喫茶エスコートガール
『妻妾編』写真花嫁、主婦代行派遣、処女妾修業
『性裁編』マッチ売り、美人局
『番外編』マグロ漁船の少年、サウナボーイ
 などなど。
 なんて予告しときながら、いきなり『ヒロイン戦記』に戻ったりして。
 明日は明日の Windows11?
========================================
ryona-sword.jpg

アイキャッチ画像も、リョナっぽいというだけで、本編と関係のないものばかりですね。

淫乱処女のエロエロ・デビュー縄と鞭の体育補習ママと歩む Slave Road強制入院マゾ馴致(前編)~絶海の孤島で繰り広げられる集団調教劇Family SM Triangle (総集編)いじめられっ娘二重唱(前編)いじめられっ娘二重唱(後編)姪奴と甥奴(前編)~繁殖奴隷にされる姉と男の娘に改造される弟姪奴と甥奴(後編)~繁殖奴隷にされる姉と男の娘に改造される弟

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:プライベート・リョナファイト



 全5章のうち3章が終わって140枚。第4章は2シーンで尺が長いですが、5章は数枚の予定ですから、全体で200枚ちょっとでしょうか。
 今回は、ヒロイン(28歳、ドM)の格闘シーンを。
 書いていてつくづく思ったのは、筆者には格闘技の基礎知識が不足していますね。
 相手をロープに吹っ飛ばして、跳ね返されてきたとろをソバット(後ろ蹴り)なんて書いても、構図が頭に浮かびません。これが、後上方から緩降下攻撃を仕掛けてきた敵機をバンクと横滑りでかわして、逆にズーム上昇で後ろにつける――というのは、操縦桿の操作も両機の位置関係も、はっきり見えています。
 ドッグファイトの描写は得意だが、キャットファイトは苦手。というオチです。

========================================
 興行の幕開けは、午後八時。出場者は、その二時間前にはアリーナの控室にはいっていなければならない。
 詩織は、午後五時から支度にとりかかった。
 バスタブの中で、日本から持ってきた除毛フォームを首から下に塗りたくった。いっそ永久脱毛してしまえば面倒は無いのだが、これはこれで、日常から乖離した被虐の世界への扉を開ける儀式のようにも思える。除毛のあとの肌のヒリつきも、マゾ牝に変身した気分にさせてくれる。
 髪は丹念にブラッシングして、男がつかみやすいようにポニテに結ったが、化粧は一切しない。汗と涙でグシャグシャになるからだ。
 素肌に裾の長いTシャツ一枚を着て、リングコスチュームと自前の医療キットを詰めたバッグを肩に、詩織はホテルを出た。
 ホテルの前には三台のタクシーが止まっている。そのうちの、Reservedの表示がある車に乗った。アリーナまでは歩いて行ける距離だが、何も知らない市民に不審を持たれないための措置だった。組織が手配した運転手も、詩織の露出的な服装への感想など言わない。

 詩織は自分の支度にとりかかった。素裸になって、柔道の黒帯を締める。後ろで硬く結び留めて、長く余った部分を股間にくぐらせる。五センチちかい幅の帯を平らにして尻のあいだに食い込ませる。尻肉が左右に割り開かれる感触は、ふつうの股縄では味わえない。小淫唇を割り開いて、下から上へ食い込ませていく。分厚い布地の縁が内側を圧迫するが、角が滑らかなので、痛みはあまり感じず、荒々しい快感だけがつのる。腰を巻く帯に前で結び付けて、全体がY字形になるまで締めこんで、端を引っ張ればほどけるように、片結びに留めた。
 もちろん、自分から帯をほどくつもりなどない。対戦相手に無理矢理ほどかれて、力ずくで犯される。そう思っただけで、腰の奥が厚く燃え上がって、おびただしく濡れてくる。
 女囚性務所での問答無用の拷問と性的虐待も素晴らしかったけれど、死力を尽くして抵抗して犯されるほうが自分には合っていると思う。去年の柔道合宿みたいな輪姦は望めないけれど、五百人を超える蔑みの視線が恥辱を掻き立ててくれる。

 花道をリングに向かって歩いているうちから、昨日と同じVIP室に老人と少女の姿があるのに、詩織は気づいている。二日を通して観戦する者は珍しくないと、ドンから聞かされているし、老人と少女の関係がなんであろうと、関係のないことだ。
 屠殺場へ引かれていく気分を愉しみながら、詩織は花道を歩き終えた。
 黒のコーナーポスト側には、詩織よりも若い細身の男が、二人待ち受けている。まったく見わけのつかない双子だ。男二対女一の逆ハンデマッチというのは、日本を立つ前からの詩織の希望だった。しかし、双子とはちょっと意外だった。
 レフェリー兼リングアナが、マット中央にしゃしゃり出る。
「黒のコーナー。ネイキッドブラザーズ・A&B」
 二人のリングコスチュームは、パンクラチオンスタイル。つまり、全裸で素足だった。闘いに臨んでも股間が聳え勃っているのは、訓練の成果でもあり、詩織を舐めてかかっている証拠でもあった。
「ピンクのコーナー。ブラッククロッチベルト・シホオオオ。105ポンド、5フィート2インチ。スリーサイズは34/24/35」
 二日間を通じての出場者の中でもっとも背が低いのは苦にならないが、しかし体重がソルジャーピンクより2ポンドだけ重たいのは――被虐とは無関係の恥かしさだった。
 小母さんとU15とを比べるのが間違っている。と、詩織は自分を慰めているのだけれど。
 そのかわり、いちばん激しく羞ずかしく甚振られてみせる――と、詩織は決心していたのだけれど。ソルジャーピンクには勝てそうにないという予感もあった。
 別に、彼女に格別の思い入れがあるわけではない。インタビューで詳しく話を聞いたせいに過ぎない。
 カアアン!
 詩織はリング中央で柔道の構えを取った。ヘソ丈の上衣など滑稽でしかないのだが、全裸だと投げ技のとっかかりが少ない。つまり、着衣はパンクラチオン・スタイルに比べて圧倒的に不利なのだ。詩織に優位があるとすれば、相手は最大の急所を露出していることだけだ。
 タッグマッチではないので、相手は二人ともリングの中にいる。どっちがAでどっちがBか見分けは着かないが、とにかくひとりだけが前に出てきた。腰を低くした前傾姿勢はアマレスリングの構えだが、歴史をさかのぼればパンクラチオンにたどり着く。
 詩織は玉砕を前提に攻めて出た。
「やああっ!」
 柔道ではなくケンカ殺法というか。いっそう姿勢を低くして相手の腰にタックルを掛けた。組み付いて、突進の勢いで自分より体重の重い男を押し倒して、押さえ込みにかかる。相手は裸だから、衿をつかんで締めあげるわけにはいかない。
 跳ね返されかけて、むしろその反動で足を相手の首に絡ませてプロレス技の首四の字固めにちかい形になった。
 これまでの試合の半分以上がそうだったように、最初はやられ役に見せ場を作らせておいてから料理にかかるつもりかと、詩織は推測した。それならそれで、後悔するくらいに暴れてやる。
 首にかけた足を、さらに締め付けた。
 どんっと、背中を蹴られて。同時に下からも突き上げられた。
 相手は二人だったと思い出したときには、二人掛かりで仰向けに押さえつけられていた。
 ひとりが馬乗りになって。
 バシン、バシンと、乳房にフックを叩き込んでくる。
「くっ……!」
 乳ビンタくらいはいくらでも経験があるが、ナックルパンチは桁違いに痛い。それも乳房だけでなく、肋骨に届く角度で打ち込まれている。
 しかし、ここまでは出合い頭の挨拶に過ぎなかった。詩織は二人掛かりで引き起こされて、両手を左右に引っ張られた形でロープへ飛ばされた。弾き返されればカウンターを食らうのがわかりきっているから、ロープにしがみついて、踏みとどまった。
「チッ……」
 簡単にロープから引き剥がされてリング中央まで押し出されて。
「あっ……いやあっ!」
 黒帯フンドシの結び目をつかまれて、あお向けに持ち上げられた。股間に帯が食い込む痛みよりも、羞恥が強い。つまり、詩織にはまだそれだけの余裕があった。
「オラアッ!」
 二人掛かりで頭よりも高く持ち上げられて、そこからマットに叩きつけられた。受け身を取って腰と背中を護ったが、柔道の試合では考えられないほどの高さから投げ下ろされて、全身が痺れるほどの衝撃だった。
 起き上がる暇も与えられず、また持ち上げられて、今度は裏返しにされて頭の高さからなげ下ろされた。
 双子のひとりが膝を突いて、もうひとりが詩織の腰を正確に膝に打ちつけた。
「ぎゃんっ……!」
 この一撃で、詩織は立てなくなった。それを強引に引き起こされ、またロープに飛ばされる。弾き返されて足をもつらせて倒れかかるところへ、ソバットを蹴り込まれた。プロレスの週刊誌なら『轟沈』と形容するだろうダメージだった。
 しかし、マットは詩織から遠ざかる。ポニテと黒帯フンドシをつかまれて、また宙高く持ち上げられて。
「いやああっ……場外は赦してえっ!」
 マットから床までは三フィートの高さがある。マットからトップロープまでは四フィート。そのさらに二フィートほども高い位置から、硬い床に、うつ伏せに投げつけられた。
 受け身がどうこうのレベルではない。下手に手を突っ張れば骨折する。顔だけは護ろうとして胸を突き出して――乳房はひしゃげて、腰も腹もしたたかに打った。
 双子がリングから下りてきて、黒帯フンドシをつかんで、詩織を荷物のようにリングへ放り上げた。
 俎板の上の鯉だ――まだ鮮明な意識で、詩織は思った。試合開始後数分で、すでに起き上がることさえ難しい。
 いい加減で陵辱に移ってほしいという想いと。一か月くらいは入院が必要になるくらいまで痛めつけてほしいという想いとが交錯する。そこまで痛めつけられてから、せっかく二人いるんだから同時に犯してほしいなどと考えて――我ながら底無しの被虐願望に呆れてしまった。
 詩織の願望は、十二分以上に叶えられた。
 無力に横たわる詩織の黒帯フンドシが、あっさりとほどかれた。今度は股間を指で穿たれて、ボーリングの球を持ち上げるようにして腰を引き上げて、立たされた。ロープ際へ運ばれて、大の字に磔けられた。
「天国と地獄を同時に愉しませてやるぜ」
 観客に向かって声を張り上げて。双子の片割れが、黒帯を改めて詩織の股間に通した。両端を持って引き上げる。
「くううう……」
 両脚を踏ん張れば股間への食い込みは和らぐが。どうせ、どこまでも引き上げられるのは分かっているから、無駄なあがきはしない。
「そーらよ。ワンツウ、ワンツウ」
 掛け声に合わせて、黒帯を前後に扱いた。帯は縦になって淫唇の奥深くまで食い込んできて、帯の縁が膣口までこすり上げる。帯の面が粘膜を引っかく。
「くうう……んん、ん……」
 それは激痛だったが、甘い疼きを伴っていた。
 もうひとりが、詩織の右斜め前に立った。
「もうちょい、上だ」
 黒帯が吊り上げられて、詩織の腰が浮く。
「OK」
 肝臓を狙ってパンチが放たれる。
「ぐぶっ……」
 鈍い激痛が腹を突き抜ける。
「リズムを合わせようぜ」
「そら……ワンツウ、ワンツウ、ワンツウ」
 帯が上下にしごかれて、同時に右わき腹と鳩尾にジャブが叩き込まれる。
「ぐぶ……うう……」
 詩織が呻きを漏らしていたのは、そう長い時間ではなかった。息を詰まらせて、あとは残酷な子供が弄ぶ人形さながらに、揺すられているだけ。
 それでも、詩織の意識はまだ正常な範囲の下限くらいには保たれている。これまで数々のハードプレイや、女囚性務所での本式の拷問で鍛えられたからではない。もちろん、そうい